施工経験記述の問題は、
問題1-2 工事概要にあげた工事にかかわらず, あなたの今日までの工事経験に照らして
例年、この2つの問題構成で出題されています。
問題1-1はいわゆる施工経験記述のキモとなる問題で、みなさんが一番対策を取っていると思われる課題ですが、問題1-2はあなたの経験値と知識の中で普段より行っている対策について記述する問題です。
今回は『建設副産物』の問題1-2の対策についてまとめたいと思います。
この『建設副産物』は平成24年度(2012年)、平成27年度(2015年)、平成30年度(2018年)と過去10年で3回出題されているので、その出題傾向を把握しながら準備したいですね。
施工経験記述問題1-2
第二次検定の問題1 施工経験記述は、例年問題1-1と問題1-2と2問出題されています。
施工経験記述の問題は、
- まず自分の経験した工事の工事概要(工事名他)を記述する。(指導監督的実務経験に該当する工事である事)
- 問題1-1の経験記述は上記の工事概要で経験した内容の記述をする。
- 問題1-2は工事概要以外の内容での工事経験の記述でも良い。
施工の合理化の記事でも書きましたが、この建設副産物の出題も同様です。
工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、
過去3年分の問題1-2の検証
平成24年度(2012年)
[環境問題]
・地球温暖化
・熱帯林の減少
・水質汚染
- 地球温暖化
- 熱帯林の減少
- 水質汚染
この3つから2つを選択肢し、どのような取り組みを行うべきかを解答する問題です。過去の経験で得たきたことをベースに自分の考えを記述する問題です。
ただし上記対策で出来ることは比較的限られてますね。(建築工事において)
- 記述例
- 【地球温暖化】
・現場の従業員及び作業員の車での通勤を減らし、電車やバスなどの公共交通機関での通勤を推進する。
・工事事務所や詰所などの仮設事務所は、外断熱の構造を検討し、冬季の暖房の負荷を低減するよう務める。
【熱帯林の減少】
・床型枠などは木の合板型枠を極力使用せずに、フラットデッキなどを使用する。
・現場での足場板は、合板製のものを利用せず、耐久性があり何度も利用できるアルミ製足場板を利用する。
【水質汚染】
・左官工事で使用する洗浄用の水は、いったん濾過しpHが基準以下になることを確認した上で排水する。
これは一般的な知識として記憶にとどめる程度で良いでしょう。
平成27年度(2015年)
ただし、留意事項はそれぞれ異なる内容の記述とする。
- 記述例
- ①(産業廃棄物)
せっこうボード
(適正処分における留意事項)
解体した石膏ボードの端材は、状態の良い石膏ボードと、湿気で腐ったものや異物が混じった石膏ボードをそれぞれ別のコンテナで分別を行い、再生利用の出来ない石膏ボードは管理型処理場にて処分を行った。
②(産業廃棄物)
産業廃棄物全般
(適正処分における留意事項)
現場では、紙くず、廃プラスティック、木くず、金属くず、ガラスなどは他の材料と混在しないよう分別を徹底して行い、極力再生利用できるものは専門業者に引き取らせ、分別不可能な混合廃棄物はマニュフェスト を発行の上、適正に廃棄処分を行う。
平成27年度は特に『分別』が解答のキーになっています。
※適正処分は建設副産物の中で、発生抑制、再使用、再生利用、熱回収が出来ない最後に残った副産物を法規にのっとり適正に処分を行うことです。
平成30年度(2018年)
ただし、2つの事例は異なる内容の記述とする。
- 実施したこと
- それを適切に実施するための留意事項
この2点を正しく記述する必要があります。
適正な処理と平成27年の適正処分は少し意味が異なります。
建設廃棄物処理指針では、
- 「処理」とは、分別、保管、収集、運搬、再生、処分等をいう。
- 「処分」とは、中間処理と最終処分をいう。「中間処理」とは、減量・減容化、安定化・無害化等を目的として行う処理をいう。「最終処分」とは、埋立処分、海洋投入処分又は再生をいう。
この適正な処理とは、分別や保管、再生に関する記述でも問題ない(良い)、ということがわかります。
では解答例を2つだけ。
- 記述例
- (1)現場で発生した段ボール、金属くず、木くずなどは、分別回収を徹底して、それぞれ専門の業者に引き取らせて再生利用されるよう努めた。また分別回収は専用のコンテナを設置し、間違えて異なる材料が入らないようカラーシールを貼って、混在しないように作業員にも周知した。
(2)最終的に分別できない廃棄物はマニュフェストを発行して、廃棄物の名称、数量、運搬業者、処分業者がわかるように記載し、適正に処分を行った。また契約した処分業者については、最終処分場の現場確認を行った上で廃棄を取り進め、A票と運搬・処分業者からのB2、D、E票の照合を行い適正に処分された事を確認し、書類を保管した。
対策シュミレーション
過去の傾向が平成24年までと、平成27年以降で異なっています。
ちなみに、平成21年度は、
二酸化炭素抑制のための具体的対策を4つ記述するという問題でした。
昨今の傾向を考慮すると、この地球温暖化対策の問題は出題される可能性は低そうですが、一般的な知識として、地球温暖化(CO2抑制)・熱帯林の減少・水質汚染の現場における対策は、さらっと知識として覚えておけば良いでしょう。
あくまでも世間一般的な対策のみで良いと思います。(個人的にはあまり重視する必要はないと思っています)
平成27年度、30年度は
- 分別された産業廃棄物の適正処分
- 建設廃棄物の適正な処理
となっています。ちなみにこの年度の問題1-1は
- 平成27年度は発生抑制×2つ、再生利用×1と計3つの自分の経験を記述する問題
- 平成30年度は発生抑制、再使用、再生利用から3つ選んで自分の経験を記述する問題(重複OK)
となっています。つまり上記を踏まえて、下記の準備が必要です。
『建設副産物対策』の問題は、
- 発生抑制(2つ)
- 再使用(1つ)
- 再生利用(1つ)
- 熱回収(1つ)⇒個人的にはなくても良いと思うが。
- 適正処分(1つ)
理想を言うと、上記の5つの建設副産物対策を記述できる準備をしておく事がベストです。(例えば発生抑制は過去問にあったように2つを記述出来るのは必須です)
- 上記の5つの用語の意味をきっちり理解する。
- 現場で適正に分別を行い、それをどう処理しているかの上記記述パターンを準備する。
建設副産物については国土交通省や役所もある程度、発生材の処理についてのガイドラインがあります。それに基づいた発生材の適正な処理の記述が出来れば良いでしょう。
例えばこれは千葉県の建設副産物の処理基準となっています。発生する副産物はどう処理されるべきかの基準が書かれています。このような部分から自分の事例に落とし込めれば良いかと思います。(ここでの再資源化とは再生利用と考えて良いです)
記述するポイントは、
- 適正処分は、廃棄物が正しく廃棄されたかのエビデンスがありそれが確認・記録出来ているか。
- 再生利用は、厳格にわかりやすく現場で分別が徹底され、再生利用される発生材が適正に保管管理して、引き取られているか。
このあたりをきっちり押さえておきましょう。
まとめ
建設副産物は5つの対策、
- 発生抑制
- 再使用
- 再生利用
- 熱回収
- 適正処分
この5つの用語の意味、運用を施工管理者が十分に理解している前提で、法(建設リサイクル法)に基づいて建設工事において、それを正しく行っているか、を問われる内容です。意外とこの5つの言葉の正しい意味、使い方が理解出来ていない場合が多いように感じます。
2022年度(令和4年)1級建築施工管理技士の第二次検定対策の施工経験記述対策、今回は『建設副産物』です。 もともと昨年度は、順当に行けば(単純に順番的に)『建設副産物』が可能性が高く、その準備をしていた方も多かったと思います[…]
上記に記事でも書いておりますが、まず言葉の意味と違いを最初に理解しておきましょう。特に再使用と再生利用の使い方を間違えないよう注意してください。