2022年度の1級建築施工管理技士の第二次検定対策の施工経験記述対策、今回は『品質管理』です。
- 建設副産物
- 品質管理
- 施工の合理化
と3つのテーマがここ10年以上に渡って出題されていますが、『品質管理』は問題の意図を読みあやまると失敗しやすいのですが、問題内容が大きく変わらないので、品質管理の試験の際の合格率は低くないように思います。
・品質管理の出題内容
・記述内容と記述例
・最近の出題傾向
品質管理の問題
この『品質管理』の問題は、
- 2021年(令和3年)
- 2019年(令和元年)
- 2016年(平成28年)
- 2014年(平成26年)
- 2011年(平成24年)
ここ11年で5回出題されています。
平成28年と令和3年は3年毎の標準ローテーションとは異なり、一つ早まって出題されています。
試験のローテーションが破られるとき、そこに現れるのは『品質管理』のようですね(笑)
昨年も『建設副産物』の予想に反して『品質管理』でした。ただ、結果的には昨年の第二次検定の合格率は悪くはなかったです。
第二次検定の出題傾向は下記記事でまとめています。
出題内容(令和3年の問題)
あなたが経験した建築工事のうち, 発注者及び設計図書等により要求された品質を確保するた, 重点的に品質管理を行った工事を1つ選び, 工事概要を具体的に記 述したうえで,次の1. 及び 2. の問いに答えなさい。
なお, 建築工事とは, 建築基準法に定める建築物に係る工事とし, 建築設備工事を除くものとする。
(工事概要の記載は省略)
1. 工事概要であげた工事で, あなたが現場で重点をおいて実施した品質管理の事例を 2 つあげ, 次の①から④について具体的に記 述 しなさい。ただし, 2 つの事例の②から④は, それぞれ異なる内容を記 述 するものとする。
① 工種名
② 施工に当たっての品質の目標 及びそれを達成するために定めた重点品質管理項目
③ ②の 重点品質管理項目を定めた理由及び発生を予測した欠陥又は不具合
④ ②の 重点品質管理項目について, 実施した内容及びその確認方法又は検査方法
以上工種を記載の上、3つの事項を記述せねばなりません。
『品質管理』の記述内容
- 工種名
- 施工に当たっての品質の目標 及びそれを達成するために定めた重点品質管理項目
- ②の 重点品質管理項目を定めた理由及び発生を予測した欠陥又は不具合
- ②の 重点品質管理項目について, 実施した内容及びその確認方法又は検査方法
記述例①
② 隣室との部屋間の遮音性能の確保を品質目標として、スラブ及びランナー部やボード突付け部の密閉管理を重点品質管理項目とした。
③ 共同住宅間のLGS+プラスターボード(2重)の施工時のランナーやスラブ部に隙間が発生すると、十分な遮音性能を確保出来ないため、入居後の住民より隣室との音漏れによるクレームの恐れがあるため。
④ 天井及び床スラブとLGS壁・ボードとの隙間はシールにて密閉を行い、2重プラスターボードの突き付け部にはジョイントテープを貼り、密閉することにより遮音性能を確保した。また隙間がないことを目視での確認及び写真で記録に残した。
私の場合で例に挙げると、オフィスにおける役員会議室は音漏れのない品質を求められることが多かったです。
そのためにその会議室のみ間仕切りはスラブtoスラブまでで隙間のない施工、コンセントの設置位置にも留意しました。
当然、役員会議室での重要な話が簡単に外に漏れるようであれば、次に仕事は無くなりますし信用も失いますので、とても重要な品質管理になります。
そのために、スラブtoスラブの間仕切り、ジョイントテープで隙間をつくらず、グラスウールを充填して、壁コンセントなどは取り付けず細心の注意を払います。
当然、この施工部分はビニルクロス張りをする前に隙間がないか検査及び確認を入念に実施し、加えて記録にも残しておきます。
記述例②
② 剥落のない外壁タイルの接着力の確保を品質目標として、全数打診検査の実施と接着力試験での引張接着強度の確保を重点品質管理項目とした。
③ 外壁タイルの接着力が不十分な場合、タイルの剝落の恐れがあり、その場合第三者災害にもつながり、マンションの資産価値にも大きく影響して、企業としての信用を失うため
④ 張り付けモルタル硬化後に全数打診検査を行い、施工2週間後に100m2ごとに1個を抜き出し全ての測定結果が0.4N/mm2以上であることを確認した。試験結果の記録は保存して、維持保全に役立てるようにした。
外壁タイル工事は、いろんな品質管理項目がありますね。
- 張り付けモルタルの1回あたりの張り付け面積
- 張り付けモルタルの1回あたりの練混ぜ量は60分以内に張り終わる量とする
- 張り付けモルタルの厚み
- タイル張りまでのオープンタイム
より良い品質を確保するために、どの品質管理項目を設定するか考えてみましょう。(あまり多くを書くとわかりにくくなるので、言いたいことは絞りましょう)
記述すべき内容
例えば、改修工事でビル屋上の塗膜防水工事を設定した場合、
・何を求められている?
→漏水性能の確保と耐久性 が求められますよね。
・そのためにどんな管理をする?
→最近は材料の使用量管理が重要だと言われています。
(面積あたりの使用量は適正か?)
※品質管理項目を守れないと、想定している品質目標が達成できない状況を理由として記述すると良いでしょう。
・実施した内容と確認方法又は検査方法
と言った書き方になります。
品質管理の求められるもの
品質管理で求められるものは概ね決まっています。
- 外観などの美観。 ⇒自分の購入する住宅の見栄えが悪かったら?(美しくないコンクリート打放し)
- 各所の耐久性能。 ⇒すぐ建具がぐらつく、防水がもう劣化してきてヤバいって施工能力疑われますね。
- 床や建て方精度。 ⇒床の不陸が少し大きい、間仕切りが少し歪んでいる。窓の開閉が歪んでしにくい。
- 想定通りの性能。 ⇒表記されている性能通りか。(床荷重、遮音性能など)
事務所ビル、住居などにおいて全ての品質を満たしていく必要があります。
上記の要求性能を満たしていくために、どのような重点項目を設定し、施工していくか。
当然、設定する管理項目というは実際の工事では一つではありません。但し施工経験記述は、全部書くと論文になってしまうので、特に重要だと感じたものを選んで書いていく必要があります。
・遮音性能の基本数値を設定し、そのための施工ポイントをどこに置くか。
・綺麗な打放しコンクリートにするために、コンクリート打設工事のどこに重点を置くのか?
これが品質管理のポイントですね。
最近の出題傾向(令和元年と比べて)
ちなみにその2年前の令和元年の問題をチェックしてみましょう。
① 工種名,要求された品質及びその品質を実現させるために設定した品質管理項目
② ①の品質管理項目を設定した理由
③ ①の品質管理項目について,実施した内容及び留意した内容
・重点品質管理項目を定めた理由及び発生を予測した欠陥又は不具合
・重点品質管理項目について, 実施した内容及びその確認方法又は検査方法
- 定めた理由については、具体的に品質管理におけるどんな不具合のリスクがあるかの言及が必要になっているのと、
- 実施した内容に加えて留意事項ではなく、確認方法又は検査方法を具体的に記述する必要がありますね。
まとめ
個人的には、『施工の合理化』や『建設副産物』と比べて少し表現力というか、記述がサクッと決まりにくいのが『品質管理』かなと思っています。ただし『施工の合理化』や『建設副産物』は記述できる工種もある程度限定されがちですが、記述するコツがわかると『品質管理』は幅広い工種でネタがあると思います。
施工経験記述問題1-1のまとめ記事
施工経験記述のテーマ別記事(2021年アップデート済)