令和3年 1級建築施工管理 第二次検定(問題と解答例)問題1~3

令和3年に実施された1級建築施工管理技士第二次検定試験解答及び解説をまとめました。

既にご存じの通り、

  • 施工経験記述は『品質管理』が出題された。
  • 施工管理法の知識問題は問題5仕上げ工事及び問題6法規が選択式に変更

まあその他色々ありますが、骨のあるしっかりした問題が多かったように思います。

従来通りの予想された問題方式が大きく変わることはないものの、2問が選択式に変わった事で、それ以外の記述式問題の勉強範囲は少し手を広げる必要があるように感じた試験内容でした。

ではまず前半問題1~3について見ていきましょう。

※令和3年は

  1. 施工経験記述
  2. 仮設計画
  3. ネットワーク工程

と例年より問題出題順序も変更されています。

問題1 施工経験記述

問題1 建築工事における品質確保は,  建築物の長寿命化を実現するために重要である。このため,  施工者は,  発注者のニーズ及び設計図書等を把握し,  決められた工期やコスト等の条件の下で適切に品質管理を行事がうことが求められる。
あなたが経験した建築工事のうち,  発注者及び設計図書等により要求された品質を確保するた,  重点的に品質管理を行った工事を1つ選び,  工事概要を具体的に記 述したうえで,次の1. 及び 2. の問いに答えなさい。
なお,  建築工事とは, 建築基準法に定める建築物に係る工事とし,  建築設備工事を除くものとする。
〔工事概要〕
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容
(新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,
主要室の内部仕上げ改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期等(工期又は工事に従事した期間を年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場
へ. あなたの業務内容

1.  工事概要であげた工事で,  あなたが現場で重点をおいて実施した品質管理の事例を 2 つあげ,  次の①から④について具体的に記 述 しなさい。ただし,  2 つの事例の②から④は,  それぞれ異なる内容を記 述 するものとする。

工種名
② 施工に当たっての品質の目標 及びそれを達成するために定めた重点品質管理項目
③ ②の 重点品質管理項目を定めた理由及び発生を予測した欠陥又は不具合
④ ②の 重点品質管理項目について,  実施した内容及びその確認方法又は検査方法

工事概要記述例
工事名:    自由が丘レジデンスハイツ大規模修繕工事
工事場所:     東京都目黒区自由ケ丘2丁目96-3
工事の内容: 共同住宅、鉄筋コンクリート造、地上7階建て、延べ面積 8,400㎡
       屋上ウレタン塗膜防水改修 1,250㎡、外壁塗装工事 2,450㎡、、外壁タイル改修工事(エポキシ樹脂ピンニング工法) 4,280㎡、
外壁シーリング 640m、鋼製建具塗装工事 20か所
工期:       令和元年5月~令和元年11月
立場:       工事主任
業務内容:  改修工事の施工管理
※あくまでも架空の工事概要例です。
記述例-1
①屋上ウレタン塗膜防水工事
②築15年の建物で屋上防水の性能がかなり劣化していたので、漏水のない防水性能の確保を品質目標とし、そのために防水の塗膜厚の確保(3mm)を管理項目とした。
③防水層の塗膜厚さが不足すると、経年劣化になどにより早期に亀裂や剥離が下地に達してしまうため、結果として防水の耐久性が低下し、漏水につながる恐れがあった。
④ウレタン塗膜防水は面積当たりの使用量を厳守して均一に塗布を行った。また施工後は膜厚測定器で膜厚を測定し、各所3mm以上あることを確認した。
記述例-2
①外壁タイル改修工事(エポキシ樹脂ピンニング工法
②外壁タイルの劣化が激しかったので、外壁タイルの浮き、剝落のない施工を品質目標とし、タイルの接着力の確保を品質管理項目とした。
③外部の面するタイルの接着力に不足があると、タイルの浮きや剥離の原因となり、美観にも影響があるため。またタイルの浮きや剥離は、劣化が進むとタイルの剝落事故につながる恐れがあった。
④打診検査の上、浮きのある個所はエポキシ樹脂ピンニング工法でアンカーピンを16本/㎡注入した。施工後は引張強度試験で0.4N/㎡以上あることを確認した。
2.  工事概要にあげた工事にかかわらず,  あなたの今日までの工事経験を踏まえて,  現場で行う組織的な品質管理活動について, 次の①, ②を具体的に記 述 しなさい。
ただし,  1. と同じ内容の記述 は不可とする。
① 品質管理活動の内容及びそれを 協力会社等に伝達する手段又は方法
② 品質管理活動によってもたらされる良い影響
解答・解説
① 現場毎の品質のばらつきをなくすため、定期的に協力会社と工種毎の定期勉強会を実施し、顧客の要求する品質確保のための管理項目や目標管理値、施工方法を共有し、品質への意識を高めている。
② 定期的に品質管理への共有活動を行う事により、協力会社においても品質管理への意識が高まり、全社的に品質の安定化にもつながって会社への信用度も高まっていく。

問題2 仮設計画・安全管理

問題2 次の 1.から3.の建築工事における仮設物の設置を計画するに当たり,  留意及び検討すべき事項を 2 つ具体的に記述しなさい。
ただし, 解答はそれぞれ異なる内容の記 述 とし, 申請手続,  届 出及び運用管理に関する記述は除くものとする。また, 使用資機材に不良品はないものとする。

1 . 仮設ゴンドラ

解答例
(1)仮設ゴンドラの吊りもとは建物の躯体に固定されているものか、また亀裂や腐食、面ずれのないものとする。
(2)仮設ゴンドラの機種の選定については、建物の大きさや形状、実施する工事や作業内容に合致した物を選定する。

2 . 場内仮設事務所

解答例
(1)事務所の配置は、作業員や資材などの出入りなどが見渡せる場所に設置するよう留意する。
(2)電力や給排水などが引き込みやすい建物周辺道路に近接した場所に配置する。

3 .  工事ゲート(車両出入口)

解答例
(1)できる限り交通の支障のない箇所に設置し、開放した時は,工事に必要な車両が入退場できるだけの有効な高さと幅を
有すること。
(2)車両の出入りが頻繁で,出入口を開放しておく場合は,見張員を配置し,公衆の出入りを 防止するとともに,出入りする
車両の誘導にあたらせる。

問題3 施工管理(ネットワーク工程)

問題3  市街地での事務所ビルの新築工事において,  各階を施工数 量 の異なるA工区とB工区に分けて工事を行うとき, 右の躯体工事工程表 (基準階の柱,  上階の床,  梁部分)に関し, 次の 1. から 4. の問いに答えなさい。
工程表は検討中のもので,  型枠工 10 人,  鉄筋工6人をそれぞれ半数ずつの2班に割り振り,両工区の施工を同時に進める計画とした。各作業班の作業内容は作業内容表のとおりであり, Aで始まる作業名はA工区の作業を. Bで始まる作業名はB工区の作 業を, Cで始まる作業名は両工区同時に行う作業を示すが, 作業 A4, B4及び作業A8, B8については作 業内容を記載していない。
各作業は一般的な手順に従って施工されるものとし, 検査や設備関係の作業については省略している。
なお,  安全上の観点から鉄筋工事と型枠工事の同時施工は避け, 作 業A3, B3及び作 業A7,  B7はA, B 両工区の前工程が両方とも完了してから作 業 を行うことする。
〔工事概要〕
用          途:事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造,地上 6階,塔屋1階, 延べ面積 3,000 m2
階段は鉄骨造で, 別工程により施工する。

1.   作業 A4, B4及びA8, B8の作業内容を記 述 しなさい。

解答・解説
(解答)A4B4 壁型枠建込み (壁型枠組立) A8B8 床配筋
(解説)柱配筋⇒壁配筋⇒柱型枠建込み⇒(  )⇒梁型枠建込み の流れを読むと、躯体工事の事わからなくとも、壁型枠の建込みであることは想像できるかと思います。
そして、梁型枠建込み⇒床型枠建込み⇒梁配筋⇒(  )の流れだと、床配筋ですね。とりあえず、作業内容の中で記述されていない工事をリストアップしてみると良いと思います。

2.  作業B6のフリーフロートを記入しなさい。

解答・解説
(解答)2日
(解説)この問題のポイントは、『安全上の観点から鉄筋工事と型枠工事の同時施工は避け, 作 業A3, B3及び作 業A7,  B7はA, B 両工区の前工程が両方とも完了してから作業 を行うこと』です。

まずA3とB3は5日目から作業開始となります。(B3は4日目から作業出来ない)次にA7とB7はAの経路がクリティカルパスとなるので、16日目から同時開始となります。ただB6は14日目で終了しているので、フリーフロートは2日であることがわかると思います。
※16日ー(11日+3日)=2日
A3とB3の同時作業を考慮しないと3日と間違える可能性がありますね。

3.  次の記 述 の(       )に当てはまる数値をそれぞれ記 入 しなさい。

A工区とB工区の施工数量の違いから, 各作業に必要な総人数に差のある作業 A1, B1から作 業A4, B4までについて. 最も効率の良い作業員の割振りに変え, 所要日数の短縮を図ることとした。ただし, 一作業の1日当たりの最少人数は2人とし, 一作業の途中での人数の変更は無いものとする。
このとき, 変更後の1日当たりの人数は,  作業A1は2人, 作業B1は4人に, 作業A2は 4 人,作 業 B2 は 2 人に, 作業A3の人数( あ )人となり、作業A4 の人数( い )人となる。
解答・解説
(解答)A3 3人 A4 8人
(解説) 必要総人数÷作業員=所要日数です。
A1 2人÷2人=1日 B1 4人÷4人=1日(A1とB1作業は共に1日で終了する)
A2 8人÷4人=2日 B2 2人÷2人=1日(1日短縮)ではA3、B3を見ていきましょう。A3は1日、B3は3日かかっていますが、2日にしてみましょう。
A3 5人÷2日=2.5人 ⇒3人 B3 14人÷2日=7人 合計10人で2日で対応可能ですね。(1日短縮出来た)
次にA4,B4です。こちらはA4は5日、B4は1日かかっていますが、3日でまずは想定してみましょう。
A4 24人÷3日は8人、 B4 5÷3日=1.66人⇒2人 こちらも合計10人ですから計算はあいます。(5日から3日に短縮出来ました。)
わかりますか?。下記表参照ください。

4.   3. で求めた,  作業A1, B1から作業A4, B4の工事ごと, 工区ごとの割振り人数としたとき,始 から までの総所要日数を記 入 しなさい。

解答・解説
(解答)24日
(解説)Aの工程だと、①+①+②+②+③+②+③+④+④+①+①=24日
Bも計算すると同様になります。(A3とB3は同時スタートに留意)
下記参照ください。(少し汚くてすんません)

前半戦終了

以上で前半の問題1~3は終了します。施工経験記述の記述例は少々お待ちください。

次は、

に続きます。

第二次検定の出題傾向とその対策は下記の記事を参照ください。

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