【過去問】平成29年 1級建築施工管理 実地試験(問題と解答例)問題1〜3

過去問シリーズ、今回は2.平成29年(2017年)1級建築施工管理技術検定試験 実地試験問題と解答例(問題1〜問題3)です。

今回は2017年の問題1〜3について取り上げます

問題1 施工経験記述
問題2 仮設計画・安全管理
問題3 躯体工事

問題1 施工経験記述(施工の合理化)

問題1  今後,建設業において,高齢化等により技能労働者が大量に離職し,労働力人口が総じて減少するために,建設現場の生産性の向上がなお一層求められている。
 あなたが経験した建築工事のうち,生産性向上をめざして,品質を確保したうえで施工の合理化を行った工事を 1つ選び,工事概要を具体的に記入したうえで,次の 1. から 2. の問いに答えなさい。
なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物に係る工事とし,建築設備工事を除くものとする。
〔工事概要〕
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容 (新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場
1. 工事概要であげた工事において,あなたが計画した施工の合理化の事例を 2つあげ,それぞれの事例について,次の①から④を具体的に記述しなさい。
ただし,2つの事例の②から④の内容は,それぞれ異なる内容の記述とする。① 工種又は部位等
② 施工の合理化が必要となった原因と実施した内容
③ 実施する際に確保しようとした品質と留意事項
④ 実施したことにより施工の合理化ができたと考えられる理由
述例-1
左官工事
② 床の左官工事が繁忙期と重なり、熟練工の手配が難しく、また床の平坦性の確保がその後の床仕上げ工事の品質を左右するため、モルタルの金ゴテ仕上げから熟練工を必要としないセルフレベリング材で施工を行った。
③ セルフレベリング仕上げは左官仕上げと異なり、職人の熟練度により品質にバラツキが出ることがないので、強い風や直射日光が入らないよう、また適切な養生期間を確保するよう留意して、床の平坦性を確保した
④ 手配の難しかった熟練工を必要とせず、施工もレベリング材は自然と平滑となり、金ゴテ仕上げも不要で左官工事より1日あたりの施工量も多く出来るので、工期短縮と職人の省人化につながるため。

 

記述例-2
鋼製建具工事
② 躯体工事の遅れにより工期短縮の必要があったので、住居供用部に数多く設置する鋼製建具は当初現場でのOP(油性)塗装の予定だったが、工事監理者の承認を得て、工場で焼付塗装仕上げとして現場では組立施工のみとした。
③ 現場でのOP塗装に比べ、工場での焼付塗装は塗装ムラもなく仕上がりは高級感があり安定した品質が確保できる。但し、建具設置後は養生パネルを建具に設置して、仕上げ工事や資材搬入時に本体に傷がつかないように留意した。
④ 工場での焼付塗装を実施して設置する事により、現場での塗装作業がなくなることにより、塗装作業のための養生も不要となり、塗装後の乾燥時間を考慮する必要もなくなり、結果、省力化及び工期短縮につながるため。
2. 工事概要にあげた工事にかかわらず,あなたの今日までの工事経験に照らして,品質を確保したうえで行う施工の合理化の方法であって,建設資材廃棄物の発生抑制に効果があると考えられるものについて,
次の①から②を具体的に記述しなさい。ただし,1. の②から④と同じ内容の記述は不可とする。① 施工方法
② そう考える理由
記述例
① 事務所ビルの壁の間仕切りを軽量鉄骨下地+プラスターボードの塗装仕上げを、既製品の金属パーティションに変更して施工する。
② 工場で塗装された仕上げは高品質であると同時に、天井高さに応じたパーティションを工場製作するので、軽量鉄骨+プラスターボードよりも現場での加工やカットが大幅に削減され、現場での金属、ボードがらなどの発生抑制につながるため。

問題2 仮設計画・安全管理

問題2. 建築工事における次の 1. から 3. の仮設物について,設置計画の作成に当たり留意又は検討すべき事項をそれぞれ 2つ具体的に記述しなさい。
ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,申請手続,届出及び運用管理に関する記述は除くものとする。 また,使用資機材に不良品はないものとする。

1. つり足場

解答例
(1)つり足場の作業床は、幅を40センチメートル以上とし、工具や材料の落下を防ぐために隙間がないように留意する。
(2)つり鎖は、伸びが製造時の5パーセント以下のものとし、リンクの断面の減少が10%以下のもので亀裂がないものとする。

2. 起伏式 (ジブ) タワークレーン

解答例
(1)クレーンは、揚重物の質量、取り込み・取付け位置とクレーンの吊り上げ能力等を考慮し,無理のない適切な機種を選定する。
(2)クレーンの各部が建物に干渉しないように留意し、また、 旋回時に旋回体およびジブが敷地外に出ないように計画する.

3. 仮設ゴンドラ

解答例
(1)仮設ゴンドラの吊りもとは建物の躯体に固定されているものか、また亀裂や腐食、面ずれのないものとする。
(2)仮設ゴンドラの機種の選定については、建物の大きさや形状、実施する工事や作業内容に合致した物を選定する。

問題3 躯体工事

問題3. 次の 1. から 4. の問いに答えなさい。 ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,作業環境 (気象条件等),材料の品質,材料の調合,材料の保管及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。

1. 既製コンクリート杭の埋込み工法における,支持力を確保するための施工管理上の確認方法を 2つ具体的に記述しなさい。

解答例
(1)試験杭により掘削試験を行い、支持地盤の確認,掘削深さ,セメントミルク量,施工時間等の管理基準値を定める。
(2)支持地盤に達したら根固め液の注入し,孔壁を傷めないようにして杭を建て込む。またドロップ ハンマーにより打撃して支持力を確保する。

2. 鉄筋工事における,バーサポート又はスペーサーを設置する際の施工上の留意事項を 2つ具体的に記述しなさい。

解答例
(1)スラブ筋のスペーサー又はバーサポートについては、原則として鋼製又はコンクリート製のものを使用する。
(2)梁に利用するスペーサーの間隔は 1.5 m程度とし、端部は 1.5 m以内に配置する。

3. コンクリート工事の打込み時における,コールドジョイントの発生を防止するための施工上の留意事項を 2つ具体的に記述しなさい。

解答例
(1)コンクリートの打ち重ねの時間は、外気温が 25 ℃未満では150 分、25 ℃以上の場合は 120分以内とする。
(2)打ち継ぎ部を施工する際は、高周波振動機を用いて、下層のコンクリートに直角に挿入する。

4. 鉄筋工事の耐火被覆における,吹付けロックウール (乾式又は半乾式) 工法の施工上の留意事項を 2つ具体的に記述しなさい。

解答例
(1)施工時に材料等が周囲に飛散するのを防止し,また風雨を避けるためにシート等で必要に 応じて作業区画ごとに周囲を養生する.
(2)所定の吹付け厚さを確保するため,厚さ測定器で厚さを確認しながら作業する. 吹付け施工後,厚さ確認ピンを各箇所に1本植込む。

 

前半終了

次回は、

に続きます。

建築施工管理技士の技術検定・実地試験の出題はある程度傾向と対策が明確になっています。その対策に重点をおいて勉強を進めていきましょう。

 

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