【最新・令和6年度向け】2級建築施工管理技士 第二次検定の出題内容、その傾向と対策

さて、今年は少しリリースが遅れましたが、令和6年度(2023年) 2級建築施工管理技士の第二次検定の例年の出題内容とその傾向と対策についてまとめたいと思います。ちなみに昨年の記事はこちらです。

3年前の令和3年より実地試験→第二次検定と試験制度も変わり、少しですが出題方式も変わりました。

今年は新たな試験制度で4年目ですが、一部の問題が選択式になったこと以外は変わっていません。過去の実地試験、第二次検定の出題内容を理解して準備すれば何の問題もないでしょう。

本記事のポイント

・施工経験記述はどうなるか?
・例年の出題傾向は
・各問題毎の傾向と対策

2級建築施工管理技士の試験基準(第二次検定)

3年前の試験制度の改正により、2021年の第二次検定からは下記の通りとなっています。

※2024年の受検の手引きはまだリリースされていませんので、もし変わっていたら後日修正します。

検定科目 知識能力 検定基準 解答形式
施工管理法 知識 1 主任技術者として、建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な知識を有すること。 四肢一択
能力 2 主任技術者として、建築材料の強度等を正確に把握し、及び工事の目的物に所要の強度、外観等を得るために必要な措置を適切に行うことができる応用能力を有すること。 記述
3 主任技術者として、設計図書に基づいて、工事現場における施工計画を適切に作成し、及び施工図を適正に作成することができる応用能力を有すること。

主任技術者としてふさわしい施工管理能力(施工計画・品質管理・工程管理)とそれに対応するために必要な知識をしっかり持っているを求められています。

第二次検定の出題構成

令和2年(2020年まで)の出題構成は下記の通りでした。(いわゆる実地試験)

  1. 施工経験記述
  2. 施工管理の用語とその留意事項
  3. 施工管理(工程)
  4. 法規
  5. 施工の正誤問題(建築・躯体・仕上げに分かれる)

以上の5問で構成されていました。

 

令和3年の第二次検定より、『施工管理法における四肢一択の問題が出題される』と発表されましたが、それは下記の通りの構成となりました。

  1. 施工経験記述
  2. 施工管理の用語とその留意事項
  3. 施工管理(工程)
  4. 法規(四肢一択方式に変更)
  5. 施工の穴埋め問題(四肢一択に変更)

従来の問題4法規問題5施工の問題記述式から四肢一択に変更になったのみにとどまりました。

ですので、第二次検定という試験制度になった今後も実地試験を含めた過去問を中心とした取り組みでの試験準備で問題ないと言えます。

過去問は下記の記事にまとめています。

またこの第二次検定は60%以上の得点で合格と言われていますが、その配点について下記の記事で取り上げています。(当サイトにおける配点予想)

第二次検定の傾向とその対策

問題1 施工経験記述

施工管理技士の技術検定はこの建築に限らず、土木や電気など全て問題1は施工経験記述です。

施工管理技士の資格というのは知識以上にその工種における経験値がとても大切だということですね。(実務経験が必要なのも、知識だけでは施工管理ができない仕事だからでしょう)

この2級建築施工管理技士の最近の施工経験記述の出題内容は下記の通りです。

  • 工程管理(令和5年)
  • 品質管理(令和4年)
  • 施工計画(令和3年)
  • 工程管理(令和2年)
  • 施工計画(令和元年)
  • 品質管理(平成30年)

私の知る限り、以前までは2級は基本的に施工経験記述は出題ローテーションはほぼ順序通りでしたが、令和3年は順番的に言うと『品質管理』の出題だったのですが、『施工計画』が出題されました。そして令和4年は品質管理が出題され、昨年は『工程管理』とローテーション通りに戻っています。

今年は『施工計画』が出題される可能性が高いですが、絶対的ともいいにくいですね。

昨年度の国土交通省のリリースで、下記について言及がありました。

・第一次検定 : 第二次検定の所要実務経験年数を学歴に拘わらず一定とすることから、第一次検定について、各専門分野の基礎を確認できるよう、必要に応じ、試験問題の充実を図る。
・第二次検定 : 受検者の経験に基づく解答を求める設問に関し、自身の経験に基づかない解答を防ぐ観点から、設問の見直しを行う
国土交通省リリース(外部リンク)

この点を考えると、設問そのものが今までと変わってくるかもしれません。

とは言え、2級はここを大きく変えると合格率にかなり影響しそうな感じではありますが、、、

本年度については、従来の試験対策を行うしかありませんね。

 

例年の出題内容から、記述すべき内容は、

問題1-1は『あなたが経験した建築工事』について、

  • 工事概要(工事名・時期・規模・実施した工事内容・あなたの立場)
  • 工種名(鉄骨工事、防水工事など具体的な工種)
  • 実施した内容検討・留意した事項、また理由などを記述する。

という内容です。

 

例えば令和5年の問題を例を取ると、(工程管理)

1,    工事概要であげた工事であなたが担当した工種において,   項目のAのaからcの中からテーマを選び、それらを手配や配置、施工の計画を立てる際に、工事を遅延させないためにあなたがどのようなことを行ったのか、項目Bの①から③について具体的な事例を3つ記述しなさい。
なお、選んだ項目Aは〇で囲み、3つの事例は同じ項目を選んでもよいものとする。
また、項目Bの①工種名又は作業名等はあなたの受検種別に係るものとし、同じものでもよいが、②状況と理由及び③行った対策は、それぞれ異なる内容の記述するものとし、品質管理、安全管理、コスト管理のみについて記述したものは不可とする。

項目A

a.  材 料(本工事材料、仮設材料)

b.  工事用機械・器具・設備

c.  作業員(交通誘導警備員は除く)

項目B

① 工種名又は作業名等

② 遅延させるかも知れないと考えた当時の状況とそれが遅延につながる理

③ ②による遅延を防ぐために行った対策

とった内容です。これらの経験記述対策の記述のポイントは別の記事でまとめています。
この、『工程管理』の記述のポイントは、
  • 何らかの課題があり、それに対応しないと全体工程の遅延につながるため。(天候不順や熟練工不足など)
  • 遅延を防ぐためにどのように対応したか?(人数を増やした、工法変更を行った)

この工程管理についていえば、施工管理をしていると皆さん共通して直面している課題かと思いますので、比較的書きやすいと思います。

問題1-2は『工事概要であげた工事及び受検種別にかかわらず』となり、工事概要以外の内容を記述しても問題のない内容です。

2,    工事概要であげた工事及び受検種別にかかわらず,   あなたの今日までの建築工事の経験を踏まえて,   計画通りに工事を進める上で、関係者に作業工程を周知や共有するために有効な方法や手段と、周知や共有が不十分な場合に起こる工程への影響について、具体的に事例を2つ記述しなさい。
ただし2つの事例の有効な方法や手段はそれぞれ異なる内容の記述するものとし、1.の③の行った対策と同じ内容の記述は不可とする。

 

こちらは例を挙げると、
(有効な方法や手段)
木造住宅の新築工事の場合、天候等の要因でベースとなる工程が変わってくるので、協力会社とは、スマホの専用アプリで常時最新の工程を更新し、メッセージのやり取りをしながら間違いのないよう共有を徹底している。
(不十分な場合の影響)
工程の共有が不十分の場合、協力会社のどの工種においても人手不足なため、急遽の変更への対応が難しく、全体的な工期遅延につながり予定の工期に間に合わない恐れがある。

と言った感じでしょうか。2級の問題1-2としては少し難しかったように思います。

 

施工経験記述の工事概要について下記記事でまとめています。
そして施工経験記述の書き方・ポイントについては下記の記事で取り上げました。

施工経験記述の問題1-2の対策はこちら

また本記事は1級向けに書いたものですが、施工経験記述を新築工事ではなく改修工事大規模修繕工事で書こうと思っている方も多いと思います。そんな方向けに書いた記事がこちらです。

 

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今年は新たな試験制度ということで、問題内容も変わることからこの施工経験記述はしっかり取り組んでおきたいところです。

 

問題2 施工管理(用語)

問題2は建築用語が合計14個提示されて、そのうち5個を選んで、その用語の説明施工上の留意事項を記述する問題です。

例えば、昨年の令和5年に出題された用語を見てみましょう

用語の記号 用      語
足場の手すり先行工法
親綱
型枠の剥離剤
グリッパー工法
コンクリートのレイタンス
シーリング工事のバックアップ材
ジェットバーナー仕上げ
隅肉溶接
せっこうボード張りにおけるコーナービード
鉄筋の先組み工法
壁面のガラスブロック積み
べた基礎
木工事の仕口
木造住宅の気密シート

 

非常に難しいと感じる用語も個人によってはあるかと思いますが、ここから5問選択して解答すれば良く、また多くの用語は過去問より出題されているので、きっちり演習を行えば解答できるようになります。
令和4年の記事ですが、過去7年分の出題用語をまとめています。
ここ3年ほど出題予想をしているのですが、3問程度しか当たりません(笑)

問題3 施工管理(工程)

問題3はここ7年はバーチャート工程の問題が出題されています。

その前までは、ネットワーク工程に関する出題だったので、まさに1級と2級が入れ替わった感じです。
※同じ時期に1級はバーチャート工程からネットワーク工程の問題に変わった。

バーチャート工程の問題は、基本的に2~3階建ての鉄骨造です。

  1. 工程表のあるチャートが何の工事(工事名)かを解答する。(主に2つ)
  2. 出来高表からのある時期までの累計金額と出来高のパーセンテージを答える。
  3. ある工事の完了日(上旬・中旬・下旬)で解答する。

令和5年度の問題は、

  1. 作業名を2つ解答
  2. 出来高表から2月迄の累計金額と比率を解答
  3. 工程上、着手時期が不適当な作業名を記述し、正しい着手時期と、それに合わせた適切な実績累計金額(出来高)を解答する。

出来高は単純な計算問題なので、過去問を演習すれば問題ないと思います。

先ほども書いた通り、基本的には鉄骨造(2017年のみ木造)なので、演習を繰り返す事により、工程の流れを把握できるようにしていきましょう。

問題4 法規 ※四肢一択

法規は3問構成で、令和5年度の問題は、

  1. 建設業法
  2. 建築基準法施行令(建築基準法が出題される年度もある)
  3. 労働安全衛生法(建設リサイクル法が出題される年度もある)

1級建築施工管理技士の第二次検定は、建設業法・建築基準法施行令・労働安全衛生法の3つのみがこの10年出題されていますが、2級は建築基準法建設リサイクル法も出題されています。各法令はとても多くの条文がありますが、出題される範囲はある程度定まっています。

令和2年(実地試験)までの出題方式は条文があって、3つの下線部の語句から誤ったものを一つ選択し正しい語句を記入する問題でしたが、令和3年度より四肢一択の問題方式になっています。

 

・空欄に当てはまる正しい語句・数値を4つの選択肢より選ぶ問題に変わった。(1問につき2つの空欄×3問)

いずれにしてもある程度出題される法規や条文の出題傾向に変わりはないので、過去問題の出題された条文をしっかり読み込んで記憶する必要があります。

この10年間で出題された法規及びその条文が何条なのかをまとめたのが下記の記事です。ある程度の出題傾向が把握できるのでしっかり準備して取り組んで欲しいですね。(但し、過去に出題されていない問題が出る可能性も十分にあります)

問題5 施工管理の穴埋め問題(建築・躯体・仕上げ) ※四肢一択

最後の問題5は受検種別毎の出題となっており、建築・躯体・仕上げの受検種別ごとに出題問題は異なります。

これは2018年度(平成30年度)以降はそのような形となっています。

まずは令和2年までの出題方式は8問あり、それぞれの問題の文章が、

・正しい場合は○
・間違っている場合は正しい語句・数値を記述

する問題でしたが、令和3年の第二次検定より出題方式は変わりました。

問題は8問
※建築は8問、躯体及び仕上げは4問×2で計8問解答(要するに同じ)
・各工事の記述において、空欄に当てはまる適当な語句及び数値を4つの選択肢より選ぶ。
法規と同じ形式

ここの勉強方法としては、基本的に1次検定の躯体や仕上げ工事に求められる知識と同じなので、1次検定の躯体工事・仕上げ工事を理解すれば、ここも同様に対応できるでしょう。

時間のある時に、過去10年程度の出題傾向を分析したいと思います。

 

まとめ

この2級建築施工管理技士の技術検定ですが、基本的には1級と出題範囲が大きく変わることはないので、きっちり勉強をする必要があります。基本的には過去問です。そして施工経験記述は自分オリジナルの記述が出来るようになることが重要ですね。

  1. 施工経験記述は徹底した記述の練習(3つのテーマ) ※少なくとも昨年度以外のテーマには取り組みましょう。
  2. 施工の用語は過去の出題を見ながら、ある程度得意分野に注力する。
  3. 施工管理(工程)は2017年からの過去問を取り組むのみで良いと思う。
  4. 法規は7年~10年分の過去問の取組みで問題ない。
  5. 施工の問題は過去問の反復+第一次検定の勉強と並行して知識の吸収。

何度も書きますが、過去問ですw あまり手を広げる必要はありません。

この記事は試験まで内容を順次アップデートしていきますので、より出題傾向に注力出来るようサポート出来ればと思います。

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