平成27年(2015年)2級建築施工管理技士 実地試験 問題1~3(問題&解答例)

2級建築施工管理技士の実地試験の過去問の取り組み、今回は平成27年(2015年)です。

当サイトでは過去問については令和3年(2021年)平成26年(2014年)までの8年分の問題・解答例・解説を公開しています。

 

試験合格への最短の道は過去問の反復です。解答事例など有効活用頂ければ幸いです。

まずは問題1~3の前半戦をこちらでは編集しています。

問題1 施工経験記述

問題1 あなたが経験した建築工事のうち,あなたの受検種別に係る工事の中から,品質管理を行った工事を 1つ選び,工事概要を具体的に記入したうえで,次の 1. から 2. の問いに答えなさい。
なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物にかかる工事とし,建築設備工事を除くものとする。
〔工事概要〕
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容
(新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場
ヘ. 業務内容
1. 工事概要であげた工事で,あなたが実際に担当した工種において,その工事を施工するにあたり,施工の品質低下を防止するため,特に留意したことと何故それに留意したのかその理由及びあなたが実際に行った対策を,工種名をあげて 3つ具体的に記述しなさい。
ただし,「設計図どおり施工した。」 など施工にあたり行ったことが具体的に記述されていないものや,品質以外の工程管理,安全管理などについての記述は不可とする。など,工種名については,同一の工種名でなくてもよい。
記述例-1
(工種)コンクリート工事
(留意)コンクリート打設後の養生に留意した。
(理由)コンクリート打設時期が7月の暑い時期で、養生対策を行わないと夏の直射日光でひび割れ、コンクリート耐力の低下のおそれがあるため。
(実施)コンクリート打設後は速やかに散水を行い、その後5日間の湿潤養生を行って品質低下を防いだ。
記述例-2
(工種)鉄筋工事
(留意)鉄筋の各所のかぶり厚さに留意した。
(理由)かぶり厚さの不足はコンクリートのひび割れなどの耐久性に影響し、また鉄筋の腐食にもつながるため。
(実施)所定のかぶり厚さ(40mm)を確保するためにスペーサーを1mに1個の設置を行い、写真で撮影記録を残した上で施工を行なった。
記述例-3
(工種)外壁タイル工事(密着張り)
(留意)外壁タイルの浮きや剥離の防止のため接着力の確保に留意した。
(理由)外壁タイルの接着力が不足すると、タイルの浮きや剥落の恐れがあり、美観上の問題や剥落による第三者災害にもつながるため。
(実施)張り付けモルタルは2㎡以下かつ20分以内で張り付けるよう行なった。施工後は2週間が経過してから接着力試験を実施し、0.4N/m㎡以上であることを確認した。
2. 工事概要であげた工事及び受検種別にかかわらず,あなたの今日までの工事経験に照らして,品質の良い建物を造るために品質管理の担当者として,工事現場においてどのような品質管理を行なったらよいと考えるか,品質管理体制,手順又はツールなど品質管理の方法そう考える理由を,2つ具体的に記述しなさい。
ただし,2つの解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,また,上記 1. の 「実際に行った対策」 と同じ内容の記述は不可とする。
記述例-1
(方法)工事着工前に社内及び協力会社と品質管理体制を構築し、各工種毎に品質管理項目及び目標管理値の設定を行い全体で共有を行う。
(理由)社内だけでなく、協力会社とも目標値を明確にすることで、組織として高品質の建物を造るという意識が高まるため。
記述例-2
(方法)外部の工事を行う際は、天候及び気温、湿度などの施工環境基準を工種毎に設定し、基準外の場合は施工を中止するルールを徹底する。
(理由)防水や塗装工事等において、湿気や高温、低気温など外部環境による、硬化不良や浮きや膨れ等の品質低下を防ぐため。

問題2 施工管理(用語)

問題2 次の建築工事に関する用語のうちから 5つ選び,その用語の説明施工上留意すべき内容を具体的に記述しなさい。
ただし,仮設以外の用語については,作業上の安全に関する記述は不可とする。 また,使用資機材に不良品はないものとする。
足場の壁つなぎ
帯筋
親綱
型枠のフォームタイ
グリッパー工法
軽量鉄骨壁下地のスペーサー
コンクリートの回し打ち
土工事のつぼ堀り
塗膜防水絶縁工法の通気緩衝シート
木工事の大引
木造住宅の気密シート
床コンクリートの直均し仕上げ
ユニットタイル
溶接作業の予熱
記述例-1
(用語)足場の壁つなぎ
(説明)足場の倒壊や変形を防ぐために、建物と足場を緊結する足場用金物
(留意)壁つなぎの間隔は単管足場の場合、垂直方向に5m以下、水平方向には5.5m以下とする。
※枠組足場の場合、垂直に9m、水平方向に8m以下となっている
記述例-2
(用語)グリッパー工法
(説明)床の周囲に釘又は接着剤で固定したグリッパーにカーペットの端部を引っ掛け、敷き詰める工法。
(留意)下敷き材のはぎ合せは、通常突付けとし、下地がモルタル塗りの場合などはジョイント及び四方を接着剤で接着する。
※木造の場合は釘等で留め付ける。
記述例-3
(用語)塗膜防水絶縁工法の通気緩衝シート
(説明)防水層の破断やふくれを防ぐために、防水下地として利用するゴムシートや不織布等で構成されるシート状の材料。
(留意)接着剤を塗布し、隙間や重なり部をつくらないようにシート相互を突き付けて張り付け、ローラー転圧で接着させる。
記述例-4
(用語)ユニットタイル
(説明)モザイクタイルや小口平タイルを300㎜のシートにあらかじめ張り付けておき、1枚のタイルとして使用するタイルのこと。
(留意)張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、3m2/人以内、かつ、20 分以内に張り終える面積とする。
記述例-5
(用語)溶接作業の予熱
(説明)溶接割れを防ぐために、溶接開始に先立ち溶接部及びその周辺を加熱すること。
(留意)気温が-5℃~5℃以下の場合、溶接線から100mm程度の範囲を50~100℃程度に加熱する。

問題3 施工管理(工程)

問題3, 図に示すネットワーク工程表について,次の 1. から 3. の問いに答えなさい。
なお,〇内の数字はイベント番号を,実線の矢線は作業を,破線の矢線はダミーを示し,矢線の上段のアルファベットは作業名を,下段の数値は所要日数を示すものとする。

1. 工程表において,クリティカルパスを作業名で工程順に並べて答えなさい。

解答・解説
(解答)A ⇒ D ⇒ E ⇒ H ⇒ I ⇒ K
(解説)①~⑩の各ポイントまでの最長経路を見ていきます。ちなみに破線のダミーは③の場合、CとDの作業が終了してから開始するという前後関係を表します。その上で一番長い経路を見ていくと

この赤丸の経路が計36日で一番長くなります。他の経路でも計算してみてください。

2. 工程の再検討を行ったところ,イベント番号⑥から⑤への所要日数 2日の新たな作業 L が発生した。 この時の①から⑩までの総所要日数を答えなさい。

解答・解説
(解答)37日
(解説)こちらも図解で。
図のように⑥⇒⑤に対してLの作業が2日が追加になります。当初は36日のクリティカルパスでしたが、この作業の発生により37日になることが計算上わかりますね。

3. 新たな作業 L が発生する前と発生した後の作業 B のフリーフロートをそれぞれ日数で答えなさい。

解答・解説
(解答)発生前 0日 発生後 5日
(解説)まず発生前は最初の図から
この当初のネットワーク工程では、
Gの作業は15日目から、一方Bの作業は15日目に完了するのでフリーフロートは0日で余裕日数はありません。
※経路で共有されるトータルフロートには余裕がありますがここでは触れません次に発生後はこちらの図
Bの作業は15日で終了(最早終了日数)ですが、Gの開始(最早開始時刻)は20日なのでフリーフロートは5日間あることがわかります。

前半戦終了

以上で前半戦終了です。

次回は、

を予定しています。

現在、工程の問題はバーチャート工程が出題されており2017年以降はネットワーク工程の問題は出題されていません。

1級はその逆で2017年以降はネットワーク工程の問題が出題されており、令和3年もそうでした。

取り組むか否かの問題は、時間があるならば『やった方が良い』と言えますし、今後1級を受けようと思っているならば、多少でも理解出来た方が今後につながります。

試験勉強はどこまでやるかは本当に難しいところです。

一応、参考までに

1級関連の記事になりますが、まず下記記事でクリティカルパス・フリーフロートの基礎知識の解説をしています。

 

 

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