令和5年(2023年)2級建築施工管理技士の第二次検定対策として、施工経験記述の記述のポイントについて取り上げています。
前回は、
2級の施工経験記述の出題テーマ(問題1-1)は、
- 工程管理
- 施工計画
- 品質管理
一応昨今はこの3つに絞られています。
この3つの記述のポイントを理解して、第二次検定に備えたいですね。
施工計画の出題
出題年次
さて、2級の施工経験記述『施工計画』の問題は、
- 令和3年(2021年)
- 令和元年(2019年)
- 平成28年(2016年)
- 平成25年(2013年)
ここ10年で4度出題されています。
施工経験記述の問題1-1は3年毎にローテーション厳守で出題されてましたが、令和3年はローテーション的には『品質管理』だったのが、この『施工計画』が出題されました。
※問題1-2は少し傾向が異なるのでまた別の記事で取り上げたいと思います。
施工計画とは?
施工管理者は設計図書を読み込みながら、その担当する工事において、
- 現場諸条件を考慮した上で工事計画を立案する。
- 設計図書より各種工事の品質管理上のポイントを読み込む。
- 多くの状況の中、工程管理をいかに行うか。
- 現場内、第三者対策含め安全に工事を遂行する。
などを計画段階で検討します。
これらの一つでもうまく行かないことがあると、施工者にとってはなかなかストレスですね。
施工の計画段階で、
・コンクリート打設が夏の暑い時期になる。
・天候不順が続くと外部工事等で工程的に厳しくなる恐れがある。
・現場が狭い中、荷揚げを効率的に行いたい。
例年の『施工計画』の出題内容
令和3年(2021年)
昨年出題された問題は、令和元年以前と少し変わりました。※令和元年の項参照
ただし、②の工種名は同一の工種名でもよいが、③及び④はそれぞれ異なる内容を記述するものとする。またコストについてのみ記述したものは不可とする。
② 工種名
③ 現場の状況と施工の計画時に検討したこと
④ 施工の計画時に検討した理由と実施したこと
b. 資材の搬入又は荷揚げの方法
c. 資材の保管又は仮置きの方法
d. 施工中又は施工後の養生の方法 (ただし,労働者の安全に関する養生は除く)
e. 試験又は検査の方法
令和元年(2019年)
次にこの令和元年の出題内容です。
ただし,①事前に検討したことと実際に行ったことは,選んだ各項目ごとにそれぞれ異なる内容とし,コストについてのみの記述は不可とする。
なお,工種名については,同一の工種名でなくてもよい。
a. 施工方法又は作業方法
b. 資材の搬入又は荷揚げの方法
c. 資材の保管又は仮置きの方法
d. 施工中又は施工後の養生の方法 (ただし,労働者の安全に関する養生は除く)
e. 試験又は検査の方法と時期
では具体的に、令和3年と令和元年の出題内容を比較してみましょう。
令和3年 | 令和元年 |
項目の選択 | 項目の選択 |
工種 | 工種 |
現場の状況と施工の計画時に検討したこと | 事前に検討したこととその検討をもとに実際に行ったこと |
施工の計画時に検討した理由と実施したこと | 何故検討する必要があったのかその理由 |
この通り解答すべき内容は同じなのですが、令和3年の問題と令和元年の問題では、実施した事(実際に行った事)を記述する欄が異なりますね。
2級はどこまで厳密に見ているのかわかりませんが、ここをきっちり対応出来さえすればきっちり得点が取れると思います。
平成28年(2016年)
次に平成28年度の問題を確認したいと思います。
ただし,「事前に検討したこととその結果行ったこと」 については,同じ内容を記述したもの又はコストについてのみ記述したものは不可とする。
なお,工種名については,同一の工種名でなくてもよい。
「資材の搬入又は荷揚げの方法」
「資材の保管又は仮置きの方法」
「作業床又は足場の設置」
「施工中又は施工後の養生の方法」 (安全に関する養生は除く)
平成25年(2013年)の項目は?
平成25年の問題もほぼ同じで、項目は下記の通り。
・施工方法
・資材の搬入又は仮置きの方法
・資材の揚重の方法
・作業床又は足場の設置
・施工中又は施工後の養生の方法(労働者の安全に関する養生を除く。)
・試験又は検査の方法と実施の時期
・他の関連工事との調整
記述のポイント
まず解答すべき内容は下記の通りです。(令和元年の問題ベースで考えます)
- 項目・・・施工方法又は作業方法
- 工種名・・・鉄筋工事
- 検討したことと行ったこと・・・梅雨の時期で雨が多いことを検討して、ガス圧接を機械式継手に
- その理由・・・機械式継手は天候に左右されないため
文章構成を理解するために、かなり端折った内容を右側に書いています。
これは言ってみれば工期遅延を防ぐための記述ですね。
- 記述するテーマ(項目)を選択する。
- 工種名を選ぶ。
- 品質・安全・工程などを遵守するために事前検討・実際に行った事を記述。
- 性能を確保するため、劣化を防ぐため、省力化のため、工期短縮のため、安全性向上のため(理由を記述)
※(〜をきっちり行わないと〜のおそれがあるため、という記述でも良い)
この『施工計画』は、
・安全管理
・搬入、養生など
・品質管理
・工程管理(施工合理化含む)
記述例
- 項目
- 工種名
- 検討したことと行ったこと
- その理由
この順番で、いくつかの記述例を取り上げたいと思います。
①施工方法又は作業方法
②鉄筋工事
③鉄筋工事の継手は施工が6月の梅雨の時期となり工事の遅延対策を検討して、当初はガス圧接継手であったが工事監理者の承認を得て、機械式継手に変更した。
④ガス圧接継手は天気が雨の時は施工できないが、機械式継手は天候に左右される事なく施工が可能なため。
①資材の搬入又は荷揚げの方法
②ウレタン塗膜防水工事
③屋上の防水改修工事において、屋上までの防水材の搬入方法を検討した上で、防水材を一斗缶での搬入をやめてウレタン圧送システムにより自動攪拌して圧送機にて荷上げを行った。
④共同住宅内のエレベータは一機しかなく、朝の搬入時間帯は居住者の通勤・通学者でエレベータの利用と重なっており、効率的な搬入が難しいと予想されたため。
①資材の保管又は仮置きの方法
②内装工事
③室内の間仕切り用のプラスターボードの搬入時期について検討したが、外部サッシ及びガラスの取付施工後の室内に外気及び雨などの侵入のおそれが無くなってから行った。
④プラスターボードは石膏と紙で作られており、水濡れや湿度の高い環境では強度の低下の恐れがあり、壁材として使用できなくなるため。
①施工中又は施工後の養生の方法
②コンクリート工事
③夏場の暑い時期のコンクリート打設について検討して、床スラブのコンクリート打設は、施工後速やかに養生マットによる湿潤養生を7日間行い、コンクリートの品質を確保した。
④夏場のコンクリート打設は直射日光や急激な乾燥により、コンクリート表面の乾燥収縮によるひび割れや、強度の発現にも影響するため。
①試験又は検査の方法と時期
②外壁タイル工事
③外壁二丁掛けタイルの接着力の検査方法については、施工後2週間してから接着力試験を実施し、試験体は100mm2ごとに1個を無作為に選び引張接着強度が0.4N/mm2以上の確認を行った。
④外壁タイルの接着力不足は、タイルの浮きによる外観への影響や万が一の剥落は第三者災害にもつながるおそれがあるため。
- 品質(養生・検査)
- 工程(工期短縮・合理化)
- 仮設(安全)
自分なりに書きたいポイントを絞りましょう。
特に2級建築施工管理技士の施工経験記述は記述ボリュームも1級ほどはないので、色々書きすぎるよりシンプルにわかりやすい記述を心がけた方が良いと思います。
まとめ
今回は『施工計画』を取り上げました。
前回取り上げた『品質管理』と異なり、記述する『項目』を選んで記述するのが特徴です。
令和元年の出題だと、
b. 資材の搬入又は荷揚げの方法
c. 資材の保管又は仮置きの方法
d. 施工中又は施工後の養生の方法 (ただし,労働者の安全に関する養生は除く)
e. 試験又は検査の方法と時期
この5つです。そして異なる3つの項目を選択する必要があります。
次出題される時もこの5つになるとは限らないので、事前準備するならば、
平成25年出題の選択項目を一通り押さえておいた方が安全だと思います。(7つある)
そういう意味ではきっちり準備の必要のある出題テーマとも言えそうです。
第二次検定全体の出題傾向は下記にまとめています。
第一次検定・第二次検定のテキスト選びの参考にしてください。