【2023年】1級建築施工管理技士 第二次検定対策〜問題1-1.施工経験記述

2年前(2021年)よりスタートした1級建築施工管理技士の第二次検定。3年前までは実地試験という名称でした。

名称が変わっても今回取り上げる施工経験記述対策については全く変わりません。

さてその施工経験記述の問題は問題1-1での経験記述問題1-2は一般的な考えや経験で得た取り組み2つの問題で構成されています。この章は問題1-1の施工経験記述の出題についてまとめています。

 

1級建築施工の技術検定の第二次検定と言えば、『施工経験記述』です。出題される問題の中でも一番配点比率が高いと想定され、ここを押さえると合格への道の第一歩につながります。

問題1の出題内容

第二次検定全体の出題傾向については下記の記事で取り上げています。

過去10年の出題されたテーマです。

2022年(令和4年) 施工の合理化→new!
2021年(令和3年) 品質管理
2020年(令和2年) 施工の合理化
2019年(令和元年) 品質管理
2018年(平成30年) 建設副産物
2017年(平成29年) 施工の合理化
2016年(平成28年) 品質管理
2015年(平成27年) 建設副産物
2014年(平成26年) 品質管理
2013年(平成25年) 施工の合理化
2012年(平成24年) 建設副産物
2011年(平成23年) 品質管理

ここ10年出題されている施工経験記述のテーマは『品質管理』、『建設副産物』、『施工の合理化』の3つとなっています。基本的には出題ローテーションも決まっていましたが、2016年(平成28年)には『施工の合理化』の順番でしたが、『品質管理』が出題されました。

一昨年の2021年(令和3年)も『建設副産物』かな~と思っていたら『品質管理』だったのは記憶に新しいところ。

そして昨年は『施工の合理化』が出題されており、『建設副産物』は平成30年度より出題がありません。

 

という事で、年々出題テーマが絞りにくくなっているのも事実ですね。この3つのテーマをきっちり勉強していくという方が増えたと思います。(専門学校では一通り勉強します。)

 

今年はどうなるでしょうね。あまり絞らずにバランスよく記述方法を学んでおいた方が良いでしょう。

ただ施工経験記述は一通りの記述練習はした方が良いと考えています。

過去6年間の出題(品質管理・建設副産物・施工の合理化)

ここ4年の出題内容です。

2022年
(令和4年)
施工の合理化 1. 工事概要であげた工事において,  あなたが実施した現場作業の軽減の事例を 3 つあげ,  次の①から③について具体的に記 述 しなさい。ただし, 3つの事例の②及び③はそれぞれ異なる内容を記述するものとする。

① 工種名
② 現場作業の軽減のために実施した内容と軽減が必要となった具体的な理由
③ ②を実施した際に低下が懸念された品質と品質を確保するための施工上の留意事項

2021年
(令和3年)
品質管理 1.  工事概要であげた工事で,  あなたが現場で重点をおいて実施した品質管理の事例を 2 つあげ,  次の①から④について具体的に記 述 しなさい。ただし,  2 つの事例の②から④は,  それぞれ異なる内容を記 述 するものとする。

① 工種名
② 施工に当たっての品質の目標 及びそれを達成するために定めた重点品質管理項目
③ ②の 重点品質管理項目を定めた理由及び発生を予測した欠陥又は不具合
④ ②の 重点品質管理項目について,  実施した内容及びその確認方法又は検査方法

2020年
(令和2年)
施工の合理化 1.  工事概要であげた工事において,   あなたが実施した現場における労務工数の軽減,  工程の短縮 などの施工の合理化の事例を 2 つあげ,  次の①から④について記述しなさい。 ただし,  2つの事例の②から④は,   それぞれ異なる内容を具体的に記述するものとする。
① 工種又は部位等
② 実施した内容と品質確保のための留意事項
③ 実施した内容が施工の合理化となる理由
④ ③の施工の合理化以外に得られた副次的効果
2019年
(令和元年)
品質管理 1. 工事概要であげた工事で,あなたが重点的に品質管理を実施した事例を 2つあげ,次の①から③について具体的に記述しなさい。ただし,2つの事例の工種名は同じでもよいが,他はそれぞれ異なる内容の記述とする。
① 工種名要求された品質及びその品質を実現させるために設定した品質管理項目
② ①の品質管理項目を設定した理由
③ ①の品質管理項目について,実施した内容及び留意した内容
2018年
(平成30年)
建設副産物 1.  工事概要であげた工事において、あなたが実施した建設副産物対策に係る 3 つの事例をあげ、それぞれの事例について、次の①から④を具体的に記述しなさい。
ただし、3つの事例の③及び④はそれぞれ異なる内容の記述とする。
なお、ここでいう①建設副産物対策は、発生抑制、再使用又は再生利用とし、重複して選択してもよい。
① 建設副産物対策(該当するものを1つ○で囲むこと。)
② 工種名等
③ 対策として実施したことと実施に当たっての留意事項
④ 実施したことによって得られた副次的効果
2017年
(平成29年)
施工の合理化 1.工事概要であげた工事において、あなたが計画した施工の合理化の事例を 2 つあげ、それぞれの事例について、次の①から④を具体的に記述しなさい。 ただし、2つの事例の②から④の内容は、それぞれ異なる内容の記述とする。
① 工種又は部位等
② 施工の合理化が必要となった原因と実施した内容
③ 実施する際に確保しようとした品質と留意事項
④ 実施したことにより施工の合理化ができたと考えられる理由

例年、施工の合理化は事例2つを記述すればよかったのですが、令和4年は事例3つが必要だったので、困った方もいるでしょうね。

この勉強に際しての取組みのポイントを把握するために、2020年2022年のそれぞれの施工の合理化の問題を見てみましょう。

2020年 2022年
①工種又は部位など ①工種名等
実施した内容と品質確保のための留意事項 ② 現場作業の軽減のために実施した内容と軽減が必要となった具体的な理由
③ 実施した内容が施工の合理化となる理由 ③ ②を実施した際に低下が懸念された品質と品質を確保するための施工上の留意事項
④ ③の施工の合理化以外に得られた副次的効果

2022年は低下が懸念された品質という、少し逆の問われ方をしたのでここをうまく記述出来なかった方が多かったように思います。

例えば②の記述ですが、

2017年・・・○○工事の熟練工の確保が非常に難しかったので、〇〇工法を監理者の承認を得て〇〇工法に変更して現場作業の軽減を行った。
2020年・・・監理者の承認を得て〇〇工法を〇〇工法に変更したが、接着力を確保するために〇〇の厚さに留意をした。
内容に特に意味はありませんが、模範的な記述としてこのように書き方が異なってきます。
問題で問われている内容通りに記述することがとても大事にです
また『建設副産物』は先ほど書いた通り平成30年から出題されていません。もし出題されても問題の問いの内容は大きく変わる可能性もありますね。
記述する内容を暗記するだけの対応をしていると、いざというときに応用が効きません。問題に応じて臨機応変に対応出来ることが施工経験記述では重要になってきます。

別の記事でテーマ毎のポイントをまとめています。(こちらも随時アップデート)

記述のポイント

施工経験記述の問題に対する出題者求めているものはなんだと思いますか?

 

1級建築施工管理技士の資格を得て、監理技術者講習を受け資格証の公布を受けると監理技術者になります。つまり、あなたが監理技術者に足りうる現場経験(指導監督的実務経験)と、資格者にふさわしい知識や応用能力を持っているかが重要な判断ポイントだと考えてください。

・施工時において、正しく品質管理(重点管理項目とその管理値を理解している)をして、建物施工が出来るか?
・現場では法規を理解しながら、発生材を減らし、廃棄物を減らす取り組みを行っているか?
・品質を維持することはもちろん、現場状況で工程の遅れなどに際して施工の合理化などで臨機応変に対応出来るか?
1級建築施工管理技士は受検資格に一定の実務経験と1年以上の指導監督的実務経験を必要とします。その実務経験にふさわしい工事の施工経験を正しく、正確に表現する能力が求められていると言って良いでしょう。
イメージ的には、部下もいる、協力会社に対しても普段より指導している立場である、そういう位置づけで記述をしたいところです。(万が一そうでなくても)
そういった事から記述の際のポイントをまとめておきたいと思います。
・正しい専門用語を理解して表現する。(専門用語の誤字は絶対に避けたい
・文字は丁寧にわかりやすく書く。(読めない文字は監理技術者に相応しくないと思われても仕方ありません)
・正しく表現できる能力→設問における解答の空欄は極力8割方は埋めれるように記述する。
・理想はここ5年前後の施工経験の記述が望ましい。(必須ではないが10年以上前の経験は極力避けたい)
・メーカーの製品名で書かないようにする。(あくまでも一般名称を使う)
指導監督的な立場で記述する。(現場係員の立場ではダメです)
・日本国内の工事の記述をする。
・未竣工の工事の記述はしない。

施工経験記述は、素晴らしい施工の経験を記述する問題ではなく、あくまでも自分が経験した工事において、どう対処して工事の施工管理を行ったかを正しく、簡潔に表現する事が重要です。

空欄を綺麗に埋める工夫は必要ですが、問われていない内容まで記述しないようにしましょう。

 

そして何より重要な事として、対策本の例文の丸暗記はやめましょう

先程の施工の合理化の事例を見ても、同じテーマであっても全く同じ出題ではなく、少しニュアンスを違えて出題される可能性があるし、対策本はあくまでも内容をシンプルにまとめている場合が多いので、それを書いて正解するとは限りません。

講師時代にも、『この記述は用語の使い方が間違っている』と指摘しましたが、後から相談に来て、

『この解答例少し参考にしたんですけど、、』と対策本の記述内容を持ってきたんですが、苦笑いせざるを得ませんでした。

 

 

あくまでも自分で論理構成を組み立てて自分の文章にする必要があります。

対策本は、自分がうまく表現できない際に、文章の書き方や文章構成を参考にして、そこから自分オリジナルを作成できるのがベストです。

 

結局ですね、対策本の記述例とほぼ同じ内容のものは採点者はもう見飽きています。

やはり些細なエピソードであっても、受検者のリアルな経験の記述はとても新鮮に感じることが多いと思います。

添削指導の私でも同様に感じているので、より多くの受検生を見ている採点者はより強く感じることでしょう。

オリジナルな内容は本当にポイントが高いと思いますよ(笑)

施工経験記述の工事概要について

工事概要の書き方はこちらにまとめています。

・必ず建築工事である事。
・実在する施設や住所である事。(意外と間違えてる人多いです)
新築工事か改修工事、大規模修繕工事、耐震改修工事などを明確にする事。
・規模は監理技術者に相応しい規模が理想。(ですが、小規模でも大丈夫です)
工事規模はある程度のものが望ましいですが、必須でもないと思います。指導的監督経験がその文章から伝われば良いでしょう。

その他重要なポイントをまとめているので参照してください。

 

工事概要に記載する工事で改修工事大規模修繕工事での留意ポイントだけ改めて書いておきます。

・改修工事や大規模修繕工事は実施した工事の施工数量・規模を明記する。(屋上ウレタン塗膜防水工事 ○○m2)
・工事の内容(工事概要)に記載していない工事を、経験記述に書いてしまう人が多いように思う。

対策本を参照して施工経験を記述してしまった場合、『工事の内容』の欄に記載されていない工事の経験記述を書いてしまう事があります。気をつけるようにしましょう。

まとめ

施工経験記述は各関連記事に詳細を書いています。また2021年2月の試験日程までまだ時間があるので、実地試験関連の記事については、定期的に内容をアップデートしていく予定です。

アップデートした際はTwitterでも告知していくので、そちらをフォローして参照頂けると幸いです。

参考書籍

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↑施工経験記述例が比較的多く記載されています。

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