【過去問】令和元年 1級建築施工管理 実地試験問題(問題と解答例)問題1〜3

過去問シリーズ、私が一番最初に取り組んだのがこの令和元年の過去問です。今回、不足していた解説を加えました。
では令和元年(2019年)1級建築施工管理技術検定試験 実地試験問題と解答例(問題1〜問題3)に取り組んでみましょう。
※写真と試験内容は一切関係ありません(笑)

問題1 施工経験記述

問題1 建築工事の施工者は,設計図書等に基づき,要求された品質を実現させるため,施工技術力,マネジメント力等を駆使し,確実に施工することが求められる。
あなたが経験した建築工事のうち,要求された品質を実現するため,品質管理計画に基づき,品質管理を行った工事を 1つ選び,工事概要を具体的に記述したうえで,次の 1. 及び 2. の問いに答えなさい。
なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物に係る工事とし,建築設備工事を除くものとする。
〔工事概要〕
イ. 工事名
ロ. 工事場所
ハ. 工事の内容 (新築等の場合:建築用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,
主要室の内部仕上げ改修等の場合:建築用途,建築規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ. 工期 (年号又は西暦で年月まで記入)
ホ. あなたの立場

1. 工事概要であげた工事で,あなたが重点的に品質管理を実施した事例を 2つあげ,次の①から③について具体的に記述しなさい。ただし,2つの事例の工種名は同じでもよいが,他はそれぞれ異なる内容の記述とする。

工種名要求された品質及びその品質を実現させるために設定した品質管理項目
② ①の品質管理項目を設定した理由
③ ①の品質管理項目について,実施した内容及び留意した内容

解答例-1
※共同住宅新築工事の工事概要として
① (工種名)・・・・・内装工事(軽量鉄骨工事とプラスターボード工事)
(要求された品質)・・・隣室との部屋間の遮音性能の確保
(品質管理項目)・・・・軽量鉄骨のスラブやランナー及びボード部の密閉管理
(設定した理由)・・・共同住宅間のLGS+プラスターボード(2重)の施工時のランナーやスラブ部に隙間が発生すると、十分な遮音性能を確保出来ないため、入居後の住民より隣室との音漏れより大きなクレームとなる恐れがあるため。
(実施及び留意した内容)・・天井及び床スラブとLGS壁・ボードとの隙間はシールにて密閉を行い、2重プラスターボードの突き付け部にはジョイントテープを貼り隙間を作らないよう留意しながら、全てを密閉することにより遮音性能を確保した。
解答例-2
① (工種名)外壁タイル工事
  (要求された品質)浮きや剥落のない外壁タイルの耐久性(接着力の確保)
  (品質管理項目)引張り接着力0.4N/mm2以上の確保
② (設定した理由)高層住宅における外壁タイルの浮きや剥落は、建物の外観の美観を損なうだけでなく、重大な第三者を巻き込む事故につながる恐れがあるため。
③ (実施及び留意した内容)外壁タイルの下地は超高圧洗浄で目荒らしを行った後、タイル施工を行い、貼付け後2週間経過後に、打診検査と引張接着力試験を行い、全てが0.4N/mm2以上あることを確認した。

2. 工事概要にあげた工事にかかわらず,あなたの今日までの工事経験に照らして,次の①,②について具体的に記述しなさい。 ただし,1.③と同じ内容の記述は不可とする。

① 作業所において,組織的な品質管理を行うための方法や手段
② ①の方法や手段で組織的な品質管理を行うことによって得られる効果

解答例
方法や手段・・各工種毎に、品質の目標管理値やチェック項目を明確にして、会議室にポスターで貼って共有する。また朝礼時にはその管理値などを担当者と協力会社を含めた作業員で再度確認しあうことで、伝達ミス・漏れのないよう取り組んでいる。
得られる効果・・目標管理値やチェック項目などを担当者や協力会社にて共有、周知徹底を図る事で、作業所全体で品質への意識が高まるだけでなく、コミュニケーション不足による工事の手戻りがなくなり、工事の進捗もスムーズに進むようになる。

経験記述はあくまでも参考例です。あくまでも自分の文章で記述できるようになる事が大きなポイントです。

問題2 施工計画(仮設計画)

問題2 次の 1. から 3. の建築工事における仮設物について,設置計画の作成に当たり検討すべき事項を,それぞれ 2つ留意点とともに具体的に記述しなさい。
ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,申請手続,届出及び運用管理に関する記述は除くものとする。 また,使用資機材に不良品はないものとする。
1. 荷受け構台
解答例
(1)揚重する資材の数量や寸法、形状を考慮した規模を計画して、また資材の重量及び作業員の荷重を考慮して、積載荷重
に対応しうるよう検討する。
(2)墜落、飛来落下防止のため、構台には幅木・中さん・手すりを設けて、また躯体と構台の隙間にはネットの設置を検討する。
2. 鋼板製仮囲い (ゲート及び通用口を除く)
解答例
(1)設置場所の地盤の状況を確認して、もし地盤が安定していない場合は、コンクリート基礎などの補強を検討する。
(2)強風などで倒壊などの事故が起こらないように、仮囲い上部には風圧を軽減するために網などを設け、また控えパイプ
と埋込み材との緊結がしっかり行われているかを確認する。
3. 工事用エレベーター
解答例
(1)積載物の最大荷重に応じた定格荷重、最大寸法に応じた荷台面積とし、積載物が荷台から出ない機種選定を行う。
(2)設置場所は水平堅固な地盤面の設置場所を計画し、壁つなぎを確実に取り、倒壊、落下がないように留意する。

問題3 躯体工事

問題3 次の 1. から 4. の問いに答えなさい。 ただし,解答はそれぞれ異なる内容の記述とし,材料の保管,
作業環境 (騒音,振動,気象条件等) 及び作業員の安全に関する記述は除くものとする。
1. 山留め支保工において,地盤アンカーを用いる場合の施工上の留意事項を 2つ,具体的に記述しなさい。
ただし,山留め壁に関する記述は除くものとする。
解答・解説
(1)施工した地盤アンカーは、全数について確認試験を行い、設計アンカー力の1.1倍であることを確認する。
(2)地盤アンカーが敷地境界から出てしまう場合、事前にその土地管理者に許可を得た上で施工する。
それ以外には
・山留め壁には鉛直力が作用するので、山留め壁は十分な鉛直支持性能を有する地盤に支持させる。
建築工事監理指針より。
2. 鉄筋工事において,鉄筋の組立てを行う場合の施工上の留意事項を 2つ,具体的に記述しなさい。
ただし,鉄筋材料,加工及びガス圧接に関する記述は除くものとする。
解答・解説
(1)鉄筋相互のあきは粗骨材の最大寸法の1.25倍、呼び径の1.5倍、もしくは25mm以上のうち、最大値のもの

とする。(2)鉄筋のかぶり厚さを正しく保つために、使用箇所に適した材質及び形状・サイズのスペーサを必要な間隔に配置する。※建築工事監理指針より。
上記は第一次検定の知識でも記述出来る内容ですが、数値などに誤りのないよう注意してください

3. 普通コンクリートを用いる工事において,コンクリートを密実に打ち込むための施工上の留意事項を 2つ,具体的に記述しなさい。
ただし,コンクリートの調合及び養生に関する記述は除くものとする。
解答・解説
(1) コンクリートの締め固めは棒形振動機を用いる場合、垂直に挿入して加振し、挿入間隔は60cm程度とする。
(2)打込みは低い位置から落とし、1箇所に多量に打込み、横に流してはならない。
その以外に、
・コンクリートの打継ぎは応力の小さいところで打継ぐようにし、梁の付け根の打継ぎは避けなければならない。
・1回に打ち込むよう計画した区画内では、コールドジョイント防止のため、連続して打ち込み一体になるよう留意する。
など。
※いずれも建築工事監理指針より
コンクリート打込み調合に関する出題など、同じ工事でも異なる出題があるので間違いないよう注意しましょう。
4. 鉄骨工事において,建入れ直しを行う場合の施工上の留意事項を 2つ,具体的に記述しなさい。
ただし,アンカーボルト及び仮ボルトに関する記述は除くものとする。
解答・解説
(1)ターンバックル式筋交いを有する構造物は、建入れ直しにその筋交いを用いてはならない

(2)筋交い補強作業については必ず建方当日に行うものとし、翌日に持ち越してはならない。
上記以外にも、
・ワイヤロープの取付用ピースは、あらかじめ鉄骨部分に取り付けられた強固なものとする。
・架構の倒壊防止用ワイヤロープを使用する場合、このワイヤロープを建入れ直しに兼用しても良い。
※建築工事監理指針より
ある程度、第一次検定対策でも学んだ内容なので、そのあたりを活用しても良いでしょう。

前半戦 終了

次回は、

に続きます。

ここ最近の施工経験記述の傾向として、

・留意事項
・波及効果または副次効果
が問われる傾向ですね。全く同じ出題内容ではないので、丸暗記では対応は難しいと思います。
まずは出題内容と傾向を把握しましょう。

 

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