1級建築施工管理技士 第一次検定(旧学科試験) 過去問の取り組み〜第3回 施工(躯体工事)

 

さて前回の過去問の取組み、第2回 共通(設備・契約)に続き、第3回の施工(躯体工事)に取り組んでみましょう。

 

令和3年度の第一次検定より、より重要性が増したのは施工(躯体及び仕上げ工事)に関する問題です。

合格を確実にするには、しっかりと時間をかけて取り組みたい分野と言って良いでしょう。

今回は、その重要性含めてよく理解を頂きたいと思います。

 

施工(躯体工事)に関する出題

まずはここ3年間に出題されている内容について、下記の表にまとめています。

番号 令和4年 令和3年 番号 令和2年 令和元年
21 乗入れ構台 乗入れ構台 21 乗入れ構台 乗入れ構台
22 土工事 地盤調査 22 土工事 土質試験
23 山留め工事の管理 既製コンクリート杭 23 ソイルセメント山留め壁 地下水処理工法
24 場所打ちコンクリート杭 鉄筋のガス圧接 24 場所打ちコンクリート杭 既製コンクリート杭
25 鉄筋のガス圧接 コンクリート(調合) 25 異形鉄筋の継手及び定着 鉄筋工事の配筋
26 コンクリート(調合) コンクリート(運搬・打込み) 26 鉄筋工事(機械式継手) 鉄筋のガス圧接
27 高力ボルト接合 鉄骨(溶接) 27 型枠の設計 型枠支保工
28 大空間鉄骨架構(建方) 鉄骨(建方) 28 コンクリート(調合) コンクリート(調合)
29 木質軸組構法 木造建築 29 コンクリート(運搬・打込み) コンクリート(運搬・打込み)
30 揚重運搬機械 建設機械 30 高力ボルト接合 鉄骨工事の溶接
31 大空間鉄骨架構(建方) 鉄骨の建方
32 木質軸組構法 木造建築物の大断面集成材
33 揚重運搬機械 揚重運搬機械
  • 令和2年の学科試験までは、13問中 5問を解答すれば良かった。(工種により取捨選択が可能)
  • 令和3年の第一次検定からは10問中 7問を解答する必要がある。
  • 令和3年の第一次検定は、施工管理法の応用問題から3問躯体工事の範囲から出題された。(令和4年は2問)

となっており、令和2年まで5問解答するのみが、昨年より関連問題として計10問前後の解答する必要が生まれました。

一昨年までは、そこまで注力する必要のなかった分野(仕上げ工事も含む)ですが、『施工管理法の応用問題』の対策を含めて、ある程度幅広い知識を持っておく重要性が高まったと言えますね。

※参考記事、『施工管理法の応用問題』の昨年出題された躯体及び仕上げの問題を取り上げています。

では、ここから4問ほど取り上げて解説したいと思います。

1.施工(躯体工事)~乗入れ構台に関する出題

まずは乗入れ構台に関する問題。この『乗入れ構台』はほぼ毎年出題されています。

きっちりやって得点を確保しておきたい分野ですね。

では、令和3年の問題を見ていきますか。

【問題】乗入れ構台及び荷受け構台の計画に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. クラムシェルが作業する乗入れ構台の幅はダンプトラック通過時にクラムシェルが旋回して対応する計画とし、8mとした。
  2. 乗入れ構台の高さは、大引下端が床スラブ上端より30㎝上になるようにした。
  3. 乗入れ構台への積載荷重の偏りは、構台全スパンの60%にわたって荷重が分布する。
  4. 荷受け構台の作業荷重は、自重と積載荷重の合計の5%とした。
解答・解説
(解答)④
(解説)選択肢①以外はすべて過去問で出題されている内容でした。
①クラムシェルが旋回する場合は8m、車が1車線の場合は4m以上2車線の場合は6m以上となります。(1車線、2車線は過去に出題あり)
(平成29,27年)乗入れ構台の高さは、大引下端が床スラブ上端より30㎝上になるようにした。
(平成29,26年)荷受け構台への積載荷重の偏りは、構台全スパンの60%にわたって荷重が分布するものとした。
(平成29、26年)荷受け構台の作業荷重は、自重と積載荷重の合計5%とした。
⇒④の合計5%は誤りで、正解は10%です。
過去2回出題されており、正答肢も同じです。外せない問題ですね。

 

乗入れ構台については、第二次検定における仮設計画における留意事項でも出題される事があります。こういった正しい選択肢の内容を十分に理解しておきたいところです。

2.施工(躯体工事)~場所打ちコンクリート杭に関する出題

次に杭工事の問題です。

例年、既製コンクリート杭場所打ちコンクリート杭の問題が交互に出題されているようです。

では令和2年の問題で場所打ちコンクリート杭の問題を取り上げます。

【問題】場所打ちコンクリート杭地業に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. リバース工法における2次孔底処理は、一般にトレミー管とサクションポンプを連結し、スライムを吸い上げて排出する。
  2. オールケーシング工法における孔底処理は、孔内水がない場合やわずかな場合にはハンマーグラブにより堀りくずを除去する。
  3. 杭頭部の余盛り高さは、孔内水がない場合は50㎝以上、孔内水がある場合は80~100㎝程度とする。
  4. アースドリル工法における鉄筋かごのスペーサーは、D10以上の鉄筋を用いる。
解答・解説
(解答)
(解説)この問題も2問が同じ内容、1問が近似内容でなんとか解答が引き出せると思います。
(平成28年)リバース工法における2次スライム処理は、一般にトレミー管とサクションポンプを連結し、スライムを吸い上げる。
(平成28年)オールケーシング工法における孔底処理は、孔内水がない場合やわずかな場合にはハンマーグラブにより堀りくずを除去する。
(平成26年)杭頭部の余盛り高さは、孔内水が多い場合は500mm程度とする。
⇒孔内水がある場合は800mm以上、孔内水がない場合は余盛高さは500mm以上が正解です。よって③は正しいです。
④鉄筋かごのスペーサーは、孔壁を損傷する恐れがあるので、杭径1.2m以下の場合は、鋼板4.5×38mm、1.2mを超える場合は鋼板4.5×50mm程度のものとする。
となっているので、『D10以上の鉄筋を用いる』は誤りです。
※建築工事監理指針より引用
⇒ちなみにこの④も遡って平成19年に出題はされていたようです。

3. 施工(躯体工事)~鉄筋の継手と定着に関する問題

次は鉄筋に関する問題です。例年2問出題されることが多いですが、令和3年は1問のみの出題でした。

ただし、『施工管理法の応用問題』の分野で1問出題されたので、結果例年通りでした。

今回は、『異形鉄筋の継手と定着』を取り組んでみましょう。

【問題】異形鉄筋の継手と定着に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  1. 梁の主筋を柱内に折曲げ定着とする場合、仕口面からの投影定着長さは、柱せいの3/4倍以上とする。
  2. D35 以上の鉄筋には、原則として重ね継手を用いない。
  3. 大梁主筋にSD390を用いる場合のフック付定着の長さは、同径のSD345を用いる場合と同じである。
  4. 腹筋に継手を設ける場合の継手長さは、150mm程度とする。
解答・解説
(解答)
(解説)
(平成30年)梁の主筋を柱内に折曲げ定着とする場合には、仕口面から投影定着長さは、柱せいの3/4倍以上とする。
② D35以上の鉄筋には、原則として重ね継手を用いない。 ※JASS5より
⇒これはここ最近の過去問には出ていませんね。(2級建築士などでは出ている。)
(平成27年)大梁主筋にSD345を用いる場合の直線定着長さは、コンクリート強度が同じならば、同径のSD390を用いる場合と同じである。
→これはフック付き定着長さ、と直線定着長さという所で同じ問題ではありませんが、定着長さは同様に異なります
→よってこれが正解となります。
これは少し難しいですね。 ※公共建築工事標準仕様書より引用
④これも過去問には出ていませんが、腹筋に関しては継手長さは150mm程度、が正しいようです。※これは少し難しい問題でしたね。

4.施工(躯体工事)~コンクリートの運搬、打込み及び締固めに関する出題

最後はコンクリート工事から。コンクリート工事に関しては調合、運搬、打込み、養生に関する問題がメインです。

 

今回は、コンクリートの運搬、打込み及び締固めの令和3年の問題を取り上げます。

【問題】コンクリートの運搬、打込み及び締固めに関する記述において、最も不適当なものはどれか。

  1. 外気温が25℃を超えていたため、練り混ぜ開始から打込み終了までの時間を90分以内とした。
  2. コンクリートの圧送開始前に圧送するモルタルは、型枠内に打込まないが、富調合のものとした。
  3. コンクリート内部振動機(棒型振動機)による締固めにおいて、加振時間を1箇所当たり60秒程度とした。
  4. 同一区画のコンクリート打込み時における打重ねは、先に打ち込まれたコンクリートの再振動時間内に行った。
解答・解説
(解答)
(解説)この選択肢は2次検定でもとても重要な知識の基礎となりますので、きっちり覚えておきたいところです。
(令和元年)外気温が25℃を超えていたため、練り混ぜ開始から打込み終了までの時間を90分以内とした。
(平成30年)コンクリートの圧送に先立ち圧送される先送りモルタルは品質を低下させるおそれがあるので、型枠内には打込まない
⇒平成30年の問題は富調合の記述はありませんが、②は正しい内容です。
コンクリートの圧送に先立ち、富調合のモルタルを圧送して、コンクリートの品質変化を防止すること。※公共建築工事標準仕様書より
(令和元年)
コンクリート内部振動機(棒型振動機)による締固めにおいて、加振時間を1箇所当たり10秒程度とした。
⇒これは上記の10秒が正しいです。
⇒振動時間は、コンクリート表面にセメントペーストが浮き上がるときを標準とし、コンクリートに穴を残さないように加振しながら徐々に引き抜く。
加振時間は1箇所5秒から15秒程度とするのが一般的である。 ※建築工事監理指針より。
(平成29年)
同一区画のコンクリート打込み時における打重ね時間は、先に打ち込まれたコンクリートの再振動可能時間以内とした。
→同一区画の打込み継続中における打重ね時間間隔の限度は、先に打ち込まれたコンクリートの再振動可能時間以内とする。
公共建築工事標準仕様書より
全て同じ内容もしくは近似の内容が過去問より出ています。

まとめ

最初に書いた通り、令和2年までの学科試験までの施工(躯体工事)の問題は、13問中5問の解答で良かったので、自分があまり好きでない分野はバッサリ切っても対応は可能でした。

しかし、令和3年以降は合格する上で、この施工(躯体工事)の問題は仕上げ工事含めて、ある程度得点を取れるよう準備して記憶を定着させておくことが重要です。

特に『施工管理法の応用問題』は五肢二択と少し難しくなります。
※施工管理法の応用問題のみで合格基準に達していないと不合格になります。

躯体工事及び仕上げ工事の過去問の反復が合格への近道だと思います。

しっかり良い準備をしていきましょう。

 

では次回は躯体の「仕上げ工事」の問題を取り上げたいと思います。

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