【2022年】施工管理技士技術検定の試験と資格制度について(1級建築施工管理技士補)

令和3年に書いたこの記事を令和4年向けにアップデートします。

令和3年度より、施工管理に関する技術検定の試験・資格制度が変わり予定通り第一次検定及び第二次検定という名称で実施されました。

大きなポイントは『施工管理技士補』という新しい資格も生まれ、監理技術者補佐の役割が期待されていることです。

 

資格取得に関しては、資格の幅が広がりかつ、中間の階層(1級施工と2級施工の間)が生まれたことで、資格を取得するハードルが下がりましたが、一方で試験制度の見直しで令和3年度の受検者は問題の予測が難しく苦労したと思います。

2020年(令和2年)5月25日の建設業法改正の内容(施行は令和3年4月1日より)

昨年(令和3年)に施行された建築施工管理技士の資格取得や試験に関係する法改正は2点です。

(1)技術検定の合格者に与えられる称号について(令第四十条関係)

改正法:これまで学科試験と実地試験により行っていた技術検定について、それぞれを独立の試験とし、第一次検定及び第二次検定として実施する
→技術検定の合格者に与えられる称号は、第一次検定に合格した者にあっては級及び 種目の名称を冠する技士補とし、第二次検定に合格した者にあっては級及び種目の名称を冠する技士とする。(例)1級土木施工管理技士補(1級の第一次検定に合格した者)

第一次検定に合格すると、1級建築施工管理技士補になり、第二次検定に合格すると従来の1級建築施工管理技士となります。

(2)技術検定の受検手数料について(令第四十二条関係)

技術検定の受検者数の減少、試験回数・会場数追加による支出増などにより、受検者一人当たり費用が増加したことなどを踏まえ、受検手数料の引き上げを行う。
(例)
・1級建築施工管理技術検定
学科・実地試験:各9,400円 → 第一次・第二次検定:各10,800円
・2級建築施工管理技術検定
学科・実地試験:各4,700円 → 第一次・第二次検定:各5,400円
※建築以外の各検定種目(電気や土木他)により料金は異なるので確認をしてください。

 

受検に関する費用が1,400円値上がりとなりました。

今回の改正で資格取得に関係するのは以上2点です。

ではその背景と内容については次項にまとめます。今回の各種技術検定とは、建築だけではなく土木・電気・管・造園・電気通信などの試験及び資格を含みます

試験制度見直しの背景

この業界に従事している方ならば、認識しているかと思いますが、ここ数年建設業は蔓延的な人手不足と高齢化が問題になっています。ここ数年の解決すべき課題として、

  • 建設業就労者の高齢化と、一方で若年層が入ってこない、かつ離職者が増える傾向。
    (建設業は不人気ですね)
  • 試験合格者の平均年齢が上がっている、資格者(監理技術者)の平均年齢も高くなっている。
  • 監理技術者が絶対的に不足している。
  • 資格者のキャリアステップの階層が少なく、実質1級と2級しかない。
  • 2回連続して実地試験に不合格となると、再度学科試験に受験(再チャレンジ)する人が大幅に減っている

など多くの課題を国土交通省としても持っていました。国土交通省資料を参考

現場の熟練工は高齢化しており、人手不足による仕事の忙しさもあり労働時間が長い建設業は昨今は若年層からの人気も少ない業種と言えるでしょう。そして学科試験と実地試験の難易度の格差も大きく、学科試験は受かっても実地試験になかなか合格しない人も多く見てきました。

そう言った多くの課題の解決の一つとして、資格の体系を見直したのが次項です。

試験制度見直しの内容

まず令和2年までの資格制度はみなさんご存知の通り下記の通りとなっています。

学科試験(合格)→実地試験(合格) →1級建築施工管理技士の資格を取得
受検申込を行うのが例年2月となり、学科試験(6月)に受かって実地試験(10月)を受け、合格発表は次の年の2月と合格するまで期間の長い資格になっています。
また学科試験に合格したものの、実地試験に2度連続して不合格だとまた学科試験から受検しなければなりません。こうなるとまた再度最初からチャレンジするモチベーションは著しく落ちるのは間違いありません。
ちなみに私の場合は学科試験は一度で合格したものの、実地試験は1度目は仕事があまり多忙な時期で勉強が続かず、受検を断念して2年目の実地試験でなんとか合格しました。(言い訳ですがw)⇒1年目は試験3週間前に離脱しました(笑)
そして令和3年から実施されている試験及び検定制度は下記の通りとなっています。
第一次検定(合格) ⇒技士補の資格を取得 ⇒第二次検定(合格) ⇒施工管理技士の資格を取得
1級の第一次検定を合格すると『技士補』の資格を得ることになります。
大きなポイントとしては、技士補になった時点で資格の取得が成立するので、次の1級建築施工管理技士の資格を取得するには、第二次検定を受検して合格すれば良いということです
つまり第一次検定に合格し、技士補の資格を取得する。
その後第二次検定で不合格になっても、翌年以降も第二次検定からの試験からスタートになるという事です。これはとても大きいですね。
(1次検定からスタートする必要がなくなった)
国土交通省ホームページより引用
これによりキャリアステップの階層が増えることになり、経験や知識に応じて段階的にキャリアステップを踏めますね。
これで資格取得そのものを断念するという人は減るのではないでしょうか。

技士補の役割について(1級建築施工管理技士補)

令和2年10月1日から建設業法第26条第3項の規定により、監理技術者の職務を補佐する者を専任で配置することによって監理技術者が兼任できることとなります。来年以降にこの監理技術者の職務の補佐(監理技術者補佐)をする役割として目されているのが『技士補』となります。

距離がそう遠くない2つの現場において、兼任するのが特例監理技術者であり、その下に専任の補佐としてつくのが技士補です。とても重要な役割とも言えますね。技士補で経験を積みながら、第二次検定を受けて合格して1級建築施工管理技士になるステップはとても良いと思います。

新しい試験制度はどうなる?

学科試験と実地試験のセットから、第一次検定と第二次検定という2つの異なる技術検定になりました。
それにより試験の内容も見直されました。
1級第1次検定に合格した1級技士補は、監理技術者補佐として現場に配置できる。このため、1級第1次検定の試験問題には、施工管理を的確に行うために施工管理法の「応用能力」の設問を追加。2級第1次検定にも、これまでの学科試験にはなかった施工管理法の「基礎的な能力」を問う問題を追加する。
12月18日の建通新聞より引用※監理技術者補佐は、主任技術者の資格を有し、かつ1級建築施工管理技士補の資格が必要です。

  • 第一次検定は従来の学科試験の問題(知識)+施工管理を的確に行うために施工管理法の「応用能力」の設問を追加
  • 第二次は実務経験に伴う経験記述及び従来の記述問題と学科試験で問われていた知識問題

昨年度既に実施されたので、今年は少し対策が取りやすくなりましたね。

第一次検定
・従来の五肢一択の問題が54問解答する。(66問の出題のうち)
・応用能力問題として、五肢二択の問題が6問出題され6問解答する必要がある。
それぞれ共に60%以上の正答が合格基準とされています。
第二次検定
・従来の記述問題が4問
・仕上げ工事の正誤問題と法規の問題が五肢一択の問題に変更になった。
※本年度は仕上げ工事ではなく、躯体工事の正誤問題が五肢一択になると想定しています。
本年度の試験スケジュールは下記の通りです。

試験に関する詳しい情報は下記を参照してください。

まとめ

今回の制度改正により、一番良いなと思うのは資格取得のハードルが下がった事が大きいですね。まずは『技士補』の資格を目標にするという事も可能です。やはり従来の学科と実地の試験のレベルは少し大きいと感じている人も多いと思います。

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そして、自分の中で一つずつステップアップしながら、仕事においてのキャリアアップも全然ありですね。企業によっては技士補でも重宝される会社もあるかと思います。

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