さて、施工経験記述の問題1-2の傾向と対策シリーズです。『建設副産物』に続き今回は『品質管理』の問題1-2の傾向とその対策についてまとめたいと思います。
施工経験記述は2つの問題から構成されていて、
問題1-2 工事概要にあげた工事にかかわらず, あなたの今日までの工事経験に照らして
品質管理の問題は、10年間で令和元年、平成28年、平成26年、平成23年と4回に渡って出題されています。
・品質管理の問題1-2はどんな問題が出題されているか?
・過去10年を振り返る
・どんな対策を取るべきか?
施工経験記述問題1-2
第二次検定の問題1 施工経験記述は、例年問題1-1と問題1-2と2問出題されています。
施工経験記述の問題は、
- まず自分の経験した工事の工事概要(工事名他)を記述する。
- 問題1-1の経験記述は上記の工事概要で経験した内容の記述をする。
- 問題1-2は工事概要以外の内容での工事経験の記述でも良い。
施工の合理化・建設副産物の記事でも書きましたが、この品質管理の出題も同様です。
工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、
では過去10年間で4回出題された問題の確認をしてみます。
過去4回分の問題1-2の検証
平成23年度(2011年)
① 現場作業所で品質管理活動を組織的に行うには,どのようにしたら良いと思いますか,あなた の考えを記述しなさい。
② クレーム等のない, 顧客の信頼を得られる建物を提供することは, 施工者にとってどのような意味を持ちますか,あなたの考えを記述しなさい。
- 品質管理を組織的にどのように行うべきか?
- 品質の良い建物を顧客に提供する意義。
現場事務所における組織的な活動とは、施工管理者のあなた、作業所内の社員、各工事における協力会社、または本社の品質管理系の担当者などが考えられます。そういった組織の中で、あなたは普段からどのような意識で取り組んでいるかを堂々と書いて欲しいですね。
『こうすべきである』『このように考えている』的な感じです。『このように実施した』という書き方ではダメですよ。
また②は品質の良い建物を提供すると、顧客からは喜ばれますし、社会的な意義も多いですよね。自分が顧客から喜ばれ信頼を得たと感じた時にどのように思いましたか?まずは自分の考えを整理してもらいたいですね。
- 記述例
- ① 各工種毎に品質管理の重点管理項目と目標管理値を設定して施工計画書を作成する。それに基づき、本社品質管理担当と協力会社とも共有し、必要に応じて各項目を見直して品質管理活動を進めていくべきである。
② 品質の良い建物を提供していけば、必然的に会社・事業所、ひいては個人の信用度も高まる。そうすると以降の仕事の新たな受注に繋がり、結果、会社として技術向上へのモチベーションにもつながっていく。
平成26年度
① 作業所における組織的な品質管理活動は,どのように行ったら良いと思いますか,あなたの考えを 記述しなさい。
② 組織的な品質管理活動を行うことにより,どのような効果が得られると思いますか,あなたの考えを 記述しなさい。
- 施工管理者(あなた)、同僚、協力会社、本社との品質管理目標の共有(どの現場でも)
- 上記を積み重ねる事によるノウハウや品質管理の社内における蓄積。
- 上記活動の継続により、常に安定した品質の良い建物の提供は社会的な信頼にも繋がる。
こういった内容をベースに自分の事例を検討してみてください。(それを自分の考えとして文章にする)
- 記述例
- ① 設計監理者の要求する品質に対しては、本社品質管理担当者、作業所、協力会社との打ち合わせを重ねて、品質管理項目、目標管理値、また管理方法を明確に掲げ共有することにより、関係者全てで取り組んで工事を進めていくべきである。
② 要求する品質を関係者全員で共有し取り組むことにより、スムーズに工事を進捗する事が出来て手戻りも少なくなり、結果として品質の高い建物を提供することが可能になり、企業としての信頼度も高まっていく。
平成28年度(2016年)
なお,1.③の 「実施した内容」 と同一の記述は不可とする。
- どのようにして、協力会社に品質管理内容(目標・項目)を周知(正しく伝達)しているか。
- また上記の目標・項目がその通りに実施施工されているか、あなたはどのように確認しているか?
施工管理者は、『この目標と管理項目通りにやりなさい』と指示して終わりではなく、実際にその通りの品質の施工が出来ているか確認する必要があります。ましてや施工した後に塞がれて見えなくなる部分は特に記録も大事です。
きっちり確認と記録を行い、品質については問題ないと確認しながら工事を進めていくのが施工管理者の重要な役割ですね。
- 記述例
- ① 品質管理項目と目標管理値を反映した施工計画書を作成し、各工事着手前にそれに基づいた打ち合わせを行う。工事実施段階での朝会ではチェックシートに基づき、各作業員に最終確認を行い、漏れのないように周知する。
② まず協力会社はチェックリストに基づいた施工と自主検査を行う。その後定めた目標管理値に基づき、各種試験・検査を行い、チェックリストに記録を残して問題ないことを確認して次工程に進めていく。
令和元年(2019年)
① 作業所において,組織的な品質管理を行うための方法や手段
② ①の方法や手段で組織的な品質管理を行うことによって得られる効果
- 組織的な品質管理を行うための方法や手段。
- 上記によって得られる効果。
②は平成26年度と同じ問題です。
①も基本的には大きく変わりませんが、
- 記述例
- ① 良い品質の建物を提供するために、本社の品質管理担当者も交えて、作業所の所員と協力会社、そして工事監理者を含めて打ち合わせを行い、施工手順・重点管理項目・目標管理値・検査確認のタイミングなどを共有し、工事関係者が一丸となって品質管理活動に取り組む。
② 関係者全員による品質管理活動の取り組みにより、コミュニケーション不足による工事の手戻りもなく、また課題解決が必要な場面でも活発なコミュニケーションで情報共有レベルが高まり、結果として品質向上にもつながる。
まあどれも似たような記述文になりがちですが、
あくまでも個人で完結するのではなく、一人の施工管理者として『組織をうまく生かした品質管理活動の取り組み』をイメージして書いてみると良いと思います。
対策シュミレーション
この4問を見る限り、『品質管理』の問題1-2の出題傾向はある程度決まっていますね。
・それを取り組んだ上で得られる効果。
- 組織の一員の中で、きっちり役割を明確化した上で品質管理に取り組んでいるか?
- またあなた(組織における)が立てた目標・管理項目が、会社・協力会社に正しく伝えられているか?
- 実施されたものに対して、あなたはきっちり品質が確保できているかが確認出来ているか?
- 上記の取り組みの結果、会社とあなたはどんな効果が得られているか?
この4つのポイントをきっちり押さえておきながら、自分の考えを明確に文章で記述できるようになれば、ベストです。
まとめ
品質管理の問題1-2は、この10年間の傾向は極めて明確です。