【過去問】令和2年 1級建築施工管理実地試験(問題と解答例)問題4~6

前回に続いて、今回は令和2年(2020年)1級建築施工管理技術検定試験 実地試験問題と解答例(問題4〜問題6) です。

問題1~3はこちら

今回は、
問題4 仕上げ工事
問題5 工程管理(バーチャート工程)
問題6 建築法規

について取り組んでいきましょう。

問題4 仕上げ工事

問題4  次の 1.から4.の問いに答えなさい。 ただし,   解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,  材料(仕様,   品質,   保管等),   作業環境(騒音,   振動,   気象条件等)及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。

1,   タイル工事において,有機系接着剤を用いて外壁タイル張りを行うときの施工上の留意事項2つ,   具体的に記述しなさい。
ただし,   下地及びタイルの割付けに関する記述は除くものとする。

解答例
(1)有機系接着剤の1回の塗布面積の限度は、3㎡以内とし、かつ、30分以内に張り終える面積とする。
(2)有機系接着剤は、金ごて等を用いて平たんに塗布した後、所定のくし目ごてを用いてくし目を立てる。
公共建築工事標準仕様書より

2,   屋根工事において,   金属製折板屋根葺を行うときの施工上の留意事項2つ,   具体的に記述 しなさい。

解答例
(1)重ね形の折板は、各山ごとにタイトフレームに固定し、流れ方向の重ね部の緊結のボルト間隔は 600mm程度とする。
(2)タイトフレームと下地材との接合は、隅肉溶接とし、溶接後はスラグを除去し錆止め塗料を塗り付ける。
公共建築工事標準仕様書より

3,   内装工事において,   天井仕上げとしてロックウール化粧吸音板を,   せっこうボード下地に張るときの施工上の留意事項2つ,   具体的に記述しなさい。
ただし,   下地に関する記述は除くものとする。

解答例
(1)ステープルは模様の形状に合わせて打ち、打ち込み後は浮きがないか確認をする。
(2)捨て貼りのせっこうボードと化粧板の目地は重ならないように離して施工する。

4,   断熱工事において,吹付け硬質ウレタンフォームの吹付けを行うときの施工上の留意事項2 つ,   具体的に記述しなさい。
ただし,   下地に関する記述は除くものとする。

解答例
(1)1層の吹き上げ厚さは、30mm以下とし、総厚さが30mmを越える場合は多層吹きとし,1日の施工厚さは80mmを超えないものとする。
(2)スプレー発泡施工する下地面に汚れ、油分等の異物は充分に取り除き、付着している水分は乾燥させて施工する。

問題5 施工管理(ネットワーク工程)

問題5.   市街地での事務所ビルの内装工事において,   各階を施工量の異なるA工区とB工区に分けて工事を行うとき,   右の内装仕上げ工事工程表(3階)に関し,   次の 1. から 4.  の問いに答えなさい。
 工程表は計画時点のもので,   検査や設備関係の作業については省略している。各作業班の作業内容及び各作業に必要な作業員数は作業内容表のとおりであり,   Aで始まる作業名はA工区の作業を,   Bで始まる作業名はB工区の作業を,   Cで始まる作業名は両工区同時に行う作業を示すが,  作業A4及び作業B4については作業内容を記載していない。
 各作業班は,   それぞれ当該作業のみを行い,   各作業内容共,   A工区の作業が完了してからB工区 の作業を行うものとする。また,   工区内では複数の作業を同時に行わず,  各作業は先行する作業が完了してから開始するものとする。なお,  各作業は一般的な手順に従って施工されるものとする。

〔工事概要〕
用 途     :事務所
構造・
規模:鉄筋コンクリート造,   地上6階,   塔屋1階,   延べ面積 2,800m2
仕  上  げ   :床は,   フリーアクセスフロア下地,   タイルカーペット仕上げ
                   間仕切り壁は,   軽量鉄骨下地せっこうボード張り,   ビニルクロス仕上げ
                   天井は,   システム天井下地,   ロックウール化粧吸音板取付け
なお,   3階の仕上げ工事部分床面積は 455 m2(A工区:273,   B工区 182 m2)である。

1,   作業A4及び作業B4の作業内容を記述しなさい。

解答・解説
(解答)壁ビニルクロス張り(ビニルクロス仕上げ)
(解説)壁ボード張り→システム天井の工事が前にあり、後工事としてフリーアクセスフロア、カーペット、巾木仕上げと床回りの仕上げとなっているので、工事概要の仕上げを確認する限り、ビニルクロス仕上げを入れないといけないのは読み取れると思います。

2.   作業B2のフリーフロートを記入しなさい。

解答・解説
(解答)2日
(解説)B3の作業はA3の作業が終わってからなので11日目、B2は6日目にスタートして3日間。11日ー(6+3)=2日間。フリーフロート(余裕日数)は2日となります。

3.    からまでの総所要日数と,   工事を令和3年2月8日(月曜日)より開始するときの工事完了日を記入しなさい。
ただし,  作業休止日は,   土曜日,   日曜日及び祝日とする。なお,   2月8日以降3月末までの祝日は,   建国記念の日(2月 11 日),   天皇誕生日(2月 23 日),   春分の日(3月 20 日)である。

解答・解説
(解答)総所要日数 24日 工事完了日 3月15日
(解説)作業の流れ的にC1①-A1③ーA2②ーA3⑤ーA4③ーA5④-A6③ーB6②-C2① A6作業終了後にB6の作業に移らねばならないので計24日です。
そして祝日を考慮すると3月15日が工事完了日になります。
※計算間違いを避けるために手書きでカレンダーを書いてミスのないようにしましょう。(頭で計算すると間違えがちです)

4.    次の記述の(  )に当てはまる数値をそれぞれ記入しなさい。

総所要日数を変えずに,   作業B2及び作業B4の1日当たりの作業員の人数をできるだけ少なくする場合,   作業 B2の人数は( あ ) 人に,   作業B4の人数は( い ) 人となる。ただし,   各作業に必要な作業員の総人数は変わらないものとする。
解答・解説
(解答)あ 3  2
(解説)B2は5人で3日間の作業ですが、2日のフリーフロートがあるので、5日間で作業が可能です。5人×3日÷5日=3人
B4も2日の予定ですが、並行して進むA5の作業が4日間あるので2日のフリーフロートがあります。4人×2日÷4日=2人
となります。
問題用紙の山崩しを活用できる方は、あちらを使うとわかりやすいでしょう。

問題6 法規

問題6.  次の1. から 3.  の問いに答えなさい。
1.『建設業法に基づく建設工事の完成を確認するための検査及び引渡しに関する次の文章において( )に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。
 元請負人は、下請負人からその請け負つた建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から( ① )以内で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認するための検査を完了しなければならない。
元請負人は、前項の検査によつて建設工事の完成を確認した後、下請負人が申し出たときは、直ちに、当該建設工事の目的物の引渡しを受けなければならない。ただし、下請契約において定められた工事完成の時期から( ① )を経過した日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の( ② )がされている場合には、この限りでない。
解答・解説
(解答)① 20日 ② 特約
(解説)建設業法24条4の検査及び引渡しからの出題です。この周辺の元請負人の義務の項はきっちり押さえておきたいところです。
ただ特約という用語が空欄というのはなかなかの難問ですね。

2.『建築基準法施行令』に基づく山留め工事等を行う場合の危害の防止に関する次の文章において( )に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。

 建築工事等における根切り及び山留めについては、その工事の施工中必要に応じて( ③ )を行ない、山留めを補強し、排水を適当に行なう等これを安全な状態に維持するための措置を講ずるとともに、矢板等の抜取りに際しては、周辺の地盤の( ④ )による危害を防止するための措置を講じなければならない。
解答・解説
(解答) ③ 点検 ④ 沈下
(解説)建築基準法施行令第136条の三の6からの出題です。136条の中で工事現場危害の防止に関する条文のチェックしておきたいですね。

3.『労働安全衛生法』に基づく統括安全衛生管理者に関する次の文章において( )に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。

 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一 労働者の( ⑤ )又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための( ⑥ )の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの
解答・解説
(解答)⑤ 危険 ⑥ 教育
(解説)労働安全衛生法第10条 統括安全衛生管理者からの出題。この条文からの出題は初めてです。わからない場合、なんとなくで埋めれそうな用語だと思いますが、ここで得点が取れなくてもやむなしですね。

まとめ・総括

以上、令和2年の実地試験の問題でした。
結論から言うと、出題内容はオーソドックスで過去問をメインとした出題だったように思います。

難易度もほぼ例年通りと思います。

前半戦の総括でも書きましたが、『施工の合理化』は予想通り、出題する問いの内容を少し変えているので、うまく解答できなかった方もいると思います。

いわゆる記述内容の丸暗記ではうまく対応できない内容になっています。

出題側が望んでいるのは、

・過去問をベースに必要な知識習得のための勉強をきっちり行っているか。
・習得した知識に対して、多少の応用力を持って解答できるか?
・施工経験記述は自分の経験を問題内容に応じて正しく解答できているか?
このあたりが合格するのに求められているのではないかと考えられます。
令和3年より試験制度が変わりますが、基本的に求められるものは大きく変わらないと思いますので、資格取得のためにはきっちり勉強に取り組む必要があるかと思います。
また本年度に備えて、多くの情報を収集しながら役に立つ情報を提供していきたいと思います。

2022年の出題の傾向と対策は下記にまとめています。

2022年のテキスト選びは下記記事を参照してほしいです。

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