【過去問】平成24年 1級建築施工管理実地試験(問題と解答例)問題1〜3

過去問シリーズ、今回は平成24年(2012年)1級建築施工管理技術検定試験 実地試験問題と解答例(問題1〜問題3)です。

問題1 施工経験記述(建設副産物)
問題2 仮設計画・安全管理
問題3 躯体工事

以上の出題内容と解答・記述例です。

1 施工経験記述(建設副産物)

問題1,   建築工事においては,資源循環の推進や建設副産物対策などの環境負荷の低減に向けた取り組みが行われている。あなたが経験した建築工事のうち,施工にあたり建設副産物の発生抑制,再使用,再生利用,熱回収,適正処分などの対策について,施工計画の段階から検討し,実施した工事を 1つ選び,下記の工事概要を具体的に記入した上で,次の問いに答えなさい。
なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物に係る仕事とする。 ただし,建築設備工事を除く。
〔工事概要〕
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容 (新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場
1. 工事概要であげた工事において実施した,発生抑制,再使用,再生利用,熱回収,適正処分の建設副産物対策から,異なる対策を 3つ選び,それぞれ次の ①から④ の事項について,具体的に記述しなさい。
ただし,「実施した内容」 はそれぞれ異なる内容の記述とする。
① 選んだ建設副産物対策
② 工種名
③ 実施した内容
④ 結果とあなたの評価
記述例-1
① 発生抑制
②    鋼製建具工事
③ 各室の鋼製建具の改修は本体及び枠全て交換する計画であったが、工事監理者の承認を得て枠はそのままで内側に新たな枠を被せるカバー工法にて施工を行った。
④ 建具の枠の解体が必要なくなったため、三方枠解体に伴う枠やプラスターボードの端材の発生が抑制でき、また壁の補修なども必要がなくなり工期短縮にもつながった。
記述例-2
① 再生利用
② 杭工事
③ 場所打ち杭工事で発生したコンクリート塊はクラッシャーで破砕して、施設内の道路の路盤材として再生利用を行った。
④ 路盤材として再生利用することにより、コンクリート塊の発生材の大幅な削減につながり、搬送に伴う車両の搬出や新たな路盤材料の搬入の必要がなくなり、費用の削減にもつながった。
記述例-3
① 熱回収
② 木工事
③ 木工事で切断加工された端材は徹底した分別回収を実施し、雨や湿気で濡れないように保管を行い、焼却工場に引き取ってもらった。
④ 引き取った木くずはチップ化され、焼却施設にて焼却を行い、発電エネルギーとして利用された。廃木材がエネルギー利用されることにより、現場作業員の再資源化への意識も高まった。
2. 工事概要であげた工事にかかわらず,あなたの今日までの工事経験に照らして,地球環境保全のため建築工事現場においてどのような取り組みを行うべきか,次の 3つの環境問題から 2つを選び,具体的に記述しなさい。
ただし,1. の 「実施した内容」 と重複しないこと。
[環境問題] ・ 地球温暖化
・ 熱帯林の減少
・ 水質汚染
記述例
(地球温暖化)
現場の従業員・作業員の通勤は公共交通機関の使用を励行し、ガソリンの使用を抑える。
(熱帯林の減少)
熱帯林を利用した型枠材の使用を減らし、極力鋼製の型枠を使用する。※この年以降は環境問題については出題されていない。

問題2 仮設工事・安全管理

問題2,  次の 1. から 3. の機械又は設備を使用して作業を行う場合,作業開始前の安全点検事項をそれぞれ 2つ,具体的に記述しなさい。ただし,保護帽,安全帯,保護具などの着用,資格及び免許に関する記述は除くものとする。
1. 移動式クレーン
解答例
(1)作業開始前に巻過防止措置、過負荷警報装置、その他の警報装置の機能の点検を行う。
(2)作業開始前にブレーキ、クラッチ及びコントローラーの機能について点検を行う。
※クレーン等安全規則より
2.移動式足場(ローリングタワー)
解答例
(1)手すり、マストガ―ド等の墜落防止設備、はさまれ防止設備の異常の有無を点検する。
(2)幅木、立入禁止措置等落下物防護設備の取付け状態等の異常の有無を点検する。
※移動式足場の安全基準に関する技術上の指針より
3. 交流アーク溶接機
解答例
(1)電防装置と溶接機の配線及びこれに付属する接続器具の被覆又は外相の損傷の有無の点検を行う。
(2)感電防止用漏電遮断装置が作動するかの点検を行う。

問題3 躯体工事

問題3,  次の 1. から 8. の各記述において,記述ごとの ①から③ の下線部の語句のうち最も不適当な箇所番号を 1つあげ,適当な語句を記入しなさい。
1. ラフテレーンクレーンと油圧トラッククレーンを比較した場合,狭所進入,狭隘地作業性に優れるのは,ラフテレーンクレーン(①) である。
また,クローラクレーンのタワー式と直ブーム式を比較した場合,ブーム下のふところが大きく,より建物に接近して作業が可能なのは,直ブーム式 (②) である。
定置式のタワークレーンの水平式と起伏式を比較した場合,吊上げ荷重が大きく,揚程が高くとれるのは,起伏式 (③) である。
解答・解説
(解答)② タワー式
(解説)平成28年にも全く同じ問題が出題されています。建物に近接して作業が可能なのはタワー式ですね。
2. 地下水処理工法におけるディープウェル工法やウェルポイント工法などの排水工法は,地下水の揚水によって水位を必要な位置まで低下させる工法であり,地下水位の低下量は,揚水量 (①) や地盤の透水性 (②) によって決まる。
必要揚水量が非常に多い場合,対象とする帯水層が深い場合や帯水層が砂礫層である場合には,ウェルポイント工法 (③) が採用される。
解答・解説
(解答)③ ディープウェル工法
(解説)ウェルポイント工法は比較的浅い掘削に用いられ、ディープウェル工法は主に砂層などの透水性のよい地盤の水位低下に用いられ掘削の深度が深い場合に有効となります。よって③はディープウェル工法となります。
3. アースドリル工法は,アースドリル機のケリーバの先端に取り付けたオーガー (①) を回転させることにより,杭孔を掘削する。
一般に掘削孔壁の保護は,地盤表層部についてはケーシングにより,ケーシング下端以深は,ベントナイト (②) や CMC を主体とする安定液によりできるマッドケーキ (不透水膜) と水頭圧 (③) により保護する。
解答・解説
(解答)① ドリリングバケット
(解説)アースドリル工法はドリリングバケットを回転させることにより杭孔を掘削します。
4. 鉄筋のガス圧接を手動で行う場合,突き合せた鉄筋の圧接端面間のすき間は 5 (①) mm 以下で,偏心,曲がりのないことを確認し,還元炎で圧接端面間のすき間が完全に閉じるまで加圧しながら加熱する。
圧接端面間のすき間が完全に閉じた後,鉄筋の軸方向に適切な圧力を加えながら,中性炎 (②) により鉄筋の表面と中心部の温度差がなくなるように十分加熱する。 このときの加熱範囲は,圧接面を中心に鉄筋径の 2 (③) 倍程度とする。
解答・解説
(解答)① 2
(解説)鉄筋に圧接器を取り付けて突き合せた場合の圧接端面間の隙間は鉄筋径に関わらず2mm以下とする。また圧接端面相互が密着したのちは、還元炎より熱効率の高い中性炎で加熱する。
建築工事監理指針より
5. 日本工業規格 (JIS) のレディーミクストコンクリートの規格では,指定がない場合のレディーミクストコンクリートの塩化物含有量は,荷卸し地点で,塩化物イオン (①) 量として 0.30 kg/㎥ 以下と規定されている。
また,レディーミクストコンクリートに使用する砂利 (②) の塩化物量については,プレテンション方式のプレストレストコンクリート部材に用いる場合を除き,NaCl (③) 換算で 0.04% 以下と規定されている。
解答・解説
(解答)② 細骨材 or 砂
(解説)レディミクストコンクリートに使用する細骨材の塩化物量はNaCl換算で規定0.04%規定されています。
6. コンクリート打込みの際の自由落下 (①) 高さが高すぎるとコンクリートが分離したりするおそれがあり,たて形シュートや打込み用ホースを接続してコンクリートの分離を防止する必要がある。たて形シュートを使用する場合には,その投入口と排出口との水平方向の距離は,垂直方向の高さの約 2 (②) 倍以下とする。
また,斜めシュートはコンクリートが分離しやすいが,やむを得ず斜めシュートを使用する場合には,その傾斜角度を水平に対して 30 (③) 度以上とする。
解答・解説
(解答)② 1/2
(解説)たて形シュートを用いる場合,その投入口と排出口との水平方向の距離は,垂直方向の高さの約 1/2  以下とする。平成28年度もシュートに関する問題が出題されています。
7. トルシア形高力ボルトの締付け完了後の検査は,すべてのボルトについてピンテールが破断 (①) していることを確認する。 1次締付け後に付したマークのずれにより,ナット回転量に著しいばらつきの認められる群については,その一群のすべて (②) のボルトのナット回転量を測定し,平均回転角度を算出する。 この結果,平均回転角度 ± 45 (③) 度の範囲のものを合格とする。
解答・解説
(解答)③ 30
(解説)ナット回転量は、各ボルト群のナットの平均回転角度-30°から平均回転角度+30°までの範囲であること。
8. 鉄骨工事におけるスタッド溶接部の 15° 打撃曲げ検査は,150 (①) 本又は主要部材 1個ごとに溶接した本数のいずれか少ない方を 1ロットとし,1ロットにつき 1 (②) 本行う。検査の結果不合格になった場合は,同一ロットから更に 2本のスタッドを検査し,2本とも合格の場合は,そのロットを合格とする。
ただし,これら 2本のスタッドのうち 1本以上が不合格となった場合は,そのロット全数 (③) について検査する。
解答・解説
(解答)① 100
(解説)試験は抜取りとし、1ロットにつき1本以上抜き取る。 ロットの大きさは、100本及びその端数とする。

前半戦終了

この頃の『建設副産物』の問題は建設副産物の発生抑制,再使用,再生利用,熱回収,適正処分と5つの対策から3つを選んで記述するものでした。

  • 平成30年は発生抑制、再使用、再生利用より選ぶ。(重複可)
  • 平成27年は発生抑制2つ、再生利用1つを記述する。

重要なのは最初の3つと適正処分かと思われます。

そして熱回収については、ここ2回の出題では出ておりません。(個人的には多くの施工管理者にとってあまり扱いが少ないのではと思います)

次回は、

に続きます。

 

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