2級建築施工管理技士の実地試験の過去問の取り組み、今回は平成28年(2016年)です。
平成30年以降と異なるのは、種別毎の問題がなく統一問題であることですね。
そしてこの平成28年まで、問題3の工程の問題はバーチャート工程ではなく、ネットワーク工程です。
平成29年度以降、2級建築施工の実地試験の工程はバーチャート工程が出題されているのはご存じの通りかと思います。
そうなると令和4年もバーチャート工程が出題される可能性は高いですが、一応こちらも学んでおくことをお勧めします。
(特に将来的に1級建築施工管理技士を目指すならば基礎問題としては良問です)
問題1 施工経験記述
問題1 あなたが経験した建築工事のうち,あなたの受検種別に係る工事の中から,事前に施工の計画を行った工事を 1つ選び,工事概要を具体的に記入したうえで,次の 1. から 2. の問いに答えなさい。
なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物に係る工事とし,建築設備工事を除くものとする。
なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物に係る工事とし,建築設備工事を除くものとする。
〔工事概要〕
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容 (新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場
ヘ. 業務内容
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容 (新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場
ヘ. 業務内容
1. 工事概要であげた工事で,あなたが担当した工種において,次の項目の中から異なる項目を 3つ選び,施工に当たり事前に検討したこととその結果行ったこと,何故そうしたのかその理由を,工種名をあげて具体的に記述しなさい。
ただし,「事前に検討したこととその結果行ったこと」 については,同じ内容を記述したもの又はコストについてのみ記述したものは不可とする。
なお,工種名については,同一の工種名でなくてもよい。
ただし,「事前に検討したこととその結果行ったこと」 については,同じ内容を記述したもの又はコストについてのみ記述したものは不可とする。
なお,工種名については,同一の工種名でなくてもよい。
[項目]
「施工方法又は作業方法」
「資材の搬入又は荷揚げの方法」
「資材の保管又は仮置きの方法」
「作業床又は足場の設置」
「施工中又は施工後の養生の方法」 (安全に関する養生は除く)
「資材の搬入又は荷揚げの方法」
「資材の保管又は仮置きの方法」
「作業床又は足場の設置」
「施工中又は施工後の養生の方法」 (安全に関する養生は除く)
- 記述例-1
- ①施工方法又は作業方法
②左官工事
③床の左官工事は左官の熟練工の手配が難しかったので、モルタル仕上げではなく、流し込むだけで均一なレベルで施工可能なセルフレベリング工法で施工した。
④セルフレベリング工法は流し込むだけで仕上り、金鏝仕上げがなくなることで熟練工の手配も不要になるため。
- 記述例-2
-
- ①施工中又は施工後の養生
②内装工事(タイルカーペット工事)
③事務室床のタイルカーペット張り施工後は汚れを防ぐために、クリーニング実施後は全面にビニール養生をかけることとした。
④タイルカーペット張り後は電話工事や電源コンセント工事など多くの業者が入り、カーペットの汚れが想定されたため。
- ①施工中又は施工後の養生
- 記述例-3
- ①資材の搬入又は荷上げの方法
②内装工事(石膏ボード)
③住居の部屋の壁の下地に利用する石膏ボードは、外壁パネル及び外部サッシを取り付けてから搬入を行った。
④外部からの通風や雨が侵入すると、石膏ボードは湿気に弱く濡れたりすると使用できなくなるため。
2. 工事概要であげた工事及び受検種別にかかわらず,次の項目の中から 2つ選び,あなたの今日までの工事経験に照らして,検討すべき事項とその理由及び対応策を,工種名をあげて具体的に記述しなさい。
ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,1. の解答とも重複しないものとする。
ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,1. の解答とも重複しないものとする。
[項目]
「品質低下の防止」
「工程遅延の防止」
「公衆災害の防止」
「工程遅延の防止」
「公衆災害の防止」
- 記述例-1
- 「品質低下の防止」
工種名;外壁塗装工事
検討事項と理由:夏期の塗装工事は塗装に色ムラや膨れが起こる恐れがあったので、施工環境の実施条件を検討した。
対応策;まず天候が強風や降雨のない日に実施することとし、常に湿度計を携帯し湿度が85℃を超える場合は作業を中止した。
- 記述例-2
- 「工程遅延の防止」
工種名;鉄筋工事
検討事項と理由:ガス圧接継手は天候が雨の場合は施工出来ないため、鉄筋の継手の工法について検討した。
対応策;監理者の承認を得て、ガス圧接継手から機械式継手に変更することにより、雨天も施工可能となり工期を厳守出来た。
- 記述例-3
- 「公衆災害の防止」
工種名;外壁タイル張替え工事
検討事項と理由:外壁タイルの斫りや穴あけ作業等の振動音により居住者より苦情になる恐れがあったので、音出し時間について検討した。
対応策;管理組合と協議の上、音出し及び振動作業は10時~12時及び14時~16時に実施する旨の承認を得たうえ工事を行った。
問題2 施工管理(用語)
問題2 次の建築工事に関する用語のうちから 5つ選び,その用語の説明と施工上留意すべき内容を具体的に記述しなさい。
ただし,仮設工事以外の用語については,作業上の安全に関する記述は不可とする。 また,使用資機材に不良品はないものとする。
ただし,仮設工事以外の用語については,作業上の安全に関する記述は不可とする。 また,使用資機材に不良品はないものとする。
足場の手すり先行工法
型枠はく離剤
金属製建具のかぶせ工法
クレセント
軽量鉄骨壁下地の振れ止め
鋼矢板
コンクリート壁の誘発目地
先送りモルタル
タイルカーペット
超高圧水によるコンクリート面下地処理
鉄筋の先組み工法
マスキングテープ
溶接のアンダーカット
ローリングタワー
型枠はく離剤
金属製建具のかぶせ工法
クレセント
軽量鉄骨壁下地の振れ止め
鋼矢板
コンクリート壁の誘発目地
先送りモルタル
タイルカーペット
超高圧水によるコンクリート面下地処理
鉄筋の先組み工法
マスキングテープ
溶接のアンダーカット
ローリングタワー
- 解答-1
- (用語)足場の手すり先行工法
(説明)足場の最上層に床付き布わく等の作業床を取り付ける前に、最上層より一層下の作業床上から、建わくの脚柱等に沿って上下スライド等が可能な手すりまたは手すりわくを先行して設置する方式。
(留意)手すりが先行して設置されていない作業床及び手すりが取り外された作業床には乗ってはならない。
- 解答-2
- (用語)金属製建具のかぶせ工法
(説明)金属製建具を交換する際に、既存の枠を撤去せず利用する事により新たに設置する工法。
(留意)既存枠がスチール製の場合、ケレンを行い防錆塗装を行ったうえで建具を取り付ける。
- 解答-3
- (用語)タイルカーペット
(説明)タフテッドカーペット等を基材として裏面に強固なバッキング材を裏打ちした500×500程度のタイル状のカーペットのこと。
(留意)部屋の中央部から端部へ敷き込んで、特に指定がない限りは市松張りを原則とする。
- 解答-4
- (用語)マスキングテープ
(説明)シーリング材充填等の際に汚染防止と目地縁の線を通り良く仕上げるために用いる粘着シートのこと。
(留意)除去後、粘着剤が外装表面に残存しないこと、清掃用洗浄剤やプライマーの塗布で溶解しないよう留意する。
- 解答-5
- (用語)ローリングタワー
(説明)高い場所で作業を行う時に使用する枠組み足場タイプの仮設移動式の足場のこと。
(留意)移動式足場の移動は、全ての脚輪のブレーキを解除した上で行い、また労働者を乗せたまま移動してはならない。
問題3 施工管理(工程)
問題3 図に示すネットワーク工程表について,次の 1. から 3. の問いに答えなさい。
なお,〇内の数字はイベント番号を,実線の矢線は作業を,破線の矢線はダミーを示し,また,矢線の上段のアルファベットは作業名を,下段の数値は所要日数を示すものとする。
なお,〇内の数字はイベント番号を,実線の矢線は作業を,破線の矢線はダミーを示し,また,矢線の上段のアルファベットは作業名を,下段の数値は所要日数を示すものとする。
1. 工程表において,①から⑪までの総所要日数を答えなさい。
- 解答・解説
- (解答)30日
(解説)クリティカルパスは、A ⇒ C ⇒ F ⇒H ⇒ K ⇒ Lとなる。この日数を合計すると30日となる。
※クリティカルパスはこのラインのみではない。
以上の図を参照してください。
2. 工程の再検討を行ったところ,作業 H の所要日数が 1日,作業 J が 2日増加することがわかった。 このときのクリティカルパスを,作業名で工程順に並べて答えなさい。
- 解答・解説
- (解答)A⇒C⇒F⇒H⇒J⇒L
(解説)Hが1日所要日数が増えると6日(A~Hまでは19日)になり、Jが2日増加する事により8日(A~Jまでは27日)、Lが従来通り5日で32日が他の工程より一番長い。ので真ん中の一直線がクリティカルパスとなる。
3. 作業 H の所要日数が 1日,作業 J が 2日増加するときの ①から⑪までの総所要日数を当初と同じ日数とするために,作業 B と作業 F の日程短縮により調整する場合,作業 B と作業 F はそれぞれ最小限何日短縮すればよいか答えなさい。
- 解答・解説
- (解答)B 1日 F 2日
(解説)
Hが1日増えて6日、Jが2日増えて8日となるが、総工程は当初通り30日なので、後ろから計算してみよう。
⑩は25日目
⑧は17日目
⑤は11日目となる。
一方③は最初から計算すると6日目なので、
11-6=5日(当初は7日)なので2日短縮する必要がある。次にBを見てみる
⑧が17日目なので、⑦も同様に終わらせないと次にいけない。
⑥は13日目
一方②は3日目
13-3=10日(当初は11日)なので1日の短縮が必要である。ネットワーク工程が初めての人は難しいかもしれないが、慣れるしかないです。
前半戦終了
以上で前半戦終了です。
次回は、
を予定しています。
さて2016年以前はネットワーク工程です。
1級関連の記事になりますが、まず下記記事でクリティカルパス・フリーフロートの基礎知識の解説をしています。
そして、具体的な解き方として、2級の問題例も挙げているのがこちら。