令和3年の1級建築施工管理技士第二次検定を終えて

令和3年度の1級建築施工管理技士の第二次検定が10月17日に実施されました。

試験が終わるまで、今年からの新たな試験制度に対して色んな予測をしてきましたが、大きな変革ではなく問題の出題方式の見直しというところが着地点だったようです。

今後も踏まえて、そんな試験の振り返りをしたいと思います。

施工管理法の知識問題

今年の技術検定の目玉は資格試験の改正による試験制度の見直しでした。

学科試験が第一次検定となり、実地試験が第二次検定となりました。

第一次検定に合格すると『技士補』の称号を得られます。なので資格者に必要な、『施工管理法の応用能力問題』(五肢二択)が出題されることになり、

第二次検定は、『施工管理法の基本的な知識を問う問題』(五肢一択)が新たに出題される、という発表もありました。

特に第一次検定では、この『施工管理法の応用能力問題』でも60%以上の正答率がないと不合格になるというので、私も何問出題されるのか気にはなっていました。これで合否判定するくらいだから少なくとも10問は出題されるだろうと。
実際は6問出題され、思ったよりも出来が悪かったのか3問で合格になりました。
そして次は第二次検定でした。
第一次検定をベースに考えると、『施工管理法の基本的な知識を問う問題』(五肢一択)として6問前後出題されるのかなと、こちらもそんな憶測をしていました。(その場合、従来の大問6問の中の各問題数を調整するだろうと)
こちらは蓋を開けてみると、大問6問のうち2問が五肢一択の問題に変わるという出題方式が変更になるだけのものでした。
専門学校なども色んな対策を打ったようですが、この第二次検定に関しては従来の対策通りで問題がなかったとも言えます。
結論、予想や予測は当たらんなと改めて感じ入るばかりでした。

難易度は?

客観的に出題内容を見ると、

難しい問題もあったし、比較的に取り組みやすい問題もあったから総合的には例年と難易度は大きく変わらないな、

というのが第一印象です。

それは、

問題2(仮設計画)はすべて過去10年に出題された内容だった。
問題5(仕上げ工事)や問題6(法規)は五肢一択で選択肢から選べるようになった。
ここは取り組みやすいと思った受検生も多いと思います。
一方で、
問題1(施工経験記述)は品質管理が出題され(多くの予想は建設副産物)、問題内容も従来と少し変えて、
・発生を予測した欠陥又は不具合
・実施した内容及びその確認方法又は検査方法
必ずしも自分が準備した記述通りに書けるとは限らない内容の問題であったと言えるでしょう。
専門学校においても多くの受講生を見てきましたが、普段は合格基準に達する記述が出来ているんですが、問題の問われ方が異なると途端に記述が崩れる人も結構います。
おそらく本年度も上記の問題を読んで、そうなってしまった人は少なからずいるものと想定しています。
問題3のネットワーク工程は過去問をじっくり取り組んでいる方は問題なかったと思いますが、私も実際に解いてみると結構時間がかかりました。
・問いの内容をよく読む。
・その内容をネットワーク工程に書き込む。
このプロセスをきっちり踏んで解いている人はおそらく問題ないでしょう。
一つでも読み取り漏れがあるといくつか間違える恐れがあります。
問題4の躯体工事は2009年に出題されたものが3問ほどありました。
当運営サイトも過去10年のものを徹底反復を謳っているのですが、10年以上前の出題とは、、、
但し第一次検定の知識があれば解ける問題でもあったと言えるでしょう。
第一次検定のレビュー及び総評は下記記事にまとめています。

合格するために必要な取り組みを考える

令和元年(2019年)に出題された施工経験記述の品質管理の問題を見てみましょう。

1. 工事概要であげた工事で,あなたが重点的に品質管理を実施した事例を 2つあげ,次の①から③について具体的に記述しなさい。ただし,2つの事例の工種名は同じでもよいが,他はそれぞれ異なる内容の記述とする。

① 工種名要求された品質及びその品質を実現させるために設定した品質管理項目
② ①の品質管理項目を設定した理由
③ ①の品質管理項目について,実施した内容及び留意した内容

次に、本年度の問題です。

1.  工事概要であげた工事で,  あなたが現場で重点をおいて実施した品質管理の事例を 2 つあげ,  次の①から④について具体的に記 述 しなさい。ただし,  2 つの事例の②から④は,  それぞれ異なる内容を記 述 するものとする。

工種名
② 施工に当たっての品質の目標 及びそれを達成するために定めた重点品質管理項目
③ ②の 重点品質管理項目を定めた理由及び発生を予測した欠陥又は不具合
④ ②の 重点品質管理項目について,  実施した内容及びその確認方法又は検査方法

昨年の『施工の合理化』も同様に、同じ出題のされ方は昨今はほぼなく、異なる問われ方をする傾向がより強くなっています。

現在の試験実施団体及び国土交通省の考えは、

市販テキストや単純に記述内容の丸暗記
で記述しても正解にならないよう注力している事は間違いありません。
そういう観点からも問いの内容を細かく設定したのが今回の出題内容とも言えます。
総括すると、
問題1 自分の記述が必要
問題2 過去問対策の知識で対応
問題3 過去問の取組み+しっかり考えて計算して解答する必要がある
問題4 過去問対策だが10年以上前
問題5 五肢一択の選択問題(知識)
問題6 五肢一択の選択問題(知識)

問題5と問題6が知識問題になったことにより、他の問題はより応用能力を問う問題に変わってきたともいえるでしょう。

 

おそらく来年度以降も問題によりメリハリはつけるものの、総合的な難易度は変わらないという基本スタンスになると思います。

但し、その難易度基準は、

・すべて暗記ではダメ。
・問題に対して柔軟に記述する力。
・受検資格に応じた経験の有無とその表現力。
ある程度、腰を据えた取り組みが必要と考えます。
また当サイトでもずっと言っていますが、
・施工経験記述は問題内容に忠実に解答出来るか?
・出題内容とその意図を十分に理解しているか?
という事がポイントであり、自分の書きたいことを書いただけではダメだということです。

まとめ

来年度以降の対策としては、

・第一次検定での知識をある程度維持する。(施工管理法関連)
・施工経験記述は展開力のある内容を構築する。
・ネットワーク工程は過去問に取り組み理解していることが前提。
・知識問題は割り切って暗記に注力。

ですね。

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