令和4年(2022年)1級建築施工管理技士 第一次検定試験を振り返る(レビュー)

さて令和5年の第一次検定が約2か月後に迫っていますが、久しぶりに昨年の第一次検定試験をチェックしてみました。

 

令和4年の6月12日(日曜日)に、当初の予定通り1級建築施工管理技士の第一次検定が実施されました。(同日は1・2級建築・電気が実施された)

この第一次検定制度になって2度目の試験ですが、その試験の難易度はどうだったでしょうか?

 

私も早速72問のチェックを行ってみました。

本記事のポイント

・昨年と何か変わったか?
・全体的な難易度は?
・施工管理法の応用問題はどんな問題が出たか?

という内容にフォーカスしたいと思います。

2022年 第一次検定試験問題

既に過去問の記事にも貼っていますが、こちらにも置いておきましょう。

出題構成

まずは出題構成についてです。

令和2年までは82問出題、昨年の令和3年72問出題されました。(総解答数は60問で変更なし)

令和4年も出題構成だったので、令和5年もほぼ同じになると思われます。

試験 出題数 解答数
午前の部 44問 36問
午後の部 28問 24問

令和5年に受検される方は、出題構成はあくまでも令和4年及び3年に準ずることを十分に理解して準備する必要があります。

問題全体を振り返る(出題分野毎)

建築学(問題1~15)

ここで主に出題される内容は、

  • 一般的な建築関連の概論(換気や音、照明など)
  • 建築構造
  • 構造力学
  • 建築の各種材料

以降も基本的に同じですが、まあ例年通りですね(笑)

7~8年の過去問を取り組んでおけばほぼ問題ないと思いますが、問題2の『伝熱』は過去8年で2回ほどしか出題されておらず、難しかったように思います。

ラーメン架構、曲げモーメント図は例年通りの内容なので、わかる人はわかるし、私のように取り組まなかった人間にはチンプンカンプンでしょう。

15問中12問の解答なので、取捨すれば問題ないと言えるでしょう。

※この分野は建築の材料関連以外は2次検定との関連性が薄いので効率的に考えましょう。

設備・契約(問題16~20)

  • 各種設備工事(電気・空調・消火・舗装など各種設備工事)
  • 積算、契約関連の問題

今年は舗装、避雷設備、空気調和設備、消火設備、積算の5問で、これは令和2年の構成と同じです。(出題は隔年傾向にある)

ここは問題20の「積算」の問題が工事費の構成の問題でここ最近では少し傾向の異なる問題でした。

ただ一般的な施工管理者にはわかる問題だと思います。

それ以外は過去問を反復しておけば解ける問題です。少なくとも4問は正解を取っておきたいですね。

ほぼ例年通りの内容と言って良いと思います。

施工~躯体工事(問題21~30)

  • 施工全般の中で躯体工事関連の問題

個人的に少し悩ましいと思ったのが、

・問題23 山留め工事
・問題25 鉄筋のガス圧接
・問題24 場所打ちコンクリート杭地業
・問題29 木質軸組構法
この3つですね。
問題23と25は過去問だけでは正解に導きにくい問題です。問題29の木質軸組は過去問をやっておけばわかりますが、個人的には木質軸組は苦手意識があります(笑)
問題24は数値の記憶があやふやだと間違う可能性ありますね。
但し10問中7問解答すれば良いので、取捨選択を間違えてなければ問題ないと思います。

施工~仕上げ工事(問題31~39)

  • 施工全般の中で仕上げ工事関連の問題

仕上げ工事は全て見渡しましたが過去問をやっておれば全て正解を取れる問題ばかり。

但し仕上げ工事の難しさは一つの工事において工種が様々あり、その数値の記憶が結構大変です(笑)

数値の記憶があやふやだと、結構外す可能性はありますね。

個人的に少し悩んだのが、

・問題33 セメントモルタルによる壁タイル後張り工法
・問題34 心木なし瓦棒葺
・問題36 アルミニウム製建具
あたりですね。まさに過去問の反復量が結果につながりそうです。
9問中7問の選択ですが、皆さんはどうでしたか?

施工管理法~仮設・施工計画等(問題40~44)

  • 施工管理~仮設計画・仮設設備・施工計画・工期に関する問題

ここは極めてオーソドックスな問題ばかりだったように思います。

過去問で繰り返し出題されている問題ばかりです。

常識的な知識でわかる問題もあります。

 

施工管理法~工程・品質管理・安全管理等(問題45~54)

  • 施工管理~工程関連・品質管理・検査・安全管理全般

2年前までは20問出題されていましたが、昨年より10問になって重要度が大きく変わった施工管理関連の問題

今年は、『ネットワーク工程』が出題されませんでした。今後は、隔年出題になるかもしれませんね。

 

気を付けるべき問題は、

・問題47 品質管理 不適当なものではなく、適当なものを選ぶ問題だった。
・問題49 解体工事 過去問対策をしていても少し難しい。
来年以降の受検者へのアドバイスは『問題をよく読んで』ミスをなくしましょう、ということです。
10問中10問全て解答する必要があるので、及第点でもやむを得ないでしょう。

施工管理法の応用能力問題(問題55~60)

昨年(令和3年)より新たな出題分野となった施工管理法の応用能力問題ですが、今年も昨年同様6問出題されました。

6問で60%(基本は4問以上)の正答を得ないと、他の問題が高得点でも不合格になるので要注意の分野です。

問題 出題分野 出題内容の工事種別
55 施工管理 材料の保管
56 施工(躯体) 型枠工事
57 施工(躯体) コンクリートの養生
58 施工(仕上げ) 軽量鉄骨壁下地
59 施工(仕上げ) 塗装工事
60 施工(仕上げ) 外壁タイル改修工事

令和3年は施工の分野から

・躯体工事  3問
・仕上げ工事 3問
だったのが、施工管理の材料保管の問題が1問出題されました。
とは言っても比較的によく出題される問題だったので、正解を取れる問題だったと思います。
ただ、過去問を繰り返し行っていても(7~8年程度)
  • 型枠工事
  • 塗装工事

は2つとも正解を導き出せるわけではない問題でした。

また外壁タイルの改修の問題も少し難しいです。(過去問からは解答は導き出せるが)

昨年同様に他の出題分野と比して難易度が高いと言って良いでしょう。

ここは特に施工の躯体及び仕上げの過去問を特に重点的に取り組んで合格点を確保する最重要課題ですね!

 

下記記事も参照をお願いします。

法規(問題61~72)

  • 各種法規~建築基準法・建設業法・労働安全衛生法・労働基準法など

最後は法規の問題です。

・問題65 建設業法(請負契約)
・問題66 建設業法(監理技術者)
問題65の請負契約に関する問題は2次検定経験者ならば問題なくわかる問題でしたが、そうでない場合は消去法でなんとか導き出せるかなという問題。(但し施工管理者としては一般的に知っておくべき内容)
また問題66の選択肢1は監理技術者の兼任という建設業法改正後の内容ですね。特に昨今は監理技術者関連の緩和が流れにあるので、きっちり押さえておきたい内容ですね。これも建設業に携わっているならば知っておくべき内容です。
ここは粛々と過去問を取り組んでおけば問題ないし、12問中8問の解答なので高い正答率を確保すべき分野ですね。

まとめ

分野毎にまとめましたが、

  • 知識問題は例年通りの難易度だった。
  • 応用問題(6問)は昨年同様少し難しかった。

と思います。

通常の知識問題は、過去問からだけではわからない問題も出題されるのは昔から変わりません。

但し問題の選択できるところもあるし、あくまでも60%正解すれば合格です。

勉強しておけば合格点は決して難しくはありません。

 

施工管理法の応用問題は、

  • 五肢二択で二択とも正解をする必要がある。
  • 6問中4問は正解を取っておく必要がある。

施工管理法や施工(躯体・知識)の問題を繰り返し取り組んでおけば、4問は正解できる内容ではありますが、試験は水もの。

しっかり取り組んでいてもど忘れしてしまう場合もあります。

6問しか出題されずに、4問以上の正答という合格基準に到達するのは、意外と難しいと感じています。(苦手な分野ばかり出題されたりとか)

 

まあ上記分野をより重点内容として取り組むしかありませんね。

合格基準

当サイトでは何度も繰り返し書いている合格基準は国土交通省より発表されているものです。
1級建築施工管理技士の場合、(下記の基準以上
・第一次検定(全体)     得点が 60%
(施工管理法(応用能力))  得点が 60%
・第二次検定         得点が 60%
ただし、
級及び第一次検定、第二次検定の別に応じて、次の基準以上の者を合格とするが、試験の実施状況等を踏まえ、変更する可能性がある。

と書かれており、正答率60%が見直される可能性もゼロではありません。

 

ちなみに上記のリンクを見て頂ければわかるのですが、施工管理法の応用能力問題の正答率ですが、

・建築 60%
・土木 60%
・管工事 50%
・電気 50%
・造園 50%
・電気通信 40%
と技術検定の種類により、合格に必要な正答率が異なります。建築と土木は厳しいですね。

令和3年は3問で合格だった

⇒その後令和3年度の第一次検定の合格基準は、
60問中36問以上正解(応用能力:6問中3問正解
国土交通省発表
と発表されました。
昨年の令和3年は、4問以上の正解で合格だったので、令和3年は救済措置があったのでしょう。
本年度(令和5年)は令和4年同様に6問中4問以上の正答を目指した取り組みが必要なのは間違いないでしょう。

不合格となった場合は成績の通知がある

そしてこの検定に不合格となった場合は、不合格通知書で成績を通知してくれます。

全体の得点が合格基準未満の場合(全体で60%以下)

第一次検定(一級、二級とも) ○○問 正解

・一級の第一次検定において、全体の得点が合格基準以上で、かつ施工管理法(応用能力)の 得点が合格基準未満の場合

第一次検定(一級) ○○問 正解
(施工管理法(応用能力)の得点が合格基準未満のため不合格)

他の問題でかなりの高得点が確保できて、この応用能力問題で不合格になるのはかなり落ち込みますね。
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