今回取り上げるのは2級建築施工管理技士の第二次検定の施工経験記述の工事概要の書き方についてです。
・工事概要の記述は『施工経験記述』の顔になる重要な部分
・具体的なそれぞれの書き方例
意外と軽視しがちな『工事概要』の記述
添削指導をしている際に強く思ったのが、意外と『工事概要』を雑に書いてくる人が多いです。
私のこのサイトでも施工経験記述の記述例を多く取り上げていますが、それには『工事概要』の記載はしていません。
しかし実際のところ、採点者は実施した工事の内容の記述の前に確認するのが『工事概要』です。ここで、採点者がどんな工事を行ったかのイメージが出来ないと、その次の記述の理解が深まりません。
実はとても重要な部分であり、ここで手を抜いたり、記述漏れがあったりすると試験の成否に大きく影響すると私は考えています
ですので規模の大小を気にする必要はありませんが、記述が必要とされる内容に関して漏れがないよう心がけましょう。
2級建築施工管理技士の施工経験記述に求められる記述は下記の通りです。
- 工事名
- 工事場所
- 工事の内容
新築等の場合:建物用途、構造、階数、延べ面積又は施工数量、
主な外部仕上げ、主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建物用途、建物規模、主な改修内容及び施工数量 - 工期(年号又は西暦で年月まで記入)
- あなたの立場
- 業務内容
以上を最初の書く必要があります。ここでの減点を避けるべく丁寧に記述をしましょう。
ごくごく当たり前の話なんですが、
・延べ面積などがおかしい。(9階建てなのに200㎡とか)
・建物規模と工期のバランスが悪い。
・住所が架空のものだった。(単なる誤りの場合も)
・工事が試験実施段階でまだ未完。
・改修工事において、施工数量の記述がない。
具体的な書き方
工事名
・レジデンス川崎大規模修繕工事
・○○商事世田谷寮改修工事
・高橋第二ビル解体工事
・八丁堀東京ビル新築工事
・世田谷小学校校舎増築工事
・住吉生命ビル耐震改修工事など
・(株)山田商事 東京ライフビル入居に伴う内装工事
(すべて架空の名称です)
- 建築工事である事。(電気工事や設備工事はNG)
- 新築・増築・改修・修繕・耐震工事など工事内容が読み取れるように留意する事。
- 名称などの間違いに注意。→最近はインターネットで調べることも可能です。
また、(仮称)渋谷3丁目ビル計画工事 などのように、まだ正式名称が決まっていない状態での工事ですが、個人的には正式名称が決まった段階での名称を書いた方が良いのではと思っています。
※なぜなら採点者としては工事がイメージしにくいです。私も添削指導の際は、イメージ出来ない場合ググります。その際に他の間違いを見つける事(住所など)もあるので、やはり正式決定後の名称が良いと思います。
工事場所
工事場所は住所ですね。
・神奈川県横浜市港北区日吉2丁目○番○号
工事の内容
令和4年(例年全く同じです)の設問は工事の内容について、下記内容を記述するよう求めています。
主な外部仕上げ、主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建物用途、建物規模、主な改修内容及び施工数量
外壁二丁掛けタイル張り、事務室床:タイルカーペット貼り、
天井:PB下地岩綿吸音板張り、壁:PB下地ビニルクロス張り
屋上ウレタン塗膜防水工事 520m2、外壁タイル張替え 450m2、
目地シーリング 1,850m、外壁塗装工事 830m2
工期
・2020年3月〜2021年6月
・規模と工期がマッチしているか。(規模に比べて長すぎたり短すぎたりしないか)
・工事した時期と記述内容があっているか。
・寒い時期だったので、
あなたの立場
その工事において、あなたはどのような立場で従事していたかを記述します。多くの場合、請負者側だと思います。
現場代理人、工事主任、作業所長、主任技術者などが考えられますね。
※ただし主任技術者は2級の資格者でない場合、一定の実務経験が必要です。
現場代理人、工事主任と記述するのが無難で間違いないですね。
業務内容
施工管理全般、仕上げ工事の施工管理、躯体工事の施工管理 など、自分の実際の担当した業務を記述します。
最後の2つはあまり考えなくとも良いでしょう。
工事概要例
では実際にいくつか書いてみます。(あくまでも実在しない工事です)
工事場所:東京都品川区大井町1丁目99番地75号
工事の内容:事務所ビル、鉄骨造、地上4階、延べ面積 620m2、
外壁:正面アルミカーテンウォール仕上げ、側面ALCパネル複層塗材仕上げ
床:タイルカーペット貼り、天井及び壁:PB下地ビニルクロス張り、一部塗装仕上げ
工期:平成30年2月〜平成30年12月
あなたの立場:現場代理人
業務内容:施工管理全般
工事場所:東京都大田区北馬込○丁目15-6
工事の内容:専用住宅、木造3階、延べ面積 185m2
外壁:サイディングパネル張り、居室床:フローリング仕上げ
天井及び床:PB下地ビニルクロス張り
工期:2020年7月〜2021年1月
あなたの立場:現場代理人
業務内容:施工管理全般
工事場所:埼玉県さいたま市浦和区常盤3丁目○番地○号
工事の内容:共同住宅、鉄筋コンクリート造、地上5階、地下1階、延べ面積 1,540m2
屋上アスファルト防水改修 420m2、バルコニーウレタン塗膜防水改修 250m2
外壁シーリング改修 2,400m、外壁タイルエポキシ樹脂注入 60箇所
工期:令和元年7月〜令和元年11月
あなたの立場:現場代理人
業務内容:改修工事施工管理
まとめ
工事概要を正しく記述するチェックポイントとして、
- 建物情報(構造など)や住所は本当に正しく記述できているか?
- 改修工事の場合、工事の内容と経験記述の内容があっているか?
- 工事期間に矛盾はないか?
- 工事名称は正しいか?
以上です。意外と添削指導をしていると上記の誤りは多かったです。
住所をググったら違った、マンション名が間違っているなどは結構多いです。
あとは改修工事で、工事内容に記載のない工事のことを、経験記述で記述している。なども散見します。
以前添削して気になったのは、
で実際に行った工事も
共同住宅、地上5階建て 延べ面積 ○○㎡
アルミ手摺交換工事(スチールより) ○○m
という工事概要だったのですが、記述内容は、
1,金属工事(手すり交換工事)
2,防水工事
3,塗装工事
施工経験記述は、工事概要が外見(あなたへの第一印象であり、顔になる)、経験記述の内容が中身に当たりますので、第一印象はこの工事概要で決まります。
正しくしっかり記述出来る事は、合格のために必須ですね。