(臨時試験)平成30年度 1級建築施工管理実地試験(問題と解答例)問題1~3

さて今までは敢えて取り上げていなかったのですが、平成30年の11月に臨時試験として実施された1級建築施工管理技士の実地試験の過去問を今回編集しました。

平成30年は1級建築施工管理技士の実地試験と一級建築士の製図試験の日程が重複したので、臨時試験が実施されたものです。

傾向と対策的には取り上げる必要はないかと思ったのですが、3年前ということで問題の内容は最近の傾向に準じた良問だったので、勉強のプラスになるのではと思ったので、今回取り上げることとしました。

 

では早速、問題1~3の前半戦を進めていきましょう。

問題1 施工経験記述

問題1 少子高齢化や技能労働者の不足の中で,  建設業が継続的な活動を続けていくためには生産性の向上が求められており,  中でも建設現場における労働生産性の向上が喫緊の課題である。
あなたが経験した建築工事のうち,  品質を確保したうえで現場作業の軽減及び工期の短縮を図った工事を1つ選び, 工事概要を具体的に記述したうえで,  次の1.及び2.の問いに答えなさい。
なお,  建築工事とは,  建築基準法に定める建築物に係る工事とし,  建築設備工事を除くものとする。
〔工事概要〕
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容 (新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場

1,  工事概要であげた工事において,  あなたが実施した現場作業の軽減及び工期の短縮の事例をそれぞれ1つあげ,  次の①から④を具体的に記述しなさい。
ただし,  2つの事例の②から④はそれぞれ異なる内容の記述とする。

① 工種又は部位等
実施したことと品質確保のための留意事項
③ 実施したことが現場作業の軽減又は工期の短縮に結び付く理由
④ 現場作業の軽減又は工期の短縮以外に得られた副次的効果

記述例-1(現場作業の軽減)
①外壁ALCパネル工事
②ALCパネルの防水型複層仕上げ塗材工事は梅雨の時期の工程だったので、ALCパネルメーカーの工場で塗材仕上げを上塗りまで実施した。その際、品質安定化のため温湿度を一定環境にする事に留意した。
③防水型複層仕上げ塗材は下塗り(1回)・主材塗り(2回)・上塗り(2回)の5層の工程となっており、天候による影響を大きく受ける恐れがあるが、工場仕上げで現場では組立のみとなり、現場作業に軽減となるため。
④外部施工では温湿度環境により品質のバラつきが考えられるが、工場室内での安定した温湿度環境により全てのALCパネルは均一で高品質な仕上がりにもつながった。
記述例-2(工期の短縮)
①鉄筋工事
②鉄筋工事は柱筋と梁筋については天候に左右されない工場での先組工法で実施した。また現場での継手は機械式継手を採用し、雨天でも施工できるよう留意した。
③柱及び梁筋については工場で事前にユニットとして組み上げ、現場ではクレーンで吊り上げ、天候に左右されない機械式継手を採用する事によって、工期の短縮につながるため。
④鉄筋先組工法と機械式継手の併用により特殊技能のある資格者の手配が不要となり、スムーズな工程管理となっただけでなく、加熱が不要で鉄筋の品質低下もなく、安定した品質管理が可能となった。
2,  工事概要であげた工事にかかわらず,  あなたの今日までの工事経験に照らして,  1. で記述した内容以外の建設現場における労働生産性の向上のための取組みについて,  2つ事例をあげ, 取り組んだことと,  それによって得られる効果について具体的に記述しなさい。
ただし2つの事例は異なる内容の記述とする。
記述例-1
(取り組んだこと)
内装仕上げ工事に際しては、各フロアへの材料の揚重・搬入及び仕分けの作業員と実際の仕上げの施工作業員の業務を完全に分離するようにした。
(効果)
施工作業員が仕上げのみの作業に集中する事が可能になり、実質の施工のみの労働時間が増えることにより大幅な労働生産性の工場につながった。
記述例-2
(取り組んだこと)
軽量鉄骨壁下地のスタッドについては、天井高の高さに合わせた2700Hに全数プレカットして搬入して施工をすることとした。
(効果)
現場での切断加工が大幅に削減されたことにより、発生材が抑制され現場は常に整然とした作業環境にもなり、労働生産性の向上にもつながった。

問題2 施工計画・安全管理

問題2  建築工事における次の1. から3. の仮設物について,  設置計画の作成に当たり留意し,  検討した事項を,  それぞれ2 つ具体的に記述しなさい。
ただし, 解答はそれぞれ異なる内容の記述とし, 申請手続, 届出及び運用管理に関する記述は除くものとする。また, 使用資機材に不良品はないものとする。

1. 場内仮設道路

解答例
(1)工事用車両と作業員との事故などを防ぐためにそれぞれの動線が交差しないよう配置する。
(2)使用する重機や車両、作業内容を検討した上で、道路の耐荷重や幅員などを決定する。
※平成25年に既出。

2. 建設用リフト

解答例
(1)建設用リフトの運転者は、搬入機器を上げたままで、運転位置を離れてはいけない。
(2)建設用リフトにその積載荷重を超える荷重をかけて使用してはならない、また機器に労働者を乗せてもいけない。
※クレーン等安全規則より。この問題はその後令和2年にも出題されました。

3. 排水(濁水)処理設備

解答例
(1)排水の水素イオン濃度が規定の8.6pHを超えないよう中和処理施設の導入を検討する。
(2)現場で発生する油脂、セメント、汚泥が下水に流出を防ぐために沈殿槽の導入を行う。
※これは難しいですね。

問題3 躯体工事

問題3 次の1.から8.の各記述において,  記述ごとの①から③の下線部の語句又は数値のうち最も不適当な箇所番号1つあげ,  適当な語句又は数値を記入しなさい。
1. 地盤の平板載荷試験は,  地盤の変形や強さなどの支持力特性を調べるための試験である。試験は, 直径20( ① )cm以上の円形の鋼板に油圧ジャッキ(②)により垂直荷重を与え,  載荷圧力,  載荷時間,  沈下量を測定する。
また, 試験結果より求まる支持力特性は, 載荷板直径の1.5〜2.0(③)倍程度の深さの地盤が対象となる。
解答・解説
(解答)① 30
(解説)載荷板は直径30cm以上の円形とする。加圧方法は変形に追随できる十分なストロークを持つジャッキによる。
試験で求められる支持特性は、載荷板の1.5~2.0倍の範囲の地盤が対象となる
※建築工事監理指針他より。
2.   山留め工事における切梁を鉛直方向に対して斜めに取り付けた斜め切梁においては,  切梁軸力の鉛直分力( ① )が作用するため, 山留め壁側の腹起しの受けブラケットに加え,   押えブラケットを取り付け,   反対側は十分な剛性を有する控え杭や躯体で受ける。
また, 腹起しにはスチフナー補強を行い, ウェブの局部せん断( ② )やフランジの曲がりを防止する。
控え杭で受ける場合は, プレロードの導入により控え杭に荷重を与え,   根切り後の変位量( ③ )を低減させる。ただし,  軟弱地盤では控え杭の変位量( ③ )が大きくなるため, 躯体で受けるようにする。
解答・解説
(解答)② 座屈

(解説)鋼製切梁工法の問題です。切梁工法は腹起しと水平切梁部材で支える工法であり、最も実施例の多い施工方法です。
腹起し部分は局部座屈が生じやすいので、スチフナー補強を行うので、②のせん断が誤りです。

3.   場所打ちコンクリート杭地業のオールケーシング工法において, 地表面下10m程度までのケーシングチューブのの初期の圧入精度によって以後の掘削の鉛直精度が決定される。掘削はリリングバケット(①)を用いて行い, 1次スライム処理は,  孔内水が多い(②)場合には, 沈殿バケット(③)を用いて処理を行う。
また, 沈殿物が多い場合には, コンクリート打込み直前までに2次スライム処理を行う。
解答・解説
(解答)① ハンマークラブ
(解説)オイルケーシング工法はハンマークラブで掘削します。ドリリングバケットを用いるのはアースドリル工法です。
ここは第一次検定でも出てくる知識なので覚えておきたいですね。
4.   鉄筋の機械式継手において, カップラー等の接合部分の耐力は,  継手を設ける主筋等の降伏点に基づく耐力以上とし,  引張力の最も小さな位置に設けられない場合は,  当該耐力の1.35(①)倍以上の耐力又は主筋等の引張強さに基づく耐力以上とする。
モルタル,  グラウト材その他これに類するものを用いて接合部を固定する場合にあっては,  当該材料の強度を50(②)N/mm2以上とする。
ナットを用いた曲げモーメント(③)値の導入によって接合部を固定する場合にあっては,  所定の数値以上の曲げモーメント(③)値とし,  導入軸力は30 N/mm2を下回ってはならない。
解答・解説
(解答)① ハンマークラブ

(解説)③ 機械式継手は下記の通り定められています。
・カップラー等の接合部分の耐力は,  継手を設ける主筋等の降伏点に基づく耐力以上とし,  引張力の最も小さな位置に設けられない場合は,  当該耐力の1.35倍以上の耐力または主筋等の引張強さに基づく耐力以上とする。
・モルタル,  グラウト材その他これに類するものを用いて接合部を固定する場合にあっては,  当該材料の強度を50N/mm2以上とする。
・ナットを用いたトルクの導入によって、接合部分を固定する場合にあっては、所定の数値以上のトルクの数値とすること。
※建築工事監理指針より(建築基準法施行令のただし書きより)

5.   鉄筋のガス圧接を手動で行う場合,  突き合わせた鉄筋の圧接端面間のすき間は5(①)mm 以下で,  偏心,  曲がりのないことを確認し,  還元炎で圧接端面間のすき間が完全に閉じるまで加圧しながら加熱する。
圧接端面間のすき間が完全に閉じた後, 鉄筋の軸方向に適切な圧力を加えながら, 中性炎(②)により鉄筋の表面と中心部の温度差がなくなるように十分加熱する。
このときの加熱範囲は, 圧接面を中心に鉄筋径の2(③)倍程度とする。
解答・解説
(解答)① 2
(解説)鉄筋に圧接器を取り付けて突き合わせた場合の圧接端面間の隙間は鉄筋経にかかわらず2mm以下とする。
※圧接の初期時は還元炎で端面を完全に覆うように加熱し、端面相互が密着した後は火力の強い中性炎で圧接面を中心に加熱する。そして圧接面を中心にd
(建築工事監理指針より)
6.   型枠の構造計算に用いる積載荷重は,  労働安全衛生規則に, 「 設計荷重として,  型枠支保工が支えている物の重量に相当する荷重に,型枠1m2につき100(①)kg以上の荷重を加えた荷重」と定められている。
通常のポンプ工法による場合, 打込み時の積載荷重は1.5(②)kN/m2 とする。
打込みに一輪車を用いる場合, 作業員, 施工機械, コンクリート運搬車及びそれらの衝撃を含めて, 積載荷重は2.5(③)kN/m2を目安とする。
解答・解説
(解答)① 150
(解説)支設計荷重として、型枠支保工が支える物の重量に相当する荷重に、型枠1m2につき150kgの荷重を加えた荷重をいう。
※労働安全衛生規則240条より
7.   コンクリートポンプを用いてコンクリートを打ち込む際, コンクリートポンプ1台当たりの1日の打込み量の上限は250(①)m3を目安とし, 輸送管の大きさは圧送距離,  圧送高さ,  コンクリートの圧送による品質への影響の程度などを考慮して決める。
輸送管の径が大きいほど圧力損失が大きく(②)なる。
コンクリートの圧送に先立ちポンプ及び輸送管の内面の潤滑性の保持のため, 水及びモルタル(③)を圧送する。
解答・解説
(解答)② 小さく
(解説)輸送管の径が大きいほど圧力損失は小さくなり、圧送性が向上する。したがって輸送管の径が大きいほど圧送可能な距離や高さが大きくなるとともに時間当たりの圧送量も増える。
※建築工事監理指針より。
8.   鉄骨の完全溶込み溶接において, 完全溶込み溶接突合せ継手及び角継手の余盛高さの最小値は0(①)mm とする。
裏当て金付きのT継手の余盛高さの最小値は, 突き合わせる材の厚さの1/4とし, 材の厚さが40 mm を超える場合は10(②)mm とする。
裏はつりT継手の余盛高さの最小値は, 突き合わせる材の厚さの1/10(③)とし, 材の厚さが40 mmを超える場合は5mm とする。
余盛は応力集中を避けるため, 滑らかに仕上げ, 過大であったり, ビード表面に不整があってはならない。
解答・解説
(解答)③ 1/8
(解説)完全溶込み溶接突合せ継手及び角継手の余盛高さの最小値は0mm<hとなっている。(JASS6)
裏当て金付きのT継手の余盛高さの最小値は、t>40mmの場合はh=10mmとなっています。ちなみに裏はつりT継手の余盛り高さは、上記文章から40mmを超える場合は5mmとあるので、③1/8になるのがわかると思います。
※建築工事監理指針より(難しいですね)

前半戦終了

臨時試験という位置付けのせいか、出題傾向は少し異なります。

平成30年(標準) 平成30年(臨時)
問題1 施工経験記述 建設副産物 施工の合理化(労働生産性向上)
問題2 仮設・安全 安全管理 仮設計画
問題3 躯体工事 正誤問題 正誤問題

と標準の実地試験とは異なる内容でした。

ただ今回これを取り上げたのが、平成30年臨時試験の施工経験記述は、昨年2020年の施工経験記述と問題形式がほぼ一緒だったのに気付いたからです。つまりはこの臨時問題を取り組んでいた受検生は、昨年度試験は取り組みやすかったのではと思います。(問題1-2は別として)

過去の傾向と対策とは異なるので、この臨時試験で受検した方は少し大変だったかもしれませんね。

では後半戦にいきましょう。

 

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