【2022年】1級建築施工管理技士 第二次検定 施工経験記述(施工の合理化)の問題1-2の対策

当サイトではここ10年の施工経験記述に出題されている3つのテーマ(品質管理・施工の合理化・建設副産物対策)についてはまとめているが、あくまでも問題1-1の対策のみでした。今回、施工経験記述の問題1-2の過去の出題内容とその対策について考えてみました。

この問題1-2も遡ってみるとある程度の傾向と対策があるので、出たところ勝負ではなくきっちり準備をしておくべきですね。今回は『施工の合理化』の問題1-2についてです。

記事のポイント

・施工経験記述問題1-2はどんな問題か?
・過去に出題された内容
・どんな準備をすべきか?

施工経験記述問題1-2

第二次検定の問題1 施工経験記述は、例年問題1-1と問題1-2と2問出題されています。

施工経験記述の問題は、

  • まず自分の経験した工事の工事概要(工事名他)を記述する。
  • 問題1-1の経験記述は上記の工事概要で経験した内容の記述をする。
  • 問題1-2は記載した工事概要以外の内容での工事経験の記述でも良い
問題1-2,
工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして
例年、問題1-2は上記の文章で始まります。
問題1-1は工事概要で取り上げた工事の実施した内容が記述出来ていなければ、得点が取れないと思います。(鉄筋コンクリート造なのに、鉄骨工事について書いてしまったりw)
ですが、問題1-2は工事概要であげた工事についての記述でなくても良いが、あなたの工事経験を踏まえて一般的にそう思われる事実や、あなたの経験や考え・普段からの取組みを問われる問題が出題されています。
具体的に過去の『施工の合理化』で出題されている4つの問題について検証してみましょうか。

過去5回分の問題1-2の検証

平成22年度(2010年)

2. 工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、品質を確保した上で行う、次の①、②について具体的に記述しなさい。
ただし、1.の② 「実施した内容」と重複しないこと。
① 工期短縮に効果がある施工の合理化の内容と工期短縮となる理由
② 省力化に効果がある施工の合理化の内容と省力化となる理由
一番古い平成22年度の問題からみていきましょう。問題としては、

品質を確保した』上で行う、

  1. 工期短縮
  2. 省力化

に効果のある『施工の合理化の内容』とそうなる『理由』を記述する問題です。この問題の解答は、

  • 工期短縮又は省力化につながる施工の合理化の工事の内容
  • それが品質が確保出来ている前提であること。
  • また具体的になぜ工期短縮や省力化になるのかの理由を明確にする。

この3つの内容が文章に明確に含まれれば問題ないでしょう。

記述例
①外壁タイル工事はPC板先付け工法を採用する事により、PC板製造工場でコンクリートと一体で打ち込む事によって、接着強度や仕上がりが良いばかりでなく、現場の足場での外壁タイル施工が不要になるので大きな工期短縮にもつながるため。
②事務所ビルの間仕切りは各フロア全て天井高が同じ場合、軽量鉄骨下地とプラスターボードは採寸してプレカットで納入して施工を行えば、現場での加工・切断作業が大幅に削減され、品質も問題なく、作業員の省力化にもつながるため。

平成25年度(2013年)

2. 上記の工事概要であげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、施工の合理化の方法であって、建設資材廃棄物の縮減に効果があると考えられる施工方法と、それが効果的であると考える理由を具体的に記述しなさい。
ただし、現在一般的に行われている躯体・仕上げ材料のプレカットに関する記述は除くものと する。
また、上記 1.の②実施した内容及び③合理化に結び付く理由と同じ内容の記述は不可とする。
次に平成25年度です。
建設資材廃棄物の縮減』に効果がある
  1. 施工の合理化になる施工方法
  2. それが効果的であると考える理由

この問題の解答は、

  • 建設資材廃棄物が縮減できる施工の合理化の内容(施工方法)
  • それがなぜ建設資材廃棄物が減らせるかの理由を記述する。

この2つを明確に文章にできれば問題ありません。施工の合理化だからと言って、必要以上に工期短縮とか省力化などを強調しないように気をつけましょう。この年度の出題は、プレカットについての記述は得点が取れないので注意です。

記述例
①合板スラブ型枠ではなく、支保工の組み立てや解体が不要で、合板スラブ型枠の解体作業のないフラットデッキスラブ工法で施工の合理化を行う。
②合板型枠の切断や加工作業がなくなる事により、その端材が発生しないだけでなく、型枠解体後に発生する型枠材の発生抑制にもつながるため。

平成29年度(2017年)

次に平成29年度の問題です。

2. 工事概要にあげた工事にかかわらず、あなたの今日までの工事経験に照らして、品質を確保したうえで行う施工の合理化の方法であって、建設資材廃棄物の発生抑制に効果があると考えられるものについて、次の①から②を具体的に記述しなさい。
ただし、1の②から④と同じ内容の記述は不可とする。
① 施工方法
② そう考える理由
基本的には平成25年の出題『建設資材廃棄物の縮減』に似ていますが、品質も確保できている前提での記述が求められます。
つまり、品質管理・建設副産物・施工の合理化の要素を合わせた問題ですよね。

品質を確保した』上で『建設資材廃棄物の発生抑制』に効果がある、

  1. 施工の合理化になる施工方法
  2. それが効果があると考える理由

を解答する必要があります。

記述例
① 事務所内の壁間仕切りを軽量鉄骨下地+プラスターボードに塗装仕上げではなく、工業製品の金属製のスチールパーティション工事に変更する。
② 軽量鉄骨やプラスターボードで現場カットで多くの端材が発生するが、採寸の上での工場製作のスチールパーティション工事は、現場での切断加工が減らせ、発生材が大幅に削減できるだけでなく、工場仕上げにより現場塗装より高品質となるため。

まあ、現場状況によっては金属パーティションも現場加工は結構発生しますけどねw

令和2年(2020年)

2,    工事概要にあげた工事にかかわらず,  あなたの今日までの工事経験に照らして,  施工の合理化の取組みのうち,  品質を確保しながらコスト削減を行った事例を 2 つあげ,①工種又は部位等,   ②施工の合理化の内容とコスト削減できた理由について具体的に記述しなさい。
なお,  コスト削減には,  コスト増加の防止を含む。ただし2つの事例は,  1.  ②から④とは異なる内容のものとする。

そして昨年の出題です。なんと、施工の合理化+コストの削減ですね。

  1. 工種又は部位
  2. 施工の合理化の内容とコスト削減できた理由

これを2つ記述せねばなりません。

コスト削減は発生材の抑制や省力化・省人化になることによりコスト削減につながることもあるので、記述する内容に大きな変化はありません。あくまでも結論が異なるだけですね。

記述例は一つだけあげときます。

記述例
(工種)金属工事(壁軽量鉄骨下地)
(内容と理由)住居の各界壁の天井の高さは全て同じだったので、軽量鉄骨下地は工場で全て天井高に合わせてプレカットしたものを現場に納入した。プレカットにより現場での切断加工作業がなくなり、労務の人数を減らせるだけでなく、現場での端材が発生することもなく発生材の抑制につながり、労務費と廃棄及び車両費用の削減につながるため。

令和4年(2022年)

2,   工事概要であげた工事にかかわらず,  あなたの今日までの建築工事の経験を踏まえて,  建設現場での労働者の確保に関して,  次の①及び②について具体的に記述しなさい。ただし,  労働者の給与や賃金に関する内容及び 1. の②と同じ内容の記述は不可とする。
① 労働者の確保を困難にしている建設現場が直面している課題や問題点
② ①に効果があると考える建設現場での取組や工夫
過去の問題から大きく変わったのが2022年です。まさに自分の建設業における経験や普段からの取組みや考えを問われる良問とも言えます。
今後もこの『施工の合理化』に限らず問題1-2はこのように今までと異なる出題がある事を示唆するような問題ですね。
  1. 労働者確保の課題問題点
  2. 効果のある取組工夫

実際の所、施工管理者は特に人手不足を感じながら、職人の確保をしながらも工期も守らなければならないストレスの日々を送っている方も多いでしょう。

記述例
① 熟練工の高齢化、離職者の増加、若年労働者の就業者の減少等で人手不足は年々顕著になっており、建築現場の工期の厳守や品質の確保などの課題がある。
② 若年労働者や女性労働者を確保するために、働きやすい作業環境の整備、また事務室や更衣室などに投資を行いつつ、労働時間や待遇改善を行っている。
また、上記以外では
  • 熟練工でなくても出来る工法への提案
  • 工業化製品の採用による現場作業の省力化
など、いわゆる施工の合理化を行うことで、熟練工など職人不足に対応している、という記述でも良いでしょう。

対策シュミレーション

では以降はどんな問題が出題されるでしょう。

実施する『施工の合理化』の結果として(目的でもある)得られる結果は下記の通り。

  • 工期短縮
  • 省力化
  • 省人化
  • 機械化

などが考えられます。また副次的な効果として(+αの効果)

  • 発生材(廃棄)の抑制
  • 安全性の向上
  • 高品質につながる
  • コスト削減につながる
  • 環境負荷の低減
  • 作業性向上

というような要素も考えられます。

例えば

  • 『実施した施工の合理化』が安全性の確保にもつながる施工方法とその理由。
  • 『実施した施工の合理化』が熟練工不足解消(省人化)にもつながる施工方法とその理由。
  • 『実施した施工の合理化』がコスト削減にもつながる施工方法とその理由。←2020年の出題

施工の合理化』の問題はややもすると、回答が似てしまいがちなので上記のようなバリエーションに対応できると安心だと思います。無理やりこじつけは良くないですが、自分の実施した工事が工期短縮・省力化・省人化・生産性向上に加えて発生抑制・安全管理・高品質・コスト削減のどれに繋がるかを整理しておくと、どんな出題にも動揺する必要はなくなります。

またくれぐれも、問題1-1の施工経験記述で解答した内容と同じにならないような準備は必要です。

 

まとめ

さて、この問題1-2の対策ですが、当然今までの過去問をチェックは必要ですが、全く異なる問題が出題される事もあります。

2022年(令和4年)のように建設業の課題と取組なども問われたりもするので、普段より人手不足だけではなく、建設資材の高騰、施工不良の問題など、昨今の建設業のニュースをチェックしながら、自分の考えをまとめておくのも有効な方法と言えるでしょう。

また施工の合理化は実際に現場管理をしている人ならば実際に普段より現場で実践している方も多いと思います。それをいかに正しく表現出来るかに尽きるように思います。

『施工の合理化』対策としては、問題1-1及び問題1-2の対策として、合計3〜4つ記述できる内容を持っておくことが必要な感じですね。

参考記事

経験記述例が比較的多くのっているテキスト。
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