さて2級建築施工管理技士 第二次検定対策『施工経験記述』についてですが、今回より具体的に出題テーマごとにポイントをまとめたいと思います。
2級の施工経験記述の出題テーマ(問題1-1)は、
- 工程管理
- 施工計画
- 品質管理
一応昨今はこの3つに絞られています。(今後は変わる可能性も当然あります)
問題1-2の記事はこちらです。
1級と異なり、ここ10年間は出題バターン(順序)はきっちり規則正しいローテーションだったのですが、一昨年は『品質管理』の出題ではなく『施工計画』でした。
そして昨年にこの『品質管理』が出題されました。
品質管理の出題
出題年次
さて、2級の施工経験記述『品質管理』の問題は、
- 令和4年(2022年)
- 平成30年(2018年)
- 平成27年(2015年)
過去10年は3回出題されています。
そして昨年にこの『品質管理』が出題されているので、今年は他のテーマと比べると出題の可能性は低いと言って良いでしょう。
今回は過去3回分の出題内容を見ながら、その対応について考えていきたいと思います。
品質管理とは?
施工者は、建築工事・躯体工事・仕上げ工事各種で、極力良い品質を提供すべく施工管理を行なっていると思います。
建築にはいろんな品質が求められます。
- 強度や耐久性
- 機能や性能
- 見える部分の美観や精度
東南アジア(バンコクとか)の新しい建物は外見はとても格好よく見えるのですが、細部の作りに関するその美観や精度にびっくりすることもありますが、日本はとてもきっちりしています。
そして、上記の要求品質を達成するために、
- 材料選定、工法の選定
- 品質管理基準(管理値)
- 重要な管理項目
を定めて、関係者と共有する必要がありますね。
そして皆さんも、品質管理上の失敗も多くあるのではないでしょうか?
・乾燥期間が足らなかった。
・製造所所定の使用量を正しく守らなかった。
出題内容と記述例
令和4年
- 工種名又は作業名等
- 品質低下につながる不具合とそう考えた理由
- ②の不具合を発生させないために 行ったこととその際特に留意したこと
昨年出題された内容は以上の通り。
理由・・・外壁タイルの浮きや剥離につながるため
行ったこと・・・一度に塗り付ける面積は2㎡以内、かつ20分以内に張り終える面積とした。
留意・・・また張付けモルタルは塗り厚が6mm程度になるよう留意した。
①外壁タイル工事(密着張り)
②外壁タイル張りは張付け時間を守らないと接着力不足につながり、結果としてタイルの早期の浮きや剥離などの事故につながる恐れがあるため。
③施工時に、一度に塗り付ける面積は2㎡以内として、また20分以内に張り終えるよう管理を行い、また下地の張付けモルタルの塗り厚は6mmになるよう留意した。
①外壁塗装工事(ALC下地の塗り替え)
②下地の高圧洗浄後の乾燥不足での塗装は、塗膜の密着性不足につながり、それによって塗膜の割れ、膨れの不具合が起き、結果として塗装の早期劣化のトラブルにつながるため。
③高圧洗浄実施後、十分に乾燥時間を確保して、含水率が10%未満になったのを確認した上で塗装を行った。また湿度管理を行い、湿度が85%を超える際は作業を中止するよう留意した。
平成30年度
ただし,3つの実際に行ったことはそれぞれ異なる内容とし,「設計図書どおりに施工した。」 など行ったことが具体的に記述されていないもの,品質管理以外の工程管理,安全管理などについて記述したものも不可とする。
なお,工種名については,同一の工種名でなくてもよい。
まずは平成30年度です。
記述する内容は3つ
- 工種名・・・○○工事
- 不具合とその要因・・・下地処理が不十分で塗装の美観が悪い
- 実施したこと・・・下地を十分に処理した上で塗装した。
右側に記述ポイントを端折って書きましたが、考え方はこの通りです。
それ以外の例として、例えばウレタン塗膜防水、
不具合・・漏水性能や早期に防水層の劣化などの不具合の恐れがある。
実施・・・製造所指定の使用量を守って施工を行い、膜厚を確保して、施工後膜厚の計測を行なった。
①ウレタン塗膜防水工事
②塗膜防水工事において、製造所指定の防水材の使用量と塗膜の厚さが不十分だと、防水の耐久性が落ちて屋上より住居への漏水の恐れがあった。
③今回施工を行なった面積に必要な防水材を準備して、面積あたりの使用量を守りながら施工した。また施工後には測定器で膜厚を計測して問題ないことを確認した。
①コンクリート工事
②コンクリートの練混ぜから打込み終了までの時間が長くなると、スランプの減少が大きくなり、コールドジョイント発生のおそれがあった。
③季節が夏で気温が28度だったので、練混ぜから打込みまでの時間が90分以内におさまるよう、現場でも待ち時間が少なくなるよう調整した上で施工を行なった。
①塗装工事
②夏の暑い時期の施工で、湿度の高い環境や雨天の際に塗装を行うと、塗膜の膨れが発生するおそれがあった
③朝、施工開始時に湿度計で計測し85℃以上の場合、もしくは雨天の場合は施工を行わないことし、環境管理を厳守した上で施工を行った。
平成27年度
次に平成27年度の問題です。
ただし,「設計図どおり施工した。」 など施工にあたり行ったことが具体的に記述されていないものや,品質以外の工程管理,安全管理などについての記述は不可とする。
なお,工種名については,同一の工種名でなくてもよい。
- 工種名・・・コンクリート工事
- 留意したこと・・・打設が夏場で打設後の養生に留意
- 理由・・・夏の直射日光でひび割れ、耐力の低下のおそれがある
- 対策・・・打設後に散水養生、その後5日間の養生を実施した。
こちらも例をかなり端折って書きましたが、考え方は上記の通りです。
理由・・・そこに留意しないと、建物にどういう影響がある?(耐久性や美観など)
対策・・・留意した内容をどのように実施したか。
①鉄筋工事
②鉄筋の各所のかぶり厚さに留意した。
③かぶり厚さの不足はコンクリートのひび割れなどの耐久性に影響し、また鉄筋の腐食にもつながるため。
④所定のかぶり厚さ(40mm)を確保するためにスペーサーを1mに1個の設置を行い、写真で撮影記録を残した上で施工を行なった。
①外壁タイル工事(密着張り)
②外壁タイルの浮きや剝落の防止のため接着力の確保に留意した。
③外壁タイルの接着力が不足すると、タイルの浮きや剥落の恐れがあり、美観上の問題や剥落による第三者災害にもつながるため。
④張り付けモルタルは2㎡以下かつ20分以内で張り付けるよう行なった。施工後は2週間が経過してから接着力試験を実施し、0.4N/mm2以上であることを確認した。
記述のポイント
さて1級同様、2級の施工経験記述でも記述上の押さえるべきポイントはあります。
それは問題通りに記述することを意識してください。
・留意したこと・・・〜に留意した。
・実施したこと・・・~を実施した。 ⇒計画した等はダメですよ。
・新築工事だったり、大規模修繕工事だったり。
・施工する部位によって内容も変わる。
まとめ
2級の『品質管理』は1級の『品質管理』と出題内容は似ています。(1級は要求品質や品質管理項目を具体的に記述する)
なので1級建築施工管理技士の『品質管理』の記述例も参照にするのも良いですね。
とりあえず書き方を覚える。これを理解できれば、内容が変わっても記述できます。
また可能ならば、他の年次の『施工計画』・『工程管理』の過去問にもチャレンジしてみることをお勧めします。
いろんな問題に触れることにより、自分なりの気づきもあると思います。
また第二次検定全体の出題傾向は下記を参照してください。