1級建築施工管理技士資格・独学サポートのためのウェブ活用

  • 2022年9月7日
  • 2022年9月7日
  • コラム
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資格取得の勉強を進める上で、独学に限らず、自分でいろいろ調べる局面は多くあるように思います。特に記述式がメインの第二次検定においては文章を書く必要があるので、単純にテキスト・問題集や専門学校や通信講座における解答を全て丸暗記で解決、というわけにはいかない部分もあったりします。

 

例えば、第二次検定での問題2の安全管理の問題、『高所作業車』を安全に使用するための留意事項を2つ書く、という解答例がテキストにいくつか用意されているけど、これは覚えにくいなと感じる文章もあったりします。

そんな時、今の時代はググればある程度の知識が得られる便利な時代になっています。今回は、私も活用する『第二次検定』や一部『第一次検定』に役に立つウェブページを取り上げたいと思います。

問題2 仮設計画・安全管理

実地試験の仮設計画安全管理に関する問題。これは文章で記述する必要がある問題ですね。

これを記述する上で役に立つのが、労働安全衛生規則です。

労働安全衛生規則は、労働の安全衛生についての基準を定めた厚生労働省(旧労働省)の省令である。

⇒労働安全衛生規則を検索

仮設工事や墜落などの災害防止に関する、安全基準が定められています。例えば、
平成29年の出題
設置計画の作成に当たり留意又は検討すべき事項をそれぞれ 2つ具体的に記述しなさい。
(1)つり足場
つり足場は574条に下記の通り記載されています。
事業者は、つり足場については、次に定めるところに適合したものでなければ使用してはならない。
一 つりワイヤロープは、次のいずれかに該当するものを使用しないこと。
 イ ワイヤロープ一よりの間において素線(フイラ線を除く。以下この号において同じ。)の数の十パーセント以上の素線が切断しているもの
 ロ 直径の減少が公称径の七パーセントを超えるもの
 ハ キンクしたもの
 ニ 著しい形崩れ又は腐食があるもの
二 つり鎖は、次のいずれかに該当するものを使用しないこと。
 イ 伸びが、当該つり鎖が製造されたときの長さの五パーセントを超えるもの
 ロ リンクの断面の直径の減少が、当該つり鎖が製造されたときの当該リンクの断面の直径の十パーセントを超えるもの
 ハ 亀裂があるもの
三 つり鋼線及びつり鋼帯は、著しい損傷、変形又は腐食のあるものを使用しないこと。
四 つり繊維索は、次のいずれかに該当するものを使用しないこと。
 イ ストランドが切断しているもの
 ロ 著しい損傷又は腐食があるもの
五 つりワイヤロープ、つり鎖、つり鋼線、つり鋼帯又はつり繊維索は、その一端を足場桁、スターラツプ等に、他端を突りよう、アンカーボルト、建築物のはり等にそれぞれ確実に取り付けること。
六 作業床は、幅を四十センチメートル以上とし、かつ、隙間がないようにすること。
七 床材は、転位し、又は脱落しないように、足場桁、スターラツプ等に取り付けること。
八 足場桁、スターラツプ、作業床等に控えを設ける等動揺又は転位を防止するための措置を講ずること。
九 棚足場であるものにあつては、桁の接続部及び交差部は、鉄線、継手金具又は緊結金具を用いて、確実に接続し、又は緊結すること。

これだけの安全基準が明記されています。例えば、太線の文章などは比較的記憶しやすいと思います。

平成28年
設備又は機械を安全に使用するための留意事項を,それぞれ 2つ具体的に記述しなさい。
(2)高所作業車
こちらは194条です。
(1)高所作業車を用いて作業を行うときは、高所作業車の転倒又は転落による労働者の危険を防止するため、アウトリガーを張り出すこと、地盤の不同沈下を防止すること、路肩の崩壊を防止すること等必要な措置を講じなければならない。
(2)高所作業車を用いて作業を行うときは、乗車席及び作業床以外の箇所に労働者を乗せてはならない。
こちらも多くの項目があるので2つだけピックアップしました。
(1)はもう少し良いで要約しても良いでしょう。
多くの項目はこの労働安全衛生規則の条文で記述可能なものも多いので重宝しています。
(でも条文は本当に文章が固く読みにくいですね)
ただし、問題に応じて、『保護帽や安全帯などの保護具の使用,資格,免許及び届出に関する記述は除くものとする。』などの具体的な指示がある場合は、その内容を記述しないように注意してください。
またこれ以外にも

クレーン等安全規則

ゴンドラ安全規則

この2つもたまに活用しています。

問題3 躯体工事 問題4 仕上げ工事

次に、問題3,4の躯体工事、仕上げ工事といわゆる工事全般の施工についての問題への対応です。

こちらは建築工事標準仕様書JASSがあれば良いのですが、ボリュームがありすぎですね(笑)

ですので、建設業に関わる多くの人は公共建築工事標準仕様書(建築工事)を所有している方が多いのではないでしょうか。

国家機関の建築物の整備や保全指導等を効率的かつ的確に実施するため、計画、設計、施工、保全等の各分野において、技術基準(基準・要領・資料※)を定めています。
国土交通省ホームページより引用

その一つが上記の図書です。

ウェブ版は一般の方が作成されたようです。書籍で所有しても良いのですが、この時代はモバイルやタブレットでの検索が楽ですよね。国土交通省のPDFは出力しない限り、検索性が悪すぎるしページ数が多く開くのにも時間がかかります。
令和元年
2. 鉄筋工事において,鉄筋の組立てを行う場合の施工上の留意事項を 2つ,具体的に記述しなさい。
ただし,鉄筋材料,加工及びガス圧接に関する記述は除くものとする。
第5章に鉄筋工事の記述があり、その3節が組立全般について触れられています。

・鉄筋相互のあきは次の値のうち最大のもの以上とする。
(ア) 粗骨材の最大寸法の1.25倍
(イ) 25mm
(ウ) 隣り合う鉄筋の径(5.3.2(3)によるd)の平均の 1.5倍

・鉄筋は、鉄筋継手部分及び交差部の要所を径0.8mm 以上の鉄線で結束し、適切な位置にスペーサー、吊金物等を使用して、堅固に組み立てる。なお、スペーサーは、所定の位置に鉄筋を保持するとともに、作業荷重等に耐えられるものとする。また、鋼製のスペーサーは、型枠に接する部分に防錆処理を行ったものとする。

この3節も多くの記述がありますが、2つピックアップしました。上記のあたりをまとめておくと安全ですね。

平成30年度
4. 外壁下地モルタル面に小口タイルを改良圧着張りとする場合の,施工上の留意事項を 2つ,具体的に記述しなさい。
ただし,下地清掃,張付けモルタルの調合,タイルの割付け及びタイル面洗いに関する記述は除くものとする。

改良圧着張りについては、下記の通りに記載されています。(一部省略)

(a) 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし、1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお、張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は、張付けモルタルに触れると手に付く状態のままタイル張りが完了できることとし、2m2/人以内、かつ、60 分以内に張り終える面積とする
また、練り混ぜる量は1回の塗付け量及び張付け量とする。
(c) 張付けに先立ち、下地側に張付けモルタルをむらなく平たんに塗り付ける
(d) 張付けは、タイル裏面全面に張付けモルタルを平らに塗り付けて張り付け、適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまでたたき締め、通りよく平らに張り付ける。
(e) 1回のモルタル塗面にタイルを張り終わったとき、モルタルの硬化の程度により、張付けが終わったタイル周辺にはみ出しているモルタルは除去し、塗り直してからタイルを張り進める。
(g) 目地詰め後、タイル面の清掃を行う。

私ならばこの太線を覚えますかね。

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但し公共工事建築標準仕様書では網羅出来ていない部分については、建築工事監理指針を利用しています。これはウェブでは検索できず本を購入しなければなりません。(いわゆる工事監理者向けの本)

施工管理者は資格とは別にこの本を持っておいても損はないと思います。(高いけど)

躯体工事及び仕上げ工事に関する施工上の留意事項公共建築工事標準仕様書建築工事監理指針の記述を参照に解答をつくっています。(過去問)

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問題6 法規

最後に法規関連です。先ほどの労働安全衛生規則もそうですが、全てe-Gov法令検索で全て対応出来ます。

問題6の法規の問題は、建設業法・建築基準法施行令・労働安全衛生法から出題されています。

令和元年の問題で確認してみましょう。

1. 「建設業法」 に基づく主任技術者及び監理技術者の職務等に関する次の文章において,( ① )( ② ) に当てはまる語句を記入しなさい。

 主任技術者及び監理技術者は,工事現場における建設工事を適正に実施するため,当該建設工事の ( ① ) の作成,工程管理,品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の ( ② ) の職務を誠実に行わなければならない。
(条文)
これは旧建設業法26条3です。(現在は26条4になっている)
主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。

2. 「建築基準法施行令」 に基づく落下物に対する防護に関する次の文章において,( ③ )( ④ ) に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。

 建築工事等を行う場合において,建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が ( ③ ) m 以内で,かつ,地盤面から高さが 7m 以上にあるとき,その他はつり,除却,外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは,国土交通大臣の定める基準に従って,工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分を ( ④ ) 又は帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。
(条文)
建築基準法施行令第136条5
建築工事等を行なう場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離がメートル以内で、かつ、地盤面から高さが七メートル以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によつて工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従つて、工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分を鉄網又は帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。
建築基準法施行令はかなりのボリュームですが、出題されているのは第7章の8工事現場の危険の防止(136条2の20〜8)に限られているので、そこは余裕があれば読んでおくと良いと思います。

3. 「労働安全衛生法」 に基づく特定元方事業者等の講ずべき措置に関する次の文章において,( ⑤ )( ⑥ ) に当てはまる語句を記入しなさい。

 特定元方事業者は,その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる ( ⑤ ) を防止するため,( ⑥ ) の設置及び運営を行うこと,作業間の連絡及び調整を行うこと,作業場所を巡視すること,関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に関する指導及び援助を行うこと等に関する必要な措置を講じなければならない。
(条文)
労働安全衛生法30条
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。
一 協議組織の設置及び運営を行うこと。
二 作業間の連絡及び調整を行うこと。
三 作業場所を巡視すること。

以上ですね。この法規のウェブをブックマークしておく意義は、同じ条文の他の項などが出題される可能性を考慮してです。また同じ条文全体を読むことで、内容をより深く理解できるようにもなります。

建設業法などは第24条が良く出題されるので、その部分は出力して持っておいて、通勤時間等に読み込んでもいいかもしれません。

まとめ

世の中、ぐぐることで多くの情報を得られる便利な時代になりました。ただ闇雲に調べ始めると結構時間がかかります。上記に関わらず、自分が気になるサイトは押さえておいて、効率的に調べていくと良いでしょう。

特に、
・仮設計画、安全管理の留意・検討すべき事項
・躯体、仕上げ工事の施工上の留意事項
この問題は、自分で文章を記述できるようになる必要があります。

その際に労働安全衛生規則における安全基準公共建築工事標準仕様書における施工上のポイントはシンプルにまとまっており、かつ自分の覚えやすい内容を選びやすいので、必ずしもテキストに全て頼るよりも良いと思います。

記述のコツは極力覚えやすいシンプルな文章で書くことですね。なかなか難しい文章は覚えることは難しいです。
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