資格取得(建築施工管理技士)の推進は結果的には強制だった昔の失敗経験

  • 2021年9月29日
  • 2021年9月29日
  • コラム
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私は6年前に念願の1級建築施工管理技士の資格の取得に成功しました。

ここで得た私の経験値は、知識が少なくてもしっかり勉強すれば、資格は取れるよね的な感じでした。

 

その後私は、仕事においても経営的な立場で社員に2級建築施工管理技士の資格取得を推進しました。

でも資格取得を推進したものの、受けた社員の結果はほぼ惨敗でした。

今冷静に考えると、その失敗原因は明確なんですが、なかなか合格しない社員にかなりイラついていたのも事実でした。

 

現在、資格者が社内に増えなくて、それがストレスになっている建設業経営者や管理者にも読んでいただきたい記事です。

本記事のポイント

・資格取得は勉強すれば受かるのは事実だが。
・社内で言いやすい人にのみ資格取得を推進した。
・短期講座を会社で補助
・当然、みんな不合格だった現実
・今ならこう考える

勉強すれば資格は取得できる

私が資格取得を目指した時の建築工事における知識は、

内装工事や防水工事、あとはガラスやタイル、石が少しわかる程度、それ以外には常識的な法規を知っている程度のものでした。

当然、私の周りの人間の多くもそんな感じで、躯体工事に詳しい人は皆無でした。

 

また例えばゼネコンなどの企業だと、1級建築施工管理技士の資格がないと施工管理の仕事的には必須でしょうし、そもそも施工管理の業務につけないことと思います。(サブ的な役割を除き)

 

ところが建設業全般の中では、必ずしも1級建築施工管理技士の資格がなくとも困らない業態(立場)の人も多くいます。

規模の大きくない内装工事や改修工事、専門工事の担当者はまさにそれで、会社的にも資格取得は推奨するけど必須ではないところも多いはずです。

私の所属する会社も同様で、現場経験をこなす事で資格がなくとも普段の工事は問題なく捌けます。(たまに大きな工事も受注するのであったほうが良いのは間違いないけど、現実的にはみな当事者意識がなかったように思う)

 

そういった状況下の中でも、仕事の受注状況も変わり資格者は最低限一人は必要、ということで私が自分で資格取得を目指すことになったのです。

 

そして私も合格して思ったのは、勉強すれば受かるんだから、他の社員ももっと目指して欲しいというものでした。

 

資格取得を社内で推進(やってくれそうな社員にのみ声をかけた)

資格合格後、

やっぱりこれからは建設業に従事するならば資格は必要だよね』というのが私の口癖となりました(笑)

 

そして比較的に評価の高い社員3名に資格を取ろうと言って、一応社員もその時は快諾して受けてもらうことになりました。(とりあえず2級)

 

仕事上絶対に必要ではないけど、みんなも資格は業務的に取ったほうがいろんな面で良いというのはわかってくれてはいました。だから声をかえれば、『はい、わかりました』と当初はそれなりのモチベーションはあったと思います。

でも上司の私が資格を取って、『私は取りません』とも言いにくいのも事実です。

 

まずは短期講座を申しこんだ(会社負担)

受検申し込み後、私は張り切って社員のために短期講座(2日)を申し込んであげました(笑)

2級は試験レベルは少し異なるものの、専門工事の我々からするとそれなりの勉強は必要だったけど、私は正直2級建築施工管理技士の資格を舐めてましたねw

 

彼らも張り切って短期講座に行ってきました。しかしその次の週に会社で話を聞くと、少し苦笑いしながら『結構難しいですね〜』と暗に自信のない雰囲気を匂わせます。私は難しいところがあったら相談してよ、教えるからと軽く流していました。

 

その後私も仕事は多忙だったので、たまに勉強頑張れよと言いながら、勉強の進捗を詳細に聞いたり相談を聞くこともなく試験を迎えました。

ちなみに2級は11月に学科・実地試験両方セットで受検予定だったので、当然、施工経験記述の問題もあります。

まあせめて学科試験ぐらいは受かれば良いかなと思っていました。

2年間、合格者は出なかった

まあ今思えば、こんな状態で学科も受かるはずもないですよね。

惨敗です。そして次の年もその3名のうち2名がチャレンジしましたが、、、結果は同じです。

(私の取り組み姿勢も変わらずでした)

 

・経営管理側の人間が張り切って資格取得を推進する。
・社員も言っていることは理解できるから、頑張ってチャレンジする。
・でも本音は、資格がなくても現在の仕事には全く問題ないと思っている。
・付け焼き刃の勉強で躯体工事やその他の知識は得られない。
そして普通に日常の業務では残業もあるし、そんな中モチベーション高く勉強なんてとても難しいですよね。
そして試験後しばらくして話を聞くと、学科試験の出来も悪かったので、実地試験は受けずに帰ったと。それを聞いてまた怒りが沸々とやってきたのは当時の私です。(受検費用も会社持ちだったので)
なんで資格すら取ろうと言う意識が低いんだと、この頃はかなりのストレスを抱える日々でした。

失敗してから大きく変わった今

実務経験や微妙な職務の違いもあり、資格取得は対象者全員には声をかけませんでした。当時の私に言わせると、期待している(単に言いやすい)社員にのみ資格取得を推進した。まあ実際は強制をしたんですね。

2年目はおそらく社員もかなり不満を持ちながらの資格取得だったと思います。

 

そして私といえば、彼らにとっては簡単ではない資格取得のサポートもせず、業務は通常通りにしていたのは今考えるとあり得ないですね。

 

そもそも当時の会社にとって、有資格者が増えることにより会社がどうなる(どうプラス)のか?という社内への啓蒙を全くしていませんでした。単に建設業で施工管理をするなら資格を取れ、的なメッセージでは誰もついてきませんし結果も出ませんでした。

 

・今後、もっとこんな仕事を受注していこう。
・資格者を増やして、会社の信用度を高めよう。
・そうして人が集まり労務環境をよくするぞ。
・給与もっとあげるよ(笑)
なんらかの夢のあるメッセージを伝えるのが経営管理者の役割なのに、資格をとるべき論に終始していたのは典型的ダメな管理者だったのが当時の私です。
また当時のウチの会社で、自ら資格取得に取り組み合格する胆力のある人は、もし資格取得しても他の会社へ転職していたかもしれません(笑)

最後に

専門学校の講師をしていた時の話です。

毎年の受講生の中に会社負担で受検している人も一定数います。そしてそのウチの何名かは、会社からいやいや資格を取らされている感を醸しだしながら受講しています(笑)

 

その時になって初めて、『なるほど、うまくいくわけないな』と当時の私の失敗の原因を知ることになりましたね。

 

『俺、本当は資格取りたくないけど、来ているんだよね』的な人は、やはり専門学校に通ってもなかなか合格しません。そもそも自分から強く向上していこうという感じが全くありません(全ての人がそうではないですよ)

 

企業として資格者を増やしたい時、

・どんなメッセージを社員に送れるか?
・社員はどう感じているか?(このヒアリングは重要)
・またそれをどうやって変えていくか?(共有できる目標が必要)
・結果的に、社員が幸せになれるか?(その会社にいて、そして建設業に従事して)
特に最後の、『社員が幸せになれるか』という部分が必要なのかなと思います。
建設業従事者は、
・労務環境は良くない。
・高齢者が多く、なかなか若い子が入ってこない。
これは本当に強く感じています。
資格者が先か、上記の改善が先かという問題はありますが、業界的に変わっていきたいですね。
私のそういう自分の無力な時代の経験から、企業向けサポートをしたいと考えて提供するのが下記のサービスです。
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