【過去問】平成23年 1級建築施工管理実地試験(問題と解答例)問題4~6

前回に続いて、今回は平成23年(2011年)1級建築施工管理技術検定試験 実地試験問題と解答例(問題4〜問題6) です。

問題1~3はこちらです。

 

問題4 仕上げ工工事
問題5 工程管理(バーチャート工程)
問題6 法規

について取り組んでいきましょう。

問題4 仕上げ工事

問題4  次の1. から8. の各記述において,記述ごとの①から③の下線部の語句のうち最も不適当な箇所番号1あげ,適当な語句を記入しなさい。
1,シーリング工事におけるバックアップ材は,特にワーキング (①) ジョイントに充填されるシーリング材の機能を十分に発揮させ,長期間の耐久性を維持するため,目地に装填する成形材料である。
バックアップ材は,シーリング材を目地構成材と相対する2面 (②) のみに接着させて,長期間の繰返しムーブメントに対する追従性を確保するほか,シーリング材の目地幅 (③) を確保する役割を担う。
解答・解説
(解答)③ 目地深さ
(解説)バックアップ材はシーリング材の3面接着の回避、目地充填深さの調整や目地底の形成を目的としています。つまり目地幅を確保するのではなく、目地幅の深さを確保する役割があります。
2, 陶磁器質タイル張りにおいて,まぐさ,庇先端下部など剥落の恐れが大きい箇所に小口タイル (①) 以上の大きさのタイルを張る場合,剥落防止用引金物として,径が 0.6mm 以上のなまし鉄線 (②) をタイルに取り付け,引金物を張付けモルタルに塗り込む。 なお,張り付け後は,必要に応じて受木を添えて24時間 (③) 以上支持する。
解答・解説
(解答)②なましステンレス鋼線
(解説)引金物はステンレス鋼線(SUS304)を使用し、腐食しやすい銅線などは使わない。
※建築工事監理指針より

 

3. 鋼板製屋根用折板葺きにおいて,タイトフレームは,受け梁にアーク (①) 溶接で取り付ける。
溶接は,タイトフレームの底部両面を部分溶込み (②) 溶接とし,溶接サイズは,タイトフレームの板厚と同寸法とする。 また,溶接後はスラグ (③) を除去し,溶接部分及びその周辺に防錆処理を行う。
解答・解説
(解答)②隅肉
(解説)タイトフレームと下地材との接合は、隅肉溶接とし、溶接後はスラグを除去する。
※公共建築工事仕様書より
4, 仕上げ材の下地となるセメントモルタル塗りの表面状態は,金ごて仕上げ,木ごて仕上げ,吹付け (①) 仕上げ及びくし目引きがあり,その上に施工する仕上げ材の種類に応じて適用が異なる。金ごて (②) 仕上げは,一般塗装下地,壁紙張り下地,防水下地の仕上げとして,木ごて (③) 仕上げは,内装接着剤張り以外のタイル張り下地の仕上げとして適用できる。
解答・解説
(解答)①はけ引き
(解説)モルタル塗りの表面状態(上塗り)は金ゴテ仕上げ、木ゴテ仕上げ、はけ引き仕上げがある。
※公共建築工事仕様書より
5,塗装工事における研磨紙ずりは,素地の汚れやさび,下地に付着している塵埃を取り除いて素地や下地を粗面 (①) にし,かつ,次工程で適用する塗装材料の付着性 (②) を確保するための足掛かりをつくり,仕上がりを良くするために行う。研磨紙ずりは,下層塗膜及びパテが十分乾燥 (③) した後に行い,塗膜を過度に研がないようにする。
解答・解説
(解答)①平滑
(解説)研磨の目的は、下地表面に付着している汚れを除去し、付着性向上のために行う。またパテ処理面を平滑にし、仕上げの平滑度を上げる場合に用いる。
※建築工事監理指針より。
6,タイルカーペットを事務室用フリーアクセスフロア下地に施工する場合,床パネル相互間の段差とすき間を1mm (①) 以下に調整した後,床パネルの目地とタイルカーペットの目地を100mm (②) 程度ずらして割付けを行う。カーペットの張り付けは,粘着はく離形の接着剤をカーペット裏 (③) 全面に塗布し,適切なオープンタイムをとり,圧着しながら行う。
解答・解説
(解答)③下地
(解説)仮敷きしたカーペットを折り返し、下地全面にカーペットの製造所の指定するくし目ごてを用いて接着剤を塗布する。
※公共建築工事標準仕様書より
7,軽量鉄骨壁下地の施工において,軽量鉄骨天井下地にランナーを取り付ける場合,ランナーと天井下地材の野縁が直角の場合には,ランナーを野縁受け (①) に,各々間隔900mm程度にタッピンねじの類又は溶接 (②) で固定する。また,ランナーを上部鉄骨梁に取り付ける場合は,先付け金物 (③) を梁に溶接しておき,梁の耐火被覆等の終了後にランナーを取り付ける。
解答・解説
(解答)①野縁
(解説) この図の通り、ランナーと野縁が直角の場合、ランナーを野縁に900mm程度の間隔でタッピンネジ又は溶接で施工する。
※建築工事監理指針より
8,コンクリート打放し仕上げ外壁のひび割れ部の改修における樹脂注入工法は,外壁のひび割れ幅が0.2mm以上1.0mm (①) 以下の場合に主に適用され,シール工法やUカットシール材充填工法に比べ耐久性 (②) が期待できる工法である。挙動のあるひび割れ部の注入に用いるエポキシ樹脂の種類は,軟質形とし,粘性による区分が高粘度 (③) 形又は中粘度形とする。
解答・解説
(解答)③低粘度
(解説)ひび割れが0.2~1.0mm以下に適用されるのは樹脂注入工法であり、長期の耐久性が期待できる工法である。そしてひび割れ幅によって低粘度又は中粘度形のエポキシ樹脂を使い分ける。 ※建築改修工事監理指針より

問題5 施工管理(バーチャート工程)

問題5  市街地での事務所ビルの建設工事における右に示す工程表に関し,次の問いに答えなさい。
なお,解答の旬日は上旬中旬下旬で記述しなさい。

〔工事概要〕
構造・規模:      鉄筋コンクリート造地下1階,地上5階建,延べ面積2,500㎡とする。
山留め:            山留め壁は,親杭横矢板工法で外部型枠兼用 (片面型枠) とし,親杭は引き抜かない。
                          支保工は,水平切梁工法とする。
外部仕上げ:     正面1階は石張りとし,その他は小口タイル張りとする。

1,表中のA及びBに該当する作業名をあげなさい。

解答・解説
(解答)A 乗入構台解体 B 伸縮目地取付
(解説)A 仮設工事としては2月に乗入構台架けとあり、5月で地下躯体工事が完了している。つまりここで乗入構台を解体する必要がある。
B 屋上アスファルト防水工事が終了し、その後防水保護コンクリートの工事があるので、ここは伸縮目地取付が正しい。バーチャート工程では過去問の工程の流れを意識しながら、良く眺める習慣が大事です。

2,作業の開始日が工程上最も不適当な作業名を表中より選び,適当な工程となるように,その開始日を月次と旬日で定めなさい。
ただし,その作業の期間は正しいものとする。

解答・解説
(解答)【不適当な作業】杭頭処理 【開始日】3月上旬
(解説)この問題は少し微妙ですね。社内検査が床仕上げ張りの前に実施されたり、壁ボード工事の途中から内部建具取り付けがあったり。(建具枠は壁ボードの前に実施される)
しかしながら2次根切・床付前に杭頭処理が終了することはないので、やはり上記が不適当である。

3,外壁仕上げのタイル張り作業の工程は未記入となっている。 適当な工程となるようにタイル張り作業の開始日及び終了日の期日を月次と旬日で定めなさい。

解答・解説
(解答)【開始日】9月上旬(8月下旬)【終了日】10月上旬
(解説)外壁タイル張りは下地モルタル塗りの後工程で、モルタル乾燥期間は2週間以上が望ましいと言われている。また1F部分の外壁石工事が10月中旬に始まっているので、10月上旬に外壁タイルが終了していることが望ましい。

問題6 法規

問題6  「建設業法」 及び 「労働安全衛生法」 に定める次の各法文において,( ① )~( ⑥ ) に当てはまる語句を記入しなさい。

1,建設業法

建設業者は,許可を受けた (   ①   ) に係る建設工事を請け負う場合においては,当該建設工事に (   ②   )する他の (   ①   ) に係る建設工事を請け負うことができる。
解答・解説
(解答)①建設業 ②附帯
(解説)建設業法第4条(附帯工事)からの出題です。ここ最近は出題されてないですね。『付帯』ではなく『附帯』です。

2,建設業法

請負人は,請負契約の履行に関し工事現場に現場代理人を置く場合においては,当該現場代理人の (   ③   )に関する事項及び当該現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する (   ④   ) の申出の方法 (第3項において 「現場代理人に関する事項」 という。) を,書面により注文者に通知しなければならない。
解答・解説
(解答)③権限 ④意見
(解説)建設業法第19条の2(現場代理人の選任等に関する通知)からの出題。

3,労働安全衛生法

建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は,施工方法,(   ⑤   ) 等について,安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある (   ⑥   ) を附さないように配慮しなければならない。
解答・解説
(解答)⑤工期 ⑥条件
(解説)労働安全衛生法第3条(事業者等の責務)の3からの出題です。平成30年にも出題されています。(空欄も同じ)

まとめ

以上、今回のこの平成23年(2011年)の問題と解答例で11年分がアップできました。

この10年の推移を見ていると、

・法規はこの時代は『建築基準法施行令』が出題されていない。
・2016年までは施工管理(工程)はバーチャート工程の問題だった。
というところが最近の出題と異なる部分です。
いきなりある年より大きく出題が変わるわけではありませんが、年次を経て少しずつは変わっています。
2022年も出題内容が何か変わる可能性もゼロではありません。そういった観点でも確実に出来る対策はしっかり取っておきましょう。
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