【過去問】平成30年 1級建築施工管理 実地試験(問題と解答例)問題1〜3

今回の過去問シリーズ、平成30年(2018年)1級建築施工管理技術検定試験 実地試験問題と解答例(問題1〜問題3)についてです。

まずは前半戦、問題1~3について取り上げていきます。

問題1 施工経験記述(建設副産物対策)

問題1 建設業においては,高度成長期に大量に建設された建築物の更新や解体工事に伴う建設副産物の発生量の増加が想定されることから,建設副産物対策への更なる取組みが求められている。
あなたが経験した建築工事のうち,施工に当たり建設副産物対策を施工計画の段階から検討し実施した工事を 1つ選び,工事概要を具体的に記述したうえで,次の 1. 及び 2. の問いに答えなさい。
なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物に係る工事とし,建築設備工事を除くものとする。
〔工事概要〕
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容 (新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,主要室の内部仕上げ
改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場
1. 工事概要であげた工事において,あなたが実施した建設副産物対策に係る 3つの事例をあげ,それぞれの事例について,次の ①から④を具体的に記述しなさい。
ただし,3つの事例の ③及び④はそれぞれ異なる内容の記述とする。
なお,ここでいう ① 建設副産物対策は,発生抑制再使用又は再生利用とし,重複して選択してもよい。① 建設副産物対策 (該当するものを 1つ ○ で囲むこと。)
② 工種名等
③ 対策として実施したことと実施に当たっての留意事項
④ 実施したことによって得られた副次的効果
解答例-1(発生抑制)
①発生抑制
②型枠工事
③床の合板型枠を工事監理者の承認を得て、フラットデッキ型枠に変更して型枠の廃材の発生を抑制した。また施工時には所定のかかり代を確保し、割付図面通りにフラットデッキを配置するよう留意した。
④フラットデッキ工法にしたことで、支保工も大幅に削減出来て現場内での作業性は改善され、型枠の解体作業もなかったので工期短縮にもつながった。
解答例-2(再生利用)
①再生利用
②内装工事(プラスターボード)
③間仕切りとして利用したプラスターボードのカットした端材は分別して、湿気と水分で濡れないように留意しながら保管・分別して、広域認定制度を持つメーカーに引き取ってもらった。
④メーカーでプラスターボードに再生されただけでなく、廃棄処分費用が削減され、また現場は材料毎にコンテナを設けて分別することにより整然と作業性の良い環境となった。
解答例-3(再使用)
①再使用
②土工事
③土工事の発生土は場外搬出予定だったが、良質土であったので工事監理者の承認を得て、埋め戻し土に再使用を行なった。埋め戻しはランマーを使用して30cmごとに締め固めを行うよう留意した。
④既存の発生土を再使用が可能になったことで、発生土の搬出費用のコスト削減、また当初予定していた埋め戻し土の購入費用の削減につながった。
2. 工事概要にあげた工事にかかわらず,あなたの今日までの工事経験に照らして,1. で記述した内容以外の建設副産物対策として,建設廃棄物の適正な処理の事例を 2つあげ,対策として実施したことと,それらを適切に実施するための留意事項を具体的に記述しなさい。
ただし,2つの事例は異なる内容の記述とする。
解答例
(1)
【実施】改修工事で発生した、鉄くず、アルミくず、ボード端材、木くずなどは、分別回収を徹底して、混合廃棄物を減らして、極力再生工場に引き取ってもらって混合廃棄物を減らした。
【留意】分別回収は専用のコンテナを設置し、間違えて異なる材料が入らないよう色の異なるシールを貼って、混在しないように作業員にも周知した。
(2)
【実施】最終的に分別できない廃棄物はマニュフェストを発行して、廃棄物の名称、数量、運搬業者、処分業者がわかるように記載し、適正に処分を行った。
【留意】契約した処分業者については、最終処分場の現場確認を行った上で廃棄を取り進め、A票と運搬・処分業者からのB2、D、E票の照合を行い適正に処分された事を確認し、書類を保管した。

問題2 仮設計画・安全管理

問題2 建築工事における次の 1. から 3. の災害について,施工計画に当たり事前に検討した災害の発生するおそれのある状況や作業の内容と災害を防止するための対策を,それぞれ 2つ具体的に記述しなさい。
ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とする。 また,安全帯や保護帽の使用,朝礼時の注意喚起,点検や整備などの日常管理,安全衛生管理組織,新規入場者教育,資格や免許に関する記述は除くものとする。

1. 墜落,転落による災害

解答例
(1)外部足場などでの作業の場合、作業床などの墜落の危険のある場所は、85cm以上の手すり及び中さん、幅木などを設けて墜落や転落を防止する。
(2)ローリングタワーを使用の際は、安全帯を使用するよう徹底し、作業員を乗せたまま移動しないようにして、設置位置を決めたら必ず固定する。

2. 電気による災害

解答例
(1)交流アーク溶接機などを利用する際は、湿気やほこりの少ない場所に設置を検討し、感電を防止するために作業から近い場所にアースを取り付ける。
(2)工具を利用する電源回路には必ず漏電遮断器を取り付け、絶縁の低下、損傷などによる電気の漏電事故を未然に防ぐよう検討する。

3. 車両系建設機械による災害

解答例
(1)運転者が運転位置から離れる場合は、バケットなどの作業装置を地上に下ろし、原動機を止めてブレーキを止め逸走を防止する。
(2)車両用建設機械の運転の際に、誘導者を配置するときは、一定の合図を定め誘導者に当該合図を行わせなければならない。また運転者はその合図に従わなければならない。

問題3 躯体工事

問題3 次の 1. から 8. の各記述において,記述ごとの ①から③の下線部の語句又は数値のうち最も不適当な箇所番号1つあげ,適当な語句又は数値を記入しなさい。
1. 平板載荷試験は,地盤の変形や強さなどの支持力特性を直接把握するために実施される。試験地盤に礫が混入する場合には,礫の最大直径が載荷板直径の 1/3 (①) 程度を目安とし,この条件を満たさない場合は大型の載荷板を用いることが望ましい。
試験地盤は,半無限の表面を持つと見なせるよう載荷板の中心から載荷板直径の 3 (②) 倍以上の範囲を水平に整地する。
また,計画最大荷重の値は,試験の目的が設計荷重を確認することにある場合は,長期設計荷重の 3 (③) 倍以上に設定する必要がある。
解答・解説
(解答)① 1/5
(解説)平成29年の2級建築施工管理技士の学科試験より、
試験地盤に載荷板の直径の1/5を超える礫が混入する場合、より大型の載荷板に変更する。
という問題が出題されました。1/3ではなく1/5が正解です。
2. 根切り工事において,掘削底面付近の砂質地盤に上向きの浸透流が生じ,この水の浸透力が砂の水中での有効重量より大きくなり,砂粒子が水中で浮遊する状態をクイックサンド (①) という。
 クイックサンド (①) が発生し,沸騰したような状態でその付近の地盤が崩壊する現象をボイリング (②) という。
また,掘削底面やその直下に難浸透層があり,その下にある被圧地下水により掘削底面が持ち上がる現象をヒービング (③) という。
解答・解説
(解答)③ 盤ぶくれ
(解説)掘削底面下方に、被圧地下水を有する帯水層がある場合、被圧耐水層からの揚圧力により掘削底面の不透水性土層が持ち上げられる現象を盤ぶくれと言います。
ビービングは軟弱粘性土地盤を掘削するとき、山留め壁背面の土の重量によって掘削底面内部に滑り破壊が生じ、底面が押し上げられてふくれ上がる現象を言います。
※建築工事監理指針
3. 場所打ちコンクリート杭地業のオールケーシング工法における掘削は,表層ケーシング (①) を搖動又は回転圧入し,土砂の崩壊を防ぎながら,ハンマーグラブ (②) により掘削する。
常水面以下に細かい砂 (③) 層が 5m 以上ある場合は,表層ケーシング (①) の外面を伝って下方に流れる水の浸透流や搖動による振動によって,周囲の砂 (③) が締め固められ表層ケーシング (①) が動かなくなることがあるので注意する。
支持層の確認は,ハンマーグラブ (②) でつかみ上げた土砂を土質柱状図及び土質資料と対比して行う。
解答・解説
(解答)① ケーシングチューブ
(解説)掘削はケーシングチューブを先に揺動または回転圧入し、土砂の崩壊を防ぎながらハンマークラブにより掘削をする。
アースドリル工法では掘削孔が鉛直になるまでは慎重に掘削を行い、表層ケーシングを鉛直に建て込む。
※建築工事監理指針
4. ガス圧接の技量資格種別において,手動 (①) ガス圧接については,1種から4種まであり,2種,3種,4種となるに従って,圧接作業可能な鉄筋径の範囲が大きく (②) なる。
技量資格種別が 1種の圧接作業可能範囲は,異形鉄筋の場合は呼び名 D32 (③) 以下である。
解答・解説
(解答)③  D25
(解説)これは第一次検定でも必要な知識問題ですね。1種はD25mm、2種はD32mm、3種はD38mm、4種はD51mm以下となっています。
5. 鉄筋のガス圧接継手の継手部の外観検査において,不合格となった圧接部の処置は次による。
圧接部のふくらみの直径や長さが規定値に満たない場合は,再加熱し,徐冷 (①) して所定のふくらみに修正する。
圧接部の折曲がりの角度が 2 (②) 度以上の場合は,再加熱して修正する。
圧接部における鉄筋中心軸の偏心量 (③) が規定値を超えた場合は,圧接部を切り取って再圧接する。
解答・解説
(解答)① 加圧
(解説)規定値に満たない場合は、鉄筋を切断せずに再加熱・加圧して、所定の膨らみに修正する。
※建築工事監理指針より
6. 型枠組立てに当たって,締付け時に丸セパレーターのせき板に対する傾きが大きくなると丸セパレーターの破断強度が大幅に低下するので,できるだけ直角 (①) に近くなるように取り付ける。
締付け金物は,締付け不足でも締付けすぎても不具合が生じるので,適正に使用することが重要である。 締付け金物を締付けすぎると,せき板が内側 (②) に変形する。締付け金物の締付けすぎへの対策として,内端太 (縦端太) を締付けボルトとできるだけ離す (③) 等の方法がある。
解答・解説
(解答)③ 近づける
(解説)締め付けすぎの対策として、内端太を締め付けボルトとできるだけ近づけるなどの方法がある。
覚えるしかありませんね。
7. コンクリートポンプ工法による1日におけるコンクリートの打込み区画及び打込み量 (①) は,建物の規模及び施工時間,レディーミクストコンクリートの供給能力を勘案して定める。
コンクリートの打込み速度は,スランプ 18cm 程度の場合,打込む部位によっても変わるが,20~30 (②) ㎥/h が目安となる。
また,スランプ 10~15cm のコンクリートの場合,公称棒径 45mm の棒形振動機 1台当たりの締固め能力は,10~30 (③) ㎥/h 程度である。
なお,コンクリートポンプ 1台当たりの圧送能力は,20~50 ㎥/h である。
解答・解説
(解答)③ 15
(解説)公称棒径45mmの棒形振動機1台あたりの締め固め能力は、スランプ10~15mm程度の普通コンクリートの場合、10~15m3/h程度である。
※建築工事監理指針より
8. 鉄骨工事におけるスタッド溶接後の仕上がり高さ及び傾きの検査は,100 (①) 本又は主要部材 1本 若しくは 1台に溶接した本数のいずれか少ないほうを 1ロットとし,1ロットにつき 1 (②) 本行う。検査する 1 (②) 本をサンプリングする場合,1ロットの中から全体より長いかあるいは短そうなもの,又は傾きの大きそうなものを選択する。
なお,スタッドが傾いている場合の仕上がり高さは,軸の中心でその軸長を測定する。
検査の合否の判定は限界許容差により,スタッド溶接後の仕上がり高さは指定された寸法の ±2mm 以内,かつ,スタッド溶接後の傾きは 15 (③) 度以内を適合とし,検査したスタッドが適合の場合は,そのロットを合格とする。
解答・解説
(解答)③ 5
(解説)スタッド溶接後の仕上がりの高さは指定寸法の±2mm以内、かつ傾きは5度以内を適合とする。
※鉄骨工事技術指針より

前半終了

問題4〜6は下記の記事より

建築施工管理技士の技術検定・実地試験の出題はある程度傾向と対策が明確になっています。その対策に重点をおいて勉強を進めていきましょう。

独学の場合は、自分の勉強の進捗度や進め方に合わせてテキストを選びましょう。

 

最新情報をチェックしよう!