2021年~2023年 2級建築施工管理技士 第一次検定(前期・後期)の問題の出題分野

さて早速、令和5年の前期後期の試験の出題分野を追記してみました。

令和3年度よりスタートした第一次検定及び第二次検定の試験制度からの3年目。この出題分野からある程度傾向はつかめるでしょうか?

今回は具体的にどんな問題が出題されたか、分野別に整理しておこうと思います。

出題検定科目について

まずは50問の出題は下記の科目別に分類されています。


検定科目
令和3年~第一次検定より
~令和2年(学科試験)
出題数 解答数 出題数 解答数
建築学等 環境構造
一般構造
構造力学
建築材料
14問 9問 14問 9問
設備 3問 3問 3問 3問
施工管理法 施工 11問 8問 15問 12問
施工管理法 施工計画
品質管理
安全管理
工程管理
10問 10問 10問 10問
施工管理法
(応用問題)
施工(四肢二択) 4問 4問
法規 各種法規 8問 6問 8問 6問
合計 50問 40問 50問 40問

従来の学科試験第一次検定で比較してみました。

令和2年迄までの施工管理法(躯体・仕上げ)が4問削減されて、同じ分野の施工管理法(躯体・仕上げ)の応用問題が4問出題されたので、内容的にはほぼ変わっていませんね。(少し問題は難しくなったけど)

出題された分野や工種

ではこの50問についての出題分野について問題1から行きましょう。

問題1~14 建築学

ずは建築学から。環境、構造、構造力学、建築材料に関する出題です。

14問から9問解答すれば良いので苦手分野はある程度諦めても良いでしょう。

私は1級建築施工管理技士学科試験時は構造力学(問題9)や曲げモーメント(問題10)はやりませんでした。

そもそも理解するのが私的には難しかったのと、当時の実地試験(2次検定)でも必要のない知識だったというのが大きいです。

問題 令和5年後期(11月) 令和5年前期(6月) 令和4年後期(11月) 令和4年前期(6月) 令和3年後期(11月) 令和3年前期(6月)
換気 湿度及び結露 結露 換気 通風及び換気 湿度及び結露
採光及び照明 照明 照明 採光及び照明 日照及び日射 照明
採光及び照明
鉄筋コンクリート構造 木造在来軸組工法 木造在来軸組工法 鉄筋コンクリート構造 鉄筋コンクリート造 木造在来軸組工法
鉄骨構造 鉄筋コンクリート構造
(構造設計)
鉄筋コンクリート構造(配筋) 鉄骨構造 鉄骨構造 鉄筋コンクリート構造
鉄骨構造 鉄骨構造(接合) 鉄骨構造(接合) 鉄骨構造 鉄骨構造 鉄骨構造(の接合)
地盤及び基礎構造 基礎杭 杭基礎 基礎構造 基礎杭 地盤及び基礎構造
長方形断面の部材の
応力度の算定
地震層せん断力 荷重及び外力 構造材料の力学的性質 荷重及び外力 部材の応力度の算定と係数
応力(せん断力) 鉛直反力 鉛直反力 せん断力 垂直反力 応力
10 曲げモーメント図 曲げモーメント図 曲げモーメント図 曲げモーメント図 曲げモーメント図 曲げモーメント図
11 構造用鋼材 コンクリート コンクリート 構造用鋼材 コンクリート
12 木材 セラミックタイル
(JIS規格)
木材 建具の性能試験(JIS) 木材 セラミックタイル(JIS規格)
13 建具の性能試験(JIS) 防水材料 セラミックタイル(JIS規格) シーリング材 建具の性能試験(JIS) シーリング材
14 シーリング材 内装材料 防水材料 内装材料 防水材料 内装材料

本年度(令和5年)の前期・後期の出題分野は、前年の前期・後期と逆になっていますね。ということで山を張るのは危険という事がわかりました。

ただ、令和5年の前期の出題分野を見て、後期受検者はある程度想定は可能だったかもしれませんね。

ではどんな問題なの?といういことで1問、コンクリートの問題です。

[No.11]   コンクリートに関する一般的な記 述 として, 最も不適当なものはどれか。

1.スランプが大きいほど,フレッシュコンクリートの 流 動性は大きくなる
2.水セメント比が大きいほど,コンクリートの圧 縮 強 度は大きくなる。
3.単位セメント 量 や細骨材率が大きくなると,フレッシュコンクリートの粘性は大きくなる
4.コンクリートの圧縮 強 度が大きくなると,ヤング係数は大きくなる

解答・解説
(解答)②
(解説)圧縮強度は、水セメント比が大きいと圧縮強度は小さくなります。
②以外は正しい記述なので、知識として覚えていくのが効果的な勉強方法です。

問題15~17 設備

次は設備の問題です。建築工事以外の電気や防災、給排水、空気調和設備の工事に関する問題が出題されます。

ここは過去問をしっかり反復すれば問題ないでしょう。

問題 令和5年後期(11月) 令和5年前期(6月) 令和4年後期(11月) 令和4年前期(6月) 令和3年後期(11月) 令和3年前期(6月)
15 距離測量 構内舗装工事 測量 屋上排水工事 屋外排水工事 アスファルト舗装
16 LED照明 建築物の電気設備 電気設備(JIS) 自動火災報知設備 LEDランプ 電気設備
17 建築設備全般 給排水設備 給排水設備 空気調和設備 建築設備全般 給排水設備

この設備関連の問題も少し読みにくいですね。

問題18~28 施工管理法(施工)

次の11問は施工管理法の躯体工事仕上げ工事についての問題です。8問解答です。

自分の受検種別に取り組みながらも、ある程度幅広く取り組んでおきたい分野ですね。

ここの問題の知識は第二次検定や1級建築施工の技術検定にもつながるので、基本知識として学んでおきたいところです。

出題傾向に関わらず、きっちり重点的に取り組みましょう。

問題 令和5年後期(11月) 令和5年前期(6月) 令和4年後期(11月) 令和4年前期(6月) 令和3年後期(11月) 令和3年前期(6月)
18 遣り方及び墨出し 根切り及び山留め工法 土工事の埋戻し及び締固め 墨出し 遣り方及び墨出し 埋戻し
19 地業工事 型枠の締付金物 鉄筋のかぶり厚さ 既製コンクリート杭工事 地業工事 鉄筋のかぶり厚さ
20 鉄筋の加工及び組立 レディミクスト用コンクリート骨材(JIS) 型枠工事 型枠支保工 型枠工事 鉄骨製作工場における錆止め塗装
21 高力ボルト接合 在来軸組構法における木工事 コンクリートの調合 コンクリートの養生 型枠の最小存置期間 在来軸組工法における木工事
22 在来軸組構法における木工事の仕口 木造住宅の解体工事 在来軸組構法における木工事 在来軸組構法における木工事 高力ボルト 木造住宅の解体工事
23 セメントモルタルのタイル後張り工法 ウレタン系塗膜防水絶縁工法 壁タイル密着張り工法 花崗岩の表面仕上げ 加硫ゴム系シート防水接着工法 アスファルト防水工事
24 金属製折板葺 外壁の張り石工法(乾式工法) ステンレス鋼板(表面仕上げ) とい工事 金属製折板葺 外壁張り石工事(乾式工法)
25 コンクリート壁下地のセメントモルタル 金属の表面仕上げ コンクリート壁下地のセメントモルタル 床コンクリートの直均し コンクリート壁下地のセメントモルタル アルミニウム合金の表面処理
26 建具金物 塗装工事の素地こしらえ 鋼製建具 建具工事 建具金物 鋼製建具
27 木質系素地面の塗装 床のフローリングボード張り 塗装工事 カーペット敷き 壁のせっこうボード張り 塗装工事
28 ビニル床シート張り 外壁の押出成形セメント板(ECP)横張り工法 フリーアクセスフロア 内装改修工事の既存床の除去 外部仕上げ改修工事 カーテン工事

この躯体及び仕上げの施工関連の問題もバランスよく色んな範囲から出題されているので、過去問を満遍なく取り組む必要がありそうですね。

ここも問題を1つ、鉄筋のかぶり厚さに関する問題です。

[No.19]   鉄筋のかぶり厚さに関する記 述 として, 最も不適当なものはどれか。

1 . 設計かぶり厚さは,最小かぶり厚さに施工精度に応じた割増しを加えたものである。
2 . かぶり厚さの確保には,火災時に鉄筋の強度低下を防止するなどの目的がある。
3 . 外壁の目地部分のかぶり厚さは,目地底から確保する。
4 . 屋内の耐力壁は,耐久性上有効な仕上げがある場合とない場合では,最小かぶり厚さが異なる。

解答・解説
(解答)④
(解説)仕上げの有るなしでかぶり厚さは変わらない。

問題29~38 施工管理法(品質・工程・安全管理及び施工計画)

こちらは10問出題されて全問解答必須です。こちらも建築施工管理技士のキモとなる重要な部分です。

確実に得点源にしたい分野であり、1級建築施工管理技士でも役に立つ知識問題ですね。

問題 令和5年後期(11月) 令和5年前期(6月) 令和4年後期(11月) 令和4年前期(6月) 令和3年後期(11月) 令和3年前期(6月)
29 事前調査 事前調査 事前調査 事前調査 事前調査 事前調査
30 仮設計画 仮設計画 仮設計画 仮設計画 仮設計画 仮設計画
31 材料の保管 建築工事に係わる申請や届出 労働基準監督署長への届出 材料の保管 材料の保管 建築工事に係る申請や届出
32 工程計画(立案段階) 工程計画及び工程管理 工程計画及び工程管理 総合工程表の立案 工程計画 工程計画及び工程管理
33 バーチャート工程 バーチャート工程 バーチャート工程 バーチャート工程 バーチャート工程 バーチャート工程
34 品質管理 品質管理 品質管理の用語 品質管理 QC工程表 品質管理の用語
35 トルシア形高力ボルトのマーキング 品質管理の試験及び検査 工事現場における試験 品質管理の試験及び検査 トルシア形高力ボルトのマーキング 品質管理の試験及び検査
36 コンクリートの試験 トルシア形高力ボルトの本締め完了後の確認すべき事項 鉄骨工事の検査 レディミクスコンクリート受け入れ時の検査及び確認 コンクリートの試験 コンクリートの試験
37 建築工事の危害又は迷惑の防止 労働安全衛生規則(足場の組立等作業主任者) 労働安全衛生法(作業主任者の職務) 工事現場の安全管理 建築工事における危害等防止 労働安全衛生法(作業主任者)
38 労働安全衛生法
(特定元方事業者が講ずべき処置)
足場 足場 足場の組立 安全管理 足場

施工管理法はある程度傾向がしっかりしていますね。

ではここでは38の足場の問題をやってみましょう。これは1級でも重要です。

[No.38]   足場に関する記述 として, 最も不適当なものはどれか。

1 . 枠組足場に使用する作業床の幅は、30 cm とした。
2 . 枠組足場の墜落防止設備として,交さ筋かい及び高さ15 cm 以 上 の幅木を設置した。
3 . 移動式足場(ローリングタワー)の作業台 上 では,脚立の使用を禁止とした。
4 . 移動式足場(ローリングタワー)の 脚輪のブレーキは、移動 中 を除き,常に作動させた。

解答・解説
(解答)①
(解説)枠組足場に使用する作業床の幅は、40cm以上であると、労働安全衛生規則で定められています。消去法でも当てたい問題です。

問題39~42 施工管理法(応用問題-躯体及び仕上げ工事)

令和3年からスタートした新分野、四肢二択の応用能力を問う問題です。

躯体から2問、仕上げから2問です。(4問全問解答必要です)

ちなみに私も取り組んでみましたが、4問中3問正解出来ました(令和3年後期の問題)

消去法で何とかなるかもしれませんね。

また過去3年間、幅広く出題されているので、施工(躯体・仕上げ)の過去問に重点を置く必要がありますね。

問題 令和5年後期(11月) 令和5年前期(6月) 令和4年後期(11月) 令和4年前期(6月) 令和3年後期(11月) 令和3年前期(6月)
39 型枠の支保工 鉄筋のかぶり厚さ 鉄骨の加工 鉄筋の継手 鉄筋の加工及び組立 型枠の締付け金物
40 型枠の存置期間 鉄骨の錆止め塗装 鉄筋コンクリート造の解体工事 鉄骨の建方 在来軸組工法 レディミクスコンクリート
41 合成高分子系ルーフィングシート防水の接着工法 セルフレベリング材塗り 屋上アスファルト防水工事 ウレタンゴム系塗膜防水 タイル後張り工法(セメントモルタル) 仕上塗材仕上げ
42 外壁仕上げの劣化とその改修方法 鋼製建具 ビニル床シート張り熱溶接工法 塗装における素地こしらえ 塗装工事 床のフローリングボード張り
ここではフローリングボード張りを取り上げましょう。
[No.42]    床のフローリングボード張りに関する記 述 として,不適当なものを2選べ。

1 . フローリングボードに生じた目違いは,パテかいにより平滑にした。
2 . フローリングボード張込み後,床塗装仕上げを行うまで,ポリエチレンシートを用いて養生した。
3 . フローリングボードの下張り用合板は,長手方向が根太と直 交するように割り付けた。
4 .  隣り合うフローリングボードの木口の継手位置は,すべて揃えて割り付けた。

解答・解説
(解答)①④
(解説)①パテかいはクロス貼りや塗装面の素地・下地の不陸や目合わせにパテを塗り表面を平らにするものでフローリングには使わない。
(サンダーなどを使う)
④フローリングボードの隣接する継手は150mm程度離す。

 

問題43~50 法規

最後は法規の問題です。8問出題されて6問解答は従来と変わりません。

この法規も第二次検定でも必要な知識もあり、1級建築施工管理技士の試験でも必要な知識ですね。

まあ第一次検定は建築学の一部を除いて満遍なく学んでおくと、今後に生きてきますよ、というのが結論ですね。

問題 令和5年後期(11月) 令和5年前期(6月) 令和4年後期(11月) 令和4年前期(6月) 令和3年後期(11月) 令和3年前期(6月)
43 建築基準法(用語の定義) 建築基準法(建築確認手続き) 建築基準法(建築確認手続き) 建築基準法(用語の定義) 建築基準法(用語の定義) 建築基準法(建築確認手続き)
44 建築基準法(居室の採光及び換気) 建築基準法施行令 建築基準法 建築基準法(居室の採光及び換気) 建築基準法 建築基準法
45 建設業法(許可) 建設業法(許可) 建設業法(許可) 建設業法(許可) 建設業法(許可) 建設業法(許可)
46 建設業法(請負契約書) 建設業法(技術者) 建設業法(技術者) 建設業法(請負契約書) 建設業法(請負契約書) 建設業法(技術者)
47 労働基準法(労働契約) 労働基準法 労働基準法 労働基準法(労働契約) 労働基準法(労働契約) 労働基準法
48 労働安全衛生法(安全衛生教育) 労働安全衛生法(報告書提出) 労働安全衛生法(元方安全衛生管理者) 労働安全衛生法(安全衛生教育) 労働安全衛生法(安全衛生教育) 労働安全衛生法(報告書提出)
49 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 建設リサイクル法 建設リサイクル法 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 建設リサイクル法
50 消防法 騒音規制法 道路法 消防法 消防法 騒音規制法

最後は建設リサイクル法の問題です。

[No.49]   建設工事に伴う次の副産物のうち,「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律、建設リサイクル法)」 上 ,特定建設資材廃棄物に該当するものはれか。

1 . 場所打ちコンクリート杭工事の杭頭処理に伴って生じたコンクリート塊
2 . 住 宅の屋根の葺替え工事に伴って生じた粘土瓦
3 . 基礎工事の掘削に伴て生じた土砂
4 . 鋼製建具の取替えに伴って生じた金属くず

解答・解説
(解答)①
(解説)特定建設資材廃棄物とは、建設発生木材、アスファルト・コンクリート塊、コンクリート塊を指します。

 

まとめ

2級は前期・後期とありますが、ある一定の明確な出題傾向を読み取るのは難しそうですね。但し最初に書いた通り、後期受検者は、前期試験の内容を見て、多少気を付けるべき内容の予想は可能かと思います。

下記の令和2年、元年も参照してみてください。

 

出題分野によっては、隔年毎に出題される分野もあったりと、ある程度重点分野は読み取れます。

 

試験の合格基準は50問出題されて、40問を選択して24問正答すれば合格出来ます。

マークシート式でもあるし、過去問をきっちり取り組めば合格出来ます。

但し第二次検定にも関係する知識はしっかり理解して、高得点を取る取り組みが良いと思います。

また将来的に1級建築施工管理技士の資格を検討している人は、やはり必要な知識として取り組んでほしいものです。

ちなみに1級建築施工管理技士の第一次検定は、

・72問(昨年まではあ82問)出題されて60問解答、36問が合格ラインです。
・施工管理法の応用能力問題は6問出題されて6問解答、6割取らないと不合格(4問正答)です。
(但し令和3年は3問解答で合格となった)
ということで、ハードルが上がります。
しっかり取り組みましょう。

 

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