当サイトではここ10年の施工経験記述に出題されている3つのテーマ(品質管理・施工の合理化・建設副産物対策)についてはまとめているが、あくまでも問題1-1の対策のみでした。今回、施工経験記述の問題1-2の過去の出題内容とその対策について考えてみました。
この問題1-2も遡ってみるとある程度の傾向と対策があるので、出たところ勝負ではなくきっちり準備をしておくべきですね。今回は『施工の合理化』の問題1-2についてです。
・施工経験記述問題1-2はどんな問題か?
・過去に出題された内容
・どんな準備をすべきか?
施工経験記述問題1-2
第二次検定の問題1 施工経験記述は、例年問題1-1と問題1-2と2問出題されています。
施工経験記述の問題は、
- まず自分の経験した工事の工事概要(工事名他)を記述する。
- 問題1-1の経験記述は上記の工事概要で経験した内容の記述をする。
- 問題1-2は記載した工事概要以外の内容での工事経験の記述でも良い。
工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、
過去4年分の問題1-2の検証
平成22年度(2010年)
ただし、1.の② 「実施した内容」と重複しないこと。
① 工期短縮に効果がある施工の合理化の内容と工期短縮となる理由
② 省力化に効果がある施工の合理化の内容と省力化となる理由
『品質を確保した』上で行う、
- 工期短縮
- 省力化
に効果のある『施工の合理化の内容』とそうなる『理由』を記述する問題です。この問題の解答は、
- 工期短縮又は省力化につながる施工の合理化の工事の内容。
- それが品質が確保出来ている前提であること。
- また具体的になぜ工期短縮や省力化になるのかの理由を明確にする。
この3つの内容が文章に明確に含まれれば問題ないでしょう。
- 解答例
- ①外壁タイル工事はPC板先付け工法を採用する事により、PC板製造工場でコンクリートと一体で打ち込む事によって、接着強度や仕上がりが良いばかりでなく、現場の足場での外壁タイル施工が不要になるので大きな工期短縮にもつながるため。
②事務所ビルの間仕切りは各フロア全て天井高が同じ場合、軽量鉄骨下地とプラスターボードは採寸してプレカットで納入して施工を行えば、現場での加工・切断作業が大幅に削減され、品質も問題なく、作業員の省力化にもつながるため。
平成25年度(2013年)
ただし、現在一般的に行われている躯体・仕上げ材料のプレカットに関する記述は除くものと する。
また、上記 1.の②実施した内容及び③合理化に結び付く理由と同じ内容の記述は不可とする。
- 施工の合理化になる施工方法
- それが効果的であると考える理由
この問題の解答は、
- 建設資材廃棄物が縮減できる施工の合理化の内容(施工方法)
- それがなぜ建設資材廃棄物が減らせるかの理由を記述する。
この2つを明確に文章にできれば問題ありません。施工の合理化だからと言って、必要以上に工期短縮とか省力化などを強調しないように気をつけましょう。この年度の出題は、プレカットについての記述は得点が取れないので注意です。
- 解答例
- ①合板スラブ型枠ではなく、支保工の組み立てや解体が不要で、スラブ型枠の解体作業のないフラットデッキスラブ工法で施工の合理化を行う。
②合板型枠の切断や加工作業がなくなる事により、その端材が発生しないだけでなく、型枠解体後に発生する型枠材の発生抑制にもつながるため。
平成29年度(2017年)
次に平成29年度の問題です。
ただし、1の②から④と同じ内容の記述は不可とする。
① 施工方法
② そう考える理由
『品質を確保した』上で『建設資材廃棄物の発生抑制』に効果がある、
- 施工の合理化になる施工方法
- それが効果があると考える理由
を解答する必要があります。
- 記述例
- ① 事務所内の壁間仕切りを軽量鉄骨下地+プラスターボードに塗装仕上げではなく、工業製品の金属製のスチールパーティション工事に変更する。
② 軽量鉄骨やプラスターボードで現場カットで多くの端材が発生するが、採寸の上工場製作のスチールパーティション工事は、現場加工やカットがほとんどなく、発生材が大幅に削減できるだけでなく、工場仕上げにより現場塗装より高品質となるため。
令和2年(2020年)
なお, コスト削減には, コスト増加の防止を含む。ただし2つの事例は, 1. ②から④とは異なる内容のものとする。
そして昨年の出題です。なんと、施工の合理化+コストの削減ですね。
- 工種又は部位など
- 施工の合理化の内容とコスト削減できた理由
これを2つ記述せねばなりません。
コスト削減は発生材の抑制や省力化・省人化になることによりコスト削減につながることもあるので、記述する内容に大きな変化はありません。あくまでも結論が異なるだけですね。
取り急ぎ記述例は一つだけあげときます。
- 記述例
- (工種)金属工事(壁軽量鉄骨下地)
(内容と理由)住居の各界壁の天井の高さは全て同じだったので、軽量鉄骨下地は工場で全て天井高に合わせてプレカットしたものを現場に納入した。プレカットにより現場での切断加工作業がなくなり、労務の人数を減らせるだけでなく、現場での端材が発生することもなく発生材の抑制につながり、労務費と廃棄及び車両費用の削減につながるため。
対策シュミレーション
では以降はどんな問題が出題されるでしょう。
実施する『施工の合理化』の結果として(目的でもある)得られる結果は下記の通り。
- 工期短縮
- 省力化
- 省人化
- 機械化
などが考えられます。また副次的な効果として(+αの効果)
- 発生材(廃棄)の抑制
- 安全性の向上
- 高品質につながる
- コスト削減につながる
- 環境負荷の低減
- 作業性向上
というような要素も考えられます。
例えば
- 『実施した施工の合理化』が安全性の確保にもつながる施工方法とその理由。
- 『実施した施工の合理化』が熟練工不足解消(省人化)にもつながる施工方法とその理由。
- 『実施した施工の合理化』がコスト削減にもつながる施工方法とその理由。←2020年の出題
『施工の合理化』の問題はややもすると、回答が似てしまいがちなので上記のようなバリエーションに対応できると安心だと思います。無理やりこじつけは良くないですが、自分の実施した工事が工期短縮・省力化・省人化・生産性向上に加えて発生抑制・安全管理・高品質・コスト削減のどれに繋がるかを整理しておくと、どんな出題にも動揺する必要はなくなります。
またくれぐれも、問題1-1の施工経験記述で解答した内容と同じにならないような準備は必要です。
まとめ
『施工の合理化』で例年出題されている問題1-2はある程度の訓練をきっちり行えばそんなに難しく考える必要はありません。
それよりも『品質管理』の問題1-2は、あなたの取り組みや考えを聞かれるので、そんな問題形式に苦手意識を持つ人も多いように思います。
この施工の合理化は実際に現場管理をしている人ならば実際に普段より現場で実践している方も多いと思います。それをいかに正しく表現出来るかに尽きるように思います。
『施工の合理化』対策としては、問題1-1及び問題1-2の対策として、合計3〜4つ記述できる内容を持っておくことが必要な漢字ですね。
参考記事