(臨時試験)平成30年度 1級建築施工管理実地試験(問題と解答例)問題4~6

例年10月に実施される1級建築施工管理技士 実地試験(現在は第二次検定)ですが、この平成30年(2018年)は一級建築士の製図試験日程との重複の関係もあり11月に臨時試験を実施しています。

前回は問題1~3についてまとめました。

今回は問題4~6について取り上げたいと思います。

問題4 仕上げ工事

問題4 次の1. から4. の問いに答えなさい。
ただし、解答はそれぞれ異なる内容の記述とし、材料の保管、作業環境(気象条件等)及び作業の安全に関する記述は除くものとする。

1.   屋上アスファルト防水(断熱工法)工事において, 保護コンクリートを打設する場合に用いる絶縁用シートについて, 施工上の留意事項2つ, 具体的に記述しなさい。
ただし, 下地に関する記述は除くものとする。

記述例
(1)絶縁用シートは立上がり面に30mm程度張り上げるようにする。
(2)ポリエチレンフィルムは、防水層の完成検査後100mm程度の重ね幅をとって平部に敷き込み、粘着テープ、ゴムアスファルト系シール材で固定する。
※建築工事監理指針より

2.   屋内床仕上げの下地をコンクリート直均し仕上げとする場合の, 施工上の留意事項2つ, 具体的に記述しなさい。
ただし, コンクリートの調合に関する記述は除くものとする。

記述例
(1)コンクリート打込み後、所定の高さに荒均しを行い、タンパ等で粗骨材が表面より沈むまでタンピングする。
(2)造り方定規で定規均しを行い、その後はコンクリートを充填し木ゴテで平に均す。
他)壁や柱際などで均し定規などを使用できない部分は、不陸の生じないよう、十分に木ゴテ等でタンピングして平坦に均す。
※建築工事監理指針より

3.   屋内の天井ボード張りに用いる軽量鉄骨天井下地工事について, 施工上の留意事項2つ, 具体的に記述しなさい。
ただし, インサートの墨出しに関する記述は除くものとする。

記述例
(1)野縁は、野縁受から150mm以上はね出してはならない。
(2)吊りボルトの間隔が900mmを超える場合は、吊りボルト間に水平つなぎ材を架構し、中間から吊りボルトを下げる2段吊りなどで対応する。
他)天井のふところが 1.5m以上の場合、補強用部材などを用いて水平補強、斜め補強などを行う。水平補強の場合、間隔1.8m程度に配置する。
※建築工事監理指針、公共建築工事仕様書より

4.   外壁下地モルタル面に二丁掛タイルを密着張りとする場合の, 施工上の留意事項を2つ, 具体的に記述しなさい。
ただし, 下地清掃,  張付けモルタルの調合, タイルの割付け及びタイル面洗いに関する記述は除くものとする。

記述例
(1)張付けモルタルの塗厚は5mm~8mmとし、一度に塗付け可能な面積の限度は2㎡以下、かつ20分以内に張り終える面積とする。
(2)張付けモルタルは二度塗りとし、1度目は下地面への付着が良くなるようにこて圧をかけてしごくように塗りつける。
他)タイル張付けは、上部より下部へと張り進めるが、1段おきに水糸を合わせて張り、そのあと間を埋めるようにして張る。
※建築工事監理指針より

問題5 施工管理(工程)

問題5 市街地での事務所ビルの建設工事において, 各階を施工量のほぼ等しいA工区とB工区に分けて躯体工事を行うとき, 右の躯体工事工程表(  3階柱, 4階床梁部分)に関し, 次の1. から3. の問いに答えなさい。
工程表は作成中のもので, 検査や設備関係の作業については省略している。
各作業の内容並びに鉄筋及び型枠の各作業班の担当は作業内容表のとおりであり, Aで始まる作業名はA工区の作業を,Bで始まる作業名はB工区の作業を示すが, 作業A3 及び作業B3 については作業内容及び担当する作業班を記載していない。
なお, 各作業は一般的な手順に従って施工されるものとする。
また, 各作業を担当する作業班は複数の作業を同時に行わず, 各作業は先行する作業が完了してから開始するものとする。
〔工事概要〕
用途   :事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造地下1階, 地上6階, 延べ面積3,200 m2
      鉄筋コンクリート製の壁はなく, 階段は鉄骨造で別工程により施工する。

1.   作業A3及び作業B3 の作業内容を記述しなさい。

解答・解説
(解答)柱型枠の組立て
(解説)柱の配筋の後工程で、梁型枠の組立て工程の前なので、解答は柱型枠の組立てですね。令和元年、平成29年の問題とも比べて理解するようにしましょう。
ちなみに担当は『型枠作業班』になりますね。

2.   からまでの総所要日数を記入しなさい。
ただし, 各作業班は工程に影響を及ぼさないだけの班数が確保できているものとする。
また, この日数で工事を行うときに, 最低限手配すべき型枠作業班の班数を記入しなさい。

解答・解説
(解答)16日・2班
(解説)このネットワーク工程問題のポイントは、各作業班は工程に影響を及ぼさない班数を確保出来ていることです。
つまりAの作業を進めながら、同じ作業でもBの作業を進める事が可能です。

ですので、工程はA1からスタートしてB1の作業に入るBの工程がクリティカルパスということになります。ここから16日が算出可能です。そして型枠作業班はAの工程では、3日目〜9日目Bの工程では4日目〜10日目で重複して同時作業に入るので2班必要です。これわかりますか?このネットワーク工程は別記事で取り上げます。

3.   鉄筋作業班が1班しか手配できないことが判ったため, 工程を見直すこととなった。
このときの, 次の記述の(  )に当てはまる語句又は数値をそれぞれ記入しなさい。

工程の見直しに当たって, 鉄筋作業班は同じ作業内容を続けて行うこととしたため, 作業A7は, 作業A6の完了後で作業( あ )の完了後でないと開始できない。
 このため, 総所要日数は( い )日, 作業B5のフリーフロートは( う )日となる。
解答・解説
(解答)あ B6  い 19日 う 0日
(解説)鉄筋作業員は1班のみということは、AとBの同時作業が不可能になります。
ちなみに鉄筋作業員の作業は(A2,B2),(A6,B6),(A7,B7)です。まず(あ)は作業A6→B6→A7→B7の順番になりますね。ということでB6が正解です。次に(い)の総所要日数は、

上記の通りの順番になります。緑が鉄筋作業員が1班になった場合の作業順番になります。
それを追っていく総所要日数は19日になります。最後の(う)のB5のフリーフロート(余裕日数)は、
B5は10日目に作業に入り1日で終了しますが、B6の作業は11日目にスタートするので、余裕日数は0日となります。

問題6 法規

問題6 次の1. から3. の問いに答えなさい。

1.『建設業法』に基づく特定建設業者の下請代金の支払期日等に関する次の文章において,(  )に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。

特定建設業者が( ① ) となった下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が4,000 万円以上の法人であるものを除く。)における下請代金の支払期日は, 下請負人からその請け負った建設工事の完成した旨の通知を受け, 検査によって建設工事の完成を確認した後, 下請負人が当該建設工事の引渡しを申し出た日(下請契約において定められた工事完成の時期から20日を経過した日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がされている場合にあっては, その一定の日。)から起算して( ② ) 日を経過する日以前において,かつ, できる限り短い期間内において定められなければならない。
解答・解説
(解答)① 注文者 ② 50日
(解説)(特定建設業者の下請代金の支払期日等)建設業法第24条の6より出題。
24条の2〜8までは元請人の義務についての法令なので、重要です。押さえておきたい部分です。

2. 『建築基準法施行令』に基づく落下物に対する防護に関する次の文章において(   )に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。

 建築工事等において工事現場の境界線からの水平距離が5 m以内で, かつ, 地盤面からの高さが( ③ ) m以上の場所からくず, ごみその他飛散するおそれのある物を投下する場合において( ④ ) を用いる等当該くず, ごみ等が工事現場の周辺に飛散することを防止するための措置を講じなければならない。
解答・解説
(解答)③ 3 ④ ダストシュート
(解説)建築基準法施行令 第136条の5(落下物に対する保護)からの出題。この問題2は建築基準法施行令 第7章の8工事現場の危害の防止より出題されています。(第136条2の20〜8までの範囲)

3.   『労働安全衛生法』に基づく元方事業者の講ずべき措置等に関する次の文章において, (  )に当てはまる語句を記述しなさい。

元方事業者は, 関係請負人又は関係請負人の( ⑤ ) が, 当該仕事に関し, この法律又はこれに基づく( ⑥ ) の規定に違反していると認めるときは, 是正のため必要な指示を行わなければならない。
解答・解説
(解答)⑤ 労働者 ⑥ 命令
(解説)労働安全衛生法 第29条(元方事業者の講ずべき措置等)より出題されている。労働安全衛生法はこの中から建設業に関する条文をチェックしていく必要があります。

平成30年(臨時)のまとめ

以上が平成30年の1級建築施工管理技士 実地試験の後半 問題4~6のまとめです。

・問題4 仕上げ工事
・問題6 法規

この2つは過去問&第一次検定ベースの知識があれば対応できる問題ですが、ネットワーク工程は少し苦労する問題かなと思いました。

この平成30年の臨時試験ですが、比較的良い問題が多いので、ぜひ取り組んでほしいと思います。

この臨時試験以外の傾向と対策をまとめています。

本年度向けのテキスト・問題集選びの参考にしてください。

 

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