【施工経験記述】建設副産物対策の各種事例(発生抑制他)を考えたみた

私は1級建築施工管理技士の実地試験で、勉強当初に一番苦手だったのが施工経験記述における建設副産物対策でした。これは自分の業務上の立場において対応することが少なかったことに起因します。

ただある程度、法規的な部分と基礎知識を理解すれば、記述できることがわかりました。ポイントは建設副産物の各用語を正しく理解する、もうそれに尽きますね。

今回は事例を踏まえてまとめてみました。

建設副産物及び廃棄物の対策に対応する法規

施工経験記述において『建設副産物対策』は過去10年間で3度出題されています。

この課題が1級建築施工管理技士の技術検定で出題されるのは、後ほど述べる建設リサイクル法などの法整備が十分でなかった時代は不法投棄が多く発生し、中でも建設系廃棄物が多く見られ社会的にも問題化されていた時代があり、自治体含め取り組むべき大きな課題だったからです。不法投棄を減らすだけでなく廃棄物そのものを減量化する取組が必要になっていました。

つまりは施工管理者として、ある一定規模の工事を進める上で正しい法規を理解して、特定建設資材を正しく扱い処理する知識と能力が必要だという観点もあり、施工経験記述でも出題されるテーマになっていると思われます。

まずこの解決策として、資源の有効な利用を確保する観点からこれらの廃棄物について再資源化を行い、再び利用していくため、平成12年5月に建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化に関する法律)が制定されました。

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)

建設リサイクル法では、特定建設資材(コンクリート(プレキャスト板等を含む。)、アスファルト・コンクリート、木材)を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について、その受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けています
環境省ホームページより引用

この一定以上の規模とは、

1)建築物の解体工事では床面積80m2以上
2)建築物の新築又は増築の工事では床面積500m2以上
3)建築物の修繕・模様替え等の工事では請負代金が1億円以上
4)建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事等では請負代金が500万円以上と定められています。
いわゆる修繕・模様替え工事では規模的にはゆるいですが、新築・解体工事は厳格に規定されている感じですね。
上記に該当する工事は、着工7日前までに各都道府県知事に届出の上、工事を行わなければなりません。
端的にまとめると、
コンクリート、コンクリート及び鉄からなる建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4品目が特定建設資材と、発生する特定建設資材廃棄物については分別解体等と再資源化等が義務付けられます
というのがこの法規の趣旨です。

そしてこの建設リサイクル法の基本的な枠組みとなっているのは、循環型社会形成推進基本法です。

循環型社会形成推進基本法

この循環基本法は、廃棄物・リサイクル問題の解決のため、「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、環境への負荷が少ない「循環型社会」を形成することに解決策を求めることとし、循環型社会の形成を推進する基本的な枠組みとなる法律を新たに制定した。
※wikipediaより

そしてその概要は、

「循環型社会」とは、
廃棄物等の発生抑制
循環資源の循環的な利用
適正な処分が確保される

ことによって、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会を目指し、処理の優先順位を法制化されています。

発生抑制 (発生材をそもそも減らす取組)
再使用  (リユース、繰り返し使う・使えるものを採用)
再生利用 (リサイクル、一旦引き取って新たな資源として生まれ変わる)
熱回収  (サーマルリサイクル、ゴミを燃やして熱源などに利用する)
適正処分 (上記が出来ないものは環境に負荷を与えないように処分する)
例年出題される建設副産物の問題はこの5つの用語の意味を理解して、自分が経験した工事の中でどれに該当するかを把握の上、記述する必要があります。
私の経験では②と③を混同してしまい、間違いを犯してしまう事例が多いように思います。次にその具体例をまとめました。

 

建設副産物対策の事例

発生抑制

建築工事において、建設副産物の対応の優先順位の1位は発生抑制です。そのそも現場に持ち込む発生材を減らすことにより現場での廃棄物を減らす取組です。

工事名・材料取組内容
プラスターボード現場寸法に合わせて特寸で製作して搬入する。現場でのプラスターボードの加工やカットが大幅に削減でき、端材の発生材の抑制につながる。
壁軽量鉄骨下地現場の高さに合わせた軽量鉄骨のプレカット現場での軽量鉄骨のカットと加工を大幅な削減に繋がり、金属屑の発生材の抑制につながる
階段のPC工法内部階段を工場生産で製作して現場施工現場での仮設材・型枠材の発生抑制につながる。
建具工事(交換)建具交換の際、枠はそのままでカバー工法で対応する。現場での三方枠の解体がなくなり、それに伴い壁の解体による発生材の削減につながる。
内装工事メーカー・協力会社と協議の上、梱包を削減する。現場では材料を軽養生の上、パレットで搬入。梱包発生材の抑制につながる。
杭工事場所打ちコンクリート杭を既製コンクリート杭に変更現場での建設発生土の削減につなげる。

発生抑制は少し施工の合理化と記述が似てきます。特にプレカットや木工事や建具など工場で完成品状態まで製作を行い、現場で組み立てのみとすると、省力化・工期短縮そして発生材の抑制につながるという流れなので、派生効果としては発生抑制+αとして工期短縮or省力化につながりますね。

またそれ以外に、発生抑制のポイントは、

・梱包材などの現場への持ち込みを減らす。
・合板型枠材などの使用をやめてデッキプレート工法を採用する。

などが考えられます。建設副産物の取組の中ではもっとも重要な内容と言えます。

再使用

次に再使用(リユース)です。これは基本的には材料をほぼそのままの形で再使用することを言います。

工事名・材料取組効果
杭工事杭工事で発生した発生土を敷地内の埋め戻し土として再使用。廃棄物の削減と搬出搬入の車両が不要で、CO2削減にもつながる。
土工事根切り工事で発生した良質土を近隣現場の梅戻し土に再使用した。発生土の廃棄がなくなり、処分費用の削減につながった。
プラ養生材工事材料の搬入に使用したプラスチック養生材は、タイルカーペット張り後、床養生として再使用を行った。養生材を繰り返し再使用することによって、使用する養生材の発生材を減らした。
梱包材内装工事における資材の搬入は協力会社に依頼をしてプラスチック製梱包材(リターナル)を再使用した。繰り返し使用することにより、現場への持ち込む梱包材の発生抑制にもつながった。

再使用はなかなか事例的に難しいですね。仕上げ工事で多いのは養生材に限らず、撤去したカーペットや、梱包としてのベニヤ材などを養生材などに転用する場合が多いですかね。一つは記述できるようにしておきたいところです。

再生利用(リサイクル)

次は再生利用です。建築工事にかかわらず一般社会生活においてリサイクルの重要性はご存知の通りだと思います。

工事名・材料取組効果
木くず現場で発生した木くずは分別を徹底して、工場に引き取らせた。パーチクルボードとして再生利用され、廃棄物の削減にもつながった。
石膏ボード現場で切断された石膏ボードの端材は雨に濡れないよう保管し工場に引き取らせた。石膏ボードの原料として再生利用された。(発生材の抑制にもつながった)
コンクリート場所打ちコンクリート杭工事の杭頭処理で発生したコンクリート塊は、現場で圧水機で処理し駐車場の路盤材として再生利用した。再生利用により、現場でのコンクリート塊の発生材を削減につながった。
金属くず現場で切断加工で発生した軽量鉄骨材は分別して金属リサイクル会社に引き取ってもらい製鋼原料として再生利用された。軽量鉄骨材の廃棄物の削減につながった。
発泡スチロール現場での機器・資材搬入に伴い発生する発泡スチロールは、分別してリサイクル業者に引き取ってもらった。発泡スチロールはプラスチック材として再生利用され、廃棄物の削減につながった。

再生利用は上記に限らず、多くの資材で行われています。

熱回収(サーマルリサイクル)

熱回収は言葉の通り、廃棄物を単に廃棄するのではなく、熱源(エネルギー)として利用されることを言います。

材料取組効果
木くず
廃プラスチック
分別して焼却施設に持ち込み、焼却した。焼却の際に発生する熱エネルギーで発電に利用された。

熱回収は上記の通り、発電に利用されるか、もしくは温水や冷暖房設備に利用されることもあるようです。

これについては経験がない人も多いかと思います。昨今の状況ではこれに関しての記述を求められる可能性は低いかと思いますが、一般知識として上記事例は覚えておいた方が良いでしょう。

まとめ

今回は、

・発生抑制
・再使用
・再生利用
・熱回収

以上4つについてまとめました。上記でも処理できなかったものは、適正処分(法規に乗っ取り)を行います。

そして上記4つのうち、工事計画でもっとも重要なのは『発生抑制』を行い、発生材を極力減らす取組が必要になってきます。

おそらく普段の工事においても、極力発生材を減らそうという取組の一つかふたつはあるかと思います。自分の経験を改めて振り返り、適用できるものを検討してみましょう。

試験がいよいよ近づいてきました。きっちり知識を整理しておきましょう。

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