1級建築施工管理技士 第一次検定(学科試験)過去問の取り組み 第8回〜法規(2)

1級建築施工管理技士の学科試験の過去問の取り組みは今回が最終回、法規の2回目です。今回の主な法規関連の問題は労働基準法、労働安全衛生法、そのほか建築工事に関係する法規に関する出題です。

前回の法規(1)はこちらです。

今回、初めての試験挑戦の方で、なんとなく出題内容のイメージを掴んで頂けたなら嬉しいです。

労働基準法労働安全衛生法は建築工事だけでなく、一般的な知識として身に付けておきたい分野でもありますね。改めて正しい知識を身に付けていきましょう。

各種法規に関する出題分析

まずは法規のここ3年の出題内容を分析したいと思います。

問題 科目 令和3年 問題 令和2年 令和元年
61 法規
(8/12問)
建築基準法(用語) 71 建築基準法(手続き) 建築基準法(用語)
62 建築基準法 72 建築基準法 建築基準法
63 建築基準法(防火区画) 73 建築基準法(避難施設) 建築基準法(防火区画)
64 建設業法(建設業許可) 74 建設業法(建設業許可) 建設業法(建設業許可)
65 建設業法(請負契約) 75 建設業法(請負契約) 建設業法(請負契約)
66 建設業法(元請負人の義務) 76 建設業法(技術者) 建設業法(元請負人の義務)
67 労働基準法(就業) 77 労働基準法(労働契約) 労働基準法(就業)
68 労働安全衛生法(管理体制) 78 労働安全衛生法(管理体制) 労働安全衛生法(管理体制)
69 労働安全衛生法(免許) 79 労働安全衛生法(就業) 労働安全衛生法(就業)
70 廃棄物の処理及び清掃 80 建設リサイクル法 廃棄物の処理及び清掃
71 宅地造成等規制法 81 騒音規制法 宅地造成等規制法
72 振動規制法 82 道路交通法 振動規制法

建設業法、労働基準法、労働安全衛生法に関しては例年複数問出されているので、きっちり押さえたいですね。

1.労働基準法に関する出題

まずは労働基準法です。昨今、労務管理には世間的にも厳しくなってきました。そういった中での常識的な内容になっています。資格に関係なく知っておきたい内容ですね。

まずは労働契約に関する問題です。(令和2年の問題)

【問題】労働契約に関する記述として,「労働基準法」 上,誤っているものはどれか。

  1. 使用者は,労働者の退職の場合において,請求があった日から,原則として,7日以内に賃金を支払い,労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
  2. 満 60歳以上の労働者との間に締結される労働契約は,契約期間の定めのないものを除き,一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは,5年を超える期間について締結してはならない。
  3. 使用者は,労働者が業務上負傷し,休業する期間とその後 30日間は,やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においても解雇してはならない。
  4. 使用者は,試の使用期間中の者で 14日を超えて引き続き使用されるに至った者を解雇しようとする場合,原則として,少なくとも 30日前にその予告をしなければならない。
解答・解説
(解答)③
(解説)
労働基準法第23条 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
労働基準法第14条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。 ※平成30年も類似問題あり
労働基準法第19条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。⇒この部分から、③は誤りであることはわかりますね。
平成30年も同様の内容の問題あり。
労働基準法第20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。 ※平成27年も同様の内容の問題あり

2.法規〜労働安全衛生法に関する問題(1)

2問目は労働安全衛生法に関する出題です。まずは安全衛生管理体制に関する問題です。

【問題】建設業の事業場における安全衛生管理体制に関する記述として、『労働安全衛生法』上、誤っているものはどれか。

  1. 事業者は、常時10人の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者を選任しなければならない。
  2. 事業者は、常時30人の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を選任しなければならない。
  3. 事業者は、常時50人の労働者を使用する事業場では、産業医を選任しなければならない。
  4. 事業者は、常時100人の労働者を使用する事業場では、総括安全衛生管理者を選任しなければならない。

安全衛生推進者や安全管理者、衛生管理者など似たような用語が多く、意味の違いを理解するのが少し大変ですが、過去問で繰り返し学ぶことにより頭に入れていく方法が一番ベストですね。

解答・解説
(解答)②
(解説)
労働安全衛生規則第12条の2 安全衛生推進者を選任すべき事業場は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業所である。
労働安全衛生法施行令第4条 衛生管理者を選任すべき事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業所なので、②は誤りです。
労働安全衛生法施行令第5条 産業医を選任すべき事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業所である。
労働安全衛生法施行令第2条 統括安全衛生管理者を選任すべき事業場は、建設業においては、常時100人以上の労働者を使用する事業所である。※ちなみに安全管理者は常時50人以上の労働者を使用する事業所において選任する必要がある。

3.法規〜労働安全衛生法に関する問題(2)

引き続き、労働安全衛生法に関する問題ですが、「就業に当たっての措置」についての出題です。令和2年の問題を取り組んでみます。。

【問題】労働者の就業に当たっての措置に関する記述として,「労働安全衛生法」 上,正しいものはどれか。

  1. 事業者は,従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については,当該事項についての雇入れ時の安全衛生教育を省略することができる。
  2. 就業制限に係る業務に就くことができる者が当該業務に従事するときは,これに係る免許証その他その資格を証する書面の写しを携帯していなければならない。
  3. 元方安全衛生管理者は,作業場において下請負業者が雇入れた労働者に対して,雇入れ時の安全衛生教育を行わなければならない。
  4. 事業者は,作業主任者の選任を要する作業において,新たに職長として職務に就くことになった作業主任者について,法令で定められた安全又は衛生のための教育を実施しなければならない。
解答・解説
(解答)
(解説)さてこの問題は珍しく「正しいもの」を選択する問題。この労働安全衛生法の問題において、『正しいもの』であったり「誤ったもの」を選ぶ問題だったりするので、引っかからないよう注意したいですね。
労働安全衛生規則第35条2項 事業者は、前項各号に掲げる事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該事項についての教育を省略することができる
これが正しいので答えは①です。
労働安全衛生法第60条3項 第一項の規定により当該業務につくことができる者は、当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない。⇒写しとは書いていません。
労働安全衛生法第59条 事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。⇒元方安全衛生管理者ではなく、事業者が安全衛生教育を行う必要があります
労働安全衛生法第60条 事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
⇒作業主任者は除くとありますね。

過去問を繰り返し行っていればわかる問題ですが、一般的には少し難しいですね。

 

4.法規〜建設リサイクル法からの出題

最後は建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)を見ていきましょう。

第二次検定には出題されていませんが、施工経験記述における「建設副産物」を取り組む際には最低限の法規を知っておきたいところです。

では令和2年の問題を見ていきましょう。

【問題】「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」 上,特定建設資材を用いた建築物等の解体工事又は新築工事等のうち,分別解体等をしなければならない建設工事に該当しないものはどれか。

  1. 建築物の増築工事であって,当該工事に係る部分の床面積の合計が 500㎡ の工事
  2. 建築物の大規模な修繕工事であって,請負代金の額が 8,000万円の工事
  3. 建築物の解体工事であって,当該工事に係る部分の床面積の合計が 80㎡ の工事
  4. 擁壁の解体工事であって,請負代金の額が 500万円の工事
解答・解説
(解答)
(解説)
環境省のホームページの建設リサイクル法の概要を確認すると、
分別解体等及び再資源化等の実施義務の対象となる建設工事の規模に関する基準については、
1)建築物の解体工事では床面積80m2以上、
2)建築物の新築又は増築の工事では床面積500m2以上、
3)建築物の修繕・模様替え等の工事では請負代金が1億円以上、
4)建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事等では請負代金が500万円以上
と定められています。これを見る限り、②の8,000万円は誤りですね。

5.まとめ

以上が法規です。ここ数年の過去問をリサーチすると、建築基準法、建設業法、労働基準法、労働安全衛生法、振動規制法、騒音規制法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律、消防法、宅地造成等規制法、道路交通法などより出題されています。

範囲が広いのであくまでも過去問の反復とテキストチェックなどを押さえておけば良いでしょう。

この法規は12問が出題されますが8問解答すれば良いので、完璧を目指さなくとも良いかと思います。

ただし、建設業法労働安全衛生法に関しては第二次検定(旧実地試験)で出題されているので、ここは重点的に勉強して苦手意識を持たないことが重要かもしれません。

また労働基準法なども一般常識としては知っておきたい知識とも言えます。

さてこの学科試験(第一次検定)の過去問(1)〜(8)で一通りまとめてみました。一度取り組んでみて傾向と対策、試験の難易度を図ってもらえると幸いです。

過去問の取り組み(1)〜(7)

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