【過去問】令和4年 1級建築施工管理 第二次検定(問題と解答例)問題4~6


前回に続いて、今回は令和4年(2022年)1級建築施工管理 第二次検定問題と解答例(問題4〜問題6) です。

問題1~3はこちら

今回は、

  • 問題4 仕上げ工事(記述)
  • 問題5 躯体工事(五肢一択)
  • 問題6 建築関連法規(五肢一択)

について取り組んでいきましょう。

問題4 仕上げ工事(記述)

次の 1.  から4.   の問いに答えなさい。ただし,   解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,   材料 (仕様,  品質,   運搬,   保管等),   作業環境(騒音,   振動,   気象条件等),   下地,   養生及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。

1,    屋根保護防水断熱工法における保護層の平場部の施工上の留意事項2つ,   具体的に記述しなさい。なお,  防水層はアスファルト密着工法とし,   保護層の仕上げはコンクリート直均し仕上げするとする。

解答例
(1)保護コンクリートの厚さは、こて仕上げの場合は80mm以上とし、床タイル張り等の仕上げの場合は60mm 以上とする。
(2)保護コンクリートに敷込む溶接金網の重ねは、1節半以上、かつ、150mm 以上とする。
公共建築工事標準仕様書より

2,   木製床下地にフローリングボード又は複合フローリングを釘留め工法で張るときの施工上の留意事項2つ,   具体的に記述しなさい。

解答例
(1)板を損傷しないように通りよく敷き並べて押さえ、根太に向け、雄ざねの付け根から隠し釘留めとする。
(2)壁、幅木、框及び敷居とフローリングの取合いには、必要に応じて、板の伸縮に備えた隙間を設ける。
公共建築工事標準仕様書より

3,   外壁コンクリート面を外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(外装薄塗材E)仕上げとするときの施工上の留意事項2 つ,   具体的に記 述 しなさい。

解答例
(1)下塗りは、だれ、塗残しのないように均一に塗り付ける。
(2)主材塗りは、ローラー塗りの場合、見本と同様の模様で均一に仕上がるように、所定のローラーを用いて塗り付ける。
公共建築工事標準仕様書より

4,    鉄筋コンクリート造の外壁に鋼製建具を取り付けるときの施工上の留意事項を 2 つ,   具体的に記 述 しなさい。

解答例
(1)雨水浸入のおそれのある接合部には、その箇所に適したシーリング材又は止水材を用いて止水処理を行う。
(2)くつずり、下枠等のモルタル充填の困難な箇所は、あらかじめ裏面に鉄線等を取り付けておき、モルタル詰めを行った後に取り付ける。
公共建築工事標準仕様書より

問題5 躯体工事

次の 1.  から 8.  の各記 述 において,   (            )  に当てはまる最も適当な語句又は数値の組合せを,   下の枠内から 1 つ選びなさい。
1,     地盤の平板載荷試験は,   地盤の変形及び支持力特性を調べるための試験である。試験は、直径載荷時間,   (    a    )  cm 以上の円形の鋼板にジャッキにより垂直荷重を与え,   載荷圧力,   載荷時間,    (    b    )を測定する。また,   試験結果により求められる支持力特性は,   載荷板直径の 1.5 〜(    c    )倍程度の深さの地盤が対象となる。
解答・解説
(解答) ②   30ー沈下量ー2.0
(解説)
a・・・直径30cm以上の円形の載荷板を用いて、ジャッキにより垂直荷重を与える。
b・・・載荷時間、載荷圧力、沈下量を測定する。
c・・・載荷板直径の1.5~2.0倍程度の深さの地盤が対象となる。
※建築工事監理指針他
※平成22年と同じ文章。
2,    根切りにおいて,   床付け面を乱さないため,    機械式掘削では,   通常床付け面上30〜50 cmの土を残して,   残りを手掘りとするか,   ショベルの刃を (    a    ) のものに替えて掘削する。
床付け面を乱してしまった場合は,   礫や砂質土であれば (    b    ) で締め固め,   粘性土の場合は,   良質土に置換するか,   セメントや石灰等による地盤改良を行う。
また,   杭間地盤の掘り過ぎや掻き乱しは,   杭の (    c    ) 抵抗力に悪影響を与えるので行ってはならない。

解答・解説
(解答)③ 平状ー転圧ー水平
(解説)
a・・・一般的なバケットを用いた機械掘削では、通常床付け面より300~500mmの位置より手堀りとするか、バケットに平板状の特殊なアタッチメントを取り付けて施工する。
b・・・乱したりした場合は、砂地盤の場合にはローラー等による転圧や締め固めを行い、シルトや粘性土の場合は砂質土による置き換えもしくは、セメントや石灰等の改良剤で地盤の改良を行う。
c・・・掘りすぎは杭の水平力に悪影響を与える。
※建築工事監理指針他
※平成28年に近似問題あり
3,   場所打ちコンクリート杭地業のオールケーシング工法において,   地表面下 (    a    ) m 程度までのケーシングチューブの初期の圧入精度によって以後の掘削の鉛直 精度が決定される。
掘削は (    b    ) を用いて行い,    一次スライム処理は、孔内水が多い場合には,    (    c    ) を用いて処理,   コンクリート打込み直前までに沈殿物が多い場合には,   二次スライム処理を行う。
解答・解説
(解答)① 10ーハンマーグラブー沈殿バケット
(解説)※平成30年度臨時試験と同じ内容です。場所打ちコンクリート杭地業のオールケーシング工法において, 地表面下10m程度までのケーシングチューブのの初期の圧入精度によって以後の掘削の鉛直精度が決定される。掘削はリリングバケット(①)⇒ハンマーグラブの誤りを用いて行い, 1次スライム処理は,  孔内水が多い(②)場合には, 沈殿バケット(③)を用いて処理を行う。
また, 沈殿物が多い場合には, コンクリート打込み直前までに2次スライム処理を行う。
ということで正解は①ですね。
4,    鉄筋のガス圧接を手動で行う場合,   突き合わせた鉄筋の圧接端面間の隙間は (    a    ) mm 以下で,   偏心,   曲がりのないことを確認し,   還元炎で圧接端面間の隙間が完全に閉じるまで加圧しながら加熱する。
圧接端面間の隙間が完全に閉じた後,   鉄筋の軸方向に適切な圧力を加えながら, (    b    ) により鉄筋の表面と中心部の温度差がなくなるように十分加熱する。
このときの加熱範囲は,   圧接面を中心に鉄筋径の (    c    ) 倍程度とする。
解答・解説
(解答)③ 2-中性炎ー2
(解説)
a・・・鉄筋に圧接器を取り付けて突き合せた場合の圧接端面間の隙間は鉄筋径に関わらず2mm以下とする。
b・・・圧接端面相互が密着したのちは還元炎より熱効率の高い中性炎で加熱する。
c・・・圧接面を中心に鉄筋径の2倍程度の範囲を揺動加熱する。
※建築工事監理指針より
※平成24年に近似問題あり。
5,    型枠に作用するコンクリートの側圧に影響する要因として,   コンクリートの打込み速さ,   比重,   打込み高さ及び柱,   壁などの部位の影響等があり,   打込み速さが速ければコンクリートヘッドが (    a    ) なって,   最大側圧が大となる。
また,   せき板材質の透水性又は漏水性が (    b    ) と最大側圧は小となり,   打ち込んだコンクリートと型枠表面との摩擦係数が (    c    ) ほど,   液体圧に近くなり最大側圧は大となる。
解答・解説
(解答) 大きくー大きいー小さい
(解説)平成28年の問題と同じです。これはシンプルに覚えておきましょう。型枠に作用するコンクリートの側圧に影響する要因として,コンクリートの打込み速さ,比重,打込み高さ,柱や壁などの部位等があり,打込み速さが速ければコンクリートヘッドが大きく (①) なって,最大側圧が大となる。
また,せき板材質の透水性又は漏水性が大きい (②) と最大側圧は小となり,打ち込んだコンクリートと型枠表面との摩擦係数が大きい (③) ⇒小さいが正解ほど,液体圧に近くなり最大側圧は大となる。
6,    型枠組立てに当たって,   締付け時に丸セパレーターのせき板に対する傾きが大きくなると丸セパレーターの (    a    ) 強度が大幅に低下するので,   できるだけ垂直に近くなるように取り付ける。
締付け金物は,   締付け不足でも締付け過ぎでも不具合が生じるので,   適正に使用することが重要である。締付け金物を締め過ぎると,   せき板が (    b    ) に変形する。
締付け金物の締付け過ぎへの対策として,   内端太(縦端太)を締付けボルトとできるだけ (    c    ) 等の方法がある。
解答・解説
(解答)① 破断ー内側ー近接させる
(解説)平成30年と同じ文章です。
型枠組立てに当たって,締付け時に丸セパレーターのせき板に対する傾きが大きくなると丸セパレーターの破断強度が大幅に低下するので,できるだけ直角 (①) に近くなるように取り付ける。
締付け金物は,締付け不足でも締付けすぎても不具合が生じるので,適正に使用することが重要である。 締付け金物を締付けすぎると,せき板が内側 (②) に変形する。締付け金物の締付けすぎへの対策として,内端太 (縦端太) を締付けボルトとできるだけ離す (③)⇒近接させる(近づける)が正解 等の方法がある
7,    コンクリート工事において,   暑中コンクリートでは,   レディーミクストコンクリートの荷卸し時のコンクリート温度は,   原則として (    a    ) ℃  以下とし,   コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間は,   (    b    ) 分以内とする。
打込み後の養生は,   特に水分の急激な発散及び日射による温度上昇を防ぐよう,   コンクリート表面への散水により常に湿潤に保つ。
湿潤養生の開始時期は,   コンクリート上面ではブリーディング水が消失した時点,   せき板に接する面では脱型 (    c    ) とする。
解答・解説
(解答)③ 35-90-直後
(解説)平成26年と同じ文章です。コンクリート工事において,暑中コンクリートでは,レディミクストコンクリートの荷卸し時のコンクリート温度は,原則として35 (①) ℃ 以下とし,コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間は,120 (②) 分以内⇒90分以内の誤りとする。 打込み後の養生は,特に水分の急激な発散及び日射による温度上昇を防ぐよう,コンクリート表面への散水により常に湿潤に保つ。 湿潤養生の開始時期は,コンクリート上面ではブリーディング水が消失した時点,せき板に接する面では脱型直後 (③) とする。a・・・暑中コンクリートでは荷卸し時のコンクリート温度は35℃以下とする。
b・・・25℃以上の場合、練混ぜから打込み終了までの時間は90分以内と定められている。
c・・・暑中コンクリートの場合、養生は脱型直後から開始すれば良い。
※全て建築工事監理指針より
8,     鉄骨工事におけるスタッド溶接後の仕上がり高さ及び傾きの検査は,    (    a    ) 本又は主要部材 1 本若しくは 1 台に溶接した本数のいずれか少ないほうを1ロットとし,   1ロットにつき1本行う。
検査する1本をサンプリングする場合,    1ロットの中から全体より長いかあるいは 短そうなもの,   又は傾きの大きそうなものを選択する。
なお,    スタッドが傾いている場合の仕上がり高さは,    軸の中心でその軸長を測定する。検査の合否の判定は限界許容差により,   スタッド溶接後の仕上がり高さは指定された寸法± (    b    )  mm 以内,    かつ,    スタッド溶接後の傾きは (    c    ) 度以内を適合とし,検査したスタッドが適合の場合は,そのロットを合格とする。
解答・解説
(解答)④ 100ー2ー5
(解説)平成30年の問題より鉄骨工事におけるスタッド溶接後の仕上がり高さ及び傾きの検査は,100 (①) 本又は主要部材 1本 若しくは 1台に溶接した本数のいずれか少ないほうを 1ロットとし,1ロットにつき 1 (②) 本行う。検査する 1 (②) 本をサンプリングする場合,1ロットの中から全体より長いかあるいは短そうなもの,又は傾きの大きそうなものを選択する。なお,スタッドが傾いている場合の仕上がり高さは,軸の中心でその軸長を測定する。
検査の合否の判定は限界許容差により,スタッド溶接後の仕上がり高さは指定された寸法の ±2mm 以内,かつ,スタッド溶接後の傾きは15 (③) ⇒5の誤り度以内を適合とし,検査したスタッドが適合の場合は,そのロットを合格とする。※公共建築工事標準仕様書より
・ 試験は抜取りとし、1ロットにつき1本以上抜き取る。
・ロットの大きさは、100本及びその端数とする。
・スタッドの仕上り高さは、所定の高さ-2mmから所定の高さ+2mmまでの範囲とする。・スタッドの傾きは、5°以内とする。

 

問題6 法規

次の 1.   から 3.    の各法文において,   (           )  に当てはまる正しい語句又は数値を,下の該当する枠内から 1 つ選びなさい。

1, 建設業法(特定建設業者の下請代金の支払期日等)

第 24 条 の6   特定建設業者が (    ①    ) となった下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は,第 24 条の4第2項の申出の日(同項ただし書の場合にあっては,   その一定の日。以下この 条 において同じ。)か ら起算して (    ②    )日を経過する日以前において,   かつ,   できる限り短い期間内において定められなければならない。
2  ( 略 )
3  ( 略 )
4  ( 略 )

解答・解説
(解答) (1)   (2)  ④
(解説)建設業法第24条6の問題は平成25年にも出題されています。(当時は第24条の5でした)
特定建設業者が注文者となつた下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は、第二十四条の四第二項の申出の日(同項ただし書の場合にあつては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。
建設業法第24条2~8の元請負人の義務は一通りチェックしておくと良いでしょう。
2, 建築基準法施行令(落下物に対する防護)

第 136 条 の5   ( 略 )
2   建築工事等を行なう場合において,建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が (    ③    ) m 以内で,   かつ地盤,地盤面から高さが (    ④    ) m以 上にあるとき,その他はつり,除却,外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周 辺に危害を生ずるおそれがあるときは,国土交通大臣の定める基準に従って,工事現場の周囲その他危害防止上 必要な部分を鉄網又は帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。
解答・解説
(解答) (3)  ③   (4) 
(解説)建築基準法施行令第136条の5 頻出問題ですね。
建築工事等を行なう場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が五メートル以内で、かつ、地盤面から高さが七メートル以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によつて工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従つて、工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分を鉄網又は帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。

3, 労働安全衛生法(元方事業者の講ずべき措置等)

第 29 条 の2   建設業に属する事業の元方事業者は,土砂等が崩壊するおそれのある場所,機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは,当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る (    ⑤    )を防止するための措置が適正に講ぜられるように, (    ⑥    ) 上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。

解答・解説
(解答)(5)  ③  (6) ②
(解説)労働安全衛生法 第29条の2 こちらも過去10年で2度の出題。但し空欄が異なるのがポイントです。
建設業に属する事業の元方事業者は、土砂等が崩壊するおそれのある場所、機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは、当該関係請負人が講ずべき当該場所に係る危険を防止するための措置が適正に講ぜられるように、技術上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。

まとめ

今回の令和4年(2022年)の第二次検定ですが、

  • 施工経験記述は出題パターンを少し変えて、現場経験における応用力を問われる問題であった。
  • ネットワーク工程は苦手だと難しかったのでは?
  • それ以外の問題2,4,5,6は過去問をしっかり取り組んでいれば、ある程度高得点は確保できる。

と言った感じでしょうか。おそらくは皆さんの試験準備状態によっては、意見は異なると思います。

ただ、何名かの解答を見せて頂きましたが、全体的に言うと、問題2~6は合格点に達しているが、施工経験記述はボーダー前後の方が多かったのも事実です。

 

施工経験記述については、普段からの現場経験や問題意識への取組があれば、難しい問題ではなかったと思いますが、現場経験が不足気味だとうまく対応出来なかった方も多かったのではないでしょうか?

当サイトでも運営している施工経験記述添削サービスも過去問の取組だけでなく、サービス内容を少し見直したいと思います。

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