【2023年】1級建築施工管理技士 第二次検定対策 施工経験記述(工事概要の書き方)

令和5年(2023年)の第二次検定対策、今年も問題1は施工経験記述だと思います。

第二次検定において、合否の鍵を握るとても重要な施工経験記述ですが、記述内容以前に工事概要の内容が分かりにくいと採点者の印象は良くありません。

自分の施工経験の中でどの工事概要を選択するか、とても重要な問題です。

工事概要のポイント

・自分の経験した工事で『出題テーマ』に沿った内容が記述できる工事であること。
監理技術者になるにふさわしい『指導監督的実務経験』に該当する工事であること←これが重要!
・建築工事であること。(電気や管など他技術検定の記述はしないこと)
・あまり昔の工事概要でない方がよい。

ここで言う出題テーマとは、この試験で例年出題される『施工の合理化』、『品質管理』、『建設副産物』などです。きっちり吟味して選びたいのが『工事概要』の記述です。

経験記述における『工事概要』とは?

第二次検定における問題1の施工経験記述は、自分が経験した施工管理を行った工事に対して、

工期などを厳守するために(施工の合理化)
・より良い品質を提供するために(品質管理)
・現場での廃棄物などを減量化するために(建設副産物)

上記の内容に対して、どのように適切に対応したのか?自らの経験を顧みて記述する必要があります。

そして工事概要とは、実際に自分が施工管理者として経験した工事(指導監督的な立場で)の建物概要、工事内容、時期や立場などを記述しなければなりません。

毎年の出題で【工事概要】に記載する内容は下記の通り

  • 工事名・・・○○ビル新築工事・○○マンション改修工事(大規模修繕工事)
  • 工事場所・・・東京都千代田区大手町○-○-○
  • 工事の内容(詳細後述)
  • 工期・・・令和元年2月〜令和2年3月
  • あなたの立場・・・現場代理人など
  • あなたの業務内容(平成17年以降は出題なし)⇒令和3年度より復活!

 

基本的に誤字もなく、正しい住所、そしてその後に記述する経験記述と矛盾しない工事の内容であれば減点はないはずです。

ちなみに1級土木施工管理技士の第二次検定の施工経験記述の問題では、工事の概要について無記載もしくは記入漏れがある場合はその時点で問題2以降は採点しないと試験問題に明記されています。

建築の場合は同様なのかはわかりませんが、ここでの記述ミスは絶対に避けたいところです。

 

またこの技術検定の受検申込の書類の提出に実務経験証明書がありますが、この証明書に1年以上の指導監督的実務経験の内容を記載する欄がありますね。

それを工事概要として記述するのが一番良いのですが、みなさんは実務経験証明書に何の工事を書いたか覚えていますか?私もすっかり忘れて受検しました(笑)

⇒私の経験から言っても、実務経験証明書に記述した工事の内容でなくても問題はありません。

 

可能ならば、3つの出題テーマに合わせて柔軟に記述出来るよう、2つくらい工事概要を準備しておいた方が良いでしょう。

 

私の場合、工事概要のレパートリーは3つくらい準備して最後は2つに絞りました。(新築工事と改修工事)

1つの工事概要で全ての出題テーマを記述出来る経験があれば問題はありませんが、難しい場合もあると思います。

また施工経験記述の添削指導を長年行っていると、記載した工事概要と実際に記述する工事の内容が合わない回答を見ることがあります。自分の経験した工事概要とは裏腹に対策本などを参照にして記述した経験を書くと、そんな矛盾が生まれたりします。(特に改修工事に多くみられる傾向があり)

自分が経験した工事(指導監督的立場で)を改めて振り返って整理してみましょう。その内容が、『施工の合理化』、『建設副産物』、『品質管理』で矛盾なく記述できるかのチェックは必要ですね。

 

施工経験記述の講師の経験から言うと、意外と工事概要を軽視している人が多いように思います。

しかしながら採点者の立場から言うと、この工事概要こそが採点する上での受検者の顔となり、施工経験記述の実際の内容を読み込んでいく上でのファーストインプレッションとなります。

いい加減な工事概要の記述は絶対に避けましょう。

具体的な書き方について

工事名

・パークレジデンス横浜新築工事
・東京新宿スタービル新築工事
・タワーシティ世田谷大規模修繕工事
・○○工業本社事務所新築工事
・〇〇市立△△中学校校舎増築工事
・〇〇ビル耐震補強工事  など

これは皆さん記述出来ますね。

・必ず建築工事であること。(設備・管工事などは不可)
・〇〇ビル、○○マンションなど実際の実在する名称を正確に記述すること。
・新築工事、改修工事、増築工事、大規模修繕工事など具体的な工事名がわかるようにすること。

〇〇ビル新築工事○○マンション大規模修繕工事など、ここでは名称などを間違いないようにしましょう。(最近はインターネットである程度わかります)

(仮称)〇〇町プロジェクト新築工事、(仮称)〇〇計画のように最初は正式名称が決まっていない場合もありますが、最終的に決まった名称の工事名を記載する方が良いでしょう。

採点者にわかりやすい、イメージしやすい方が良いのは言うまでもありません。

 

※わかりやすさ、イメージのしやすさは本当に大切です。⇒講師経験で上記のような(仮称)~計画工事と記述されていると、ググってしまう傾向があります。

ここで間違いが見つかると、工事概要の記述の雑さが露見してしまいます。

工事場所

○○県○○市○○ △丁目□番〇号 まできっちり記述すること。

都道府県〇〇市~〇丁目〇番地〇号まできっちり書くようにしましょう。採点者が場所が確認取れる住所である必要があると思います。

最近はインターネットで簡単に上記住所と建物名のマッチングがある程度可能です。あやふやな住所を書かずにきっちりと正しく覚えましょう。

・東京都港区六本木6丁目10-1
・さいたま市浦和区常盤○丁目○-○

採点者は間違いを見つけるプロです。あやふやな記憶での記述は禁物ですね。

私は添削指導時、一応記載された住所をgoogle mapで調べていますが、結構出鱈目な住所の記述多いんですよ。

必ず試験前にチェックすることを強く進めます。

工事の内容

(例)

新築工事の場合、
例)事務所ビル、RC造、地下1階、地上9階、塔屋1階、建築面積515㎡、延床面積4,768㎡、外部二丁掛タイル張り、内部床カーペット張り、壁及び天井PB下地ビニールクロス張り
改修工事の場合、
例)事務所ビル、S造、地上3階、延べ面積1,250㎡、屋上ウレタン塗膜防水350㎡、外部ALCパネルウレタン塗装450㎡、シーリング改修850m

 

まず事務所ビル店舗、共同住宅、庁舎、公民館、学校など用途種別を最初に記述、そして新築の場合は建物の構造(鉄骨造など)、建物規模(何階建か?)、仕上げ(外壁や内部の)を書きます。

改修工事は建物用途、構造、規模を記述の上、改修した工事の内容と施工数量を書きます。

改修工事の際は特に実施した施工数量㎡など)や施工規模の漏れのないことが重要です。

新築工事の場合は、構造と階数、延面積を見れば概ねの施工規模が読み取れますが、改修工事、大規模修繕工事などは、建物規模と工事規模が比例するわけではないので、採点者に理解してもらえるよう、施工規模・工事内容などを丁寧に記述する必要があります。

・床タイルカーペット張り替え 1,500m2
・屋上アスファルト防水工事 800m2
・外壁塗装工事 2,500m2

のようにどんな工事を管理したか、あやふやにしないようにすることが大事です。

建物用途、構造、階数。規模の表示が必要。新築の場合は建物の仕上げ(外部、内部)、改修の場合は具体的な工法・規模・内容を採点者にわかりやすく記述する。
留意事項・ポイント

指導監督的立場にふさわしい規模の工事を意識する。
・改修工事で気をつけるのは、この工事の内容欄に記述されていない工事を施工経験記述で書く例が散見されます。

基本的に、監理技術者にふさわしい規模の工事の記述が望ましいと言われていますが、それに満たしていない工事での記述での合格者は私の知人にもいますので、どうしてもない場合は自分の経験した工事を正直に記述した方が良いでしょう。
※木造住宅や住宅の共同住宅の修繕工事における防水工事や塗装工事でも普通に合格しています。

工期

令和3年4月〜令和3年10月まで、もしくは2021年5月〜2022年3月という書き方が基本ですね。

・時期に留意。
・工事の規模と工事期間がマッチングしているか。
・いつの工事かも注意が必要。
・工事中(試験の時期に未完の工事)のものは不可

経験記述の中で、『梅雨の時期だったので』『冬の雪の多い時期だったので』と記載した場合、工期がその時期に入っているか?梅雨の時期だったのでと書いておきながら、工期が2018年8月から2019年1月と記述してしまうと内容に信用性が失われます。

また工事の内容に比して工期が短すぎる、などの規模に見合ったものかも重要ですね。

そしてまれに見られるのはかなり昔に実施した工事の経験記述。(10年以上前)

可能ならば5年以内が理想的、但し今と技術基準が変わらない内容であったり、どうしても自分の経験の中でシンボリックな大きな工事の場合は、左記以上前でも良いでしょう。

また最近は現場業務から離れており適切なものがない場合はそれを書いてもやむを得ないでしょう。(合格出来ないわけではないと思う)

そして今年の場合だと2023年10月の第二次検定での試験の段階で未完の工事は不可です。きっちり完工した工事を記述しましょう。

時期・期間、そしていつの工事か全てに留意して正確な工期を記述しましょう。

あなたの立場

これはその工事現場におけるあなたの立場を正確に記載します。

『現場代理人』『主任技術者』『工事主任』『現場監督員』『作業所長』などでしょうか。

『監理技術者』は既に1級建築施工管理技士か一級建築士の有資格者となりますのでそうでない場合の記述は不可ですね。

基本的には工事における監督的な立場、指導する立場である必要がありますので、『現場員、現場係員』などの記述は避けましょう。(おそらくその時点でアウト)

現場代理人と記述しておけば減点されることはありません。

あなたの立場は工事における監督的な立場、指導する立場でなければなりません。『現場代理人』などでOK

業務内容

ここ最近は求められていなかった内容ですが、令和3年(昨年)の試験より復活したのが、『あなたの業務内容』です。

  • 建築工事の施工管理(全般)
  • 改修工事の施工管理

としておけば概ね問題ないでしょう。

こちらも指導監督する立場で記述しましょう。例)〇〇工事の施工管理など

記述例

〔工事概要-1〕
工事名:横浜パークレジデンス大規模修繕工事
工事場所:横浜市西区南幸○丁目○-○
工事の内容:共同住宅、RC造、地下1階、地上5階、延べ面積6,560mm2、
        屋上ウレタン塗膜防水工事 856mm2、外壁タイル改修 875mm2、外壁シーリング改修 2136m
                     鋼製建具塗装工事 30箇所、
工期:令和元年4月〜令和元年11月
あなたの立場:工事主任
〔工事概要-2〕
工事名:タワーシティ世田谷新築工事
工事場所:東京都世田谷区玉堤○丁目○-○
工事の内容:共同住宅、RC造、地下1階、地上11階、建築面積655mm2、延べ面積7,348mm2、
     外壁:タイル張り、内部 居室床:フローリング張り、壁及び天井:PB下地にビニルクロス張り
工期:令和3年4月〜令和4年9月
あなたの立場:現場代理人

※あくまで記述例です。実在しない建物です。

ちなみに施工経験記述における改修工事についての留意事項を別記事でまとめています。

施工経験記述添削サービス

このサイトや市販のテキストでも、施工経験記述の記述例は汎用的なものを多く取り上げています。

それを参考にして、例えば受検生のAさんとBさんが本文内容が全く同じ内容であっても、工事概要の内容次第で評価、得点は変わる恐れがあります。

私は添削指導者として、そういった面でも工事概要をきっちり書くことはとても重要だと思っています。

自分の経験を記述しながらも、テキストの内容を参考にし過ぎると、少しオカしくなってしまうこともあるでしょう。

 

経験記述に自信を持って経験記述に取り組みたい方、また書いてみたけど見てもらえる人がいない方向けに施工経験記述の添削サービスを行なっています。

単に書いた内容を添削して終了ではなく、記述出来るまでサポートを行います。
・書いた内容を正しく記述出来るように。
・記述した内容を覚えて試験に望むのではなく、応用が効く記述にする。
という部分を大切にしています。

 

まとめ

改めて過去に経験した工事の洗い出しをして、施工経験記述にふさわしい内容が書けるのか整理をしてみましょう。

施工経験記述は1級建築施工管理技士、そして監理技術者の資格を得るにあたって、あなたがそれにふさわしい実務経験と指導監督的立場を経験しているか、そして正しい知識で施工を管理しているかを問う問題です。工事概要はそれを採点者に理解してもらう、最初の重要なポイントです。

そして経験記述なので事実だけを書けば間違えることはないと思うのですが、

・実際に書いた記述内容と工事の内容がマッチングしない。
・実際に書いた記述内容と工事の時期(季節など)が合わない。
・改修工事の際は特に工事規模の記述(実施した工事の面積など)を忘れない。

以上に留意して、この工事概要については減点のないよう完ぺきにしておきましょう。

あと、経験記述全般に言えることですが、元請の立場を意識して記述するようにして下さい。(指導的な立場が必要なので)

 

施工経験記述の文章をよくするための第一歩はこの工事概要をわかりやすく記述することです。まず最初に取り組みましょう。

工事概要がまとまったら、具体的な施工経験記述の過去の問題に取り組んでいきましょう。

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