前回に続いて、今回は令和元年(2019年)1級建築施工管理技術検定試験 実地試験問題と解答例(問題4〜問題6) です。
前半の問題1~3はこちら。
では後半戦スタート。
問題4 仕上げ工事
また,コンクリートスラブの打継ぎ部は,絶縁用テープを張り付けた上に,幅 300 (②) mm 程度のストレッチルーフィングを増張りする。
なお,流し張りに用いるアスファルトは,環境対応低煙低臭型防水工事用アスファルトとし,溶融温度の上限は,300 (③) ℃ とする。
- 解答・解説
- (解答)③ 240
(解説)300という数字が3つ並びましたね。環境対応低煙低臭型防水工事用アスファルトの溶融温度の上限は240℃と言われています。少し難しい問題です。
※建築工事監理指針では240℃〜260℃と記載されているので、260℃でも正解かもしれない。
また,モザイクタイル張りでは,張付けモルタルを 2層に分けて塗り付けるものとし,1 (②) 層目はこて圧をかけて塗り付ける。
なお,外壁タイル張り面の伸縮調整目地の位置は,一般に縦目地を 3 (③) m 内外に割り付け,横目地を各階ごとの打継ぎ目地に合わせる。
- 解答・解説
- (解答)① 5
(解説)タイルへ張付けモルタルを塗り付け後、タイルを張り付けるまでの時間は5分以内とする。(張付けモルタルは混練りから施工完了まで60分以内である。)
※公共建築工事標準仕様書より
また,水上部分の折板と壁との取合い部に設ける雨押えは,壁際立上りを 150 (②) mm 以上とする。 なお,重ね形折板の端部の端あき寸法は,50 (③) mm 以上とする。
- 解答・解説
- (解答)① タイトフレーム
(解説)タイトフレームの接合は隅肉溶接で、サイズはタイトフレームと同じ板厚とする。
※(一社)日本金属屋根協会より。
また,上部ランナーの上端とスタッド天端の間隔は 10mm 以下とし,スタッドに取り付けるスペーサーの間隔は 1,200 (③) mm 程度とする。
- 解答・解説
- (解答)③ 600mm
(解説)スペーサーは、各スタッドの端部を押さえ、間隔600mm程度に留め付ける。
※振れ止めは1.2m毎ですね。軽量鉄骨工事は、第一次検定でも多くの数値に関する出題がありますので、それを引き続ききっちり記憶しておく必要がありますね。
一般塗装下地,壁紙張り下地の仕上げとして,金ごて (②) 仕上げを用い,セメントモルタルによるタイル張付け下地の仕上げとして,はけ引き (③) 仕上げを用いる。
- 解答・解説
- ③ 木ごて
金ごて・・・壁紙・一般塗装・防水・壁タイル接着材張りの下地として。
木ごて・・・セメントモルタルによるタイル張り下地として。
はけ引き・・・主にコンクリート土間などの仕上げとして。
また,まぐさ (②) の遮煙機構は,シャッターが閉鎖したときに漏煙を抑制する構造で,その材料は不燃材料,準不燃材料又は難燃材料とし,座板にアルミニウムを使用する場合には,鋼板 (③) で覆う。
- 解答・解説
- (解答)① オーバーラッピング
(解説)防煙シャッターにはオーバーラッピングのスラットが、防火シャッターにはインターロッキングのスラットが使われる。
※他の年次にも出題されているので、この違いは記憶しておきましょう。
また,パテかい (②) は,局部的にパテ処理するもので,素地とパテ面との肌違いが仕上げに影響するため,注意しなければならない。
なお,パテ付け (③) は,特に美装性を要求される仕上げの場合に行う。
- 解答・解説
- (解答)① パテかい
(解説)パテしごき・・・パテを塗りつけた後に余分なパテをしごき取る。
パテかい・・・面のくぼみ,すき間,目違い等の部分を平滑にする。
パテ付け・・・下地全面に塗り付け下地全体を平滑にする。
また,ボードの張付けにおいては,ボード圧着の際,ボード下端と床面との間を 10 (③) mm 程度浮かした状態で圧着し,さらに調整定規でたたきながら,所定の仕上げ面が得られるように張り付ける。
- 解答・解説
- (解答)① 1
(解説)
・一度に練る分量は、1時間以内に使い切れる量とする。
・接着材は練混ぜてから2時間程度で硬化する。
・ボード圧着の際、床面から10mm程度浮かして張り付ける。
・接着材の盛り上げ高さはボード仕上がり面の2倍程度とする。
第一次検定でも学んだ知識ですね。このあたりは間違えないようにしたいですね。
問題5 施工管理(ネットワーク工程)
工程表は作成中のもので,検査や設備関係の作業については省略している。
各作業の内容は作業内容表のとおりであり,Aで始まる作業名は A工区の作業を,Bで始まる作業名は B工区の作業を示すが,作業 A2 及び作業 B2 については作業内容及び担当する作業班を記載していない。
なお,各作業班は,各工区ごとに確保できているものとする。 また,各作業は一般的な手順に従って施工し,各作業班は複数の作業を同時に行わず,先行する作業が完了してから後続の作業を開始するものとする。
用途 :事務所
構造・規模:鉄筋コンクリート造,地下1階,地上6階,延べ面積 3,200 ㎡
鉄筋コンクリート製の壁はなく,階段は鉄骨造で別工程により施工する。
外壁 :ALCパネル

1. 作業 A2 及び作業 B2 の作業内容を記述しなさい。
- 解答・解説
- (解答)柱の配筋
(解説)これは平成29年に出題されたのと同じだったので過去問をやっておけば解答できるラッキーな問題でしたね。
柱型枠の組み立ての前には柱の配筋の工事が必要です。
2. 作業 B7 のフリーフロートを記入しなさい。
- 解答・解説
- (解答)7日
(解説)フリーフロートという言葉、学科ではしっかり学んでいる内容ですね。
フリーフロート・・作業を最早開始時刻で始め,後続する作業を最早開始時刻で始めてもなお余る時間で,その作業の中で自由に使っても,後続作業に影響しない余裕時間の事である。
(A工区)A2〜A7の日数 3+3+5+2+3+3=19日
(B工区)B1〜B7の日数 1+2+2+2+1+2+2=12日 19日-12日=7日
7日間の余裕時間がありますね。
3. (始) から (終) までの総所要日数と,工事を令和元年10月23日 (水曜日) より開始するときの工事完了日を記入しなさい。
ただし,作業休止日は,土曜日,日曜日,祝日,振替休日のほか,雨天 1日とする。
なお,10月23日以降年末までの祝日は,文化の日 (11月3日) と勤労感謝の日 (11月23日) である。
- 解答・解説
- (解答)総所要日数 22日 工事完了日 11月25日
(解説)総所要日数はA工区経由で含めた合計日数で22日ですね。
工事完了日はカレンダーから計算して、土日と文化の日、勤労感謝の日、雨の1日を含めると11月25日となります。
祝日・土日などで計算ミスが起こりやすいです。試験の際は自分でカレンダーを作って間違いのないように取り組みたいですね。
4. 工事着手に当たり,各作業班の手配状況を確認したところ,型枠作業班が 1班しか手配できないため,1班で両工区の作業を行うこととなった。
この時に,次の記述の ( ㋐ )( ㋑ ) に当てはまる語句又は数値をそれぞれ記入しなさい。
このため,作業休止日が同じ場合,工事完了日は当初工程より歴日で ( ㋑ ) 日遅れることとなる。
- 解答・解説
- (解答)㋐ A5 ㋑ 3日
(解説)㋐型枠作業班はAの工区を工事してから、Bの工事の作業に入ることになる。ネットワーク作業内容表を確認すると、
型枠作業班の工事はA3,B3〜A5,B5が該当する。つまりA5の作業が完了後、B3の作業に入ることになる。
㋑ A5までの日数・・・1+3+3+5+2=14日
B3〜C2の日数・・・2+2+1+2+2+1+1=11日 上記合計25日
もともと総所要日数は22日だったので、合計3日工事が遅れることになる。
問題6 法規
1. 「建設業法」 に基づく主任技術者及び監理技術者の職務等に関する次の文章において,( ① )( ② ) に当てはまる語句を記入しなさい。
- 解答・解説
- 解答 ① 施工計画 ② 指導監督
解説 建設業法第26条の3(主任技術者及び監理技術者の職務)ですね。
平成28年も同様の条文から出題されています。(空欄は一つ異なるが)
令和2年10月の建設業法の改正により、現在は第26条の4になっています。建設業法の改正による試験問題への影響については別の記事で触れていきたいと思います。
2. 「建築基準法施行令」 に基づく落下物に対する防護に関する次の文章において,( ③ )( ④ ) に当てはまる語句又は数値を記入しなさい。
- 解答・解説
- 解答 ③ 5 ④ 鉄網
解説 建築基準法第136条の5(落下物からの防護)です。これも過去問で平成26年、25年より同条文が出題されています。
3. 「労働安全衛生法」 に基づく特定元方事業者等の講ずべき措置に関する次の文章において,( ⑤ )( ⑥ ) に当てはまる語句を記入しなさい。
- 解答・解説
- 解答 ⑤ 労働災害 ⑥ 協議組織
解説 労働安全衛生法30条(特定元方事業者の構ずべき措置)からの出題です。平成26年に同条文が出題されています。
まとめ
令和元年(2019年)の実地試験の解答及び解説については以上です。
この記事は2020年試験対策用に作成したものですが、2021年第二次検定向けに少しアップデートしました。
これからの試験対策に活用頂ければと思います。
2021年の出題の傾向と対策は下記にまとめています。
2021年のテキスト選びは下記記事を参照してほしいです。