令和2年(2020年)2級建築施工管理技士 実地試験 問題4~5(問題&解答例)

さて前回の、

の前半戦に続いて、後半戦の問題4と問題5です。
問題5は建築・躯体・仕上げと自分の受検種別に応じて見てください。
では後半の問題スタートです。

問題4 法規

問題4   次の各法文の下線部の語句について,誤っている語句又は数値の番号1つあげ,それに対する正しい語句又は数値を記入しなさい。

1. 建設業法

 主任技術者及び監理技術者は,工事現場における建設工事を適正に実施するため,当該建設工事の施工①計画の作成,原価②管理,品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導③監督の職務を誠実に行わなければならない。
解答・解説
(解答)② 工程
(解説)建設業法第26条の4(主任技術者及び監理技術者の職務等)からの出題です。ある程度、建設業法を理解しておけば、②が怪しいとわかると思います。私は工程か安全かで少々悩みました(笑)
重要な条文です。

2. 建築基準法施行令

 建築工事等において深さ 2.0①m 以上の根切り工事を行う場合においては,地盤が崩壊②するおそれがないとき,及びその周辺の状況により危害防止上支障がないときを除き,山留めを設けなければならない。
この場合において,山留めの根入れは,周辺の地盤の安定を保持③するために相当な深さとしなければならない。
解答・解説
(解答)① 1.5
(解説)建築基準法施行令 第136条の3の4項(根切り工事、山留め工事等を行う場合の危害の防止)からの出題です。
1級でもよく出てくる分野ですね。

3. 労働安全衛生法

 建設業に属する事業の元方事業者は,土砂等が崩壊するおそれのある場所,機械等が転倒するおそれのある場所その他の厚生労働省令で定める場所において関係請負人①の労働者が当該事業の仕事の作業を行うときは,当該関係請負人①が講ずべき当該場所に係る損害②を防止するための措置が適正に講ぜられるように,技術③上の指導その他の必要な措置を講じなければならない。
解答・解説
(解答)② 危険
(解説)労働安全衛生法 第29条の2(元方事業者の講ずべき措置等)からの出題。これも1級でもよく出題される内容です。
各法規は頻出問題を中心に記憶するしかないですね。1級の問題も含めて取り組んでも良いと思います。

問題5 施工管理(正誤)

問題5-A

※ 受検種別:建 築の受験者は解答してください。

問題5-A 次の 1. から 8. の各記述において,下線部の語句又は数値適当なものには○印を,不適当なものには適当な語句又は数値を記入しなさい。
1. 建築物の基礎をべた基礎とする場合にあっては,原則として一体の鉄筋コンクリート造とし,木造の建築物の土台の下にあっては,連続した立上り部分を設け,立上り部分の高さは地上部分で 20①cm 以上とする。
解答・解説
(解答)30
(解説)建築基準法施行令の第38条3項及び4項の 規定に基づき、建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を告示1347号で下記の通り定めています。
建築物の基礎をべた基礎とする場合、立上り部分の高さは地上部分で30cm以上と、立上り部分の厚さは12cm以上と、基礎の底盤の厚さは12cmとすること。
2. 合板型枠の締付け金物を締めすぎると,内端太,外端太が内側に押され,せき板が外側②に変形する。 締めすぎへの対策としては,内端太 (縦端太) を締付けボルトにできるだけ近接させて締め付ける。
解答・解説
(解答)内側
(解説)型枠の中にコンクリートを打設する際、『側圧』と言われる外に膨らむ力が作用します。それを防ぐために、型枠の外側から締め付けるので、閉めすぎると内側に変形します。
3. コンクリートの 1層の打込み厚さは,締固めに用いる棒形振動機部分の長さ以下とし,挿入に際しては先に打ち込んだコンクリートの層に棒形振動機の先端が入るようにし,引き抜く際にはコンクリートに穴を残さないように加振しながら急いで③引き抜かなければならない。
解答・解説
(解答)徐々に
(解説)振動時間はコンクリート表面にセメントペーストが浮き上がるときを標準とし、コンクリートに穴を残さないように加振しながら徐々に引き抜く。
※建築工事監理指針より抜粋
4. 木造の建築物にあっては,地震力などの水平荷重に対して,建築物にねじれ④を生じないように,筋かい等を入れた軸組を,張り間方向及び桁行方向にそれぞれにつり合いよく配置する。
解答・解説
(解答)○
(解説)建築基準法施行令 第46条に、『構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造とした建築物にあつては、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向及びけた行方向に、それぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない。』と規定されています。ここには『ねじれ』と書かれていませんが、水平力に対して安全であるように、ということから、『ねじれ』が正しいことはわかると思います。
5. シーリング工事における鉄筋コンクリート外壁の打継ぎ目地,ひび割れ誘発目地,建具回り目地等で動きの小さいノンワーキングジョイントの場合の目地構造は,2面⑤接着を標準とする。
解答・解説
(解答)3面
(解説)目地に変位が発生するワーキングジョイントの場合は2面接着目地の変位がないか極めて少ないノンワーキングジョイントに適用するのは3面接着である。
※建築工事監理指針より
6. 金属板葺き屋根工事における下葺きに使用するアスファルトルーフィングは,軒先より葺き進め,隣接するルーフィングの重ね幅は,シート短辺部 (流れ方向) は 200mm 以上,長辺部 (長手方向) は 100⑥mm 以上とする。
解答・解説
(解答)○
(解説)下葺材のアスファルトルーフィングは、上下の重ね幅(長手)は100mm以上左右の重ね幅は200mm以上とする。
また棟部は棟の両側に250mm以上折掛けとしたのち、棟頂部あら一枚もので左右300mm以上の増張りを行う。
※建築工事監理指針より
7. 仕上塗材の吹付け塗りにおける吹付けの基本動作は,スプレーガンのノズルを常に下地面に対して直角又はやや下向き⑦に保つようにし,縦横 2方向に吹くなど模様むらが生じないように吹き付ける。
解答・解説
(解答)上向き
(解説)材料が下地面に対して直角に吹き付けられるよう に、スプレーガンのノズルをやや上向きに保ち、絶対に吹下げはしないこと。
※建築用塗材仕上げハンドブックより
8. 壁紙張りにおいて,表面に付いた接着剤や手垢等を放置しておくと はがれ⑧の原因となるので,張り終わった部分ごとに直ちに拭き取る。
解答・解説
(解答)しみ
(解説)張り終わった箇所ごとに、表面に付いた接着剤や手あか等を直ちにふき取る。特に建具、枠回り、かもい、ジョイント部等は、放置しておくとしみの原因になるので注意する。
※建築工事監理指針より

問題5-B

※ 受検種別:躯 体の受験者は解答してください。

問題5-B 次の 1. から 4. の各記述において,下線部の語句又は数値が適当なものには○印を,不適当なものには適当な語句又は数値を記入しなさい。
1. 既製コンクリート杭地業におけるセメントミルク工法において,杭径が 300~500mm の場合は,杭径よりも 200①mm 程度大きいオーガーヘッドを使用する。
また,掘削は,安定液を用いて孔壁の崩壊を防止しながら,杭心に合わせて鉛直に行い,予定の支持層に達した後,根固め液及び杭周固定液を注入しながらアースオーガーを引き抜いていき,その後,既製コンクリート杭を掘削孔内に建て込む。
この施工法は,既製コンクリート杭の打込み②工法に分類される。
解答・解説
(解答)① 100  ② 埋込み
(解説)・アースオーガーヘッド径は、杭径+100mm程度とする。(公共建築工事標準仕様書より)
・打込み工法は打撃工法プレボーリング併用打撃工法を言う。
・埋込み工法はプレボーリング・中堀り・回転と大きく3種の工法があり、セメントミルク工法はプレボーリング工法の一つで、プレボーリング根固め工法とも言う。
2. 鉄骨工事におけるトルシア形高力ボルトを使用する接合部の組立てにおいて,接合部の材厚の差などにより,接合部に 1③mm を超える肌すきがある場合には,フィラープレートを用いて肌すきを埋める。
締付け後の検査は,一次締付け後に付けたマーキングの ずれやピンテールの破断などを確認し,ナットの回転と共にボルトや座金も一緒に回転する軸回り④を生じているボルトは,新しいボルトセットと交換する。
解答・解説
(解答)③ ○ ④ 共回り
(解説)・板厚の差等による1mm以下の隙間はあまり問題とされないが、1mmを超える場合は、フィラープレートを用いる。フィラープレートの厚さは1.6mm以上とするのが普通である。
・ナットの回転と共にボルトや座金も一緒に回転するのは共回りです。軸回りはナットが回転せずにボルトが回転してピンテールが破断することを言います。
※建築工事監理指針より
3. コンクリート工事において,公称棒径 45mm の棒形振動機を締固めに用いる場合,コンクリートの 1層の打込み厚さは,棒形振動機部分の長さである 60~80cm 以下とし,棒形振動機の挿入間隔は 90⑤cm 以下とする。
また,棒形振動機は,コンクリート表面にセメントペーストが浮き上がる時まで加振し,加振時間は 1箇所当り 5~45⑥秒程度とするのが一般的である。
解答・解説
(解答)⑤ 60 ⑥  15
(解説)知識を整理しておくと、
・公称棒径45mmの棒形振動機の長さは60cm~80cmである。
・一層の打込み厚さは上記以下とする。
・鉛直に挿入して加振し、挿入間隔は60cm程度とする。
・加振時間は1箇所5秒〜15秒の範囲とするのが一般的に。
4. 市街地における,鉄筋コンクリート造建築物の躯体の解体工事を行う場合は,建物の周囲に外部足場を架設し,コンクリート片の飛散防止や騒音防止のためメッシュシート⑦を足場外面に隙間なく取り付ける。
また,階上解体作業による解体をする場合は,屋上に揚重した解体重機で最上階から解体し,各階の解体は中央⑧部から先行して解体していく。
解体で発生したコンクリート小片などを利用してスロープをつくり,解体重機を下の階に移動させて順次地上階まで解体していく。
解答・解説
(解答)⑦ 防音シート(防音パネル) ⑧ ◯
(解説)騒音・粉じん等の対策は、
次の(ア)から(ウ)までにより、適用は特記による。特記がなければ、 (ア)による。 なお、シート類は防炎処理されたものとする。
(ア) 防音パネルは、隙間なく取り付ける。
(イ) 防音シートは、重ねと結束を十分に施し、隙間なく取り付ける。
(ウ) 養生シート等は、隙間なく取り付ける。
と言うことで、防音シートもしくは防音パネルが正解。養生シートでも問題ないような気もしますが、この2つで覚えておくほうが安全ですね。
(※建築物解体工事標準仕様書より)
また、建物の解体は、『階上作業による解体では、外壁を残しながら中央部分を先行して解体することとした。』と1級建築施工管理技士の学科試験でも出題されています。中央からの解体が正解です。

問題5-C

※ 受検種別:仕上げの受験者は解答してください。

問題5-C 次の 1. から 4. の各記述において,下線部の語句又は数値が適当なものには○印を,不適当なものには適当な語句又は数値を記入しなさい。
1. アスファルト防水の密着工法において,平場のアスファルトルーフィング類の張付けに先立ち,コンクリート打継ぎ部は,幅 50mm 程度の絶縁用テープを張った上に幅 200①mm 以上のストレッチ②ルーフィングを増張りする。
アスファルトルーフィング類の張付けは,空隙,気泡,しわ等が生じないよう均一に押し均して下層に密着させる。
解答・解説
(解答)① 300 ② ◯
(解説)一般の平場のルーフィングの張付けに先立ち、ストレッチルーフィングを用いて次の増張りを行う。
・コンクリート打継ぎ部及びひび割れ部は、幅50mm程度の絶縁用テープを貼った上に、幅300mm以上のストレッチルーフィングを増張りする。
※建築工事監理指針より
2. 金属製屋根折板葺における重ね型折板は,各山ごとにタイトフレームに固定ボルト締めとし,折板の流れ方向の重ね部を緊結するボルトの間隔は,900③mm 程度とする。
棟の納まりについては,棟包みを設け,タイトフレームに固定ボルト等で取り付ける。 折板の水下④には,先端部に雨水を止めるために止水面戸を設け,折板及び面戸に穴をあけないようポンチング等で固定する。
解答・解説
(解答)③ 600 ④ 水上
(解説)③折板は各山ごとにタイトフレームに固定し、折板の重ね部に使用する緊結ボルトの間隔は600mm程度とする。(※建築工事監理指針より)
④棟の納まり部分の棟包みには止水面戸を設けるとあるので、ここは折板の水上の箇所にあたる。
3. 軽量鉄骨壁下地において,コンクリートの床,梁下及びスラブ下に固定するランナーは,両端部から 50mm 内側をそれぞれ固定し,中間部は 1,800⑤mm 程度の間隔で固定する。
また,ランナーの継ぎ手は重ね⑥継ぎとし,ともに端部より 50mm 内側を打込みピンで固定する。 打込みピンは,低速式びょう打銃による発射打込みびょうを用い,使用に当たっては,安全管理に十分注意する。
解答・解説
(解答)⑤ 900 ⑥ 突付け
(解説)・軽量鉄骨壁下地のランナーの固定位置は端部から50mm内側とする。
・ランナーの継手は突付け継ぎとし、端部より50mm内側に固定する。
・ランナーの固定間隔は900mm程度
※建築工事監理指針より
4. フローリングボード張りにおいて,下張り用合板の上に接着剤を併用してフローリングボードを釘打ちで張り込む場合,張込みに先立ち,フローリングボードの割り付けを行い,接着剤を下張り用合板に塗布し,通りよく敷きならべて押さえ,雌ざね⑦の付け根から隠し釘留めとする。
下張り用合板は,乱に継ぎ,継ぎ手部は根太心で突付けとし 150⑧mm 程度の間隔で釘打ちとする。
解答・解説
(解答)⑦ 雄ざね ⑧ ◯
(解説)・張込みに先立ち、板の割付けを行い、通りよく敷き並べて、雄ざねの付け根から隠し釘留めとする。
・床板張りの釘間隔は中間部の場合200mm程度、継手部は150mm程度とする。
※建築工事監理指針より

まとめ

今回初めて、2級建築施工管理技士の実地試験問題に実際に取り組んでみました。

1級建築施工の問題には慣れていましたが、2級は不慣れのせいか時間を要してしまいました。ただ個人的にはかなり勉強になりましたね。

少し時間は空きますが、2019年にもチャレンジしたいと思います。

・今年の第二次検定の対策として、例年の出題傾向についてまとめています。

・今年の試験対策のテキスト選びは下記の記事を読んでみてください。
最新情報をチェックしよう!