施工経験記述の指導をしてきて思うのは、新築工事や改修工事など、添削する側から見るとその工事種別によってわかりやすさは異なると最近強く思います。
結果、わかりやすく記述出来ていれば何の問題もないんだけど、そこは簡単ではないなと多くの受講生を指導していて感じます。
今回は、特に改修工事や大規模修繕工事従事者が施工経験記述を書くにあたって気をつけるべき事項を書いていこうと思います。
この記事は、資格試験の採点基準に関するものではないので、実際どのように採点されているかは不明です。
ただ資格試験サポートに長く携わり、指導者の立場で多くの経験記述を読んで感じていることだと思ってください。
新築工事は誰でもイメージしやすい
新築工事の概要例を2つ書いてみよう。
工事場所:横浜市西区東幸9−12ー6
工事の内容:
共同住宅、RC造、地下1階、地上12階、延べ面積12,546m2、
外壁:タイル張り、一部1階部分石張り、
内部 居室床:フローリング張り、壁及び天井:PB下地にビニルクロス張り工期:平成29年6月〜平成30年12月
あなたの立場:現場代理人
あなたの業務内容:施工管理全般
工事場所:東京都渋谷区北恵比寿3丁目16番9号工事の内容:
事務所ビル、RC造、地下1階、地上5階、延べ面積9,600m2、
外壁:ALCパネル複層塗材仕上げ、内部 事務室床:システムフロア下地タイルカーペット張り、
天井:システム天井、壁:PB下地ビニルクロス張り
工期 :2018年2月〜2019年1月
あなたの立場:工事主任
あなたの業務内容:施工管理全般
大規模修繕工事の工事概要
次に共同住宅の大規模修繕工事の概要例を一つ書きます。
工事場所:東京都世田谷区上野毛6丁目○ー○工事の内容:
共同住宅、RC造、地下1階、地上5階、延べ面積6,560㎡、
屋上ウレタン塗膜防水工事 856㎡、外壁タイル改修 1,500㎡、
外壁シーリング改修 2136m、外壁塗装改修 520㎡
工期:令和元年4月〜令和元年11月
あなたの立場:工事主任
あなたの業務内容:改修工事の施工管理
概要と記述内容のマッチングの難しさ
上記の工事概要に基づき、経験記述を添削していくと悩むことは比較的多いんです。
・例えば新築工事の概要で、ALCパネル複層塗材仕上げ であれば、ALCパネルに塗装仕上げと言うことはわかります。
しかし、改修工事のおいて、
・外壁塗装改修
と記述していると、下地はわかりません。(だから、ダメだと言ってるのではありませんよ)
実際に記述部分で、『外壁塗装は下地がALCパネルだったので』と書いていれば、そこで採点者側の疑問は解決しますので、その次に施工方法や管理値、留意事項を書いていても、判断はしやすくなります。
・外壁タイル改修 についても同じです。
おそらく大規模修繕工事の場合、目視検査や打診検査に基づいて、
・エポキシ樹脂アンカーピンニング注入工法などで補修する箇所
・一部アンカーピンニング注入工法 〇〇㎡
工事の内容に記載のない経験記述
先ほどの工事の内容をもう一度書きます。
共同住宅、RC造、地下1階、地上5階、延べ面積6,560mm2、
屋上ウレタン塗膜防水工事 856m2、外壁タイル改修 1,500m2、
外壁シーリング改修 2136m、外壁塗装改修 520m2
・石膏ボードの現場切断した端材は、再生利用を行った。
・内装工事の搬入の際の梱包材は、・・・ 発生抑制を行った。
という記述を見ると、採点者からはこれも、『???』となるわけです。
『実は内装工事も少し実際あったんですよ』と言われると、
『じゃあ、工事の内容欄に書いた方がいいよ』とアドバイスするわけです。
改修工事や模様替え工事の場合、工事の内容に書いていないことを経験記述に絶対書いてはダメだと断言するつもりはありません。(実際に気づかずスルーすることも多々あります)
ただ、施工経験記述のポイントは、実際の経験した内容としての説得力です。
工事の内容に書いていなくても、耐震改修工事において、
軽量鉄骨工事や石膏ボードが入っていても、耐震の後、ブレース回りの柱の工事を仕上げるために行ったんだなと
わかる工事もありますね。
実施した改修工事の工事の内容を全部書ききれない、ならば適切に記述内容によって取捨する方が良いと思います。
採点者はあくまでも記述した内容(それがファクトだという前提で)に基づいて判断します。
そして新築工事は記述がなくても、世間一般的な常識もそこに含んで判断してくれる場合が多いですが、
改修工事・大規模修繕工事はすべてに渡って、そう思ってくれるとは限らないと認識をした方が良いでしょう。
(少なくとも私は、改修工事は詳細に工事の内容を良く見て、経験記述を読んでいます)
結局は慣れるしかない
新築工事は最初に記述したの工事概要を採点者が読み取れば、記述のない部分も常識の範囲内である程度勝手に想像してくれます。
しかしながら改修工事はシチュエーションや現状の状況の説明も大切です。
・外壁タイルは打診検査を行ったが、想定以上に浮きが少なかったので、
・バルコニーの長尺塩ビシート工事は、居住者が生活しながらの工事だったので、
私も受検の際は、改修工事の記述をしてきましたのでよくわかります。
改修工事で、自分の経験記述がわかりにくいな、と感じたらやはりどこか説明不足になっている可能性があります。
改修工事や大規模修繕工事では、そのあたりの記述のコツを掴んで何とか高得点を取れるサポートをしたいと思っています。
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