令和4年(2022年)に実施された1級建築施工管理技士第二次検定試験の解答及び解説をまとめました。
既にご存じの通り、
- 施工経験記述は『施工の合理化』が出題された。⇒事例も3つ書く必要があった。
従来のパターンで準備していた方にとっては少し厄介な問題でしたね。
ではまず前半問題1~3について見ていきましょう。
※令和4年は昨年同様に、
- 施工経験記述
- 仮設計画
- ネットワーク工程
の順番になっています。
問題1 施工経験記述
問題1 建設業を取り巻く環境の変化は著しく, 労働生産性の向上や担い手の確保に対する取組は,建設現場において日々直面する課題となり, 重要度が一層増している。あなたが経験した建築工事のうち,要求された品質を確保したうえで行った施工の合理化の中から, 労働生産性の向上に繋がる現場作業の軽減を図った工事を 1 つ選び,工事概要を具体的に記入したうえで,次の 1. 及び 2. の問いに答えなさい。
なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とし、建築設備工事を除くものとする。
なお、建築工事とは、建築基準法に定める建築物に係る工事とし、建築設備工事を除くものとする。
〔工事概要〕
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容
(新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,
主要室の内部仕上げ改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期等(工期又は工事に従事した期間を年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場
へ. あなたの業務内容
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容
(新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,
主要室の内部仕上げ改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期等(工期又は工事に従事した期間を年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場
へ. あなたの業務内容
1, 工事概要であげた工事において, あなたが実施した現場作業の軽減の事例を 3 つあげ, 次の①から③について具体的に記 述 しなさい。ただし, 3つの事例の②及び③はそれぞれ異なる内容を記述するものとする。
① 工種名等
② 現場作業の軽減のために実施した内容と軽減が必要となった具体的な理由
③ ②を実施した際に低下が懸念された品質と品質を確保するための施工上の留意事項
① 工種名等
② 現場作業の軽減のために実施した内容と軽減が必要となった具体的な理由
③ ②を実施した際に低下が懸念された品質と品質を確保するための施工上の留意事項
- 工事概要記述例
- 工事名 :赤坂ロックビル新築工事
工事場所 :東京都港区赤坂9丁目8-5
工事内容 :事務所ビル、鉄骨造、地上3階建、延べ面積 896㎡
外部: 外壁ALCパネル複層塗材仕上げ
天井:PB下地岩綿吸音板張り、壁:PB下地ビニルクロス張り
床:システムフロア下地カーペット張り
工期:令和元年5月~令和2年1月
業務内容 :施工管理全般
- 事例-1
- ①型枠工事(基礎)
②基礎及び地中梁部の工事が梅雨時期で雨が降ると地盤が緩み工事が中止となり、工期遅延の恐れがあるため基礎型枠は当初の合板型枠より型枠の解体が不要となるラス型枠に変更して工事を行った。
③ラス型枠は余剰水とともにセメントペーストが流出する懸念があったので、かぶり厚さを10~20mm大きく確保するよう留意した。
- 事例-2
- ① ALCパネル工事及び左官工事(仕上げ塗材仕上げ)
② 事前の予報で大型台風が予想されたため、外壁のALCパネルは事前に工場で複層仕上げ塗材仕上げを行って、現場では無足場工法で取り付けて現場作業の軽減を行い工程遅延を防いだ。
③ 施工後の塗装補修や傷補修を防ぐ必要があったが、工場塗装は施工管理者が立ち会わないのでパネル毎の品質安定に懸念があったので、検査の上出荷する事とした。また搬入及び取付時傷がつかないようパネル養生に留意した。
- 事例-3
- ①左官工事
②床の下地補修は当初はモルタル塗りを予定していたが、面積も広く、左官の熟練工の確保が難しかったため、金ゴテ押さえが不要なセルフレベリング材を使用して施工を行った。
③調合する水の量が多くなると早期のひび割れの原因となるので、メーカー所定の水の量を厳守し、練り混ぜ時間は2分以上行い、施工は練り混ぜ終了から30分以内に行うようにした。
2, 工事概要であげた工事にかかわらず, あなたの今日までの建築工事の経験を踏まえて, 建設現場での労働者の確保に関して, 次の①及び②について具体的に記述しなさい。ただし, 労働者の給与や賃金に関する内容及び 1. の②と同じ内容の記述は不可とする。
① 労働者の確保を困難にしている建設現場が直面している課題や問題点
② ①に効果があると考える建設現場での取組や工夫
① 労働者の確保を困難にしている建設現場が直面している課題や問題点
② ①に効果があると考える建設現場での取組や工夫
- 記述例
- ① 新築工事において、各工種に関して熟練工不足が常態化しているが、早期に確保しても工程進捗により変更になることが多く、確実な熟練工の確保が難しくなっている。
② 事前に熟練工の確保が難しいと思われる工種に関しては、監理者と事前協議の上、熟練工が不要な合理化工法を提案して承諾を得るようにしている。
問題2 仮設計画・安全管理
問題2 建築工事における次の 1. から3. の災害について, 施工計画に当たり事前に検討した事項として, 災害の発生するおそれのある状況又は作業内容と災害を防止するための対策を, それぞれ2つ具体的に記述しなさい。ただし, 解答はそれぞれ異なる内容の記述とする。また, 保護帽や要求性能墜落制止用器具の使用, 朝礼時の注意喚起, 点検や整備などの日常管理, 安全衛生管理組織, 新規入場者教育資格や免許に関する記述は除くものとする。
1, 墜落, 転落による災害
- 解答例
- (1)高さが2m以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等を設ける。
(2)足場材の緊結、取り外し、受渡し等の作業の際は、幅40cm以上の作業床を設ける。
2, 崩壊, 倒壊による災害
- 解答例
- (1)単管足場設置の際、倒壊防止のため垂直方向は5m以内、水平方向は5.5m以内に壁つなぎ又は控えを設ける。
(2)鉄骨工事の仮ボルトは倒壊を防ぐために、普通ボルトでボルト1群に対して高力ボルト継手では1/3以上2本以上を締め付ける。
3, 移動式クレーンによる災害
- 解答例
- (1)アウトリガーを有する移動式クレーンを用いて作業を行うときは、当該アウトリガー最大限に張り出して作業を行う。
(2)地盤が軟弱であること、移動式クレーンが転倒するおそれのある場所においては、転倒を防止するため必要な広さ及び強度を有する鉄板等が敷設する。
問題3 施工管理(ネットワーク工程)
問題3 市街地での事務所ビル新築工事において, 同一フロアをA, Bの2工区に分けて施工を行 うとき, 右の内装工事工程表 (3階)に関し, 次の 1. から 4. の問いに答えなさい。
工程表は計画時点のもので, 検査や設備関係の作業については省 略 している。
各作業日数と作業内容は工程表及び作業内容表に記載のとおりであり, Aで始まる作業 名はA工区の作業を, Bで始まる作業名はB工区の作業を, Cで始まる作業名は両工区を同時に行う作業を示すが, 作業A1, B1及び作業A6, B6については作業内容を記載していない。各作業班は, それぞれ当該作業のみを行い, 各作業内容共, A工区の作業が完了してからB工区の作業を行う。また, A工区における作業 A2と作業 C2以外は, 工区内で複数の作業を同時に行わず, 各作業は先行する作業が完了してから開始するものとする。
なお, 各作業は一般的な手順に従って施工されるものとする。
工程表は計画時点のもので, 検査や設備関係の作業については省 略 している。
各作業日数と作業内容は工程表及び作業内容表に記載のとおりであり, Aで始まる作業 名はA工区の作業を, Bで始まる作業名はB工区の作業を, Cで始まる作業名は両工区を同時に行う作業を示すが, 作業A1, B1及び作業A6, B6については作業内容を記載していない。各作業班は, それぞれ当該作業のみを行い, 各作業内容共, A工区の作業が完了してからB工区の作業を行う。また, A工区における作業 A2と作業 C2以外は, 工区内で複数の作業を同時に行わず, 各作業は先行する作業が完了してから開始するものとする。
なお, 各作業は一般的な手順に従って施工されるものとする。
〔工事概要〕
用 途:事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造, 地上6階,塔屋1階, 延べ面積 2,800 m2
仕 上 げ :床は,フリーアクセスフロア下地, タイルカーペット仕上げ
壁は, 軽量鉄骨下地, せっこうボード張り, ビニルクロス仕上げ
天井は, システム天井下地, ロックウール化粧吸音板仕上げ
A工区の会議室に可動間仕切設置
用 途:事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造, 地上6階,塔屋1階, 延べ面積 2,800 m2
仕 上 げ :床は,フリーアクセスフロア下地, タイルカーペット仕上げ
壁は, 軽量鉄骨下地, せっこうボード張り, ビニルクロス仕上げ
天井は, システム天井下地, ロックウール化粧吸音板仕上げ
A工区の会議室に可動間仕切設置



1, 作業 A1, B1及び作 業 A6, B6の作業内容を記述しなさい。
- 解答・解説
- (解答) A1,B1の作業内容・・・軽量鉄骨壁下地 A6,B6の作業内容・・・フリーアクセスフロア下地
(解説) さて内装工事が苦手な方は工事の内容をよく熟読する事ですね。床は,フリーアクセスフロア下地, タイルカーペット仕上げ壁は, 軽量鉄骨下地, せっこうボード張り, ビニルクロス仕上げ天井は, システム天井下地, ロックウール化粧吸音板仕上げA工区の会議室に可動間仕切設置
ここから読み取ると、壁せっこうボード張りの記載は工程上にはあるけど、壁の軽量鉄骨下地の記載がありません。
またカーペット張りはあるけど、フリーアクセスフロア下地の記載がありませんね。多少わからなくとも工事の内容を読み取れば作業内容はある程度わかります。
2, ( 始 ) から( 終 ) までの総所要日数を記入 しなさい。
- 解答・解説
- (解答) 25日
(解説)工程のクリティカルパスを追うとこんな感じですね。
システム天井、クロス、フリーアクセスフロア、カーペットはAの作業が終了してからBに進みますが、このAの日程によりBの開始が遅れる事もなさそうなので、上記を計算すると25日ですね。
3, 作業 A4のフリーフロートを記入しなさい。
- 解答・解説
- (解答) 0日
(解説)フリーフロートとは、後続作業の最早開始時刻(EST)ー当該作業の最早終了時刻(EFT)がフリーフロート(余裕日数)となります。
後続のA5の最早開始時刻 12日 ー A4の最早終了時刻(10日+2日) = 0日
となります。B4の開始時刻を考慮して1日と解答した方も多いかと思います。
4, 次の記 述 の( ) に当てはまる作業名と数値をそれぞれ記 入 しなさい。
建具枠納入予定日の前日に、A工区分の納入が遅れることが判明したため、B工区の建具枠取付けを先行し、その後の作業もB工区の作業が完了してからA工区の作 業を行うこととした。なお、変更後のB工区の建具枠取付けの所要日数は2日で、納入の遅れたA工区の建具枠は、B工区の壁せっこうボード張り完了までに取り付けられることが判った。このとき、当初クリティカルパスではなかった作業( あ )から作業A8までがクリティカルパスとなり、( 始 ) から( 終 ) までの総所要日数は( い )日となる。
- 解答・解説
- (解答) あ ⇒ A5 い ⇒ 27日
(解説)
急ぎ作ったので少し図が雑です。また時間あるとき修正します。
クリティカルパスのラインは上記の通りですね。クリティカルパスはご存じの通り、工程の最長経路です。
ここから読み取るとA5~A8がクリティカルパスで、所要日数は27日となります。
前半戦終了
以上で前半の問題1~3は終了します。
次は、
に続きます。
第二次検定の出題傾向とその対策は下記の記事を参照ください。