平成30年(2018年)2級建築施工管理技士 実地試験 問題4~5(問題&解答例)

前回の、

に引き続き、後半戦の問題4と問題5に取り組んでいきましょう。

問題5は、『建築』、『躯体』、『仕上げ』の受検種別毎の問題となっているので、該当箇所に取り組んでみましょう。

『建築』種別は『躯体』、『仕上げ』の問題も知識の対策につながるので時間があれば取り組んでみてください。

問題4 法規
問題5 施工管理(正誤)

問題4 法規

問題4 次の各法文において,それぞれ下線部の誤っている語句又は数値の番号1つあげ,それに対する正しい語句又は数値を記入しなさい。

1. 建設業法 (第 24 条の 4 第 1 項)

元請負人は,下請負人① からその請け負った建設工事が完成した旨の通知を受けたときは,当該通知を受けた日から 20日② 以内で,かつ,できる限り短い期間内に,その完成を確認するための準備③を完了しなければならない。
解答・解説
(解答)③ 検査
(解説)建設業法第24条の4の1項(検査及び引渡し)からの出題。第二節の元請人の義務の章はやはり資格者としては重要なので、第24条の2〜8まではよく読んでおきましょう。検査を完了してからの支払いですね。下請負人から検収依頼があれば20日以内に実施しましょう。

2. 建築基準法 (第 90 条 第 1 項)

建築物の建築,修繕,模様替①又は除却のための工事の設計者②は,当該工事の施工に伴う地盤の崩落,建築物又は工事用の工作物③の倒壊等による危害を防止するために必要な措置を講じなければならない。
解答・解説
(解答)② 施工者
(解説)建築基準法第90条(工事現場の危害の防止)からの出題。この問題2はこの条以外に建築基準法施行令の第136条の工事現場危害の防止より出題されています。
ここは感覚的に、『設計者』だとおかしいと感じて欲しいですね。

3. 労働安全衛生法 (第 61 条 第 1 項)

事業者は,クレーンの運転その他の業務で,政令で定めるものについては,都道府県労働局長の当該業務に係る免許①を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る監理②講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格③を有する者でなければ,当該業務に就かせてはならない。
解答・解説
(解答)② 技能
(解説)労働安全衛生法第61条第1項(就業制限)からの出題です。クレーンなどは技能講習の受講が必要です。これは条文がわからなくとも知識として知っておく必要のある内容ですね。

問題5 施工管理(正誤)

問題5-A 建築

※ 受検種別:建 築の受験者は解答してください。

問題5-A 次の 1. から 8. の各記述において,下線部の語句又は数値が適当なものには○印を,不適当なものには適当な語句又は数値を記入しなさい。
1. 建築物の位置を定めるために,建築物の外形と内部の主要な間仕切の中心線上に,縄やビニルひもを張って建築物の位置を地面に表すことを遣方 (やりかた) という。 このとき,建築物の隅には地杭を打ち,地縄を張りめぐらす。
解答・解説
(解答)縄張り
(解説)建築物の位置を決定するために、建築物外周の柱心、壁心が分かるように縄等を張ることを縄張りといい、
遣方は建築物の位置及び水平の基準を明確にするために、必要な個所に杭を打ってつくる仮設物のこと。
※建築工事監理指針より
2. 透水性の悪い山砂を埋戻し土に用いる場合の締固めは,建物躯体等のコンクリート強度が発現していることを確認のうえ,厚さ 600mm 程度ごとにローラーやタンパーなどで締め固める。
入隅などの狭い個所の締固めには,振動コンパクターやタンパーなどを使用する。
解答・解説
(解答)300mm
(解説)締固めは、川砂及び透水性のよい山砂の類の場合は水締めとし、透水性の悪い山砂の類および粘土質の場合はまき出し暑さ300mm程度ごとにローラー、ランマー等で締固めながら埋め戻す。
※建築工事監理指針より
3. 柱や壁の型枠を組み立てる場合,足元を正しい位置に固定するために,根固めを行う。 敷桟で行う場合にはコンクリート漏れ防止に,パッキングを使用する方法やプラスチックアングルを使用する方法などがある。
解答・解説
(解答)根巻き
(解説)根巻きは上記の通り、柱や壁の型枠の組立の際、変形を防ぎ垂直精度を確保するため型枠の根元を固定するものである。
根固めは、基礎部分を保護するためにその根元をコンクリートなどで固めることである。
4. 高力ボルトの締付けは,ナットの下に座金を敷き,ナットを回転させることにより行う。 ナットは,ボルトに取付け後に等級の表示記号が外側から見える向きに取り付ける。
解答・解説
(解答)◯
(解説)高力ボルトのナットは、等級の表示記号が締付け後外側から見える向きに取り付ける。
※建築工事監理指針より
5. JIS による建築用鋼製下地材を用いた軽量鉄骨天井下地工事において,天井のふところが 1.5m 以上 3m 以下の場合は,吊りボルトの水平補強,斜め補強を行う。
水平補強の補強材の間隔は,縦横方向に 2.7m 程度の間隔で配置する。
解答・解説
(解答)1.8m
(解説)天井のふところが1.5m以上の場合は、吊りボルトの水平補強、斜め補強を行う。水平補強は、縦横方向に間隔1.8m程度に配置する。斜め補強は相対する斜め材を1組とし、縦横方向に3.6m程度に配置する。
※建築工事監理指針より
6. 壁下地に用いるセメントモルタルを現場調合とする場合,セメントモルタルの練混ぜは,機械練りを原則とし,上塗りモルタルの調合は,下塗りモルタルに比べ富調合としてセメントと細骨材を十分に空練りし,水を加えてよく練り合わせる。
解答・解説
(解答)貧調合
(解説)モルタルの練り混ぜは機械練りを原則とする。また内壁の場合、セメント:砂:混和材の比は、下塗りの場合は1:2.5:0.1~0.15に対して、上塗りは1:3:0となっている。上塗りの方がセメント比が少ないので貧調合が正しい。
※建築工事監理指針より
7. 塗装工事において,所定の塗膜厚さを得られているか否かを確認する方法として,塗料の搬入量から塗装した面積当たりの塗料の塗付け量を推定する方法や,専用測定器により膜厚を測定する方法がある。
解答・解説
(解答)使用量
(解説)これはおかしいとわかりますね。塗膜厚さはあくまでも使用量から推定は可能ですが、搬入量=使用量ではありません。
8. 断熱工事における吹付け硬質ウレタンフォームの吹付け工法は,その主な特徴として,窓回りなど複雑な形状の場所への吹付けが容易なこと,継ぎ目のない連続した断熱層が得られること,平滑な表面を得にくいこと,施工技術が要求されることなどがあげられる。
解答・解説
(解答)○
(解説)吹付け硬質ウレタンフォーム断熱材の特徴は、
・目地のない連続した断熱層が得られ、曲面や窓枠回りなど複雑な形状に施工が可能。
・吹き付け層数を変えることにより、断熱層の厚さを調整できる。
平滑な表面が得にくいため、断熱層厚さが不均一になりやすい。
などがある。
※建築工事監理指針より

問題5-B 躯体

※ 受検種別:躯 体の受験者は解答してください。

問題5-B 次の 1. から 4. の各記述において,下線部の語句又は数値が適当なものには○印を,不適当なものには適当な語句又は数値を記入しなさい。
1. 墨出し等に用いる鋼製巻尺は,工事着手前にゲージ合わせ①を行い,同じ精度を有する鋼製巻尺を 2本以上用意して,1本は基準鋼製巻尺として保管しておく。
 ゲージ合わせ①の際には,それぞれの鋼製巻尺に一定の張力を与えて,相互の誤差を確認する。
建築現場では特に規定しない場合は,通常 150② N の張力としている。
解答・解説
(解答)① テープ合わせ ② 50
(解説)JIS1級の鋼製巻尺でも1Mにつき0.1mm程度の誤差は許容されているので、通常は工事着手前にテープ合わせを行い、同じ精度を有する巻尺を2本以上用意して、1本は基準巻尺として保管する。またそれぞれの鋼製巻尺に一定の張力を与えて相互の差を確認する必要がある。建築現場では特に規定しない場合、通常50Nの張力としている。
※建築工事監理指針より
2. 木構造の在来軸組構法における和小屋において,次の図の束立て小屋組は,小屋梁を約 1,800mm 間隔にかけ,その上に約 900mm 間隔に小屋束を立て,小屋束で棟木や母屋などを支える小屋組である。
束立て小屋組の中で,小屋梁を軒桁の上に乗せかけるかけ方を折置組③といい,小屋梁を軒桁の上に乗せかける仕口は かぶとあり掛けで納め,羽子板ボルト締めとする。 棟木の継手は,小屋束心より約 150mm 持出し腰掛あり継ぎ,両面かすがい打ちとする。 母屋の断面寸法は 90④mm 角を標準とし,棟木や母屋には,垂木を取り付けるため垂木欠きを行い,垂木の取付けは母屋の上で,そぎ継ぎとして,釘打ちを行う。
解答・解説
(解答)③ 京呂組 ④ ◯
(解説)笠置組とは、柱の上に直接小屋梁をのせ、その上に桁を架ける小屋組(和小屋)の構造をいい、束立て小屋組の中で,小屋梁を軒桁の上に乗せかけるかけ方を京呂組と呼ぶ。
3. 鉄筋相互のあきは,鉄筋とコンクリートの間の付着⑤による応力の伝達が十分に行われ,コンクリートが分離することなく密実に打ち込まれるために必要なものである。
柱や梁の主筋の継手に,ガス圧接継手を採用し,異形鉄筋を用いる場合の鉄筋相互のあきの最小寸法は,隣り合う鉄筋の平均径 (呼び名の数値) の 1.5倍,粗骨材最大寸法の 1.25倍,20⑥mm のうちで,最も大きい値以上とする。
解答・解説
(解答)⑤ ○ ⑥ 25
(解説)鉄筋のあきが不足すると、コンクリートの充填不良が発生する恐れがあります。そしてあきを確保することで鉄筋とコンクリートの間の付着による応力の伝達が行われます。
あき寸法はこれは1級でも2級でも必須の知識ですね。隣り合う鉄筋の平均径 の 1.5倍,粗骨材最大寸法の 1.25倍,25mm のうちで,最大以上のものとする
4. レディーミクストコンクリートの運搬時間は,JISにおいて,コンクリートの練混ぜ完了⑦からトラックアジテータが荷卸し地点に到着するまでの時間として 90分以内と規定されている。このため,できるだけ運搬時間が短くなるレディーミクストコンクリート工場の選定をする。
また,コンクリートの練混ぜ完了⑦から工事現場での打込み終了までの時間は,外気温が 25℃ 未満で 120分以内,25℃ 以上で 100⑧分以内とする。
打込み継続中の打重ね時間の間隔限度は,外気温が 25℃ 未満のときは 150分以内,25℃ 以上のときは 120分以内を目安とし,先に打ち込まれたコンクリートの再振動が可能な時間内とする.
解答・解説
(解答)⑦ 開始 ⑧ 90
(解説)
・レディーミクストコンクリートは、練混ぜを開始してから荷卸しまでの時間の限度を、原則として90分以内と規定している。(JIS A5308)
・コンクリートジョイントを防ぐために、練混ぜ開始から打込み終了までの時間の限度を外気温が25℃以下の場合120分、25℃以上の場合90分以内と定めている。
上記の問題文の内容は全て覚えて、どこが問題になっても良いように準備をしておいた方が良いでしょう。
※建築工事監理指針より

問題5-C 仕上げ

※ 受検種別:仕上げの受験者は解答してください。

問題5-C 次の 1. から 4. の各記述において,下線部の語句又は数値が適当なものには○印を,不適当なものには適当な語句又は数値を記入しなさい。
1. 改質アスファルトシート防水トーチ工法・露出仕様の場合,改質アスファルトシート相互の接続部の重ね幅は,長手方向及び幅方向とも 100mm 以上とし,出隅及び入隅には,改質アスファルトシートの張付けに先立ち,幅 100①mm 程度の増張り用シートを張り付ける。
露出用改質アスファルトシートの幅方向の接合部などで,下側のシートの砂面に上側のシートを接合するときには,下側のシートの砂面をあぶって砂を浮き上がらせる②か,砂をかき取ってから,上側シートの裏面を十分にあぶって重ね合わせる。
解答・解説
(解答)① 200 ② 沈める
(解説)改質アスファルトシート防水トーチ工法・露出仕様のシート相互の重ね幅は長手・幅方向ともに100mm以上とし、出隅及び入り隅は幅200mm程度の増張り用シートを100mm程度ずつ張り掛けて増張りを行う。
露出防水用の改質アスファルトシートの砂面に改質アスファルトシートを重ね合わせる場合、重ね面の砂面をあぶり、砂を沈めるか、砂をかき取って改質アスファルトを表面に出した上に張り重ねる。
※建築工事監理指針より
2. 有機系接着剤による外壁陶磁器質タイル張りにおいては,タイルと接着剤の接着状況を,張付け作業の途中に確認するとよい。
作業の途中に,張り付けた直後のタイルを 1枚はがしてみて,タイル裏面に対して接着剤が 40③% 以上の部分に接着しており,かつ,タイル裏の全面④に均等に接着していることを確認した後,次のタイルの張付け作業にかかる。
解答・解説
(解答)③ 60 ④ ◯
(解説)タイル張りのプロセス管理として、接着状態の検査はタイルを張り付けた後にタイルを剥がし、タイルと接着剤の接着状態を確認する。合否の判定はタイル裏面への接着剤の接着率が60%以上、かつタイル全面に均等に接着していることを基準にするのが一般的である。
※建築工事監理指針より
3. 重ね形折板を用いた折板葺においては,折板をタイトフレームに固定した後,折板の重ね部を 900⑤mm 程度の間隔で緊結ボルト止めを行う。
軒先の水切れを良くするために雨垂れ⑥を付ける場合は,つかみ箸等で軒先先端の溝部分を 15° 程度折り下げる。
解答・解説
(解答)⑤ 600 ⑥ 尾垂れ
(解説)折板は各山ごとにタイトフレームに固定し、折板の重ね部に使用する緊結ボルトの間隔は600mm程度とする。
また折板の軒先は線端部分下底に尾垂れをつける。(15℃程度)
※建築工事監理指針より
4. 軽量鉄骨天井下地の水平精度は,一般に,基準レベルに対して ±10⑦ mm 以下,水平距離 3m に対して ±3 mm 以下程度とされている。
平らな天井の場合,目の錯覚で中央部が下がって見えることがある。 そのため,天井の中央部を基準レベルよりも吊り上がる方法が行われている。 この方法をそり⑧といい,室内天井張りのスパンに対して 1/500 から 1/1,000 程度が適当とされている。
解答・解説
(解答)⑦ ○ ⑧ むくり
(解説)天井の高さの精度は測定器や水糸などを張り、±10mm以内とするのが望ましい。また天井面にむくり部屋の中央を若干高くすること)によって感覚的には平面に見えることが知られている。
※建築工事監理指針より

後半戦終了

今回は2018年度の問題に取り組んできました。

前半戦を取り組んできた時も感じましたが、2級建築施工管理技士の第二次検定については、

旧来の実地試験で言うところの、

問題1(施工経験記述)〜問題3(施工管理の工程)のこの前半戦の問題で確実に得点を稼ぎたいですね。

問題4の法規問題5の施工管理(正誤)は少し難しい問題もあるので、得点にムラが出そうです。

特に問題5はこの平成30年については、仕上げの種別の問題は少し難しいなと感じました。

 

・今年の第二次検定の対策として、例年の出題傾向についてまとめています。

・今年の試験対策のテキスト選びは下記の記事を読んでみてください。
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