【2023年】1級建築施工管理技士 第二次検定対策〜2.仮設計画・安全管理

2023年(令和5年)に実施される1級建築施工管理技士・第二次検定、各問題毎の対策として出題傾向をまとめていきたいと思います。

まずは例年の問題2 仮設計画・安全管理についてです。

 

例年の傾向として、問題2は年度毎に仮設計画と安全管理が交互に出題されています

確率の高い出題内容にフォーカスして勉強をしていく事も大事です。

本記事のポイント

・過去にどんな問題が出題されているか?
・安全管理と仮設計画の過去問と解答例

問題2の年度毎の出題内容の分析

 

↑こちらにも全体の出題傾向をさくっとまとめています。

問題2における出題内容を12年間に渡って遡ってみました。

年度 出題種別 No 問題
令和4年
(2022年)
安全管理 1 墜落,  転落による災害
2 崩壊,  倒壊による災害
3 移動式クレーンによる災害
令和3年
(2021年)
仮設計画 1 仮設ゴンドラ
2 場内仮設事務所
3 工事ゲート(車両出入口)
令和2年
(2020年)
安全管理 1 外部枠組足場
2 コンクリートポンプ車
3 建設用リフト
令和元年
(2019年)
仮設計画 1 荷受け構台
2 鋼板製仮囲い(ゲート及び通用口を除く)
3 工事用エレベーター
平成30年
(2018年)
安全管理 1 墜落、転落による災害
2 電気による災害
3 車両系建設機械による災害
平成29年
(2017年)
仮設計画 1 つり足場
2 起伏式(ジブ)タワークレーン
3 仮設ゴンドラ
平成28年
(2016年)
安全管理 1 ロングスパンエレベーター
2 高所作業車(クローラ式の垂直昇降型)
3 バックホウ
平成27年
(2015年)
仮設計画 1 外部枠組足場
2 仮設電力設備
3 荷受け構台
平成26年
(2014年)
安全管理 1 墜落災害
2 崩壊・倒壊災害
3 重機関連災害
平成25年
(2013年)
仮設計画 1 場内仮設事務所
2 場内仮設道路
3 鋼板製仮囲い(ゲート及び通用口を除く)
平成24年
(2012年)
安全管理 1 移動式クレーン
2 移動式足場(ローリングタワー)
3 交流アーク溶接機
平成23年
(2011年)
仮設計画 1 ゲート(車両出入口)
2 外部足場
3 揚重機
平成22年
(2010年)
安全管理 1 墜落災害
2 飛来・落下災害
3 崩壊・倒壊災害

令和4年の安全管理の問題は移動式クレーンの災害以外は既出ですね。(平成24年の移動式クレーンは、機械又は設備を使用して作業を行う場合,作業開始前の安全点検事項をそれぞれ 2つなので少し記述が異なる。)

仮設計画・・・設置計画にあたり、留意又は検討すべき事項を2つ記載する問題。

安全管理・・・災害の発生する恐れのなる状況や作業の内容と災害を防止するための対策を2つ記載する問題。(平成22年、26年、30年、平成4年)
       設備又は機械を安全に使用するための留意事項を2つ記載する問題。(平成24年、平成28年・令和2年)

という出題形式で、奇数年が仮設計画、偶数年が安全管理の問題が出題されています。

この傾向で考えると、2023年度は『仮設計画』の出題の可能性が高いですね。

個人的に、下記に記載している通り、安全管理の出題は2種類あるので、仮設計画の問題の方が取り組みやすいかなと個人的には思っています。

 

ちなみに『安全管理』に関しては、

  1. 災害を防止するための対策を記述する問題(墜落災害など)
  2. 設備や機械を安全に使用するための留意事項(移動式クレーンなど)
の2パターンがあります。
令和3年はこのうち災害を防止するための対策を記述する問題が出題されました。
またの場合、例えば昨年の『外部枠組足場』(安全管理)は、平成27年の『外部枠組足場』(仮設計画)と同じ用語の問題です。
仮設計画も当然、安全に留意した設置計画の記述になるので、問題としてはほぼ同じと考えて良いでしょう。

 

また過去10年の傾向の中で、それぞれ『安全管理』と『施工計画』が交互に出題されているので、実質5年ずつ出題されているが、それでも重複して同じ問題が出題されています。

  • まず過去に出題された用語・内容について記述出来るよう繰り返し演習。
  • 第一次検定対策で学んだ仮設・安全管理に関する内容(留意事項)を文章で記述出来る練習。

と言った所がポイントになるかと思います。

そして『足場』、『揚重機系』など、何種類かの出題がなされていますが、まずは共通項目をまず覚えて、それぞれの違いを理解しながら覚えていくと良いでしょう。

仮設計画や安全管理に関する問題の解答は、労働安全衛生規則の各作業毎の安全基準(第二編)が参考になるかと思います。

 

出題された問題とその解答例

具体的な問題の取り組んでみましょう。

安全管理は今年出題される可能性の高い、災害対策の問題を取り上げておきます。

平成30年(安全管理)

問題2 建築工事における次の 1. から 3. の災害について,施工計画に当たり事前に検討した災害の発生するおそれのある状況や作業の内容と災害を防止するための対策を,それぞれ 2つ具体的に記述しなさい。
ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とする。 また,安全帯や保護帽の使用,朝礼時の注意喚起,点検や整備などの日常管理,安全衛生管理組織,新規入場者教育,資格や免許に関する記述は除くものとする。

① 墜落、転落による災害

解答・解説
(解答例)
(1)外部足場などでの作業の場合、作業床などの墜落の危険のある場所は、85cm以上の手すり及び中さん、幅木などを設けて墜落や転落を防止する。
(2)足場材の緊結、取り外し、受渡し等の作業においては墜落防止のため、幅40cm以上の作業床を設ける。

(解説)

墜落の可能性の高い場所は、主に足場や高所作業車などの高い場所での作業。各種足場などの墜落防止の対策をきっちり理解しておきましょう。
※解答は労働安全衛生規則より

② 電気による災害

解答・解説
(解答例)
(1)交流アーク溶接機などを利用する際は、湿気やほこりの少ない場所に設置を検討し、感電を防止するために作業から近い場所にアースを取り付ける。
(2)工具を利用する電源回路には必ず漏電遮断器を取り付け、絶縁の低下、損傷などによる電気の漏電事故を未然に防ぐよう検討する。

(解説)
その他として、
・移動電線に接続する手持型の電灯等は、口金に接触することによる感電の危険及び電球の破損による危険を防止するため、ガードを取り付けなければならない。
・仮設の配線又は移動電線を通路面において使用してはならない。ただし、絶縁被覆の損傷のおそれのない状態で使用するときは、この限りでない。電気による危険の防止も労働安全衛生規則に記載されています。(第2編・第5章)
(1)の解答の交流アーク溶接については、平成24年にも出題されています。セットで理解しておくと良いでしょう。

③  車両系建設機械による災害

解答・解説
(解答例)
(1)運転者が運転位置から離れる場合は、バケットなどの作業装置を地上に下ろし、原動機を止めてブレーキを止め逸走を防止する。
(2)車両用建設機械の運転の際に、誘導者を配置するときは、一定の合図を定め誘導者に当該合図を行わせなければならない。また運転者はその合図に従わなければならない。

(解説)その他として、
・車両系建設機械を用いて作業を行なう際は、運転中の車両に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に、労働者を立ち入らせてはならない。
・車両系建設機械を用いて作業を行う時は、転倒又は転落による労働者の危険を防止するため、路肩の崩壊を防止すること、必要な幅員を保持等の措置をとる。車両用建設機械も労働安全衛生規則に各種危険の防止に関する事項が記載されています。ここで自分の覚えやすい内容をリストアップすると良いでしょう。

令和元年(仮設計画)

仮設計画は令和元年の問題を取り上げます。

問題2 次の 1. から 3. の建築工事における仮設物について,設置計画の作成に当たり検討すべき事項を,それぞれ 2つ,留意点とともに具体的に記述しなさい。
ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,申請手続,届出及び運用管理に関する記述は除くものとする。 また,使用資機材に不良品はないものとする。

① 荷受け構台

解答・解説
(解答例)
(1)揚重する資材の数量や寸法、形状を考慮した規模を計画して、また資材の重量及び作業員の荷重を考慮して、積載荷重に対応しうるよう検討する。
(2)墜落、飛来落下防止のため、構台には幅木・中さん・手すりを設けて、また躯体と構台の隙間にはネットの設置を検討する。

(解説)その他、
・使用する材料は、木材にあっては割れ、腐れ、著しい断面欠損、曲がり等、鋼材にあっては著しい断面欠損、曲がり等構造耐力上決定のないものを用いる。荷受け構台は建築工事監理指針の荷受け構台の項、もしくは労働安全衛生規則第2編11章の作業構台を参照すると良い。

② 鋼板製仮囲い(ゲート及び通用口を除く)

解答・解説
(解答例)
(1)設置場所の地盤の状況を確認して、もし地盤が安定していない場合は、コンクリート基礎などの補強を検討する。
(2)強風などで倒壊などの事故が起こらないように、仮囲い上部には風圧を軽減するために網などを設け、また控えパイプと埋込み材との緊結がしっかり行われているかを確認する。

(解説)

平成25年も出題されている頻出問題です。そして第一次検定対策でも覚えておくべき事項ですね。
建築基準法施行令、建築工事監理指針などに軽く記載されています。

③ 工事用エレベーター

解答・解説
(解答例)
(1)積載物の最大荷重に応じた定格荷重、最大寸法に応じた荷台面積とし、積載物が荷台から出ない機種選定を行う。
(2)設置場所は水平堅固な地盤面の設置場所を計画し、壁つなぎを確実に取り、倒壊、落下がないように留意する。

(解説)
その他、
・屋外設置の際は、瞬間風速が毎秒35mをこえる風が吹く恐れがある場合、、控えの数を増す等その倒壊を防止するための措置を講じなければならない。工事用エレベーターについてはクレーン等安全規則の第5章に記載されています。
揚重機械の設置に際しての留意事項は、積載物の最大寸法や最大荷重に留意の上、それを超えない選定や管理をする必要があります。
それを共通事項として頭に入れておきましょう。(乗入れ構台なども同様ですね)

まとめ

普段より工事計画(仮設計画)安全管理に携わっている方であれば、多少勉強すれば難しい問題ではないと思います。ただしこの分野があまり得意でない業種の方もいるでしょう。問題は3問出題され、そしてそれぞれ留意事項、もしくは必要な対策を2つ記述する必要があり、自分で文章が書けるようになる必要があります。

この問題、まれに『実施した』など、経験記述の内容のように記述していまう人もいますが、あくまでも留意事項必要な対策を書く問題です。『〜に留意する』、『〜を検討する』のように現在形で記述しましょう。

今年出題の可能性の高い分野を中心に、テキストで知識をインプットしながら、ある程度慣れてきたら、ノートに書きながら記憶を定着させる必要のある分野です。まずは過去問を中心に取り組んでいくと良いと思います。

テキストや問題集に記載されている解答例だと覚えにくいな、という場合は、

などで自分なりに記述出来そうな内容を探してみるのも良いと思います。
労働安全衛生規則やクレーン等安全規則・建築基準法施行令はホームページで見れます。
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