【2021年度】2級建築施工管理技士 第二次検定の出題内容について(傾向と対策)

2021年度より2級建築施工管理技士の学科試験と実地試験は新たに第一次検定第二次検定という名称とそれに伴う試験制度が変わってくるのはご存知の通りかと思います。

 

さて今回はその2級建築施工管理技士の第二次検定について、どんな問題が出題されるのか、昨年までの傾向と対策に留意しながらまとめていきたいと思います。

基本的には昨年からの出題傾向をもとにまとめております。

※令和4年(2022年)の最新の出題傾向をまとめた記事はこちらです。

本記事のポイント

・新しい試験基準はどうなるか?
・例年の出題傾向は??
・各問題毎の傾向と対策
・知識問題への対応は?

2級建築施工管理技士の試験基準はどう変わったか(実地・第二次)

昨年までは大問で5問出題されていましたが、その検定基準は下記の通りでした。

検定科目 知識能力 検定基準 解答形式
施工管理法 能力 1 建築材料の強度等を正確に把握し、及び工事の目的物に所要の強度、外観等を得るために必要な措置を適切に行うことができる一応の応用能力を有すること。 記述
2 設計図書に基づいて、工事現場における施工計画を適切に作成し、及び施工図を適正に作成することができる一応の応用能力を有すること。

※種別が建築の場合。

基本は全て記述での解答が必要でした。

昨年度の試験制度の改正により、2021年の第二次検定からは下記の通りとなります。

検定科目 知識能力 検定基準 解答形式
施工管理法 知識 1 主任技術者として、建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な知識を有すること。 四肢一択
能力 2 主任技術者として、建築材料の強度等を正確に把握し、及び工事の目的物に所要の強度、外観等を得るために必要な措置を適切に行うことができる応用能力を有すること。 記述
3 主任技術者として、設計図書に基づいて、工事現場における施工計画を適切に作成し、及び施工図を適正に作成することができる応用能力を有すること。

※こちらも試験種別が建築の場合。

今年より施工管理法の知識を問う問題が新たに出題されます。

従来は、学科試験⏩実地試験と2つの試験を経て共に合格で資格者となりますが、今年より、

・第一次検定合格 ⏩ 2級建築施工管理技士
・第二次検定合格 ⏩ 2級建築施工管理技士
と分離されたので、『技士補』資格を取得してから、『技士』へのチャレンジとなり、場合によってはかなり年次が開く恐れがあるので、知識の確認を兼ねたものと思われます。
ですので施工管理法の知識問題で出題される内容は、第一次検定で出題される施工管理法や躯体・仕上げ工事に関するものと思われます。
(第一次検定同様、この知識問題は四肢一択のマークシート式)

第二次検定の出題構成

昨年までの出題構成として、

  1. 施工経験記述
  2. 施工管理の用語とその留意事項
  3. 施工管理(工程)
  4. 法規
  5. 施工の正誤問題(建築・躯体・仕上げに分かれる)

以上の5問で構成されていました。

今年はこれに加えて、施工管理法における四肢一択のマークシート問題が別の問題として、数問出題されるものと想定していましたが、先日実施(10月17日)された1級建築施工管理技士の第二次検定の試験問題から類推すると、問題構成は変えず従来の構成から問題出題方式の変更で対応すると思われます。

1級建築施工管理技士の第二次検定は、

  1. 施工経験記述
  2. 仮設計画・安全管理の記述問題
  3. 躯体工事(施工上の留意事項と3択正誤問題が隔年で)
  4. 仕上げ工事(   〃   ※躯体工事とは逆)
  5. 工程管理
  6. 法規

この問題構成だったのですが、

問題4 仕上げ工事
問題6 法規

この2問が記述問題から五肢一択の選択式問題に変わっていました

(下記記事参照)

そこから想定すると、

  1. 施工経験記述
  2. 施工管理の用語とその留意事項
  3. 施工管理(工程)
  4. 法規 ⇒四肢一択の問題に変わる?
  5. 施工の正誤問題 ⇒四肢一択の問題に変わる?

という可能性が考えらえます。

法規の問題だと、『建設業法』の条文から4つ下線が引かれ、誤っている語句を選択する。
施工管理法の問題だと、各問題の下線部が空欄に変わり、4つの語句・数値から選択する。

あくまでも推測で、私の予想もあまり当たったことはありませんが(笑)

ただ1級電気施工管理技士の第二次検定も、

・ネットワーク工程問題(記述) ⇒ 電気の計算問題(選択式)
・法規(記述) ⇒ 法規(選択式)
となっていることを考えると、特に新たな問題が別に増えることはなさそうですね。
いずれにしても従来通りの対策をしっかり取っておくことで問題はなさそうです。
・基本知識を習得した上で、過去問を反復する。
・施工経験記述の練習を行い、自分の経験を正しく伝えるようにする。
・漢字の誤字や脱字を撲滅する。←添削指導経験から意外と多いです。
に尽きると思います。
独学で勉強を進めるならば、まずはテキスト選びはとても重要ですね。

第二次検定の傾向とその対策(記述問題)

施工経験記述

2級建築施工管理技士も1級建築施工と同様に、最初の問題1の施工経験記述が合格不合格を左右する最も重要な問題と言って良いでしょう。

出題に対し極力忠実な内容で解答できるようにする訓練が必要となってきます。

ここ最近の傾向として出題されているテーマは3つです。

  • 工程管理(令和2年)
  • 施工計画(令和元年)
  • 品質管理(平成30年)

というローテーションになっています。

例年の傾向を考えると、今年は『品質管理』の出題可能性が高いと思いますが、、、、

ちなみに1級建築施工の今年の第二次検定は『建設副産物』のローテーションでしたが、出題されたのは『品質管理』でした。

2級とは言え、課題を一つに絞るのは少し危険かなと考えています。

記述すべき内容は、

問題1-1は『あなたが経験した建築工事』について、

  • 工事概要(工事名・時期・規模・実施した工事内容・あなたの立場)
  • 工種名(鉄骨工事、防水工事など具体的な工種)
  • 実施した内容や検討・留意した事項、また理由などを記述する。

という内容です。例えば昨年の令和2年に例を取ると、

1.  工事概要であげた工事であなたが担当した工種において,事例を 3つ答えなさい。その事例ごとに項目 A の a. から c. の中から項目を選び,それらを手配や配置,施工をする際,あなたが工事を遅延させないためにどのようなことに努めたのか,項目 B の ①から③ について具体的に記述しなさい。なお,選んだ項目 A は〇で囲み,3つの事例は同じ項目を選んでもよいものとする。
また,項目 B の ①工種名は同じでもよいが,②着目したこととその理由③行った対策は異なる内容の記述とし,品質管理のみ,安全管理のみ,コストのみについて記述したものは不可とする。
項目 A
a. 材料 (本工事材料,仮設材料)
b. 工事用機械・器具・設備
c. 作業員 (交通誘導警備員は除く
項目 B
工種名
② 工事を遅延させるかも知れないと着目したこととその理由
③ ②の遅延を防ぐために実際に行った対策
と言った内容です。これらの経験記述対策の記述のポイントは別の記事でまとめています。
問題1-2は『工事概要であげた工事及び受検種別にかかわらず』となり、工事概要以外の内容を記述しても問題のない内容です。
2. 工事概要であげた工事及び受検種別にかかわらず,あなたの今日までの建築工事の経験に照らし,工程を短縮するために有効な方法や手段を 2つ具体的に記述しなさい。 また,それらがもたらす工程の短縮以外の工事への良い影響を,それぞれ具体的に記述しなさい。
ただし,有効な方法や手段が同一のもの及び 1. の③行った対策と同一のものは不可とする。
これは工程短縮に有効な方法と、また結果としてもたらす副次的な良い影響を記述する問題です。1級建築の施工の合理化的な問題ですね。
工程短縮ができた上に、例えば発生材の抑制にも繋がった、品質が安定した、などの別の良い影響を記述することがポイントかと思います。
施工経験記述の工事概要について下記記事でまとめています。
そして施工経験記述の書き方・ポイントについては下記の記事で取り上げました。

施工経験記述の問題1-2の対策はこちら

 

また10月8日より、施工経験記述の添削サービスを開始しています。(1級では既に実施済)

確実にミスなく高得点を取る支援サポートを手厚く行っています。こちらのページにサービス内容をまとめています。

今年は新たな試験制度ということで、問題内容も変わることからこの施工経験記述はしっかり取り組んでおきたいところです。

施工管理(用語)

問題2は建築用語が合計14個提示されて、そのうち5個を選んで、その用語の説明施工上の留意事項を記述する問題です。

例えば、一昨年の令和元年に提示された用語を見てみましょう

a 帯筋
b 改質アスファルトシート防水トーチ工法・密着露出仕様 (防水トーチ工法)
c 機械ごて
d クローラークレーン
e コンクリートのブリーディング
f  スタッド溶接
g せっこうボード張りにおけるコーナービード (コーナービード)
h タイル張りのヴィブラート工法
i  天井インサート
j  床付け
k 布基礎
l  パイプサポート
m ベンチマーク
n  木工事の仕口
非常に難しいと感じる用語も個人によってはあるかと思いますが、ここから5問解答すれば良く、また多くの用語は過去問より出題されているので、きっちり演習を行えば解答できるようになります。
こちらも別途、過去に出題された用語ということでまとめたいと思います。
下記の通りまとめました。

施工管理(工程)

問題3はここ4年はバーチャート工程の問題が出題されています。
その前までは、ネットワーク工程に関する出題だったので、まさに1級と2級が入れ替わった感じです。

ただし2級は出来高の表もあり、出来高の累計金額やパーセントを解答する必要があります。

バーチャート工程の問題は、

  1. 工程表のあるチャートが何の工事か解答する。
  2. ある工事の完了日(終了日)を解答する。
  3. ある時期までの累積出来高の金額やパーセントなどを解答する。

2018年までは3問構成でしたが、2019年は4問、昨年は5問と増えています。

出来高は単純な計算問題なので、過去問を演習すれば問題ないと思います。

工事はここ3年は鉄骨造、2017年は木造在来軸組工法でしたが、バーチャート工程で全体の工程の流れを理解して慣れる必要があります。

法規

法規は3問構成で、

  1. 建設業法
  2. 建築基準法施行令(10年のうち3年は建築基準法)
  3. 労働安全衛生法(10年のうち3年は建設リサイクル法)

1級建築施工管理技士の第二次検定は、建設業法・建築基準法施行令・労働安全衛生法の3つのみがこの10年出題されていますが、2級は建築基準法と建設リサイクル法も出題されています。(各10年のうち3度出題)

出題方法は条文があって、3つの下線部の語句から誤ったものを一つ選択し正しい語句を記入する問題です。

ある程度推測のつく問題もありますが、やはり条文に慣れ親しんでおく必要はあります。

この10年間で出題された法規及びその条文が何条なのかをまとめたのが下記の記事です。ある程度の出題傾向が把握できるのでしっかり準備して取り組んで欲しいですね。(但し、過去に出題されていない問題が出る可能性も十分にあります)

施工の正誤問題(建築・躯体・仕上げ)

最後の問題5は受検種別毎の出題となっており、建築・躯体・仕上げの受検種別ごとに出題問題は異なります。

これは2018年度以降はそのような形となっています。

出題は8問あり、それぞれの問題の文章が、

・正しい場合は○
・間違っている場合は正しい語句・数値を記述

する問題です。

基本的には第一次検定の知識と第二次検定の過去問での対策である程度はわかる問題ですね。

こちらも過去に出題された内容はまとめたいと思います。

 

まとめ

私は2級建築施工管理技士は受検していないのですが、多くの方の施工経験記述の指導はしてきました。その経験からはこちらもそんなに簡単な試験ではなく、ある程度の勉強時間の確保が必要です。

ただ、上記のような出題される問題の傾向と対策を十分に把握して、効率的に勉強に取り組みたいところですね。

今後、試験4ヶ月前程度を目処に、

・施工経験記述対策(出題テーマ別)⇒ほぼ記事出稿済
・施工管理の用語の出題内容 ⇒済
・工程の問題の解き方
・法規の出題傾向 ⇒済
・施工の正誤問題の傾向

をまとめていきたいと思います。2級建築施工管理技士の第二次検定の試験は11月と、1級より1ヶ月余裕があります。

しっかり取り組んでいきましょう。

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