【令和5年(2023年)】1級建築施工管理技士の(指導監督的)実務経験を含めた受検資格を知っておこう

  • 2023年2月1日
  • 2023年11月17日
  • コラム
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ここ1,2年ほど施工管理技士技術検定の試験において、幾つかのニュースで出た話題の一つに、実務経験の不備』に伴う不正受検問題が大企業の組織ぐるみの事案として発生しています。

私も1級建築施工管理技士の資格を取得した後、1級電気施工管理技士の資格も取ろうかと思ったのですが、実務経験を考えるとそう簡単な問題ではないなと思った記憶があります。

 

今回改めて1級建築施工管理技士の受検資格についてまとめてみました。

令和6年より、受検資格が緩和されます。下記記事を参照ください。また法人向けにも新たに記事を作成するので少々お待ちください。

今は企業側も受検者も知らなかったでは済みませんので、正しく受検資格を知っておきましょう。

最近起こっている不正受検の記事をまとめています。

 

1級建築施工管理技士の受検資格

第一次検定の受検資格

まずは第一次検定の受検資格についてです。

第一次検定はまず実務経験などの受検資格を満たしている(下記区分のイ〜二のいずれかに該当していること)上で受検申請書、実務経験証明書と添付書類を提出する必要があります。(初めての際は結構面倒でしたw)

前提条件として、

1.実務経験は令和5年3月31日現在までで計算する。
※年数が不足して受検資格が満たせない場合、第一次検定の前日(平成5年6月10日)まで算入可能2.実務経験年数には、「指導監督的実務経験」を1年以上含むことが必要です。指導監督的実務経験とは、現場代理人、主任技術者、工事主任、設計監理者、施工監督などの立場で、部下・下請けに対して工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
区分 学歴または資格 実務経験年数
指定学科 指定学科以外
大学
専門学校の『高度専門士』
卒業後3年以上
の実務経験
卒業後 4年6ヶ月以上
の実務経験
短期大学
5年制高等専門学校
専門学校の『専門士』
卒業後5年以上
の実務経験
卒業後 7年6ヶ月以上
の実務経験
高等学校
専門学校の『専門課程』
卒業後10年以上
の実務経験
※1※2
卒業後 11年6ヶ月以上
の実務経験
※2
その他(最終学歴問わず) 15年以上の実務経験※2
二級建築士合格者 合格後5年以上の実務経験
2級建築施工管理技士技術検定
第二次検定合格者
合格後5年以上の実務経験を有する者
※1※2
2級建築施工管理
技術検定第二次検定
合格後実務経験が5年未満でのもの
短期大学
5年制高等専門学校
専門学校の『専門士』
(イの区分) 卒業後9年以上※2
高等学校
専門学校の『専門課程』
卒業後9年以上※2 卒業後 10年6ヶ月以上
※2
その他(最終学歴問わず) 14年以上※2
2級建築施工管理技術検定第二次検定合格者 実務経験年数は問わず。
この二は第一次検定のみ受検可能。第二次検定を受検するには、
翌年度以降の区分イ~ハの各受検資格で受検可能。
※1 主任技術者の要件を満たした後、専任の監理技術者の配置が必要な工事に配置され、監理技術者の指導を受けた2年以上の実務経験を有する方は、表中※1印がついている実務経験年数に限り2年短縮が可能です。
※2 指導監督的実務経験として「専任の主任技術者」を1年以上経験した方は、表中※2印がついている実務経験年数に限り2年短縮が可能です。(※1,2とも追加で上記の実務経験証明書の提出が必要)

令和3年より大きく変わったのは、2級建築施工管理技士の第二次検定合格者は1級の第一次検定のみ受検可能になったこと。1

要するに2級建築施工管理技士になると、その次の1級建築施工管理技士補へ直結できるようになったのです。

1級建築施工管理技士になるための第二次検定は、上記受検資格を満たしてから受検が可能です。

この改正はインパクトがあり、2級合格して1級第一次検定に合格すると技士補の称号が得られ、監理技術者補佐になれるのは大きいと思います。
(個人にとっても企業にとっても)

 

ちなみに私の場合、単なる大学文系卒ですから、卒業後4年6ヶ月以上の実務経験と指導監督的実務経験が1年以上で受検資格を得られます。

ちなみに指定学科は記載するとかなり長くなりそうなので、このサイトを参照(建設業振興基金)してください。

不正受検問題でも明らかになっていましたが、この受検資格については少しわかりにくい人もいるのではないかと思います。国土交通省も『受検の手引き』の記載内容の明確化を改善のテーマとしています。

 

ちなみにですが、令和6年以降は受検資格の見直しが入りそうですね。現在、意見募集中の状況ですが、おそらく実現するのではないでしょうか。

国土交通省資料より

1級の1次検定については実務経験が不要で、19歳以上ならば受検可能になるよう現在進んでいます。詳細はまた別記事にまとめたいと思います。

第二次検定の受検資格

次に第二次検定の受検資格です。

第一次検定の合格者⇒受検資格を満たしている事。(上記の表のイロハに該当している事)
※区分二に該当している場合は、イロハの受検資格に該当していること。
・第一次検定試験の免除者
※建築士法による1級建築士試験の合格者で、なおかつ1級建築施工管理技術検定の受検資格〔上記表〕を有する者
第二次検定の受検資格は上記の通りです。

実務経験について

さて次にいろいろ問題が発生している実務経験についての解釈です。

「実務経験」とは、建築工事(建築基準法に基づく建築物等)の施工に直接的に関わる技術上の全ての職務経験をいいます。具体的には、

受注者(請負人)として施工を管理(工程管理、品質管理、安全管理等を含む)した経験
設計者等による工事監理の経験
発注者側における現場監督技術者等としての経験
○施工管理(請負者の立場での現場管理業務)
○設計監理(設計者の立場での工事監理業務)
○施工監督(発注者の立場での工事監理業務)
上記の通り、請負者だけでなく、発注者や設計者の立場での工事監理業務も実務経験として認められています
ただ施工経験記述って、施工管理者の立場以外で記述するのは少し難しいですね。(たまに聞かれる)
そして実務経験として認められる工事種別・工事内容も定められています。
建設業振興基金(受検手引き)

そして『建築施工管理の実務経験として認められない工事種別(業種)・工事内容』も定められています。

建設業振興基金(受検の手引き)

こちらが実務経験として認められていません。ですので、上記工事の経験を施工経験記述に書いても得点にならないと思いますので要注意です。

そして実務経験として認められない業務は下記の通り。

建築工事の施工に直接的に関わらない以下のような業務等は含まれません。
○工事着工以前における設計者としての基本設計、実施設計のみの業務
設計、積算、保守・点検・維持・メンテナンス、事務、営業などの業務
○測量地盤調査業務、工事現場の事務、積算、営業等の業務
○工事における雑役務のみの業務、単純な労働作業など
○研究所、学校(大学院等)、訓練所等における研究、教育または指導等の業務
○入社後の研修期間(工事現場の施工管理になりません)
○人材派遣による建設業務  (土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊もしくは解体の作業またはこれらの準備の作業に直接従事した業務は、労働者派遣事業の適用除外の業務のため不可。ただし、建築工事の施工管理業務は除く)

設計業務や積算、営業などの業務はNGです。あくまでも建築工事の施工管理業務を経験している事が必要ですね。

またその他注意する事項として、

技術検定試験の実務経験申請にあたっては、検定種目7種(建築施工管理、電気工事施工管理、土木施工管理、管工事施工管理、電気 通信工事施工管理、造園施工管理、建設機械施工)の工事の経験を、重複して申請することはできません。すなわち、ある一つの工事において複数の工種を経験した場合や、ある期間に複数の工事を経験した場合であっても、異なる工種の経験を同時期に経た等として期間を重複して申請することはできません。
これは〇〇ビル新築工事の工事経験が、建築工事と管工事施工管理業務を経験していても、どちらかの工種の実務経験として算定することになっており、重複した申請はNGになっています。私はこの点は認識不足でした。(他の技術検定資格を持っていないので問題ありませんが)
そしてもう一つ、
ある建築工事等を請け負った場合、電気工事等の専門工事を下請けに出した場合、当該工事の実務経験は建築工事としての実務経験に計上できるが、電気工事等の専門工事の実務経験として計上できない。(ただし、電気設備部門の技術者として配置されている場合は、当該技術者は電気工事の実務経験として申請できます。)
これも私は認識不足でした。建築施工管理技士の資格を取得した後に電気施工管理技士の資格取得を検討しましたが、私の実務経験では難しいと知ったのは最近です(笑)
再度、実務経験内容に不安のある方は確認をしておくことをおすすめしたいです。
つまり単純に大学卒業後、会社に入社した単純年数ではなく、
・2年は積算をやっていた。
・入社後1年は営業経験をした。
というのは実務経験には含まれませんね。

提出書類

第一次検定の受検の際(最初の受検)に必要な提出書類はなかなか面倒です。

  1. 受検申請書
  2. 住民票(住民票コードを記入した場合は不要)
  3. パスポート用証明写真1枚
  4. 受験料の振替払込受付証明書
  5. 資格証明書(合格証明書、免許証明書等)の写し
  6. 卒業証明書(原本)
  7. 『専任の監理技術者の指導のもとにおける2年以上の実務経験証明書』
  8. 『専任の主任技術者実務経験証明書』「工事請負契約書(写)」「施工体系図(写)」「現場代理人主任技術者選任届(写)」「建設業許可通知書(写)」の5点
①〜④は、受験申込者全員が提出するものです。
⑤⑥は受検資格区分イ〜ニに応じた提出書類です。
⑦⑧ は、最初の受検資格の表※1,※2の該当者のみが提出する書類で
私の場合だと、①〜④と⑥の大学の卒業証明書を提出しました。既に2級建築施工管理技士資格保持者で受検資格を得ている場合は、⑤の提出が必要になります。
⑦⑧は実務経験による2年短縮を行うので、追加での書類が必要となりますが、なかなか面倒ですね。

①の受検申請書は、A票の受検申請書B票の実務経験証明書からなりますが、このB票が実務経験を証明するものになっています。

  • 職歴を含めた実務経験年数を記載する項目(あくまでも建築施工管理に関するもののみ)
  • 1年以上の指導監督的実務経験の内容(具体的な工事と立場を記載)
  • 上記を証明する旨の会社の証明印

昨今問題になっている不正受検はここが意図的もしくは認識不足により発生しています。以降審査を含めて厳格になると思われるのでしっかり確認して記載する必要がありますね。

 

上記書類は一度提出すれば、平成15年度〜令和4年度の間に新規受験申込を行っている場合は、受検資格等の審査が済んでいますので、同じ試験区分への申込みに限りインターネット申込が可能です。ということで一度受理されれば、2回目以降の提出は不要ですが、1度で合格したいですよね。

A票とB票を書いたり、会社の証明印をもらったり、卒業証明書を取り寄せたりと準備には少し時間がかかります。締め切り直前にスタートしないように気をつけてください。ちなみに私の出身大学はインターネットで申し込んで卒業証明書の取り寄せは可能でした。(クレジット決済)

書類提出における留意事項

受検の手引きの最後にこのように記されています。

近年、実務経験証明書の虚偽記載等により、受験ができなかったり合格後に合格を取り消される例が増えています。
建設業法施行令第27条の9の規定に基づき、不正受験(申請書・証明書の虚偽記載等)が明らかとなった場合には、受験の停止や合格の取消しが行われますので、次の点にご注意のうえ、受検申請を行ってください。
●受検申請書の『実務経験内容』及び『実務経験年数』等については、受験申込者自身が記入・確認のうえ、お送りください。
●実務経験証明書の証明者は、実務経験証明書の内容等を正確に確認のうえ、証明を行ってください。
※なお、申請内容については、新規受験申込、再受験申込に関わらず、改めて当方が指定する書類を追加提出等により確認させていただくことがあります。
また以降は、企業のペナルティが課される流れとなっているので、知らなかったでは済まされなくなる恐れがあります。再度、自分の実務経験と指導監督的実務経験については正しく確認しておくべきですね。

まとめ

令和3年度より資格制度と試験制度が変わっているのはもう皆さんご存じですね。

それに伴い、1級建築施工管理技士は監理技術者として、現場の条件によっては施工管理技士補を専任で置くことにより兼任が可能になります。つまり監理技術者の役割はより重要になってきます。

一方でここ1年で大手企業で組織ぐるみで露見した実務経験不備などの不正受検問題がありました。それにより試験申込の際の受検資格の実務経験及び指導監督的経験がより厳格にチェックされるのは間違いないでしょう。すでに国土交通省も対策を進めているので、受検の際は受検の手引きを良く読み、問題ないことを確認して準備をしていく必要があります。

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↓(一財)建設業振興基金の受検の手引きを良く読みましょう。

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