【過去問】平成23年 1級建築施工管理実地試験(問題と解答例)問題1〜3

過去問シリーズ、今回は平成23年(2011年)1級建築施工管理技術検定試験 実地試験問題と解答例(問題1〜問題3)です。

※当サイトで取り扱っている一番古い年次です。

問題1 施工経験記述(品質管理)
問題2 仮設計画・安全管理
問題3 躯体工事

以上の出題内容と解答・記述例です。

1 施工経験記述(品質管理)

問題1, あなたが経験した建築工事のうち,発注者からの要望や設計図書等で要求された品質を実現するために品質管理活動を行った工事を 1つ選び,下記の工事概要を記入した上で,次の問いに答えなさい。なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物に係る仕事とする。 ただし,建築設備工事を除く。

〔工事概要〕
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容 ( 新築等の場合:  建物用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,
主要室の内部仕上げ
改修等の場合:  建物用途,主な改修内容,施工数量又は建物規模)
ニ. 工期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場

1, 工事概要であげた建築工事において,あなたが現場で重点をおいた品質管理活動2つあげ,それぞれ次の①から③について記述しなさい。ただし,2つの品質管理活動に関する記述の内容は,それぞれ異なるものとする。

① 発注者からの要望や設計図書等で要求された品質を実現するため,現場で定めた施工に当たっての品質の目標を具体的に記述しなさい。
② ①の品質の目標を達成するため,定めた重点品質管理項目定めた理由工種名とともに具体的に記述しなさい。
③ ②の重点品質管理項目について,品質管理のため実施した内容を具体的に記述しなさい。

記述例-1
① 屋上ウレタン塗膜防水の漏水性能の確保
② (工種)ウレタン塗膜防水工事
(管理項目)下地の乾燥度合いと膜厚の確保を管理項目とした。
(理由)共同住宅の屋上の防水は下地が乾燥していないと防水にふくれの恐れがあり、また膜厚不足だと早期に劣化し漏水の恐れがあるため。
③ 防水施工前にコンクリート下地の含水率が8%以下であることを確認し、ウレタン塗膜防水施工は材料の使用量を管理しながら、施工後膜厚計にて、厚さ3mm以上あることを確認し品質を確保した。
記述例-2
① じゃんか・コールドジョイントのないコンクリート躯体の品質
② (工種)コンクリート工事
(管理項目)コンクリートの締固めと湿潤養生管理
(理由)コンクリートの締固めが不十分だとじゃんか、コールドジョイントなどの品質不具合が発生し、また湿潤養生は乾燥収縮によるひび割れの低減を防ぐことができるため。
③ コンクリート打設後に高周波棒形振動機を3台使って、確実に60cm間隔で行い、1カ所5秒〜15秒の間で打ち込んだ。その後日光や風の影響を受けないよう水密シートで5日間湿潤養生を行い品質を確保した。
2, 工事概要であげた工事にかかわらず,あなたの今日までの工事経験に照らして,次の①,②について簡潔に記述しなさい。
①現場作業所で品質管理活動を組織的に行うには,どのようにしたら良いと思いますか,あなたの考えを記述しなさい。
②クレーム等のない,顧客の信頼を得られる建物を提供することは,施工者にとってどのような意味を持ちますか,あなたの考えを記述しなさい。
記述例
① 各工種毎に品質管理の重点管理項目と管理値を施工計画書に反映し、本社品質管理担当及び協力会社と共有する。また本社品質管理担当者と協力会社と3者での打ち合わせを持ち、必要に応じて各項目の改善も進めていく。
② 品質の良い建物を提供していけば、必然的に会社・事業所、ひいては個人の信用度も高まる。そうすると以降の仕事の新たな受注に繋がり、結果、会社として技術向上へのモチベーションにもつながっていく。

問題2 仮設工事・安全管理

問題2  建築工事において,次の1. から3. の仮設設備の設置計画に当たり,留意又は検討すべき事項をそれぞれ2,具体的に記述しなさい。ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,申請手続,届出,保守点検に関する記述は除くものとする。また,使用資機材に不良品はないものとする。
1,  ゲート (車両出入口)
解答例
(1)できる限り交通の支障のない箇所に設置し、開放した時は,工事に必要な車両が入退場できるだけの有効な高さと幅を有すること。
(2)車両の出入りが頻繁で,出入口を開放しておく場合は,見張員を配置し,公衆の出入りを 防止するとともに,出入りする車両の誘導にあたらせる。
2, 外部足場
解答例
(1)作業床の幅は40cm以上、床材間の隙間は3cm以下、床材と建地との隙間は、12cm未満とする。
(2)枠組足場は、高さ20メートルを超えるときは、使用する主わくは、高さ2メートル以下のものとし、かつ、主わく間の間隔は1.85m以下とする。
3, 揚重機
解答例
(1)クレーンを設置したときは、定格荷重の1.25倍に相当する荷重の荷を吊って、つり上げ、走行、旋回、トロリの横行等の作動を行なう荷重試験を行なわなければならない。
(2)クレーンの各部が建物に干渉しないよう,また, 旋回時に旋回体およびジブが敷地外に出ないように留意して計画する。

問題3 躯体工事

問題3  建築工事において,次の1. から4. について,施工上の留意事項をそれぞれ2つ,具体的に記述しなさい。ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,作業員の安全に関する記述は除くものとする。また,使用資機材に不良品はないものとする。

1, 親杭横矢板工法における,横矢板の設置

解答例
(1)横矢板の積み重ねは隙間がないようにし、水平になっているか確認する。
(2)矢板は両側の親杭のフランジに30mm以上掛け、ずり落ちないように抜き板で親矢板をつなぎとめる。

2, 鉄筋工事における,バーサポート又はスペーサーの設置

解答例
(1)スペーサーは使用部位やかぶり厚さに応じて、材種や形状・サイズを使い分ける。
(2)スペーサーは鋼製もしくはコンクリート製のものを使用し、強度や耐久性が十分でないおそれのあるモルタル製は使用しない。

3, コンクリート工事における,コールドジョイントの発生防止
ただし,コンクリートの材料や調合に関する記述は除くものとする。

解答例
(1)コンクリートの打重ね時間の限度は、外気温25度以下の場合は120分、25度を超える場合は90分とする。
(2)練混ぜから打込み終了までの時間は25℃以下の場合、120分、25℃以上の場合は90分以内とする。

4, 鉄骨の建方における,仮ボルトの締付け

解答例
(1)仮ボルトは、本接合のボルトと同軸径の普通ボルト等で損傷のないものを使用し、締付け本数は、1群のボルト数の1/3 以上かつ2本以上とする。
(2)柱又は梁を現場溶接接合とする場合は、エレクションピース等の仮ボルトは、高力ボルトを使用し、全て締め付ける。

前半戦終了

次回は、

に続きます。

※古い年次の過去問につき、施工経験記述の内容はかなり軽く流しているので、そこはご了承ください。

 

令和4年度版の過去問集で10年間分というと、平成24年となるので、この問題は11年前です。

今年の過去問集では取扱いはないので参照頂けると幸いです。

問題3の躯体工事については、親杭横矢板工法は少し難しいですが、鉄筋、コンクリート、鉄骨工事についてはとてもオーソドックスな内容なので、きっちり解答出来るようにしたいですね。

きっちりと傾向と対策を把握して準備しましょう。

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