【令和4年度】第一次検定 施工管理法の応用問題(四肢二択)

この施工管理法の応用問題は、四肢二択の回答方式となっておりますが、二択両方とも正解を取らなければなりません。
しかしながら、基本的には施工の分野の躯体工事及び仕上げ工事の過去問をしっかり取り組んでおけば、そこまで難しい問題ではありません。
この躯体及び施工の分野は今後1級建築施工管理技士の資格取得を検討している方々にも引き続き重要な分野です。(2級2次検定にも有用な知識です)
しっかり基礎知識をつけておきたいですね。
前回は令和3年の施工管理法の応用問題を取り上げました。
今回は、昨年の令和4年度の前期・後期合計8問を取り上げたいと思います。

令和4年度前期・後期の出題分野

まずは令和4年度の前期・後期の各4問×2回分の出題分野を把握しておきましょう。

問題 令和4年前期(6月) 令和4年後期(11月)
39 鉄筋の継手 鉄骨の加工
40 鉄骨の建方 鉄筋コンクリート造の解体工事
41 ウレタン系塗膜防水 屋上アスファルト防水
42 塗装の素地こしらえ ビニル床シート張りの熱溶接工法

令和3年度も同様でしたが、この『施工管理法の応用問題』は施工の躯体工事及び仕上げ工事の分野から出題されているようです。(各2問ずつ)

基本的にはこの問題の対策は、過去問題の『施工管理法の応用問題』と『施工(躯体及び仕上げ工事)』の部分を重点的に取り組む事で対策がとれます。

気を付けるべきは先ほども書いた通り、四肢二択で、二択の両方正解を取らないと×になることですね。

では具体的に令和4年の問題を見ていきます。

令和4年前期(6月)の問題

まずは令和4年前期の問題から、見ていきましょう。

〔No.39〕  鉄筋の継手に関する記 述 として、不適当なものを2選べ。
  1. 鉄筋の継手には、重ね継手、圧接継手、機械式継手、溶接継手等がある。
  2. 重ね継手の長さは、コンクリートの設計基 準 強 度にかかわらず同じである。
  3. フック付き重ね継手の長さには、フック部分の長さを含める。
  4. 鉄筋の継手の位置は、原則として、構造部材における引張力の小さいところに設ける。
解答・解説
(解答)2,3
(解説)過去問より
①こちらは最近の過去問にはありませんが、鉄筋の継手は重ね継手、ガス圧接継手、溶接継手、機械式継手などがあります。(正しい)
(令和2年・後期)鉄筋の重ね継手の長さは、コンクリートの設計基準強度の相違により異なる場合がある。
⇒こちらが正しく、重ね継手の長さはコンクリートの強度が大きくなると継手は短くなります。
(平成28年)フック付き重ね継手の長さには、フック部分の長さを含める。
⇒公共建築工事標準仕様書にも記載ありますが、継手の長さはフック部分の長さは含まれません
④こちらも最近の過去問にはありませんが、建築工事監理指針にも『鉄筋の継手の位置は、原則として、構造部材における引張力の小さいところに設ける。』と記載あされていますので、こちらは正しいです。
よって2と3が不適当ですね。
〔No.40〕  鉄骨の建方に関する記 述 として、不適当なものを2選べ。
  1. 玉掛け用ワイヤロープでキンクしたものは、キンクを直してから使用した。
  2. 仮ボルトの本数は、 強風や地震等の想定される外力に対して、接合部の安全性の検討を行って決定した。
  3. 油が付 着している仮ボルトは、油を除去して使用した。
  4. 建方時に用いた仮ボルトを、本締めに用いるボルトとして使用した。
解答・解説
(解答)1,4
(解説)少し古い過去問で出題されています。(3問)
①(平成27年)玉掛け用ワイヤロープでキンクしたものは、キンクを直してから使用した。
クレーン等安全規則において、キンクしたワイヤーロープは玉掛けに使用してはならないと定められていますので①は誤りですね。
②(平成27年)仮ボルトの本数は、強風や地震などの想定される外力に対して、接合部の安全性の検討を行って決定した。
(平成28年)油が付着している仮ボルトは、油を除去して使用した。
④本締めに用いるボルトを仮ボルトとして使用すると、本締め時に正規の軸力が導入されない可能性があるため、基本的に使用しない。
⇒最近の過去問には見当たりませんでしたが、消去法で見極めたいですね。これは誤りです。

 

〔No.41〕  ウレタンゴム系塗膜防水に関する記 述 として、不適当なものを2選べ。
  1. 下地コンクリートの入隅を丸面、出隅を直角に仕上げた。
  2. 防水層の施工は、立上り部、平場部の順 に施工した。
  3. 補強布の張付けは、突付け張りとした。
  4. 仕上塗 料 は、刷毛とローラー刷毛を用いてむらなく塗布した。
解答・解説
(解答)1,3
(解説)消去法で正解を導き出したいですね。
①(過去問なし)※公共建築工事標準仕様書より 防水層の下地は、出隅は通りよく 45°の面取りとし、入隅は通りよく直角とする。
とあるので①は誤りですね。
(平成29年・前期)防水層の施工は、立上り部、平場部の順に施工した。
(平成29年・前期)補強布の張付けは、突付け張りとする。
⇒補強布は重ね幅は50mm以上とする。(公共建築工事標準仕様書より)③は誤りです。
(平成27年)仕上塗料は、はけ、ローラーばけ又は吹付け器具を用いてむらなく塗布した。
〔No.42〕  塗装における素地ごしらえに関する記 述 として、不適当なものを2選べ。
  1. 木部面に付着した油汚れは、溶剤で拭き取った。
  2. 木部の節止めに、ジンクリッチプライマーを用いた。
  3. 鉄鋼面の錆及び黒皮の除去は、ブラスト処理により 行 った。
  4. 鉄鋼面の油類の除去は、錆を除去した後に 行 った。
解答・解説
(解答)2,4
(解説)この問題は過去問からの出題は少なめですね。主に公共建築工事標準仕様書より見ていきましょう。
①木部の汚れ、油は溶剤などでふき取るとあるので、これは正しい。
②木部の節止めは、その周囲にはけ塗りを行います。こちらは誤り。
(令和元年・後期)鉄鋼面の錆及び黒皮は、サンドブラストで除去した。
⇒ブラスト法により処理とあるので、これはok!
(令和元年・前期)鉄鋼面に付着した機械油の除去は、石油系溶剤を用いて行った。
⇒鉄鋼面の油類の除去は、溶剤かアルカリ系脱脂剤で加熱処理後、湯又は水洗いとあるので、④は誤り。上記の令和元年の記述は正しい。

 

令和4年後期(11月)の問題

次に最新の令和4年後期の問題です。

〔No.39〕  鉄骨の加工に関する記 述 として,不適当なものを2選べ。
  1. 鋼材の加熱曲げ加工は、青熱脆性域で 行 った。
  2. 鋼材のガス切断は、自動ガス切断機を用いた。
  3. 板厚が 13 mm 以下の鋼材のアンカーボルト孔は、せん断孔あけで加工した。
  4. 高力ボルトの孔径は、高力ボルトの公称軸径に5 mmを加えた値とした。
解答・解説
(解答)1,4
(解説)少し難しい問題ですね。
(平成30年・前期)鋼材の加熱曲げ加工は、200~400℃加熱して行った。
200~400℃は問題の青熱脆性域と同じで、この温度範囲では常温より脆くなるので、避けるべきです。これは誤りですね。
②※公共建築工事標準仕様書より、ガス切断による場合は、自動ガス切断とする。ただし、やむを得ず手動ガス切断とする場合は、所定の製作精度が確保されるよう整形する。とあります。
(平成29年・後期)板厚が 13 mm の鋼材のアンカーボルト孔及び鉄筋貫通孔は、せん断孔あけで加工した。
(平成29年・後期)普通ボルトの孔径は、ボルトの公称軸径に0.5mmを加えた値とした。
⇒普通ボルトの孔径は、ボルトの公称軸径に0.5mmを加えた値で、問題の高力ボルトの孔径は+2.0mmなので、④は誤り。
〔No.40〕  鉄筋コンクリート造建築物の解体工事に関する記 述 として,不適った当なものを2つ選べ。
  1. 解体作業に先立ち、各種設備機器の停止並びに 給水、ガス、電力及び通信の供給が停止していることを確認した。
  2. 壁及び天井のクロスは、せっこうボードと一緒に撤去した。
  3. 騒音防止やコンクリート片の飛散防止のため、全面をメッシュシートで養生 した。
  4. 各階の解体は、中央部分を先行して解体し、外周部を最後に解体した。
解答・解説
(解答)2,3
(解説)こちらは全て過去問より読み取れます。
(平成29年・前期)解体作業に先立ち、各種設備機器の停止及び給水、ガス、電力、通信の供給が停止していることを確認した。
⇒この問題は木造住宅の解体ですが、考え方は基本的には同じですね。これは正しいのはわかると思います。
(平成28年)壁及び天井のクロスは、せっこうボードを撤去する前にはがした。
⇒この通り、ボード撤去前に剥がすが正しいですね。石膏ボードは表面仕上げであるクロス類を撤去した後、石膏ボードを分別し、解体する。廃石膏ボードは管理型産
業廃棄物であるため、他の廃棄物と混合しないように、先行して分別回収する。よって②の記述は誤りです。
(平成29年・後期)コンクリート片の飛散防止や騒音防止のため、防音パネルを取り付けた。
⇒こちらに記載ある通り、メッシュシートではなく防音パネルの取付けが正しいですね。この③も誤りです。
(平成29年・後期)各階の解体は、外周部を先行して解体し、中央部分を最後に解体した。
⇒近隣環境を考慮し、騒音や粉じん対策から、中央部分から解体するのが正しいです。

 

〔No.41〕   屋上 アスファルト防水工事に関する記 述 として、不適当なものを2選べ。
  1. ルーフィング類は、水上部分から張り付け、継目の位置が 上下層で同一箇所にならないようにした。
  2. ルーフドレン回りの増張りに用いるストレッチルーフィングは、ドレンのつばに 100 mm程度張り掛けた。
  3. 保護コンクリートの動きによる立上り防水層の損傷を防止するため、成形緩衝材を立上り入隅部に取り付けた。
  4. 保護コンクリートの伸 縮 調 整目地の深さは、保護コンクリートの厚さの 1/2とした。
解答・解説
(解答)1,4
(解説)④は過去問的には少し古いですね。
(平成30年・後期)ルーフィング類は、継目の位置が 上下層で同一箇所にならないようにして、水下側から張り付けた。
⇒【公共建築工事標準仕様書より】アスファルトルーフィング類の継目は、幅方向、長手方向とも、100mm以上重ね合わせ、水下側のアスファルトルーフィング類を、下側に張り重ねる。とあるように水下側が下側になるということは水下側より貼らなければなりません。①の水上側は誤りですね。
(平成28年)ルーフドレン回りの増張りは、幅 300 mm 程度とし、ドレンのつばに 100 mm 程度張り掛けた。
(平成27年)保護コンクリートの動きによる立上り防水層の損傷を防止するため、成形緩衝材を立上り入隅部に取り付けた。
(平成26年)保護コンクリートの伸 縮 調 整目地の深さは、保護コンクリートの厚さの 半分程度とした。
⇒【公共建築工事標準仕様書より】伸縮調整目地は、排水溝を含めて、立上りの仕上り面に達するものとする。なのでこの④は誤りですね。
〔No.42〕  ビニル床シート張りの熱溶接工法に関する記 述 として、不適当なものを2選べ。
  1. 張付け用の接 着 剤は、所定のくし目ごてを用いて均一に塗布した。
  2. シートの張付けは、空気を押し出すように 行 い、その後ローラーで圧 着 した。
  3. 継目の溝切りは、シート張付け後、接着剤が硬化する前に 行 った。
  4. 溶接継目の余盛りは、溶接直後に削り取った。
解答・解説
(解答)3,4
(解説)①が正しいことがわかれば、消去法で③を導き出したいですね。(④は過去問から)
①【公共建築工事標準仕様書より】張付けは、接着剤を所定のくし目ごてを用い、下地面へ均一に塗布する。
(平成30年・前期)シートの張付けは、空気を押し出すように行い、その後ローラーで圧着する。
③【公共建築工事標準仕様書より】ビニル床シート張付け後、接着剤が硬化した状態を見計らい、はぎ目及び継目の溝切りは、溝切りカッター等を用いて行う。
⇒上記の通り、溝切りは硬化した状態で行います。③は誤りですね。
(平成30年・前期)熱溶接工法における溶接継目の余盛りは、溶接直後に削り取る。
⇒溶接完了後、溶接部が完全に冷却した後、余盛りを削り取り、平滑にする。(公共建築工事標準仕様書より)この④も誤りですね。

 

まとめ

令和3年・4年とも施工の躯体工事と仕上げ工事から出題されています。

基本的には躯体工事・仕上げ工事の過去問を少し意識して取り組む事により、2~3問は正解が取れるのではないでしょうか。

 

くれぐれも気を付けてほしいのは四肢二択であることです。一つだけ印をつけても正解にはなりません。

そこを意識して、過去問から判明するもの、消去法より導き出せるもの、しっかり正しい解答を導き出していきましょう。

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