さて令和4年(2022年)と新しい年を迎えました。
残念ながら相変わらずのコロナ禍の中、景気状況含めて先行きがみえにくい世の中になっています。比較的影響の受けていない建設業で働く人もいるかと思いますが、持つ顧客によっては打撃を大きく受けている建設業(特に専門業)の方も多いと思います。
ただ、こんな状況でこそ個人としても法人としても自己啓発や社内人材育成面が成長のカギになるのではと思います。
私も1級建築施工管理技士の資格を受ける時は、仕事が多忙だったので受検をかなり躊躇しました。しかしこの資格が必要で是非とも取得したかったので、チャレンジして現在に至ります。
現在資格を取得しようと考えている方、または今年既に受検申込を行い現在は勉強への準備をしている受検生に読んで頂ければと思います。
客観的なデータ(受検者・合格者・合格率)
例年の受検者・合格者・合格率
まずはこの資格取得を例年どれくらいの人々が目指しているかの客観データです。(過去3年)
ちなみにここ14年程度の受検者などの推移は下記記事を参照してください。
さて令和4年となり、1級建築施工管理技士の第一次検定及び第二次検定の試験制度も2年目です。 本記事は、昨年の令和4年(2022年)迄の受検者・合格者数・合格率の推移がわかるようにまとめた記事です。 参[…]
第一次検定(令和2年までは学科試験)
年度 | 受検者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成30年(2018年) | 25,198 | 9,229 | 36.60% |
令和元年(2019年) | 25,392 | 10,837 | 42.70% |
令和2年(2020年) | 22,742 | 11,619 | 51.1% |
令和3年(2021年) | 22,277 | 8,025 | 36.0% |
ここ10年間で昨年が最低の合格率、一昨年が最高の合格率になっています。
昨年より第一次検定試験となり、『施工管理法の応用問題』が新たに出題され合否に影響を受けて部分は否めないでしょう。
第二次検定(令和2年までは実地試験)
年度 | 受検者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成30年(2018年) | 15,145 | 5,619 | 37.10% |
令和元年(2019年) | 15,876 | 7,378 | 46.50% |
令和2年(2020年) | 16,946 | 6,898 | 40.7% |
令和3年(2021年) | 12,813 | 6,708 | 52.4% |
ここ10年で最低合格率は33.5%、最高合格率は昨年の令和3年の52.4%となっています。
考察してみる
ざっと上記プラス過去のデータをみると、
・第一次検定の合格率は40%切るかも。⇒これは当たった。
・第二次検定は例年通り35%〜40%程度か? ⇒これは外れ
⇒ここ2年の1次検定受検者と2次検定合格者の数に大きな差異はない。
・第一次検定は『施工管理法の応用問題』対策をしっかりしておく必要がある。
・第二次検定は施工経験記述の対策を絞り過ぎていなければ、相対的には例年通り。
※参考までに、令和3年の1次・2次検定の合格者の属性を下記の記事でまとめています。
1級建築施工管理技士 技術検定の難易度
では難易度に関する考察です。この難易度というのはかなり相対的とも言えます。
- 大手ゼネコンの施工管理者
- 内装工事専門の施工管理者
- 共同住宅などの大規模修繕専門やリフォームの施工管理者
上記を比較すると、大手ゼネコンの施工管理者は、資格に関する知識全般にある程度造詣があると言って良いでしょう。一方専門工事業種の方の多くは、知識に多少偏りがあるかと思います。(例えば私は躯体工事はさっぱりでしたし、建設副産物に関しても対象外工事だったので施工経験記述は少し苦労しました)
私自身が専門業種に近い立ち位置だったので、1級建築施工管理技士の資格のハードルが少し
高く感じる立場で考えたいと思います。
第一次検定対策(旧学科試験)
令和3年度より、第一次検定は
- 知識問題(建築学、施工管理法、各工事、法規等)
- 施工管理法の応用問題(躯体・仕上げ工事関連)
- 過去問の演習のみで問題なし。
- 過去問の取組+不明点をテキストで補足。
- ある程度最低限の基本知識を得たうえで過去問演習及びテキストの読み込み
3つに区分されるのではと思います。(ほぼ勉強しなくてもわかる、という方はここでは取り上げません)
ちなみに私は③でした。
土工事や杭工事などは動画などのビジュアルの補足がないと理解も出来ませんでした。
ただそれでも試験は90%以上の正答率だったのは、試験直前まで過去問の反復があったからだと思います。
そして『施工管理法の応用問題』をクリアするには、躯体工事及び仕上げ工事の分野において、より数値・施工方法などを正しく理解しておくことが必要だと思います。
1次検定は独学のみでやりきりたい場合は、自分にあったテキストを選定すること。
第二次検定対策(旧実地試験)
次に第二次検定ですが、私は当時の実地試験では必要な知識を記憶をしてそれを文章化する勉強に随分と時間を要しました。マークシート式はひたすら知識の暗記ですが、こちらはほぼ記述式となります。自分で文章を書く必要のある問題がとても多いです。
当時は課題も多く、
- 問題1 経験記述で何を書けばよいかわからない。
- 問題2 仮設工事・安全管理の留意事項がなかなか頭に入らない。
- 問題4 躯体工事(仕上げ工事かどちらか)の留意事項もなかなか記憶できない。
ただし、
・問題2,3は半分取れれば良いと割り切ることにした。
( 資格取得を決意するまで、建築全般の施工管理のプロでもなんでもない私が、この1級建築施工管理技士の実地試験(現在は第二次検定になっている)はとんでもなく大変そうだと思っていました。 マークシート式の第一次検定と異なり、多くの分[…]
だと思います。
特に記述式で苦労したのは、こういった留意事項を記述する問題です。
・鉄筋工事の建入れ直しを行う際の施工上の留意事項を2つ記述する。 (令和元年 問題3)
・通信講座を受講する。
施工管理技士に限らず、資格を取得するためにどのような方法で勉強を進め合格への道筋を構築していくかはとても重要な最初の選択です。 このサイトは独学での資格取得の支援になれればと運用していますが、全ての人にその選択がベターとは言え[…]
考察
私の知人でも、いわゆる専門工種で1級建築施工管理技士の資格を取得している人は多くいます。
そして令和3年度試験より、学科試験と実地試験、両方合格しないと資格を得られないわけでなく、ステップが踏めます。
学科試験合格して、その後2度目までに実地試験に合格するのって、結構しんどいです。
それを考えると、今年もし資格取得すべきかを悩んでいるのならば、チャレンジすることを強く推奨します。まずは第一次検定の合格で『技士補』の資格取得はとても大きな成果だと思います。
どれくらいの勉強量が必要か
振り返って私の場合、
第一次検定(学科試験)・・・1日30分(ただし基本知識習得時は毎日ではないが1時間することも)
第二次検定(実地試験)・・・1日1時間(休日は2時間程度)
3月・・・週2日 1時間
4月・・・週3,4日 1時間前後
5月・・・基本毎日 30分〜1時間(移動時間を主に活用)
6月・・・ 〃
3,4月はテキスト読み込んで、5月からはひたすら過去問です。
5月以降は通勤か、出張での移動時の勉強でしたので、ある意味楽でしたね。
過去問の反復フェイズに慣れてくると、勉強はとても捗りやる気もとても前向きになりますので最初の2ヶ月が勝負ですね。
【実地試験対策】
私は実地試験は某大手専門学校のお世話になりました(笑)
8月〜10月 週3日 2時間(専門学校) +週2-3日程度 1時間-2時間(自宅)
・休日2時間~4時間
まとめ
『1級建築施工管理技士』を取得して、自分のキャリアをステップアップしたいけど大変そうだなと悩んでいるのならば、チャレンジすることを強くお勧めしたいです。
その理由として、
・そして特に第一次検定は、マークシート式で知識の習得の勉強をきっちり行えば合格できる技術検定であること。
・その後『1級建築施工管理技士』の資格は第二次検定に合格すれば良い。
私は資格取得を目指すことを決心するのに数年を要しましたが(笑)、この技士補の資格が当時あったならばもう少し早くチャレンジしていたと思います。
また実務経験が1級を受検するには年数が足りない場合を除いて、2級からステップアップすることはおすすめしないです。2級とは言え、そんなに簡単なわけではありません。実務経験が足りているならば1級からのチャレンジで良いと思います。
コロナ禍の中、以前ほどの人手不足感は和らいでいる感はありますが、それでも建設業の施工管理の仕事をしている人は業務に追われて多忙な方が多いのではないかと思っています。 私もその昔は残業は当たり前で、19時に会社を出れたらかなり早[…]