【令和5年(2023年度版)】1級建築施工管理技士 第一次検定合格のための勉強方法を考える

さて、令和5年度版の1級建築施工管理技士・第一次検定に合格するための勉強法について、今回は考えたいと思います。

 

令和3年の第一次検定は例年と比べて合格率が低め(36.0%)、令和4年の第一次検定の合格率は46.8%と高めでした。

この合格率の乱高下の要因は、おそらくは『施工管理法の応用問題』が合否に大きな影響を与えていると言って良いでしょう。

各種工事における知識の記憶がほぼ完ぺきであれば問題ありませんが、

・四肢一択(一般知識問題)
五肢二択(施工管理法の応用問題) 6問の出題
⇒それぞれ60%以上の正答率が合格基準

令和2年までの学科試験と大きく異なる部分なので、そこには十分留意する必要があるでしょう。

旧学科試験時の合格率

平成28年(2016年)〜令和4年(2022年)までの過去7年間の学科試験(第一次検定含む)の合格率です。

年度 受検者数 合格者数 合格率
平成28年 25,639 12,675 49.40%
平成29年 24,755 9,824 39.70%
平成30年 25,198 9,229 36.60%
令和元年 25,392 10,837 42.70%
令和2年 22,742 11,619 51.1%
令和3年 22,277 8,025 36.0%
令和4年 27,253 12,755 46.8%

年度により変動はありますが、過去15年を均す(ならす)と合格率は40~45%程度かと思われます。
(下記記事参照)

ざっと換算すると平均して2人-3人に1人合格するデータとなっています。(過去14年で合格率が1/3を切ったことはない)

 

第一次検定の試験

第一次検定は、試験時間などは従来と同じで、午前の部午後の部からの構成となっています。

・午前の部 2時間30分
・午後の部 2時間00分

令和2年の学科試験までは、下記の問題構成でしたが、

・午前の部—50問出題されて32問の解答が必要。
・午後の部—32問出題されて28問の解答が必要。
で60%以上の正答(36問)で合格。
令和3年より
・午前の部—44問出題されて36問の解答が必要。
・午後の部—28問出題されて24問の解答が必要。
60%以上の正答かつ、『施工管理法の応用問題』でも60%以上の正答が必要
施工管理法の応用問題は6問出題されて、基本的には4問以上の正答が必要
というように変わりました。
また、
82問出題⇒60問の解答が、昨年は72問出題⇒60問の解答が必要になりました。

この2点について、もう少し深堀りしたいと思います。

 

勉強する期間を考える

本年度(令和5年)の第一次検定の試験日は6月11日(日曜日)となっていますが、ざっとイメージする勉強計画を考えてみました。

まずスケジュールを3分割して、

1, (第1期間)3月20日〜4月14日 基本知識のインプット・動画閲覧
2, (第2期間)4月15日〜5月13日 出題想定範囲の知識の記憶定着期間
3, (第3期間)5月14日〜6月11日 過去問反復期間
3ヶ月という期間があれば、第一次検定については全く問題のない時間が確保できると思います。
ただし、まずは自分の知識レベルを自分で良く理解しておくべきです。
A 仮設、建築学一般、施工に関する一般的な知識、各種法規などについて仕事を通じてある程度理解している
B 仮設、施工に関しては一般的な知識はあるが、法規や建築学等は少し自信がない
C 施工に関する一部の工種の専門知識はあるが、全体的には心許ない。
D 全てにおいて知識が不足している。
こんな感じに類型化されるのではないかと思います。
Dの人は本来的に実務経験的にも資格を満たしているかという問題もありますが、実際のところ、私はD以上で少しCに満たない立場だったように思います。
Aレベルの人は勉強する期間として、極論すると第3期間のみ(実質1ヶ月)でも対応は可能だと思いますし、Bレベルは第2期間より、C,Dレベルの人や極力早め(出来れば3ヶ月確保したいところ)に始めましょうという感じになるでしょうね。
以降については上記のA,B,C,Dとレベル分けして勉強方法を考えたいと思います。

どのように知識を習得するか

A,Bレベルの受検者

・過去問をメインに独学。(必要に応じてテキストで不足を補う)
A,Bレベルの方は、基本的にはアドバイスは不要でしょう。
自分でまず過去問題に取り組んで、自分の知識レベルを把握する。
(現時点で過去問で6割正答するならば即合格レベルの知識です)
そして自分に合ったテキストと過去問を購入して、勉強を進めていく。
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ある程度の習熟者ならば、この地域開発研究所の過去問集が過不足なく適切なボリュームかと思います。
そして可能ならば、第二次検定の出題内容を意識した勉強にも先行して取り組めれば言うことはありません。

C,Dレベルの受検者

Cレベル・Dレベルの人も、過去問の反復ベースで合格することは全く不可能ではありません。但し、その先の第二次検定で1級建築施工管理技士の資格を目指す場合は、もう少しベース知識を確実なものにしておきたいです。
第二次検定は記述が必要なので、頭の中の数値や語句の記憶だけでは対応がとても難しいです。
ほぼ初学の場合、テキストの紹介記事でも書いているGET研究所
このテキストがおすすめです。
過去問の編集のみではなく、
出題分野毎に編集しており、解説が詳しい。
・過去問以外に分野毎に重点項目が整理されている。
・必要に応じて無料動画で補える。
全くの市販のテキストのみでは不安な方は、通信講座も一つの選択肢ですね。
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上記記事でも紹介している中でe-ラーニングで学べるSATが個人的なおすすめです。
施工全般・仮設安全管理などの知識が不足しており、それを習得〜定着させるには、座学だけでなく、ビジュアル(目)や音声(耳)などをフル活用して取り組む方が手っ取り早いです。
例えば杭工事や土工事など、仕上げ工事専門工種の人たちは文章を読んでもイメージが難しいと思います。
こちらは講義のサンプル動画です。

第一次検定はほぼ知識問題が主流を占めます。なので勉強は移動中や隙間時間を活用できるようにDVDではなく、E-ラーニングが良いでしょう。(スマホとイヤホンを活用して)

最初の2ヶ月間は上記のSATのE-ラーニングとテキストを活用して、基本知識のインプット〜記憶の定着を目指します。

締めくくりの1ヶ月は過去問の反復

残りの1ヶ月間は過去問の反復に主軸をおきたいところです。

過去問の反復は、自宅で腰を据えてやるよりも、隙間時間の活用が有効です。

ですので上記の日建学院の過去問題集で、1問1答式で問題を解いて解説の確認。そして正誤の結果をチェックボックスに印をつけ、何度か反復の上、最終的に誤りをなくしていくという手法です。

私は主にこの最後の詰めは通勤時間や出張での移動時間を利用して学習をしました。

この過去問の反復のみならば、過去問題とその解説しか載っていない上記の2つのテキストが使いやすいです。個人的には2冊構成でコンパクトで持ち運びやすい(1冊だけ携帯する)日建学院がおすすめです。

勉強重点分野を把握しておく※重要です

勉強の重点を置く分野は令和2年までと令和3年以降の第一次検定では異なっています。

令和2年と令和3年以降の大きな違いの一つとして、(右が令和3年以降の第一次検定の出題内容)

  • 躯体工事  13問のうち5問解答(学科試験)   ⇒ 10問のうち7問解答(1次検定)
  • 仕上げ工事 12問のうち5問解答         ⇒  9問のうち7問解答

また、施工管理法の応用問題は(令和3年)

  • 躯体工事  3問 ※令和4年は2問(残りの1問は材料の保管に関する問題)
  • 仕上げ工事 3問

出題されました。

  • (旧学科試験)躯体工事+仕上げ工事=10問
  • (第一次検定)躯体工事+仕上げ工事+施工管理法応用問題=20問前後

 

令和2年までは、躯体工事や仕上げ工事は選択問題が広いわりに解答数が少ないので、

『〇〇工事と○○工事は取り組まなくてもいいや』

という事も無問題でしたが、第一次検定の試験制度になってからはそれはあまりおすすめできません。

 

ちなみに、この『躯体工事』と『仕上げ工事』の知識は第二次検定でも重要なので、当サイトは

きっちり取り組むべき重点分野

というのは以前よりの見解でしたが、今は第一次検定の合格のための必須重点分野と言って良いでしょう。

この分野を手を抜くと、色んな意味で合否に大きく影響するし、2次検定での取り組みにも影響してきます。

 

それ以外の分野は大きくは変わりませんが、留意事項は下記の通りです。

例えば法規の出題でも、第一次検定のみしか過去に出ていない問題(法規)と、例えば『建設業法』のように第二次検定でも出題される法規もあります。

また第一次検定の最初の建築学では、概論と構造力学などは第二次検定では過去に出題されていません

そう言ったことから、60%の正答率をクリアして合格することは当然の事ながら、出来れば第二次検定で頻出される分野にある程度重点を置くということです。

以前別記事でも書きましたが、私の場合はもう構造力学(理解出来なかった)はほぼ諦めて、他の分野に注力しました。

 

 

まとめ

昨年は初めての第一次検定という事で、その対策の難しさはありましたが、令和5年の取組みは何はともあれ今回書いた通りです。

施工管理法の応用問題』はどう取り組めば良いの?という事に関しては、下記の記事を参照してください。

基本的には『躯体工事』と『仕上げ工事』の過去問をきっちり取り組むことです。

五肢二択の難しさはありますが、きっちり過去問を取り組めば、解答は導き出せるものと思います。

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最後に大切なことを書いておきますが、

この第一次検定の問題の多くがが、『不適当なもの』を1つ選ぶという形式であるということです。

なので四つの選択肢のうち、

  • 不適当なものは正しい数値・語句をきっちり記憶する。
  • それ以外の三肢は正しい記述で、この正しい記述は何度も繰り返し問題として使われているので、こちらも理解する。
    ⇒別の年度では数値を変えて出題されてきたりします。

つまり正解だけにフォーカスするのではなく、残りの3つの選択肢もきっちり反復して理解しておきたいところです。

これをきっちり反復すれば第一次検定については、合格出来るでしょう。

 

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