今回は、2023年1級建築施工管理技士 技術検定の第二次検定対策の問題6 建築法規に関する問題です。
第一次検定でも建築に関する色んな法規が出題されていますが、この第二次検定はここ最近出題される法規はほぼ固定となっています。
令和2年までの問題は、空欄に適切な語句・数値を記述する問題でしたが、昨年(令和3年)より、空欄に入れるべき語句を5つの選択肢より選ぶ問題になりました。(五肢一択)
・どんな法規が出題されているの?
・問題の内容は?
問題5 法規の出題内容
過去8年間(平成25年〜令和3年)に出題されている法規は下記の通り固定されています。
- 建設業法
- 建築基準法施行令
- 労働安全衛生法
この3問に対して、それぞれ空欄が2つあり(計6個)それを埋める問題です。(昨年から五肢一択の選択問題になった)
平成24年は下記の通り
- 建設業法
- 労働安全衛生法
この2問×3で計6つの解答で、建設業法は施工台帳作成と技術者の配置について解答が必要な少し難しい問題で、労働安全衛生法は例年通り空欄埋めでした。
平成22年〜23年は下記の通り。
- 建設業法
- 建設業法
- 労働安全衛生法
3問×2個空欄を埋めて計6つの解答です。つまり平成25年から建築基準法施行令が増えている形ですね。
今後のことはわかりませんが、基本的に上記3つの法規(過去問主体)をメインに取り組むので良いと思います。
ちなみに第一次検定は建設業法・建築基準法・労働安全衛生法の他、労働基準法やその他多種の法規が出題されています。(上記記事参照)
過去問題3年分(2021年・2019年・2017年)
令和3年(2021年)、令和元年(2019年)と平成29年(2017年)の出題された問題をみてみましょう。
令和3年(2021年)の出題
第24条 委託その他いかなる( ① )をもってするかを問わず、( ② )を得て建設工事の完成を、目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。


- 解答・解説
- (解答)① ④名義 ② ①報酬
(解説)(24条)委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
※24条は24条の4,5,6,7は過去に出題されていますが、24条はここ10年では初の出題でした。
感覚的に②は正解取りたいですね。
第136条の6 建築物の建て方を行なうに当たっては、仮筋かいを取り付ける等荷重又は外力による( ③ )を防止するための措置を講じなければならない。
2 鉄骨造の建築物の建て方の( ④ )は、荷重及び外力に対して安全なものとしなければならない。
- 解答・解説
- (解答)③ ⑤倒壊 ④ ③仮締
(解説)136条の6 建築物の建て方を行なうに当たつては、仮筋かいを取り付ける等荷重又は外力による倒壊を防止するための措置を講じなければならない。
2 鉄骨造の建築物の建て方の仮締は、荷重及び外力に対して安全なものとしなければならない。
※平成28年に136条の6の1は出題されていますが、2は初めてですね。
関連条文は読んでおきたいですね。
第29条 元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な( ⑤ )を行わなければならない。
2 元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、( ⑥ )のため必要な指示を行わなければならない。
3 (略)
- 解答・解説
- (解答)⑤ ③指導 ⑥ ②是正
(解説)第29条 元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行なわなければならない。
2 元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行なわなければならない。
3 前項の指示を受けた関係請負人又はその労働者は、当該指示に従わなければならない。
※29条の2(これとは別の条文)は過去2度出題あり。これは初めてです。
令和元年(2019年)の出題
1. 「建設業法」 に基づく主任技術者及び監理技術者の職務等に関する次の文章において,( ① )( ② ) に当てはまる語句を記入しなさい。
- 解答・解説
- 解答 ① 施工計画 ② 指導監督
解説 建設業法第26条の3(主任技術者及び監理技術者の職務)ですね。
平成28年も同様の条文から出題されています。(空欄は一つ異なるが)
ただし2020年10月1日の改正でただし書き規定により、下記内容が追記されています。
監理技術者の職務を補佐する者(以下、「監理技術者補佐」という。)を専任で配置することによって監理技術者が兼任
できることとなりますが、当面の間、次の(1)から(4)の兼任基準を全て満たす場合において、監理技術者を兼任できる
ものとします。
(1) 兼任しようとする工事に監理技術者補佐を専任で配置すること。
(2) 密接な関係のある工事であること。
(3) 工事現場の相互の間隔が、10km程度の近接した場所であること。
(4) 兼任しようとする工事の数が2件であること。
※監理技術者補佐とは、1級技士補以上の資格を有する者であり、監理技術者の職務を補佐する者。※北海道建設部HPより引用
2. 「建築基準法施行令」 に基づく落下物に対する防護に関する次の文章において,( ③ )( ④ ) に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。
- 解答・解説
- 解答 ③ 5 ④ 鉄網
解説 建築基準法第136条の5(落下物からの防護)です。これも過去問で平成26年、25年より同条文が出題されています。
3. 「労働安全衛生法」 に基づく特定元方事業者等の講ずべき措置に関する次の文章において,( ⑤ )( ⑥ ) に当てはまる語句を記入しなさい。
- 解答・解説
- 解答 ⑤ 労働災害 ⑥ 協議組織
解説 労働安全衛生法30条(特定元方事業者の構ずべき措置)からの出題です。平成26年に同条文が出題されています。
平成29年(2017年)の出題
1. 「建設業法」 に基づく元請負人の義務に関する次の文章において,( ① )( ② ) に当てはまる語句を記入しなさい。
- 解答・解説
- 解答 ① 分担 ② 施工体系図
解説 建設業法24条7の4の条文です。平成22年の24条の7の1から出題されているので、この24条の7は一通り頭に入れましょう。
2. 「建築基準法施行令」 に基づく工事現場の危害の防止に関する次の文章において,( ③ )( ④ ) に当てはまる語句を記入しなさい。
- 解答・解説
- 解答 ① 排水 ② 沈下
解説 建設基準法第136条の3(根切り工事、山留め工事等を行う場合の危害の防止)の6からの出題です。
この問題は過去10年ではこの年のみの出題です。建築基準法からの出題は基本的には第136条からのみなのですが、
それだけでもかなりのボリュームなので、第136条2の20、3、4、5、6、7、8の工事現場の危害の防止に関する
条文を優先して覚えましょう。
3. 「労働安全衛生法」 に基づく労働者の就業に当たっての措置に関する次の文章において,( ⑤ )( ⑥ ) に当てはまる語句を記入しなさい。
一 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること
二 労働者に対する ( ⑤ ) 又は監督の方法に関すること
三 前二号に掲げるもののほか,( ⑥ ) を防止するため必要な事項で,厚生労働省令で定めるもの
- 解答・解説
- 解答 ① 指導 ② 労働災害
解説 労働安全衛生法の第60条(職長教育)に関する出題です。
平成25年も同じ条文が出題されています。
3年分の出題に関してチェックしましたがいかがでしょうか?
そして同じ条文が出題されたとしても、空欄が同じ場所とは限らないので、ポイントになる語句・数値を記憶する必要があります。
まとめ
第6問目の法規についての勉強ですが、
- 過去10年間の過去問題(建設業法・労働安全衛生法・建築基準法施行令)を解いて、理解を深める。
- 過去問で出た内容は、穴埋めの暗記だけでなく、文章全体で理解をしておくこと。(同じ条文は頻出されていますが、空欄を埋める箇所は必ずしも同じではありません)
- 過去に出題された問題の条文ですが、同じ第○条における他の項目も読み通しておくことが望ましい。
基本的には過去問をベースにその近接する条文の取り組みが出来ればベストです。
当然、今まで出題された内容とは全く異なる部分から出題されることもありますが、そこは私ならばもう割り切って諦めます。
下記の記事は過去10年分の出題が、どの法規の○条から出題されているかを下記の記事でまとめています。
私が1級建築施工管理技士の実施試験対策の勉強をしている時、あまり得意ではなかったのが『法規』の問題です。実際に試験の際も正答は6問中2問か3問だったように記憶しています。 その原因は正しい用語・語句を記憶していなかったからです[…]
また例えば、正しい解答が、『注文者』となっている場合、『発注者』と記述してしまうと、間違いです。あくまでも条文通りの語句で記憶する必要があります。
いずれも施工管理者にとっては必要な法規が出題されるので、きっちり取り組んでいきましょう。
最後に2020年(令和2年)に一部建設業法が改正されています。それはまた別の記事で取り上げようと思います。