さて、令和6年に向けて一つ一つ準備していきたいと思います。
まだ第一次検定もスタートしていませんが、やはり皆さん気になるのは第二次検定だと思います。少し早いですが、令和6年度の第二次検定の出題内容、傾向と対策の記事をまとめてみました。
ただね、施工経験記述は、設問を見直すと言っているので、どうなることやら??
でも、しっかり記述力をあげていけば大丈夫でしょう。当サイトもそんな一助になればと思っています。
第二次検定となって、4年目の試験を迎えます。
では行ってみましょう。
・令和6年になって何が変わる?
・例年の出題傾向と対策
・合格に向けて磨くべき能力
令和6年(2024年)の技術検定は何が変わる?
令和6年度より技術検定の受検資格に大幅な緩和があるのは、この記事にも詳細を書いております。
令和6年度以降の試験問題の見直し
令和6年度以降の技術検定の試験問題に関し、以下2点の見直しを行います。なお、受検の公平性の観点から、試験問題に関する問い合わせはお受けできません。・第一次検定 : 第二次検定の所要実務経験年数を学歴に拘わらず一定とすることから、第一次検定について、各専門分野の基礎を確認できるよう、必要に応じ、試験問題の充実を図る。
・第二次検定 : 受検者の経験に基づく解答を求める設問に関し、自身の経験に基づかない解答を防ぐ観点から、設問の見直しを行う。国土交通省のリリースより(外部リンク)
第二次検定の出題検定基準
国土交通省及び試験実施団体は、試験の検定基準を下記の通り定めています。(令和3年に改正されています)
要するに、監理技術者になるにふさわしい、知識や品質や施工計画における高度な応用能力があるかを見る試験内容、というのが基本設定です。
つまり、監理技術者になっても問題のない実務経験を有しているかを特に重視しています。
例年の試験内容を見る限り、実務経験が少し不足していても、ある程度の勉強で合格できるようにはなっていますが、それをより厳格化したいというのが国土交通省の思惑でもあると思います。
例年の出題構成から令和6年を考える
さて、本年度の予想される問題構成は下記の通りだと思われます。
- 施工経験記述
- 記述問題(仮設計画・安全管理のうちから安全管理)
- 施工管理(工程)おそらくネットワーク工程
- 記述問題(仕上げ工事)
- 五肢一択問題(躯体工事)
- 五肢一択問題(建築法規)
ちなみに令和5年の出題は、(例年交互に入れ替わる問題)
問題4 記述問題(躯体工事)
問題5 五肢一択問題(仕上げ工事)
問題1~6の傾向と対策の詳細
問題1 施工経験記述
1級の技術検定の第二次検定と言えば、この建築に限らず、合格へのキーとなるのは『施工経験記述』です。
施工管理者として、指導経験的実務経験(1年以上の)を問われる問題となっており、ここをきっちり書いて高得点を取ることによって合格が近づきます。
逆にここで得点をあまり確保できないようであれば、合格への道は遠ざかるといって良いでしょう。
ここ最近の出題です。
2023年(令和5年) | 品質管理 |
2022年(令和4年) | 施工の合理化 |
2021年(令和3年) | 品質管理 |
2020年(令和2年) | 施工の合理化 |
2019年(令和元年) | 品質管理 |
2018年(平成30年) | 建設副産物 |
2017年(平成29年) | 施工の合理化 |
2016年(平成28年) | 品質管理 |
2015年(平成27年) | 建設副産物 |
2014年(平成26年) | 品質管理 |
ここ最近は『建設副産物』が出題されておらず、『品質管理』と『施工の合理化』が交互になっております。
令和6年度に関しては、『設問の見直し』を行うことになっているので、単純に過去問に取り組むより、根本的な記述力をあげる必要があると思います。今までにない問題が出題される可能性もあり、予想するのが難しいですね。
ここ最近では令和4年の『施工の合理化』の問題は、多少ひねりと応用力が求められたので、苦戦している方が多い印象でしたが、令和5年の問題は極めて、『品質管理』の問題としてはほぼ例年と大きく変わることもなく、普通でした。
令和5年の問題1-1 (品質管理)
① 工種名又は作業名等
② 施工に当たって設定した品質管理項目及びそれを設定した理由
③ ②の品質管理項目について実施した内容及びその確認方法又は検査方法
2. 工事概要であげた工事に係わらず, あなたの今日までの建築工事の経験を踏まえて, 次の①及び②を具体的に記 述 しなさい。ただし, 1.の③と同じ内容の記述は不可とする。
① 品質管理を適確に行うための作業所における組織的な取組
② ①の取組によって得られる良い効果
令和3年の問題から問われる内容としては大きく変わることはありませんでしたので、普通通りに対応できる内容でした。
ただ、令和3年までの施工経験記述の問題1-1は『建設副産物』は事例を3つ、『品質管理』及び『施工の合理化』は事例2つで良かったのですが、令和4年度より『品質管理』と『施工の合理化』とも事例3つを求められるようになっていますので、その準備は確実に必要ですね。
また、建設業にはさまざまな課題があります。
- 建設業の2024年問題
- 品質管理においての虚偽報告からの建て直しの事例
- 八重洲の鉄骨落下からの安全管理の問題(品質管理の問題でもある)
大きなニュースになることもあり、上記に対して、施工管理者はどのように取り組んでいるかなど、自分の考えをまとめておいた方が良いかもしれません。(こういった、建設業の時事的なニュースは普段より情報収集しておいて、施工管理者としての考えを持っておくと良いでしょう)
そして、今後は現場によっては、監理技術者の現場の兼任が可能となります。企業として、どのように機械化、DX化を進めて現場を可視化しているかの取組があるともっと良いでしょう。
いずれにしても、今後の建設業の取組ということでの情報収集は普段より行うようにしましょう。
当サイトでも、X(旧Twitter)(外部リンク)では建設業の時事ニュースを定期的に発信しているので、良かったらフォローしてください。
施工経験記述で高得点を取るシンプルな方法は、
- 読みやすい文字で、誤字がないこと。
- 書きすぎてもダメだし、記述不足でもダメ。
- 問われている内容から主旨がずれないこと。
- ちゃんと下書きを行い、解答用紙が何度も書き直しが発生して汚くしないこと。
採点者が一番嫌がるのは、丁寧さにかける記述(文字も文章も)で、かつ何度も消したり書いたりして判読しにくい記述を読むのは本当にしんどいです。上記の対応がしっかり出来ていると、採点者は合格して欲しいと思うものです。
普段より丁寧に記述するようにしましょう。
※施工経験記述の書き方がわからない、また見てもらえる人がいない方向けに下記サービスを令和3年より行っています。
令和6年は7月頃よりサービス開始予定です。
【参考記事】
テーマ毎の施工経験記述の内容。
問題1-2の対策
施工経験記述ネタにご活用ください。
問題2 仮設計画・安全管理
令和5年の出題内容は下記の通りでした。
- くさび緊結式足場
- 建設用リフト
- 場内仮設道路
見てもわかる通り、仮設計画の問題でした。例年の流れから言うと、令和6年の偶数年は『安全管理』でしょう。
例えば令和2年の問題のだと、
- 外部枠組足場
- コンクリートポンプ車
- 建設用リフト
例えば、①の外部枠組足場の場合、
(1)壁つなぎ、または控えは垂直方向は9m以下、水平方向は8m以下に設け、枠組足場の高さは原則45mを超えないようにする。
(2)枠組足場は墜落を防止するために、高さ85cm以上の手すり、高さ35cm以上50cm以下の中さんを設ける。
これは仮設計画の問題でも使えますね。(なので、仮設計画の過去問も一緒に取り組んで損はありません)
過去に出題された内容などをまとめた記事はこちら↓
問題3 施工管理(工程)
問題3は工程の問題です。平成29年(2017年)より昨年まで7年間はずっと上の写真と異なり、ネットワーク工程の問題が出題されています。
平成28年迄は、1級はバーチャート工程、2級はネットワーク工程の問題でしたが、翌年よりそれぞれ入れ替わりました。(2級は平成29年よりずっとバーチャート工程の問題になっています)
一般的に市販されている過去問題集は10年分が多いです。もはや過去問で3年分しか残っていないバーチャート工程に取り組むのはなかなか難しくなってきましたね。(とは言っても、絶対出ないとは言えない)
【バーチャート工程】
とりあえず3年分の過去問はしっかりやりましょう。
基本的に鉄筋コンクリート造か鉄骨造です。なんとなく過去問を取り組みながら、仮設工事から竣工までの流れを理解しておくと良いでしょう。
【ネットワーク工程】
個人的な感想ですが、年次によって問題レベルは様々です。2017年の最初のネットワーク工程は今思うと基礎レベルの内容ですが、令和3年~4年は比較的に、丁寧に解かないとミスや計算間違いなどを誘発する問題で、解くまでに時間がかかる印象でした。(令和5年は少し簡単になっていた)
ネットワーク工程がさっぱり、と言う方はまずは基本的な用語の理解が必要です。
1次検定対策の記事ですが、まずは基礎知識を理解しましょう。
第二次検定で重要になってくるのは、
- クリティカルパスの概念
- フリーフロート(トータルフロートとの違いを理解しておく)
この2つです。
第二次検定におけるネットワーク工程に関する解説記事です。
どうしても試験の際に、苦手分野が生まれるのは仕方ないと思います。ただこのネットワーク工程は点数を確保する問題として取り組んでほしいですね。(理解出来れば、確実に点数が取れます。)
出題される年次によって、工程の進め方も異なったりするので本番では問題を良く読む事がとても大切です。
また、例年、内装工程と鉄筋コンクリート工事の工程が交互に出題されていますが、その流れから言うと、令和6年は内装工事の工程が出される可能性が高いと言えるでしょう。
問題4 記述問題(令和6年はおそらく仕上げ工事)
次に問題4の記述問題です。
例年、躯体工事と仕上げ工事の問題があり、問題4は記述問題、問題5は選択問題になっています。
- 問題4 施工上の留意事項を記述する(4問×2コ)
- 問題5 五肢一択の問題(8問)
躯体工事が①の留意事項の問題であれば、仕上げ工事は②の五肢一択の問題が出題される形式が続いています。
そして令和5年の第二次検定は下記の通りの出題でした。
- 問題4 躯体工事・・・施工上の留意事項を記述する。(従来通りの問題)
- 問題5 仕上げ工事・・・ ( ) に当てはまる最も適当な語句又は数値の組合せを, 下の枠内から 1 つ選ぶ(五肢一択)
この奇数年は躯体工事、偶数年は仕上げ工事が記述問題である流れは長らく変わっていませんね。
となると、令和6年の記述問題は仕上げ工事になる公算が極めて高いと言えるでしょう。(流石に100%そうだとは断言できませんが)
ちなみに令和4年(2022年)の仕上げ工事の問題は下記の通りです。
- 屋根保護防水断熱工法における保護層の平場部の施工上の留意事項を2つ, 具体的に記述しなさい。なお, 防水層はアスファルト密着工法とし, 保護層の仕上げはコンクリート直均し仕上げするとする。
- 木製床下地にフローリングボード又は複合フローリングを釘留め工法で張るときの施工上の留意事項を2つ, 具体的に記述しなさい。
- 外壁コンクリート面を外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(外装薄塗材E)仕上げとするときの施工上の留意事項を 2 つ, 具体的に記 述 しなさい。
- 鉄筋コンクリート造の外壁に鋼製建具を取り付けるときの施工上の留意事項を 2 つ, 具体的に記 述 しなさい。
※解答例はこちらより
個人的にはですね、仕上げ工事は例えば外壁タイル工事や、防水工事等でも工法がとても多いため、記述問題は躯体工事の方が取り組みやすいなと思ったりします。
偶数年・・・施工上の留意事項を2つ記述する問題(4問×2)
問題5 五肢一択(令和6年はおそらく躯体工事)
問題5は令和3年より五肢一択の問題に変わりました。令和2年迄は、文章の中から、3つの選択肢から誤った語句・数値を選択して正しい語句・数値を解答する問題でした。
そして問題4と対の関係になっているので、令和6年は上記に記載した通り、
- 問題4 仕上げ工事・・・施工上の留意事項を記述する。(従来通りの問題)
- 問題5 躯体工事・・・ ( ) に当てはまる最も適当な語句又は数値の組合せを, 下の枠内から 1 つ選ぶ(五肢一択)
となる可能性が高いでしょう。
一昨年の令和4年(2022年)の躯体工事の問題は、この『最も適当な語句又は数値の組合せを 1 つ選ぶ』五肢一択の問題でした。
- 地盤の平板載荷試験
- 根切り工事
- 場所打ちコンクリート杭地業のオールケーシング工法
- 鉄筋のガス圧接
- 型枠に作用するコンクリートの側圧
- 型枠の組立
- 暑中コンクリート
- 鉄筋工事のスタッド溶接
基本的には過去問で出題されている内容も多いので、過去10年の問題を反復して取り組むで問題ないと思います。
問題を1つ取り上げてみましょう。
掘削は ( b ) を用いて行い, 一次スライム処理は、孔内水が多い場合には, ( c ) を用いて処理, コンクリート打込み直前までに沈殿物が多い場合には, 二次スライム処理を行う。
- 解答・解説
- (解答)① 10ーハンマーグラブー沈殿バケット
(解説)※平成30年度臨時試験と同じ内容です。場所打ちコンクリート杭地業のオールケーシング工法において, 地表面下10m程度までのケーシングチューブのの初期の圧入精度によって以後の掘削の鉛直精度が決定される。掘削はドリリングバケット(①)⇒ハンマーグラブの誤りを用いて行い, 1次スライム処理は, 孔内水が多い(②)場合には, 沈殿バケット(③)を用いて処理を行う。
また, 沈殿物が多い場合には, コンクリート打込み直前までに2次スライム処理を行う。
ということで正解は①ですね。
正しい用語・数値を覚えておきましょう。
問題6 五肢一択(建築法規)
最後の問題6は建築法規の問題です。
- 建設業法
- 建築基準法施行令
- 労働安全衛生法
長らくこの3問構成が継続しています。
令和3年からの問題・・1問に2つの空欄があり5つの選択肢より正しい語句・数値を選ぶ
上記の法規は多くの条文がありますが、ある程度決まった範囲より出題される傾向にあります。
ちなみに令和5年の問題は、
- 建設業法 第24条の3
- 建築基準法施行令 第136条の3
- 労働安全衛生法 第10条
①は初見の内容ですが、建設業法第24条は読み込んでおきたいところです。
過去に出題された内容を分析していますが、突発的に過去の内容と全く関係ない部分は出題されにくいので、建設業法第24条、建築基準法施行令の第136条の2の20~第136条8の工事現場の危害の防止の項は一通り触れておくと良いでしょう。
合格への道
第二次検定は第一次検定より根気と頑張りが必要です。
但し勉強はやみくもに取り組むのではなく、今回まとめた年度による出題傾向に基づき、可能性の高い範囲に注力することがベターだと思います。
出題方式の傾向は今後もずっと継続するものではなく、どこかで変わる可能性もありますが、6問全てが一新される事はないと思います。
下記の記事に配点はどんな感じかをまとめています。
さて、令和6年度より受検資格の見直しされており、施工経験記述の設問も多少メスがはいるような感じです。
まとめ
昨年もこの出題傾向とその対策の記事は、多くの方に読んで頂きました。
受検者が勉強を進めるうえで、まず知ってほしい出題内容とその傾向です。
この記事を読んで独学で出来そうだと思っていただければ良いと思うし、
専門学校は費用がかかりすぎる、独学では不安だという方は、通信講座の選択もありだと思います。