1級建築施工管理技士の第一次検定対策の過去問の取組みは前回は建築学を取り上げました。
今回は、例年の問題16~20で出題される『設備・契約(施工全般)』を取り上げたいと思います。
ここで出題される内容は、
- 設備に関連する工事(給排水・空気調和・電気・避雷・消火、消防設備等)
- 測量、植栽や舗装に関する工事
- 請負契約や積算
に関する問題です。
ここは体系的に学ぶ必要もなく、ただ過去問に慣れることで対応できる問題だと思います。
全問正答するつもりで準備して欲しいと思います。
共通(設備・契約)に関する出題
この問題16~20で例年出題されている内容は下記のとおりです。
問題 | 令和4年 | 令和3年 | 令和2年 | 令和元年 |
16 | 構内アスファルト舗装 | 測量 | 構内アスファルト舗装 | 測量 |
17 | 避雷設備 | 電気設備 | 避雷設備 | 電気設備 |
18 | 空気調和設備 | 給水設備 | 空気調和設備 | 給水設備 |
19 | 消火設備 | 昇降設備 | 消火設備 | 昇降設備 |
20 | 積算 | 請負契約 | 積算 | 請負契約 |
この表を見る限り、令和4年は【※昨年度に書いた予想です】
- 舗装
- 避雷設備
- 空気調和設備
- 消火設備
- 積算
と言った令和2年の出題分野の可能性が高そうです。(ズバリ予想通りでした)
なので令和5年は、
- 測量
- 電気設備
- 給水設備
- 昇降設備
- 請負契約
ですかね。まあ一通り履修しておいてもそんな手間ではないようにも思います。
ここは確実に満点を目指しましょう。
1.共通~舗装に関する問題
最初にアスファルト舗装に関する問題を取り上げます。
最近出題された令和2年の問題を取り上げてみましょう。
【問題】構内アスファルト舗装に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- 盛土をして路床とする場合は、一層の仕上り厚さ300mm程度ごとに締め固めながら、所定の高さに仕上げる。
- アスファルト混合物の敷均し時の温度は110℃以上とする。
- アスファルト混合物の締固め作業は、一般に継目転圧、初転圧、2次転圧、仕上げ転圧の順に行う。
- アスファルト舗装の継目は、既設舗装の補修、延伸等を除いて、下層の継目の上に上層の継目を重ねない。
アスファルト舗装の問題は令和2年、平成30年、平成27年に出題されています。
- 解答・解説
- (解答) ①
(解説)過去問から解答を見ていきましょう。
①(平成30年)盛土をして路床とする場合は、一層の仕上り厚さ300mm程度ごとに締め固めながら、所定の高さに仕上げる。
→路床の仕上り高さは200mm以下です。よって解答は①ですね。
②(平成30年)アスファルト混合物の敷均し時の温度は、110℃以上とする。
③(平成25年)アスファルト混合物の締固め作業は、一般に継目転圧、初転圧、2次転圧、仕上げ転圧の順に行う。
→少し古い過去問ですが、参考までに
直近の平成30年の解答と同じなので、これは間違えられないですね。
2.共通〜電気設備に関する出題
次に取り組みたいのは電気設備に関する問題。
これはですね、もうそんな多くの選択肢もないので確実に押さえときたいですね。
最近では令和3年、令和元年、平成29年~平成27年に出題されています。今回は令和3年の問題を取り上げます。
- 電圧の種別における低圧とは、交流の場合 600 V 以下のものをいう。
- 電圧の種別における高圧とは、 直流の場合 750 V を超え、7,000 V までのものをいう。
- 大型の動力機器が多数使用される場合の配電方式には、単相2線式 100 V が多く用いられる。
- 特別高圧受電を行うような大規模なビルなどの配電方式には、三相4線式 240 V/415 Vが多く用いられる
- 解答・解説
- (解答)③
(解説)こちらも過去問ベースでわかる問題です。
①(平成27年)電圧の種別における低圧とは、直流にあっては750V以下、交流にあっては600 V 以下のものをいう。
③(平成27年)大型の動力機器が多数使用される場合の配電方式には、単相2線式 100 V が多く用いられる。
→大型の動力機器を多数使用される場合は3相3線式もしくは4線式を用いるのが正しい。
④(平成29年)特別高圧受電を行うような大規模なビルや工場などの電気供給方式は、三相4線式 400 V が多く用いられる
電気設備関連は結構出題されるので、きっちり押さえておきましょう。
3.共通〜空気調和設備工事に関する問題
3つ目の課題は空気調和設備工事に関する問題です。
令和2年に出題されています。
【問題】空気調和設備に関する問題として、最も不適当なものはどれか。
- ファンコイルユニット方式における2管式は、冷水管及び温水管をそれぞれ設置し、各ユニットや系統ごとに選択、制御して冷暖房を行う方式である。
- パッケージユニット方式は、小容量の熱源機器を内蔵するパッケージ型空調機を、各空調区域や各室に設置して空調を行う方式である。
- 定風量単一ダクト方式は、還気と外気を空調機内で温度、湿度、清浄度を総合的に調整した後、ダクトにより各室に一定の風量で送風する方式である。
- 二重ダクト方式は、2系統のダクトで送られた温風と冷風を、混合ユニットにより熱負荷に応じて混合量を調整して吹き出す方式である。
- 解答・解説
- 解答 ①
解説 この問題は過去問をベースに考えるとわかる問題ですね。
①(平成30年)ファンコイルユニット方式における4管式は、2管式と比較してゾーンごとの冷暖房同時運転が可能で、室内環境の制御性に優れている方式である。
→4管式は冷暖房同時運転が可能=冷水管と温水管をそれぞれ設置
※2管式は冷水管と温水管が同じで、冷暖房同時運転は出来ない。
②(平成30年)パッケージユニット方式は、小容量の熱源機器を建物内に多数分散配置する方式であり、セントラルシステムに比較して保守管理に手間を要する方式である。
④(平成28年)二重ダクト方式は、2系統のダクトを送風された温風と冷風を、混合ユニットにより熱負荷に応じて混合量を調整して吹き出す方式である。これは各空調方式の特徴をしっかり理解しておけば、決して難しい問題ではないですね。
4.共通~請負契約に関する出題
4つ目の取組みは、請負契約に関する問題です。
令和3年、令和元年、平成30年に出題されています。
今回は、令和3年の問題を取り上げます。
【問題】請負契約に関する記述として、「公共建築数量積算基準(国土交通省制定)」上、誤っているものはどれか。
- 発注者又は受注者は、工期内で請負契約締結の日から 12 月を経過した後に賃金水準 又は物価水準の変動により請負代金額が不適当となったと認めたときは、相手方に対して請負代金額の変更を請求することができる。
- 受注者は、発注者が設計図書を変更したために請負代金額が以上1/2以上減少したときは、契約を解除することができる。
- 工期の変更については、発注者と受注者が協議して定める。ただし、あらかじめ定めた期間内に 協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
- 発注者は、工事の完成を確認するために必要があると認められるときは、その理由を受注者に通知して、工事目的物を最小限度破壊して検査することができる。
- 解答・解説
- (解答)②
(解説)こちらも過去問から読み解いてみましょう。
①(平成27年)受注者は、工期内で請負契約締結の日から6月を経過した後に、賃金水準 又は物価水準の変動により請負代金額が不適当となったと認めたときは、発注者に対して請負代金額の変更を請求することができる。
→これは誤りで6月ではなく12月経過したら請負代金学の変更の請求が正解なので①は正しいです。
②(平成27年)受注者は、発注者が設計図書を変更したために請負代金額が以上2/3以上減少したときは、契約を解除することができる。
→問題の1/2は不適当で正しくは請負代金額が2/3以上減少したら契約が解除できます。なので②が答えになります。
③(平成28年)工期の変更については、発注者と受注者が協議して定める。ただし、予め定めた期間内に 協議が整わない場合には、発注者が定め、受注者に通知する。
→同じ内容が平成28年に出題されています。
④(平成27年)発注者は、工事の完成を確認するために必要があると認められるときは、その理由を受注者に通知して、工事目的物を最小限度破壊して検査することができる。
→こちらも平成27年と同じ内容ですね。
まとめ
共通・設備に関する問題は、
- 給排水、空気調和、電気、避雷、消火、昇降設備に係る設備系
- 測量、植栽、舗装に関する関連工事
- 請負契約や積算に関する契約・見積関連の問題
が過去に出題されています。
5問出題されて5問解答する必要がありますが、問題及び解答・解説を見ても、基本的に8年程度の過去問に取り組んでいれば正解の取れる問題ですね。
ですので、基本的には5問中4問~5問は正解を取っておきたい問題ともいえます。
さて、次回は施工(躯体工事)を取り上げたいと思います。
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